子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 facebook note |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2025年 9月、5月〜8月、1月〜4月、2024年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月、2023年 9月〜12月、5月〜8月。 |
【2025-9】 ◎ 9月は "不登校" が始まる時期? 日本の学校は新学期、欧米系の学校では新年度を迎えています。 新しい環境で元気よく学び始める子どもがたくさんいる一方で、学校に馴染めない子どもも少なくありません。 甚だしい場合、自殺/自傷行為に及ぶ者も…… 文科省の調査(2023年度)では "不登校" の小中学生が34.6万人、高校生6.9万人、"予備軍" もその数倍いる模様…… 「学校に行きたくない」という子どもの心に どう寄り添うのかは、周りの大人にとっては大きな課題です。 アメリカでは 一般に 「"不登校" は親の育児放棄(Negrect)」とされ、誰かが通報すれば 警察が家庭にやってきます。 ただでも苦しんでいる家族にとっては 追い打ちをかけられる気がするでしょうが、専門家に委ねることを勧めます。 最近、日本で耳にするのが 「非登校」という用語…… 義務教育段階の子どもを持つ保護者の選択肢が広がっています。 インターナショナルスクールのほか、「オールタナティブスクール」「ホームスクール」等を選択する例の急増です。 とくに IT関係の親には、わが子に必要な知識や技能、創造性などを考え抜いて 「非登校」を選択する例が目立ちます。 「変わろうとしない教育、子どもの未来を奪うのはAIなのか?」 というイベントまでが開かれるようになってます。 ◆ 「非登校」を選ぶ親は 「"生き残るための学び" とは何か?」を真剣に考えています。 「公教育の制度疲労」と言われると、従来の学校教育に関わってきた者にとっては "挑戦" を受けている気になりますが、子どものための共存を考えるべきでしょう。 『ぼくのトイレ』『しごとば 東京スカイツリー』の絵本作家、鈴木のりたけさんは、子どもが3人とも小学校で 「不登校」を経験したそうです。 「学校に行きたくない」という理由に家族全員で悩む日々…… 日本の小学校は、いつからそうなったのでしょう? ◎ これからの国際協力と人材育成を考える 19日(金)、第96回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は 『国際協力に関する我が国の新しい課題』 がテーマです。 日本はエネルギーの約8割を輸入に頼り 食料自給率も4割を切っています。 穀物(畜産用の飼料を含む)・水産物、果実などの多くを輸入に頼っていて、貿易が停まれば、2ヶ月も持ちません。 もはや一国だけでは成り立たたず、国際社会全体の平和と安定、発展のために各国を支援/協力するしかないわけです。 国際協力には政府開発援助(ODA)や多国間支援のほか、民間機関や企業・団体等 そして大学も関わっています。 今年は 「戦後80年」の行事が多いのですが、英米を基軸とした覇権主義とそれと対抗する共産圏の拮抗時期があり、やがて米国一強の世界体制に移行するなか、国際協力の現場も様々な思惑に翻弄されてきたきらいがあります。 ところが昨年から、世界の状況は大きく変わり始め、多極化が進む中での国際協力の在り方を考えざるを得ません。 わが国としての支援/協力、日本人らしい貢献をしていくには、どんな人財を育成していくべきでしょうか? 関西国際大学の佐藤 恭仁彦先生を囲んで話し合います。 ◆ 世界で期待されている日本人像は、偏差値至上主義や進学実績主義の教育で育った人財では決してありません。 "不登校" を生むような学校の在り方ではなく、多文化共生の感覚を身につけ、誰とも平等に接する寛容さ/調整力のある人財を育てる学校こそが必要なのです。 異文化研修で 「日本語の 『ごめん』だって "相手の迷惑は承知の上" では?」と質問されたことがあります(苦笑)。 先に宣言しておくのは狡いですけど、周囲の被害を抑制しようとしている分だけ救いがありますかね? ◎ 善悪の感覚の違いに慣れる 海外に住んでいると、善悪の感覚が日本と異なることに面食らうことが多いのですが、そのうちに馴染んでいきます。 しかし、日本で帰国生や外国人に接している時に善悪の感覚の差が見えると、放ってもおけず 悩んでしまいます。 道徳そのものを 「善⇔悪」ではなく 「好(Hao3,よい)⇔ 錯(Cuo4,過ち)」「巧(Qiao3,うまい)⇔ 拙(Zhuo1,へた)」で考える…… 「人間は欠点だらけで間違いを犯すものだ」「罪は神が決めることであって、人間同士は 迷惑かどうかだ」と考える…… 万引きは 「生活に困って盗む(罪人)」と「盗まれて困る(被害者)」とを天秤にかけて 両者が折り合える決着を…… などと強弁する保護者まで出現してくると、日本人の倫理観や 「公序良俗」などは吹き飛んでしまいかねません。 中国語の 「対得起(Dui4deqi)」は "期待に沿う/申し訳が立つ" の意味です。 その否定形の 「対不起 (Dui4buqi)」は "期待に沿えず申し訳ない/すまない" であって、"ごめんなさい" の懺悔の意味まではないように感じます。 日本国内に外国人や帰化人が急増していく今日、多文化共生社会に向けた対応策は欠かせなくなっています。 