子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 facebook note |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2025年 5月、1月〜4月、2024年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月、2023年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月。 |
【2025-6】 ◎ 海外留学希望者の親の相談 6月は 帰国生の保護者から 「息子/娘が 『○○に帰る』と 向うの大学を希望している」といった相談を多く受けます。 帰国生の頭の中では "年度末" で、「〇年頑張ったけど、日本は馴染めない」 という衝動も起こりやすいのでしょうか? 親の方は 「今まで ずっと一緒にいたのに…」「私を捨てていくのか…」 といった寂しさに耐えられないような感覚…… まあ 愚痴ですから 答えなどないし、親の心情を聴いて欲しいだけなのでしょうけど、放置してもおけません。 この手の相談には、私は はっきり言うことにしています。 「△△さんが海外赴任されたことだって ある意味で "親を捨てて行く" ことだったんじゃないですか?」と。 その上で、私が初めて海外渡航する際に 田舎の母が言った言葉を紹介します。<東京の大学に行かせる時から覚悟してたよ。池で溺れようと海で溺れようと…> 「既に親の手は届かないんだから、元気でおやり」と言外に言っているわけで、私には大きな励みになりました。 大人の目から見れば、つい手を出したくなるような危なっかしさもあるでしょうが、我慢して送り出すしかありません。 ◆ 今どき、親元を離れて進学するわが子に 「学業が成るまで帰るな」と言うことはないと思います。 突き放すことよりも、寄り添い励ますのが今流です。 「何かあったら、連絡するように」「いつでも羽を安めに帰っておいで」とは言っておきましょう。 ◎ TCKの "学び" の障害は? TCKに関して注意していたいのは、彼らは周りの人が想像する以上に "文化や価値観の違い" に戸惑ってることです。 「そんなことも知らないのか」「これができないで偉そうにするな」といった不用意な発言は、彼らの心を傷つけます。 そもそも 「知らない/できない」という原因は、日本に居なかったからです。 決して彼らは怠惰なわけではありません。 今まで育ってきた社会とは人々の発想が全く異なっていて、「勝手が違う」「単に不慣れ」ということが多いのです。 ところが 学校現場では、「教員は入職した時から一人前」という価値観が、まだ根強く残っています。 新米ドライバーが自動車の運転に慣れるまで結構大変なように、教員免許を持っていてもできることは限られているのに、それは許されません。 だから 生徒に向かっても 「もう〇年生だろ?」「真面目にやれ!」 と平気で言う文化/伝統が日本の学校にあるのです。 まして TCKともなると、「頭悪いんだなぁ」「英語も話せないのか?」などと散々言われることが多いわけです。 16日(水)、第95回グローバル化社会の教育研究会では、自身もTCKの経験をお持ちの水田早枝子さんが話題提供…… TCKの悩みの本質は何であり、解決には何が必要なのか? 水田さんのお話しを素に、話し合いたいと思います。 ◎ 6月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ ASIA-NET「速報COMPUTEX & Inno VEX2025報告会」(On-Line)--- 6月5日(木) 午後7時〜。講師:施 文正(Taipei Computer Association/ TIPPC)・吉野 貴宣(Pangoo/盤古科技) ほか。※ 5月20日からの台北……注目されたニュースや出典製品などを紹介します。 ★マレーシアインターナショナルスクール留学フェア2025 --- [東京]6月7日(土)、[大阪]6月8日(日)。 ※ 英国式カリキュラム・IBカリキュラムや豪式カリキュラムの学校が集結、各校ブースに通訳が用意されてます。 ★ 第95回グローバル化社会の教育研究会(EGS) (Hybrid)--- 6月18日(水) 午後2時〜、テーマ 『先生との対話が悩みを変えた日--- TCKとして育ち、教育者として届けたいこと』=水田 早枝子((株)TCK Workshopファウンダー取締役)。 ※ 自らの体験を活かして、海外・帰国生向けのオンライン家庭教師業を営む一方で、TCKの置かれている環境の改善に向けた活動をされています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ まともな民間企業では、新入社員を受け入れると "即戦力" の期待が社員を潰さないかを心配し始めます。 