子女教育ニュース |
| 担当: 国際教育相談員 小山 和智 facebook note |
| 海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
| 2025年 9月、5月〜8月、1月〜4月、2024年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月、2023年 9月〜12月。 |
| 【2025-10】 ◎ 排除の論理は 社会を危うくする 国連総会が開かれ、各国首脳の演説を聞きましたが、米国のみならず 「移民はもう沢山」の論調が多いように感じます。 それどころか 「民族自決」と言いながら 国内に居住する少数民族を抑圧/排除する方向に進む国も増えています。 かつて 「ドイツ民族衛生学」は、生殖や生命を社会的に制御し、社会問題を生物学的・医学的に解決しようとしました。 全く非科学的ながら、人々を説得する方便として "優生の科学" が悪用され、ナチス社会を暴走させたのです。 日本でも 「外から何か異物が入ってくると、身体が変になる」⇒ 「移民は入れるな!」への短絡思考は散見されます。 ナチス流の 「ゲルマンの血と土によって…」と同じく、「日本人の血と国土を守れ!」と "純血" を求めているのです。 しかし、昔から我が国には渡来人・帰化人が多くいて、国家の枠組や文物に多大の恩恵をもたらしてきました。 「異物を排除する」という発想では "発展" が望めないばかりか、少数意見も言えない危険な社会を生みかねません。 まして、海外から留学生や研修生等を受け入れるのは、彼らの出身国に対する国際協力の一部でもあります。 エネルギーも食糧も、工場生産の原材料も、ほとんどを輸入に頼っている日本にとって、国際協力は命綱なのです。 ◆ 麻生太郎 副総理が 「ナチスの手口に学べ」と講演した時(2013年7月)、海外から批判が殺到しました。 憲法改正に関連し、「ドイツのワイマール憲法も いつの間にかナチス憲法に変わっていた」と言うのは 如何にも不適切ですが、自民党がここ30年間採っている方針です。 人類初の画期的な民主主義憲法下であっても、その趣旨に反する法令が積み重なると、骨抜きになってしまうのです。 小泉政権・安倍政権は世論を上手に操りながら、軍備増強や情報統制の関連法を制定してきました。 岸田政権に至っては 「日本は米国の(対中/露/北朝鮮の)"盾" になります」…(喝!)。 ◎ 留学生受け入れは国際協力 9月19日(金)、グローバル化社会の教育研究会(EGS)では 留学生の受け入れ方と社会の在り方も話題になりました。 まず言語力と日本の文化・習慣等については、漢字文化圏以外からの留学生はかなり苦労も多いといわれます。 各大学等で様々な工夫はなされていますが、かつての受け入れ方策は "欧米からの留学生" 用に作られていた経緯も…… 様々な手引きや案内書、説明書等が英語のみだったりして、その中身が上手く伝わらないこともあるようです。 そもそも周りの日本人の方が、日本や日本人のことをよく理解できていない……「何を大切とし、何をでないとするか」が明確になっていないと、留学生はよけいに混乱するでしょう。 「グローバル化を推進」は、受け入れ側が自分を見つめることでもあります。 「日本人ファースト」という言葉も、他の国では 「自国ファースト」はあっても、「〇〇人ファースト」はありません。 そもそも 「日本人」の定義は何でしょうか? 法的には国籍しかありませんが… <多文化共生の社会では、各々が 「自分は何者か?」を自ら納得させ 発信していって 認められること> という声も。 ともかく民主主義の基本は 「少数意見を尊重すること」であって、その延長線上に留学生への対応もあるべきです。 ◎ 米国外交が "内向き" に振れる 米国のトランプ政権を見ていると、200年前の 「Monroe Doctrine(モンロー主義)」を思い浮かべます。 "南北米大陸と欧州大陸間の相互不干渉" を提唱して以降、米国は 「外向き」と 「内向き」の外交を繰り返しています。 