学校現場でも、日本語が不自由な児童生徒や保護者が多くなると、彼らへの対処法を身につけていくしかありません。 ◆ 外国人同士の殺傷事件やトラブル、あるいは 「酒気帯び運転をしたことは認めるが、危険運転をしている認識はない」と強弁する輩の急増に、日本の警察官は振り回われさています。 「日本は安全だ」といつまで信じていられるでしょうか? ◎ 第二次大戦後のODA 「政府開発援助(ODA)」は 政府が発展途上国の経済発展や福祉の向上のために行う援助や出資のことです。 日本は敗戦後、米国の 「占領地域救済政府資金」等から約19億ドルの融資を受けました(1946〜51年。1973年完済)。 また、カンボジアを始め 米・加・メキシコ・ブラジル・アルゼンチンなどからも 生活物資や食料などの援助を受けて 戦後復興。 世界銀行からの融資(1953年)で 東海道新幹線、東名高速道路、黒部川第四発電所などを建設しました (1990年完済)。 逆に日本から拠出したものは、ビルマ・インドネシア・フィリピン・ベトナムに対する 「賠償協定」によるものが最初…… 人材養成への協力も含まれ、とくに対インドネシアでは広範な文官・技術者・研究者の養成が盛り込まれていました。 「開発援助委員会(DAC)」には日本も参加(1963年)、1974年に 「国際協力事業団(JICA)」が設立されました。 なかでも 「青年海外協力隊(JOCV)」は 日本ならではのボランティア派遣で、高い評価を得てきました。 ともすると 「日本は金を出すが、人は出さない」と皮肉られる一方で、日本の若者の頑張りが友好親善を支えています。 そして帰国後は海外での経験を活かして 地域社会や企業内での多文化共生への対応を推進する貴重な存在となります。 ◆ 青年海外協力隊の経験者は近年、私立中学・高校や「オールタナティブ・スクール」での活躍が目立ちます。体験型の探究学習の指導には、協力隊での経験がとても役立つからです。旧態然とした先生にとっては扱い難いでしょうけど…。 ◎ 9月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 教育シンポジウム 「グローバル校の経営戦略と実践事例」--- 9月6日(土)、於:東京大学伊藤国際学術研究センター。 ※ 東京開催は3回目。 参加者は関心に応じた分科会を選び、広報, 進路指導, 英語教育など具体的な学びを得られます。 ★ ゆいブローバルネット 「海外子育て事情トーク会」(On-Line)--- 9月7日(日) ボストン(6時〜)、ロンドン(11時〜)、ジャカルタ(17時〜)、上海・クアラルンプール。 ※ 保護者 限定。海外で大人は子ども達の安全をどう守っているのか? 現役ママの本音のお喋りです。 ★ 未来の先生フォーラム 2025リアル--- 9月14日(日)・15(祝)、於:桜美林大学新宿キャンパス。 テーマ 「生成AI・ICT・校務DX 未来を見据えるビジョン」=高橋 純(東京学芸大学)・前多昌顕(市立五所川原小学校)ほか。 ※ 明日から使える、現場で生きるヒントが満載です。 ★ 第96回グローバル化社会の教育研究会(EGS)--- 9月19日(金)、テーマ: 『国際協力に関する我が国の新しい課題』=佐藤 恭仁彦(関西国際大学 教授/元 JICA職員)。 ※ 世界情勢が大きく変わり始めた今年、途上国との関係や援助の在り方なども転換期を迎えており、今こそ現場感覚のお話しを伺いたいものです。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 大谷真樹さんの警告 <日本は このままの教育では、子ども達は生成AIに負けます。 点数や暗記では通用しません。 これからの子ども達は "自分で考え 行動し 変化し 創り出す力" が求められます。 その力を身につけない限りは、子ども達の未来はないでしょう>…… 大谷さんの学校にも 協力隊経験者が集まります。 ◆ 釧路湿原野生生物保護センターのすぐ隣で、大阪の企業によるメガソーラー建設が強行されています。 自然環境は破壊され、将来ソーラーパネルが修繕/廃棄される際に生じるゴミ対策など全ては "後世の負担" に委ねられています。 そもそも 「FIT(固定価格買取)制度」がいかがわしいです。 阿蘇メガソーラーで、柳ヶ瀬裕文さんが <儲からなくなったら事業撤退/計画倒産をする……この会社が潰れたら、このソーラーパネルは野ざらしになってしまう> と警告を発しています。 ◆ 日本のマスコミは、自然災害と熊被害、政局のニュースに多くの時間を使って報道し、肝心の法案や税金の使い方などの国会審議からは目を逸らす意図が見え見えです。 国民の知らない間に、いろいろなことが決められてしまっています。 ◆ 放出される備蓄米は、8月20日(水) までに販売業者が引き取る契約になっていましたが、「異物混入の検査のため」(農水省の説明)、農水省は総契約量の3割しか引き渡していません。 JAと中間業者(外国資本も含む)の利益に "影響を与えないように" という思惑が立ちはだかっています。(怒) ◆ 東南アジアで盛んな 「セパタクロー」(手を使わないバレーボール?)をご存じですか? 今年7月の世界選手権大会(@タイ)で、日本チームが見事 初優勝(男子クワッド種目)しました。 日本セパタクロー協会発足36年目の快挙! おめでとうございます。 ================================================================================================== |