その職場の価値観や習慣が、新入社員の感覚と大きくズレてるのは当然であって、頭ごなしに叱ることはしません。 ◆ NHK番組 『チコちゃんに叱られる』 で 「リチウム電池って何?」 の回を観ていて、文系の子でも解ることを解らなくしてしまう教育の怖さを知りました。 同様に 「マイナス金利」とは、銀行が日銀に供託している資金に "保管料"(昨年まで 1%?)を払わせ、市中銀行の負担を重くしていたことを、文系学生でも解らなくしているのです。 ◆ やっと備蓄米が放出され、店頭に置かれ始めましたが、あっと言う間に売り切れているようです。 しかし、「JA」と農水族代議士は、農水大臣に 「自民党本部の承認を取れ!」 と詰め寄っています。 JAは農民の味方ではなく、自民党の集票マシン(なければ落選する)なんですね。 ================================================================================================== |
【2025-5】 ◎ メーデーは休日ではない? 「メーデー」の起源は、英国の社会革命家R・オウエンの提案でした (1817年)。 <Eight hours labour, Eight hours recreation, Eight hours rest> 67年後の米国シカゴで これが労働運動のスローガンに掲げられ、法定労働時間を8時間とする要求を決議します。 1886年 シカゴ労働騎士団(Chicago Knights of Labor)の8万人デモ(5月1日)が最初のメーデー・パレード…… それが全米35万人の騒ぎに広がり 米国労働総同盟(AFL)は この日を 「労働時間を8時間以下に制限する日」 にします。 1889年にパリで開催された国際労働者協会(IWA)の大会では 「国際デモの開催日」とされました。 いま 80以上の国が5月1日を祝日にしていますが、わが国では祝日ではありません。 5月1日を祝日とした場合、祝日法の 「祝日に挟まれた平日は休日にする」の規定で 前日と翌日も休日になります。 最短でも7連休、長ければ 10連休(5日が日曜日なら)となるので、金融関係者には不安で仕方ないからでしょうか? ◎ マレーシア移住ブーム? 日系不動産会社 「MY PROPERTY」が 「マレーシアに日本人10万人移住プロジェクト」を打ち出しています。 わが国は少子化に悩んでいるのに、ここ数年 40歳未満の日本人がマレーシアに "移住" する例が増えているそうです。 「日本の税制・財政に納得できない」「日本は子育ての環境として不安」「グローバルな教育を受けさせたい」……。 確かにマレーシアは多民族国家で、多文化共生の空気に溢れる 「理想的なイスラム教の国」 だと評判ではあります。 しかし、当然ながらイスラム教への最低限の理解と敬意は必要なのですが、その点には多くの日本人家庭は無頓着です。 まして 「なんちゃってバイリンガル」教育で国際学校に子どもを放り込むのは、多くの危険を孕んでいると思います。 他方、日本の閣僚の資産公開を見れば解るとおり、「資産の大半を海外預金し、国内は円安に」が金持ちの発想です。 元の理由が 「日本に居たら損」 の発想ですから、彼らは子どもを連れて海外暮らしをするのが自然の流れなのでしょう。 でも、円安で治安が良いからこそ海外の名門校が日本分校を次々と開校し、世界中の資産家の子女を集める時代です。 人の行き来が盛んになることは歓迎ですが、「日本を見限って海外移住」は世界の潮流には逆行していると思います。 ◆ 「MY」はマレーシアの略号でもあります(日本:JP、中国:CN、シンガポール:SG など)。 白人による差別もなく 治安は良好なので、肌の色に関係なく安心して子育てが可能…… といわれれば 確かにそうです。今年は ASEANの議長国です。 ◎ 自己選択の仕方を教える 新年度が始まって約1か月、いわゆる 「五月病」という不適応症状が子どもたちに現われます。 身体はどこも悪くなくても原因不明の頭痛・腹痛・下痢・痙攣などが起こりますが、原因は環境の変化によるものです。 とくに帰国生たちの最大のストレスは "やらされ感"……「〜が足らない」「〜すべき」という "圧力" に苛まれます。 海外では 家族そろって行動し、"気づき・発見" の喜びを共有できていたし、自己選択の経験も自然に重ねていました。 親子や友達との対話の中で物事が決まるので、自分のやりたいこと/関係があることに引き寄せて考える習慣でした。 ところが帰国すると、自分の興味がないこと、意味がわからないことまで強制されるので、勉強は面白くありません。 「こんな勉強がしたい」と親や先生に言っても、「その前に ○○からね」という答えが大半なのです。 甚だしい時は、興味のないものばかり並べて 無理やり選ばせ、長続きしないと「お前が選んだんだよ」と言われます。 