2011年9月

第2915号 2011年9月28日号


平成22年度決算の状況
 高野区長、議会招集あいさつ


 第3回豊島区議会定例会が9月22日開会、初日、高野区長は招集あいさつで、「22年度決算の状況」「安全・安心創造都市の推進」「コミュニティ・ソーシャル・ワーク事業」「文化」「産業振興」「教育」について所信を述べた。そのうち、22年度決算状況について掲載する。


“負の遺産”全額完済

 平成22年度の一般会計歳入歳出決算額は、歳入が994億6,700万円で、収入率は95.7%、歳出は968億8,600万円で、執行率は93.2%となりました。

 歳入決算額から歳出決算額を差し引いた形式収支は25億8,100万円となり、実質収支は15億700万円の黒字となりました。

 過去10年の決算では、収入率の95.7%は下から2番目に低く、歳出の執行率93.2%は、21年度決算と同じ最も低い結果となっています。平成22年度では、長崎中学校跡地の公園整備関係経費や市街地再開発事業経費などの繰越明許費が全事業で合計22億7,800万円という大変大きな額になったことにより、収入率、執行率が抑えられたものでありますが、これらの影響を除いた場合には、収入率は96.7%、執行率は95.3%となり、歳入歳出ともに、ほぼ平年並みの率となるものであります。

 次に、歳入の主なものについて、予算に対する決算の状況を申し上げます。

 予算に対する構成比が53%を占める二大財源の特別区交付金と特別区税は合わせて551億1,100万円の予算に対し、555億9,500万円の収入となり、4億8,400万円の予算超過となりました。

 一方、予算構成比で24.7%を占める国庫支出金と都支出金の合計は、予算額の257億500万円に対し、233億5,000万円の収入に止まり、23億5,500万円の未達となりました。これは生活保護費の扶助費が当初見込んでいたほどには伸びず、このため国と都の負担金が予算を下回ったために生じたのが主な理由であります。

 特別区債は、予算額の27億6,600万円に対し、15億1,900万円の収入となりました。この収入、すなわち特別区債の発行額の減少は、本来であれば借り換えが可能でありました舞台芸術交流センター事業債3億7,500万円について、借り換えによる再発行をせずに償還したことなど、発行額を最小限に抑える工夫を講じた結果であります。今後も、可能な限り債務の縮小を図りながら、財政の健全化を進める路線を堅持してまいりたいと考えております。

 次に繰入金についてであります。繰入金のうち財政調整基金からの繰り入れにつきましては、当初予算で予定した14億1,300万円に、土地開発公社の繰上償還の財源として、21億2,100万円を追加し、予算上は、35億3,300万円の繰入を見込んでおりましたが、最終的な繰入額は31億2,100万円となりました。これは、決算の全体状況と次年度以降の厳しい財源状況をふまえ、可能な限りの抑制を図ることとし、約4億円を減じたものであります。

 次に、歳出の決算状況についてでありますが、歳出は性質別区分で申し上げます。

 まず、義務的経費の決算についてであります。決算額は530億6,800万円で、歳出決算額全体に占める割合は54.8%となっております。

 義務的経費の前年度決算との比較では、33億700万円の増となっておりますが、義務的経費のうちの人件費と公債費は、職員定数の見直しなどの効果で職員給与が減となったことなどにより人件費が5億3,200万円、公債費も5億1,700万円の減となるなど、ともに縮小しております。

 一方、義務的経費の約半分を占めます扶助費は、生活保護費や子ども手当が伸びたことにより43億5,600万円、20.3%の増となったために、義務的経費全体では、33億700万円、6.6%のプラスとなったものであります。

 投資的経費の決算額は、131億5,800万円で前年度決算との比較では10億3,000万円の減となっております。これは、東池袋四丁目第二地区の市街地再開発事業や大塚駅南北自由通路の整備の終了などに伴いマイナスとなったものであります。

 一般行政経費は、決算額が306億6,400万円で、前年度比では18億9,400万円の減となりました。これは、国民健康保険事業会計への繰出金が19億400万円増加したものの、定額給付金事業経費が36億1,200万円の減となり、補助費等が34億6,800万円減少したことなどによるものであります。

 次に、法に定める「財政健全化判断比率」について申し上げます。

 いずれの比率も財政の健全性を示す数値となっておりますが、このうち、地方債の元利償還金に、土地開発公社の分割償還金も加えて算出する「実質公債費比率」について申し上げます。

 土地開発公社の長期債務、いわゆる負の遺産については、18年度から5年にわたり、その解消に取り組んでまいりましたが、5年目となる22年度には33億5,200万円の繰上償還を一気に行ったことにより、長年にわたり財政運営の障壁になっていた借入残高の全額を完済できたのであります。

 さらに、ストックの状況に関する「将来負担比率」は、マイナス54.2%と、19.5ポイントも改善いたしました。これも、土地開発公社の長期債務の完済と、起債残高が減少したことによるものであります。

 このように、平成22年度の決算における主要な財政指標の一部では、これまでの財政健全化に向けた努力が効を奏し、改善をみることができた一方で、経常収支比率は、区民税などの収入が落ち込む中で、扶助費の支出が増加したことなどにより、前年度より3.2ポイント悪化し、86.7%と、6年ぶりに80%台の後半になるなど、再び財政が硬直化に向かう兆しが示されています。

 さて、東日本大震災から半年が経過し、日本経済は、震災の影響による景気の落ち込みを一定程度回復しつつありましたが、今後の経済の見通しは、円高・株安の急速な進行など、予測のできない要因が多く、大変不透明な状態に置かれていると言わざるを得ません。

 本区におきましては、既に、本年度の特別区民税、財政調整交付金は、ともに、当初見込みを確実に割り込む見通しであります。一方で、震災を契機に、防災耐震対策の強化をはじめとする新たな行政需要への対応も急務となっているのでありまして、24年度の予算編成を目前にした今後の財政運営には、非常に厳しいかじ取りが必要になるものと認識しております。

 従いまして、土地開発公社の長期債務完済など、これまで取組んでまいりました財政再建の大きな成果と経験をふまえながら、後ろを良く見て、甘えることなく、さらなる行財政改革をいとわず、健全財政の持続に向けて、不退転の覚悟で邁進することによって、区民のみなさんから頼られる区政を実現してまいる所存であります。


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