国防総省(Pentagon)の 「国家防衛戦略(NDS)」(2026年〜)の素案によると、ユーラシアから手を引く素ぶり…… 中国やロシアに対する敵視をやめ、南北アメリカの問題に優先的に取り組む方針のようです。 従来は 「世界の警察官」として世界各地の紛争に目を配り、介入したり管理したりしてきた米国なのですが…… 二期目のトランプ大統領は同盟国に対して、自国の安全保障に一層の責任を負うよう促す方向に転換しています。 「日本初の女性首相」は前途多難です。 ◆ 米国は、国内の左翼勢力を抑え込むために国軍を動員したり、中南米の麻薬組織を軍を使って攻撃したりし始めました。 米国がより孤立主義的な外交政策を採り "海外の義務" から手を引くとしたら、日本は今後 どうすべきでしょうか? ◎ 心理カウンセラーが必要な時代 TOKIOの 『宙船(そらふね)』(2006年)に、こんなサビがあります。 <その船を漕いでゆけ! お前の手で漕いでゆけ! お前が消えて喜ぶ者に、お前のオールを任せるな!> 「やるのは お前しかいないんだ!」 と鼓舞しています。 <何の試験の時間なんだ? 何を裁く秤なんだ? 何を狙って付き合うんだ? 何が船を動かすんだ?> 偏差値偏重教育に与せず、大学進学実績にも目をくれず、個々の子が自立して批判精神旺盛に生きていけるように…… 時には傷ついたり挫折したりすることもあるけど、それを糧にして力強く生きていけるように見守り支援する…… 教育に携わる者(Educator)の使命は いつの世も変わりはありません。 しかし、不幸にして学校に馴染めなかったり悩みに深く沈んでる子には、専門のカウンセラーも必要です。 とくに自己主張の強い米国社会の学校にあっては、日本とは異なる事情に戸惑う日本人家庭も多く、なおさらです。 第97回グローバル化社会の教育研究会(EGS) は11月5日(水)、「Care the World」の主宰者のノーラ・コーリさん。 『日米の不登校に対するアプローチやシステムの違い』がテーマです。 長年にわたり様々なケースに関わってこられたノーラさんから具体的な事例をお聴きしながら、話し合いを深めます。 ◆ 心理カウンセラーのノーラ・コーリさん(現在 米国シアトル在住)は、「世界から学ぶ幸せな子育て」「愛は傷つけない」「海外で安心して子育てをする本」「世界から学ぶシンプルライフ」など著書は多数。 医療通訳士としても活躍されています。 このたび、一時帰国中のご多忙の中、半日を割いてくださいました。感謝します! ◆ 広尾学園の国際部を軌道に乗せる時、私は 『宙船』を心で口ずさんでいました。 「そんな昔のことを言われても…」から 「そんなことは無理です」まで、様々な "抵抗勢力" を相手に本気の闘いを続けていくのは大変でしたが、やり甲斐はありました。 ご批判は甘んじてお受けします。 ◎ 若者が選挙に行くように! 7月20日の参議院選挙から3ヶ月経って、やっと新政権がスタートしました。 単独の政党で過半数を取れない "多党化" の時代は連立政権とならざるを得ませんが、国会機能は停止同然でした。 まして、右傾化を強めることで求心力を得ようとしたり、「女性初の首相」の人気にすがったりするのは末期的です。 25年前、森喜朗首相(当時)が 「(無党派といわれる若者は)寝てしまってくれれば…」と発言して批判されました。 しかし、その後も日本の国政選挙では、投票に行かない人が約5千万人いるといわれ、そのほとんどは若者です。 60代以上の投票率は約7割なのに、20代は30数%のみ--- 60代以上の人口は20代の2倍半もある…… 投票数ベースで考えると5倍もあるので 政治家は高齢者の喜ぶ政策を掲げます。 「投票する先がない」と若者は言いますが、若者の投票率が上がれば、政治家は若者むけの政策を掲げざるを得ません。 国の将来を考えるなら、まずは若者が投票に行くしかないのです。 国政を 「自分のこと」と考えられない若者ばかり育ててしまうと、私たちの老後も安穏としていられません。 新政権や野党の動きについて、若者に注意を喚起していきましょう。 ◆ 今年の選挙で自民党は、新興宗教の票がないと当選できない議員が大半であることや、アメリカや中国・韓国に流出する莫大な資金などが露呈したことも、落選者が多く出る原因になったようです。 