まともな教師が心掛けてるのは、その生徒が本当にやりたいことや "やる気スイッチ" の押し方を気づかせることです。 生徒に寄り添い、その子の課題や目標を適正に理解させるための話し合いを重ね、その子が "腹を括る" まで付き合う…… そこで手を抜くと、生徒自身が 様々なストレスに打ち勝って "最後まで頑張るエネルギー" は生まれてきません。 生徒にとって "居心地が好い" のは、自己選択の意義を認め 寄り添い見守ってくれる人が、身近かにいることです。 ◆ 子どもには、考える契機や取っ掛かりになる "釘" のようなものを見せる、あるいは、もっと考えてもらうための 「引き金質問」(Trigger Questions)や「励まし」(Encouragement)を与えることが大事だと思います。 「山本五十六型」だと 「やって見せる」が先にきますが、やって見せられる間は、自分も一緒に現役でいましょう。(笑) ◎ 将来どんな学校があり得るか? 「Internet of Things:IoT」(モノのインターネット)は、2014年の流行語になりました(教育界の外ですが…)。 様々なモノ(感知器、駆動装置、住宅・建物、車、家電製品、電子機器など)が、インターネットを通じてつながる…… サーバーやクラウドに無数の情報が集められて分析され、人間の便利さのためにモノが働くようにしていくことです。 ある講習で 動画 『The Future of Work: Will Our Children Be Prepared?』を観た時(2015年) は、衝撃でした。 <試験で追いまくることが基本の教育モデルは、もはや存在しない世界のために子どもたちを訓練している。 科学技術の進歩が加速することで日常業務がなくなり、何百万人もの若者が "脆<もろ>く" なる……> 変化のスピ―ドがどんどん速くなっていくなかで 「将来 どんな学校があり得るか?」を 私たちは突きつけられたのです。 <大人も子どもも、「User(利用者)」だけでなく「Creater(創造者)」にもなる "学びの途<みち>" が開かれる> あれから10年…… 学校現場の準備はできてるといえるでしょうか? ◎ これからの教師に求められるものは? 山本崇雄さんが FaceBook に書かれてます。 <これからの教師には…(略)…「問いを引き出し、自ら学ぶ力を育てる」という姿勢がより一層求められてきます。 知識を伝えるだけでは、AIに取って代わられる時代です。 それでもなお教師という存在が求められるとすれば、「君ならできる」と信じて支えること、「悩んでいる気持ち」に寄り添ってともに考えること、「本気で取り組んだ体験」を共有すること、そうした "人間だからできること" にあるのではないでしょうか。> 10年前、関西国際学園のG6(12歳)の子が 「Singularity(技術的特異点)」を探究テーマにしていました。 私が 「私たち教師の将来はどうなるのかなぁ?」 と聞くと、即座に 「要りませんね」とバッサリ! ところが、困惑している私に、「でも Facilitator(思考や議論を引き出したり助言したりしてくれる人)は必要ですよ」 と言ってくれ、私は思わず その子をハグしてました。 子どもを見守り 寄り添い 「学びたい」という衝動を引き出す助言や励ましを続けることが、周りの大人の務めです。 まして、それを職業としている者には、親なら思わず手出しかねない状況でも 「我慢し待つ」 ことが必要なのです。 ◆ 「面倒見がよい」といわれる学校では、ともすると 生徒を型にはめようとしたり 「手を出し過ぎ」になったりする場合もあります。 生徒の "伴走者" に留まっていることをその子の親から批判されると弱いのです("好い先生" と言われたい衝動…)。 負けずに 「お子さんには、今は これが大事ですよ」という説明責任があるのですけど。 ◎ TCKは何を感じているか? 親と共に国境を越えたり 複数の異なる文化圏で育ったりする子どもたちを 「第三文化の子どもたち(TCK)」 と呼びます。 帰国子女が そのイメージの第一なのでしょうが、国際結婚や移民/国際出稼ぎの家庭の子どもなども含まれます。 異なる文化圏に移動(国内引越も含む)すると、その地域の "見えないルール" や習慣に面食らうことがあります。 幼い子どもになるほど、それは "生存をも揺るがす危険" と認識されることが多く 「泣くしかない」事態にも陥ります。 しかし、そういう経験を重ねることで、世の中には文化や価値観の異なる環境がたくさんあることを体感しています。 日本人が "常識" と言っていることを 全然常識だとは思わない人が、世界には無数に居ることを知っているわけです。 だから、誰かに 「〜は○○だよ」とか 「〜すべきだ」とか言われても、素直に信じたり従ったりするのが苦手です。 そこに 日本語の語彙力や日本に関する知識量の不足が重なれば、「頭が悪い子」「危険な子」などと誤解もされます。 