「23年度も黒字収支」 豊島区議会決算議会始まる
第3回豊島区議会定例会が9月21日開会、初日、招集あいさつに立った高野区長は、「平成23年度決算の状況」「安全・安心創造都市の推進」「教育」「福祉施策の展開」「文化施策の展開」「地域区民ひろば」「区制施行80周年記念」等について述べた。その中から平成23年度決算について掲載する。(2面に安全・安心創造都市の推進について掲載)。
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平成23年度の一般会計歳入歳出決算額は、歳入が1,021億200万円で、収入率は94.9%、歳出は990億7,700万円で、執行率は92.1%となりました。
歳入決算額から歳出決算額を差し引いた形式収支は30億2,500万円、実質収支は18億100万円の黒字となりました。
過去10年間の決算では、収入率の94.9%、歳出の執行率の92.1%は、共に下から2番目に低い数値となっています。これは、繰越明許となった南長崎中央公園や池袋東口駅前公園横自転車駐車場などの施設整備事業の事業経費が合計29億7,600万円という大きな額になったことにより、収入率、執行率が抑えられたことによるものであります。繰越明許の影響を除いた場合には、収入率96.4%、執行率94.7%となり、歳入歳出ともに、ほぼ平年並みの率となるものであります。
次に、歳入の主なものについて、予算に対する決算の状況を申し上げます。
二大財源の特別区税と特別区交付金は、合わせた予算額が551億3,400万円であるのに対し、決算額は553億1,700万円と1億8,300万円の収入増となり、歳入決算額全体に占める構成比は54.2%となっております。
特別区債は、予算では36億9,300万円の発行を見込んだのに対し、13億8,300万円、37.5%の発行に止まりました。特別区債の発行額が減少したのは、事業進捗の遅れによって区債発行が次年度に延びたことによるほか、全般的に区債発行額を最小限に抑える工夫を講じた結果であります。今後も、可能な限り区債の発行を抑え、債務の縮小を図ることで、財政の健全化を推し進める区政運営を堅持してまいります。
次に繰入金についてであります。財政調整基金からの繰入れにつきましては、当初予算で予定した15億3,800万円全額の繰入れをいたしました。
一方、公共施設再構築基金と減債基金では、両基金のうちから財源対策として10億7,800万円の繰入れを見込んでおりましたが、決算全体の状況と次年度以降の歳入状況を勘案し、両基金からの繰り入れは中止いたしました。
次に、歳出の決算状況を、性質別区分で申し上げます。
まず、義務的経費についてであります。義務的経費の決算額は561億9,500万円で、歳出決算額全体に占める割合は56.7%となっており、前年度決算との比較では、31億2,700万円の増となっています。
義務的経費の約半分を占める扶助費は、生活保護費や子ども手当が伸びたことにより7億8,400万円、3.0%の増となり、人件費は、議員年金給付費負担金が増えたことなどによって2,900万円と、わずかですがプラスとなりました。
また、公債費は、特別養護老人ホーム・アトリエ村や三芳グランドの建設に係る区債が一部満期を迎え、償還額が、31億1,100万円と大きな金額となったことなどから、前年度比23億1,400万円の大幅なプラスとなりました。
次に、投資的経費の決算額は、92億7,000万円と7年ぶりに100億円を切り、前年度決算との比較では、38億9,000万円、29.6%の減となりました。これは、22年度に土地開発公社の長期債務償還が終了したことが大きな要因となっています。
一般行政経費は、決算額が336億1,200万円で、前年度比では、29億5,400万円、9.6%の増となりました。これは、国民健康保険をはじめとする特別会計への繰出金が6億1,200万円増加したことや、公共施設再構築基金への積立が17億5,400万円増加したことなどによるものであります。
次に、法に定める「財政健全化判断比率」については、4つの判断比率のいずれもが財政の健全性を示す数値となっております。
このうち、「実質公債費比率」については、唯一数値が入っていますが、いわゆる負の遺産であった土地開発公社の長期債務を平成22年度で解消させた上で、その後も継続的な起債抑制を行ってきたことにより、5.0%と、0.2ポイント数値を改善することができました。区民一人あたりに換算した実質債務額は平成11年の約33万6千円が23年度末では10分の1以下の約3万円にまで減少しており、確実に財政が健全な水準に戻りつつあると考えています。
東日本大震災から1年半が経過し、日本経済は、震災からの復興に伴う、景気のゆるやかな回復もみられるとの景況判断を見ることがあります。しかし、今後の日本経済の見通しは、円高・株安の解消が無い中、海外事情も含めて、不安定要因が多く、大変不透明な状態に置かれていると言わざるを得ません。
本区におきましては、既に、本年度の財政調整交付金が、8月の当初算定段階では当初予算見込みを5億6,000万円程度下回るなど、今後の歳入全般については、厳しい見方をせざるを得ない状況にあります。
従いまして、かつてのような危機的な財政状況に再び陥ることを防ぐためにも、25年度以降の財政運営は、これまで以上に極めて厳しいかじ取りが必要で、健全財政を維持するための正念場であると認識しております。
そのためにも、現在全庁をあげて取り組んでいる様々な「総点検」を徹底的に進めることなどにより、次年度予算の財源確保にとどまらず、中期的にも計画的で安定的な財政運営が確保できるよう更なる見直しを進め、健全な財政を維持するよう、今後も努力をしてまいります。
そして、新庁舎への移転をスムースに迎えられるよう、改革に邁進し、区民のみなさんから頼られる区政を実現してまいる所存であります。
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