だからといって、外国人排斥に与することは的外れですので、注意しましょう。 ◎ 極右勢力に与しないように 「まずは規制緩和で〜」「強い〜」と "自由競争" を推進する勢力は、実は既得権保持の権化であること…… 軍需産業で経済発展をしてきた成功体験が忘れられず、軍事費の拡大を図ろうとしますが、その儲けは一部の保守層が独占しています。 他方で、正義や人道・平等を訴える人たち(いわゆる "左派")が、私腹を肥したり利己的な行動を採っている現実……「偉そうなこと言ってるけど、いま困っているこの問題どうするの?」と多くの人々が憤ります。 かくして強者と弱者("勝ち組" と "負け組"?)の格差は開き、多くの国民の不満も溜まってきます。 しかし、それを打開する方策として過激な勢力が訴える、威勢の良い話や排外主義の話を信じるのは恐いことです。 「自分たちの国や生活を守ってくれる」という期待感から、次第に極右勢力は人気を博す…… 気がついたら 世界各国で極右政権が生まれています。 でも、忘れてならないのは、民主主義の根幹は、弱者や少数派の声にも耳を傾け 必要であれば救済をはかることです。 誰でも病気になったり事故に遭ったりという不運はありますから、そうした人にも立ち直りの環境は必要です。 多文化共生社会の実現に向け、その理想を見失わずに着実で現実的な努力ができる人材を育成しましょう。 ◆ 群馬県大泉町は、住民の2割以上が外国籍で、市街地にはポルトガル語にトルコ語、英語、ハングルなど様々な言語の看板が見られるそうです。 1990年代から外国人労働者を受け入れ "共生" の努力を重ねてきて、その国の数も50か国以上…… 「外国籍の人との共生」の成功例です。 ◎ 10月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ ゆいフェス メインイベント(On-Line)--- [10月11日(土)] テーマ 『家族を支える側から見えたもの、揺らいだもの』=小西 一禎(千葉科学大学 危機管理学部教授)。 ※ 仕事に邁進していた政治記者が妻の海外駐在に際して休職し、「駐在員の夫」をこなした経験談です。 [10月13日(月)] テーマ 『海外での子育て 言葉と教育編』=上原 雅子(早稲田大学講師)。 ※ 第2・第3言語環境での学びについて様々な疑問に答えます。 ★ STech I Forum 2025 --- 10月21日(火) 午後1時〜、於:虎ノ門ヒルズF、テーマ 『先駆者と創るAI未来予想図-- 知る・体験する・対話する』。 ※ IT業界を牽引する人々が参集し、AIがビジネスにもたらす革新的な未来像を描いていきます。 [団体募集] TJF助成事業 「未来をひらく TJF助成プログラム」--- グローバル社会における多面的な文化の受容を促進する共創型交流プロジェクトなどに助成。(応募〆切 11月14日まで) ★ 第97回グローバル化社会の教育研究会(EGS)---11月5日(水)、テーマ: 『日米の不登校に対するアプローチやシステムの違い』=ノーラ・コーリ(海外出産・育児コンサルタント「Care the World」主宰)。 ※ カウンセラーはどのように子どもと向き合い、どのような経過を辿っていくのでしょうか。 [参加者募集] TJF「T-ARTフォーラム2025」--- 11月23日(日)、於:東京国際交流館メディアホール(江東区青海)。 ※ 芸術の力を生かした多文化共生社会づくりに関心のある方 80名が集まり、実践報告や交流、勉強会を行います。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 教師を 「政治的中立性」の名の下に制御しようとする政府…… でも 教師と教育現場の自由なくして、生徒自らが課題を発見し考え、自らの言葉で語れる "自立した人格" は育ちません。 各自が "他人に騙されない批判的精神" を身に着けることが、より良い社会の実現に繋がると信じます。 ◆ 安倍晋三元首相は、民主党政権の時代に対して 「悪夢のような民主党政権に戻りたいですか?」 と印象操作をしていました。 