TCKたちの置かれているこうした状況を、TCK自身の視点から広く発信しておられるのが、水田 早枝子さんです。 第95回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は 6月18日(水)、水田さんに話題提供をお願いしました。 ◎ 5月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 国際教育フェア2025_東京--- 5月17日(土) 午前11時〜、於:東京ポートシティ竹芝。 ※ 教育現場の国際化とともに進路も多様化するなか、国際教育に定評のある学校、インター校、学習塾等が集結します。 ★ 同志社国際・ICU高校 合同説明会--- 5月10日(土) 午後2時〜、於:同志社大学 東京オフィス。 ※ 1978・80年に国の予算を投入して創立された帰国生のための高校は今…? 翌日は名古屋でも開催。 ★「Discover私立一貫教育2025東京私立中学合同相談会」--- 5月18日(日)、於:東京国際フォーラム。 ※ 1時間ごとに入場制限があり、完全予約制です(4/18〜受付)。 ★ 水都東京を創る会 「初夏の水面を航走」--- 5月17日(土) 午前10時〜 Wロックゲートクルーズ、午後1時〜 亀島川・江戸湊から東京港舟遊クルーズ、午後4時〜 Wツリー・東京港・隅田川橋梁群クルーズ。 ※ 東京を水辺から "知り", "体験し", "感じ" ます。 ☆ 日米会話学院 創立80周年記念 特別講演 --- 5月31日(土) 午前10時半〜、テーマ 『教わらなかった英語発音向上法― schwa』=遠山 顕 (COMUNICA, Inc.代表)。※ 本人は「シュワーと私… のような話とパフォーマンスです」とのこと。 ☆ 寮のある私立在外教育施設等のオンライン説明会(Zoom使用)--- 6月6日(金)。 ※ 慶應義塾ニューヨーク学院、スイス公文学園、帝京ロンドン学園、立教英国学院、早稲田渋谷シンガポールの揃い踏みです。 [高校生募集] TJF 合宿型交流プログラム The QUEST --- 7月27日(日)〜31日(木)、於:エトワ木更津(千葉県)。 ※ 「地球・希望・未来」をテーマに多様な人とつながり 関係性を構築する4泊5日の合宿です。(定員に達し次第〆切) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 「7連休なんかあると、せっかく出来上がった学級の雰囲気が壊れてしまう」 という教師は多いです。 しかし、新年度の疲れが溜まり過ぎると環境不適応になる教師・生徒も多いので 「連休があって助かった」 と感じるのは皆同じです。 ◆ 校内を歩いていると、数十メートル向こうから 「小山先生!」と手を振ってくれる子が何人もいました。 彼らは 「それだけでやる気が出る」と言ってくれるのですが、私がその時は 別の子に掛かりきりになっていることも知っていて、エールを送ってくれてたのです。 多謝! ◆ 山中 昇さんの英検1級道場で、「英語学習者のための定期オンライン懇談会(第1回は 6月7日実施)」が始まります。 精華小学校の岡田 篤さんも加わって 楽しそうです。 ◆ 日本政府は極端な円安政策をとることで急激なインフレを起こし、国内の物価や株価(円建て)の額面を高くすることで 税収増を図ってきました(与党議員は その前に外貨預金しているので、個人資産は自然に倍増)。 好い加減に 「円安は必要」の "刷り込み" から目を覚ましませんか? ◆ 6日(火)、下杉理恵さんの【Podcast】の取材を受けました。 『上海日本人学校 高等部設立までの話』……?! 話題の中心は、一口で 「中国人」といっても 実に多様で複雑…… 「上には政策、下には対策」という言葉もあって、たとえ法律や政府の方針に反していても 現実的に対応するよう知恵を絞って生きている人たちの姿でした。 "放送" は 6月中旬だそうです。 ◆ NHKの 『ぶらタモリ』で、かつて寺の門前に 「過去と相手は変えられないが、自分と未来は変えられる」と書かれている場面がありました。 タモリはすかさず 「新幹線の切符で "望みはないが 光はある" てのが……」と ボケて見せました。 こういうユーモアは、もっと流行らせてほしいのですが。 ◆ 春の叙勲で、新潟の込山 卓郎先生(元 テヘラン日本人学校校長)に 「瑞宝小綬章」が授与されました。 イラン・イラク戦争(1980〜88年)のせいで生じた日本人学校の莫大な "借金" を、1993年から鋭意清算された功績は偉大です。 先生のもの静かで堅実な性格と、誰からも愛される温厚なお人柄なくしては、到底無理でした。 合掌。 ================================================================================================== |