あの東北大震災ですら 民主党に責任があるといわんばかりの宣伝に乗せられた国民も悪いですけど、「やはり自民党でないと」 と思わせる報道の在り方も問題でした。 ◆ 米国は 「移民の国」と言われる通り世界中から多民族が流入し、その混然たる社会の活力により国力を蓄えてきました。 もちろん "敗者" や "落伍者" もたくさん生まれますが、それを救済・再生するシステムも工夫されています。 社会の組織疲労の要素も見え始めていますけど。 ◆ フレンズ 帰国生 海外赴任サポートの 『帰国生のための学校案内 2026』が完成! 帰国ママが帰国生受け入れ校に足を運び 親の視点で取材し編集した入学・編入学総覧です。 首都圏の志望校を絞り込むには、最適の一冊だと思います。 ◆ 袰岩ナオミさんが8月に亡くなっていました。 40数年前 「モノ申す帰国子女」として現われ、率直な批判精神で私を鍛え上げてくれた "戦友" …… 外国語保持教室の指導講師や異文化対応トレーナーとしても頼もしかったです。 約20年前に出家して 「尚眼」と名乗られました。 冥福を祈ります。 ◆ 河野ギターの社長、桜井 正毅さんが、7月に亡くなってました。 巨匠の静かな死(享年 81歳) に驚きましたが、国宝級の技術は 甥の君島 聡さんに受け継がれています。 合掌。 ================================================================================================== |
| 【2025-9】 ◎ 9月は "不登校" が始まる時期? 日本の学校は新学期、欧米系の学校では新年度を迎えています。 新しい環境で元気よく学び始める子どもがたくさんいる一方で、学校に馴染めない子どもも少なくありません。 甚だしい場合、自殺/自傷行為に及ぶ者も…… 文科省の調査(2023年度)では "不登校" の小中学生が34.6万人、高校生6.9万人、"予備軍" もその数倍いる模様…… 「学校に行きたくない」という子どもの心に どう寄り添うのかは、周りの大人にとっては大きな課題です。 アメリカでは 一般に 「"不登校" は親の育児放棄(Negrect)」とされ、誰かが通報すれば 警察が家庭にやってきます。 ただでも苦しんでいる家族にとっては 追い打ちをかけられる気がするでしょうが、専門家に委ねることを勧めます。 最近、日本で耳にするのが 「非登校」という用語…… 義務教育段階の子どもを持つ保護者の選択肢が広がっています。 インターナショナルスクールのほか、「オールタナティブスクール」「ホームスクール」等を選択する例の急増です。 とくに IT関係の親には、わが子に必要な知識や技能、創造性などを考え抜いて 「非登校」を選択する例が目立ちます。 「変わろうとしない教育、子どもの未来を奪うのはAIなのか?」 というイベントまでが開かれるようになってます。 ◆ 「非登校」を選ぶ親は 「"生き残るための学び" とは何か?」を真剣に考えています。 「公教育の制度疲労」と言われると、従来の学校教育に関わってきた者にとっては "挑戦" を受けている気になりますが、子どものための共存を考えるべきでしょう。 『ぼくのトイレ』『しごとば 東京スカイツリー』の絵本作家、鈴木のりたけさんは、子どもが3人とも小学校で 「不登校」を経験したそうです。 「学校に行きたくない」という理由に家族全員で悩む日々…… 日本の小学校は、いつからそうなったのでしょう? ◎ これからの国際協力と人材育成を考える 19日(金)、第96回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は 『国際協力に関する我が国の新しい課題』 がテーマです。 日本はエネルギーの約8割を輸入に頼り 食料自給率も4割を切っています。 穀物(畜産用の飼料を含む)・水産物、果実などの多くを輸入に頼っていて、貿易が停まれば、2ヶ月も持ちません。 もはや一国だけでは成り立たたず、国際社会全体の平和と安定、発展のために各国を支援/協力するしかないわけです。 国際協力には政府開発援助(ODA)や多国間支援のほか、民間機関や企業・団体等 そして大学も関わっています。 今年は 「戦後80年」の行事が多いのですが、英米を基軸とした覇権主義とそれと対抗する共産圏の拮抗時期があり、やがて米国一強の世界体制に移行するなか、国際協力の現場も様々な思惑に翻弄されてきたきらいがあります。 ところが昨年から、世界の状況は大きく変わり始め、多極化が進む中での国際協力の在り方を考えざるを得ません。 わが国としての支援/協力、日本人らしい貢献をしていくには、どんな人財を育成していくべきでしょうか? 関西国際大学の佐藤 恭仁彦先生を囲んで話し合います。 ◆ 世界で期待されている日本人像は、偏差値至上主義や進学実績主義の教育で育った人財では決してありません。 "不登校" を生むような学校の在り方ではなく、多文化共生の感覚を身につけ、誰とも平等に接する寛容さ/調整力のある人財を育てる学校こそが必要なのです。 異文化研修で 「日本語の 『ごめん』だって "相手の迷惑は承知の上" では?」と質問されたことがあります(苦笑)。 先に宣言しておくのは狡いですけど、周囲の被害を抑制しようとしている分だけ救いがありますかね? ◎ 善悪の感覚の違いに慣れる 海外に住んでいると、善悪の感覚が日本と異なることに面食らうことが多いのですが、そのうちに馴染んでいきます。 しかし、日本で帰国生や外国人に接している時に善悪の感覚の差が見えると、放ってもおけず 悩んでしまいます。 道徳そのものを 「善⇔悪」ではなく 「好(Hao3,よい)⇔ 錯(Cuo4,過ち)」「巧(Qiao3,うまい)⇔ 拙(Zhuo1,へた)」で考える…… 「人間は欠点だらけで間違いを犯すものだ」「罪は神が決めることであって、人間同士は 迷惑かどうかだ」と考える…… 万引きは 「生活に困って盗む(罪人)」と「盗まれて困る(被害者)」とを天秤にかけて 両者が折り合える決着を…… などと強弁する保護者まで出現してくると、日本人の倫理観や 「公序良俗」などは吹き飛んでしまいかねません。 中国語の 「対得起(Dui4deqi)」は "期待に沿う/申し訳が立つ" の意味です。 その否定形の 「対不起 (Dui4buqi)」は "期待に沿えず申し訳ない/すまない" であって、"ごめんなさい" の懺悔の意味まではないように感じます。 日本国内に外国人や帰化人が急増していく今日、多文化共生社会に向けた対応策は欠かせなくなっています。 学校現場でも、日本語が不自由な児童生徒や保護者が多くなると、彼らへの対処法を身につけていくしかありません。 ◆ 外国人同士の殺傷事件やトラブル、あるいは 「酒気帯び運転をしたことは認めるが、危険運転をしている認識はない」と強弁する輩の急増に、日本の警察官は振り回われさています。 「日本は安全だ」といつまで信じていられるでしょうか? ◎ 第二次大戦後のODA 「政府開発援助(ODA)」は 政府が発展途上国の経済発展や福祉の向上のために行う援助や出資のことです。 日本は敗戦後、米国の 「占領地域救済政府資金」等から約19億ドルの融資を受けました(1946〜51年。1973年完済)。 また、カンボジアを始め 米・加・メキシコ・ブラジル・アルゼンチンなどからも 生活物資や食料などの援助を受けて 戦後復興。 世界銀行からの融資(1953年)で 東海道新幹線、東名高速道路、黒部川第四発電所などを建設しました (1990年完済)。 逆に日本から拠出したものは、ビルマ・インドネシア・フィリピン・ベトナムに対する 「賠償協定」によるものが最初…… 人材養成への協力も含まれ、とくに対インドネシアでは広範な文官・技術者・研究者の養成が盛り込まれていました。 「開発援助委員会(DAC)」には日本も参加(1963年)、1974年に 「国際協力事業団(JICA)」が設立されました。 なかでも 「青年海外協力隊(JOCV)」は 日本ならではのボランティア派遣で、高い評価を得てきました。 ともすると 「日本は金を出すが、人は出さない」と皮肉られる一方で、日本の若者の頑張りが友好親善を支えています。 そして帰国後は海外での経験を活かして 地域社会や企業内での多文化共生への対応を推進する貴重な存在となります。 ◆ 青年海外協力隊の経験者は近年、私立中学・高校や「オールタナティブ・スクール」での活躍が目立ちます。体験型の探究学習の指導には、協力隊での経験がとても役立つからです。旧態然とした先生にとっては扱い難いでしょうけど…。 ◎ 「主体性」と 「想像力」を大切に 私は企業・団体等の社員/職員研修に招かれると、冒頭で 「主体性と想像力」という話をするようにしています。 それを車の両輪のように使って、情報を集め工夫を重ねながら、何かを生み出したり選択したりする…… それこそ "創造性" だし、"仕事をする(Work)" ことですから。 「主体性」とは、好き勝手にすることではなくて、自分自身の能力に責任を持ち 「自分はどうする?」と判断すること。 これを幼い頃から教えられていないと、何かを選択する時にも 「楽な方、遊べそうな方はどちらか?」で決めてしまう…… 無意識の内に、誰かに寄りかかることを前提に 判断したり行動したりしてしまうのです。 また 「想像力」は、自分自身が体験していない/できないことを、文章や画面、音などを元に疑似体験できる力です。 小説を読むことは、その最たるものですが、自らと異なるものを理解し付き合っていくにも、想像力は欠かせません。 逆に、差別や暴力、いじめ等は、想像力の欠如の結果といってもよいでしょう。 「主体性」と 「想像力」を車の両輪のように稼働させることは、子どもたちの "学業" でも同じです。 過去の記憶や経験、想像/思索したことなどを総動員して、何かを生み出す/選択する営みだと私は思います。 ◆ 昨今、家庭や地域社会における教育力が低下していると盛んにいわれますが、これも「主体性」と「想像力」の低下・欠落が原因です。 地域社会から有形無形の恩恵を受けて暮していることに無頓着な人が、本当に多くなりました。 自分自身の問題だと考えない所に、相互理解や成長はあり得ません。 ◎ 郵便が届いたかどうかを確かめる? 最近、日本の郵便局では、通常郵便が大量に捨てられる(配達されない)という "珍事" が続いています。 本来 「大事ではない手紙」などないのですが、私は安心のために 書留かレターパック(追跡が可。430円)を使うこともあります。 先日、米国在住の方が、郵便局で 「3週間後に(あなたが)届いたかどうか確かめてください」と言われたそうです。 たとえ書留でも 「果たして届いたか確かめるのは消費者の責任」と考えるのが、米国の常識なのでしょうね。 「日本の郵便局で通常郵便物が大量に捨てられているそうだけど、好い加減な国になったものね」…… という皮肉? しかし、昭和の時代までは 「通常郵便でも、ほぼ確実に届くもの」……「簡易書留にすれば、安心=届いたかどうかまでは確認しない」というのが、日本の庶民感覚でした。 もちろん、将来の交渉・裁判等を想定して送る文書は、「内容証明+書留+配達証明」の形で送るのが常識です。「配達証明」は 「○月○日に受取人に届けました」という連絡をくれるもので、裁判等で証拠となります。 「書留」はどこまで届いていたかが記録され、後で追跡できるため、紛失となる事例はまずありません。 しかし 通常は 入学願書を送るときなど紛失を恐れる場合に「簡易書留」(引受と配達の記録が残る。+350円)とする程度です。 ◆ 書留でも 「3週間後に(あなたが)届いたかどうか確かめてください」という言葉には、改めて感慨を覚えた次第です。 小泉内閣(2001年〜)の郵政民営化以降、私たちは意識を変えなくてはいけなかったのではと、反省しています。 ◎ 9月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 教育シンポジウム 「グローバル校の経営戦略と実践事例」--- 9月6日(土)、於:東京大学伊藤国際学術研究センター。 ※ 東京開催は3回目。 参加者は関心に応じた分科会を選び、広報, 進路指導, 英語教育など具体的な学びを得られます。 ★ ゆいブローバルネット 「海外子育て事情トーク会」(On-Line)--- 9月7日(日) ボストン(6時〜)、ロンドン(11時〜)、ジャカルタ(17時〜)、上海・クアラルンプール。 ※ 保護者 限定。海外で大人は子ども達の安全をどう守っているのか? 現役ママの本音のお喋りです。 ★ 未来の先生フォーラム 2025リアル--- 9月14日(日)・15(祝)、於:桜美林大学新宿キャンパス。 テーマ 「生成AI・ICT・校務DX 未来を見据えるビジョン」=高橋 純(東京学芸大学)・前多昌顕(市立五所川原小学校)ほか。 ※ 明日から使える、現場で生きるヒントが満載です。 ★ 第96回グローバル化社会の教育研究会(EGS)--- 9月19日(金)、テーマ: 『国際協力に関する我が国の新しい課題』=佐藤 恭仁彦(関西国際大学 教授/元 JICA職員)。 ※ 世界情勢が大きく変わり始めた今年、途上国との関係や援助の在り方なども転換期を迎えており、今こそ現場感覚のお話しを伺いたいものです。 ★ ASIA-NET セミナー(On-Line)--- 9月25日(木)、テーマ『海外スタートアップとの連携/現場からの事例報告』。 ※ 沖縄、札幌、横浜、金沢、日立etc.につき、各々の海外進出とスタートアップ誘致の現状を知ります。 ★ 国際教育フェア2025秋---[大阪]10月4日(土) 於:APイノゲート、[東京]10月5日(日) 於:東京都産業貿易センター浜松町館。 ※ グローバル教育・海外進学に関心を持つ子どもと保護者のための国内最大のイベント。東京会場には60校以上が参加するほか、「マレーシア特別ゾーン」が設置されます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 大谷真樹さんの警告 <日本は このままの教育では、子ども達は生成AIに負けます。 点数や暗記では通用しません。 これからの子ども達は "自分で考え 行動し 変化し 創り出す力" が求められます。 その力を身につけない限りは、子ども達の未来はないでしょう>…… 大谷さんの学校にも 協力隊経験者が集まります。 ◆ 釧路湿原野生生物保護センターのすぐ隣で、大阪の企業によるメガソーラー建設が強行されています。 自然環境は破壊され、将来ソーラーパネルが修繕/廃棄される際に生じるゴミ対策など全ては "後世の負担" に委ねられています。 そもそも 「FIT(固定価格買取)制度」がいかがわしいです。 阿蘇メガソーラーで、柳ヶ瀬裕文さんが <儲からなくなったら事業撤退/計画倒産をする……この会社が潰れたら、このソーラーパネルは野ざらしになってしまう> と警告を発しています。 ◆ 日本のマスコミは、自然災害と熊被害、政局のニュースに多くの時間を使って報道し、肝心の法案や税金の使い方などの国会審議からは目を逸らす意図が見え見えです。 国民の知らない間に、いろいろなことが決められてしまっています。 ◆ 改憲に向けて、「有事法制」「個人情報保護法」「教育基本法改正」などを成立させた勢力が今、日本をより強固な管理主義国家へと突き進ませていて、日本は再び世界から孤立しつつあります。 それを避けるため私たちは、まず過去の歴史を直視する勇気を持つことが必要です。 ◆ 猪瀬直樹さんが 排外主義の再来に危惧… 1941年夏に 政府は 「日本必敗」と分析していたのに "国民の圧力に流されて" 開戦してしまった例を引き、 <異なる意見が少しでも混じると同調圧力が低下する。 意思決定のプロセスの中で、少数意見をきちんと言う人が複数いることが大事になる。 それが空気に呑まれない一つの解決策> だと。 ◆ 放出される備蓄米は、8月20日(水) までに販売業者が引き取る契約になっていましたが、「異物混入の検査のため」(農水省の説明)、農水省は総契約量の3割しか引き渡していません。 JAと中間業者(外国資本も含む)の利益に "影響を与えないように" という思惑が立ちはだかっています。(怒) ◆ 東南アジアで盛んな 「セパタクロー」(手を使わないバレーボール?)をご存じですか? 今年7月の世界選手権大会(@タイ)で、日本チームが見事 初優勝(男子クワッド種目)しました。 日本セパタクロー協会発足36年目の快挙! おめでとうございます。 ================================================================================================== |