子女教育ニュース

      担当: 国際教育相談員 小山 和智  facebook note
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、
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2026年 5月1月〜4月、2025年 9月〜12月5月〜8月1月〜4月、2024年 9月〜12月5月〜8月
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【2026-5】

訓練の形骸化やマンネリ化を排する
  日本の学校では、学期ごとに防災/避難訓練の実施が義務付けられています。 しかし、「命を護る行動」の指導は、ともすると形骸化/マンネリ化し易いともいえます。 かといって、最近の政府はマスコミを総動員して危機意識を煽<あお>る方針ですが、どうでしょうか? 例えば、北海道で震度4程度の地震が発生した時でも、全国放送を中断させて津波や山崩れの危険を報道させる…… 「(国民に)最大/最悪の事態を想起させる」という趣旨です。
  これってイソップ寓話の オオカミ少年(嘘をつく子ども)』と同じで、逆効果になりかねません。 あるいは 『平家物語』の 「烽火<ほうか>の沙汰」で引用される 「周の幽王」の喩<たと>えにも通じます。 平重盛が父の清盛を諫<いさ>めるため、平家の全軍を非常招集した後、「次に招集した時にも必ず集まるように」 と説きました。 「またかよ」と思われて、いざという時に何の役にも立たなくなることを、自らも含め戒めたわけです。

パーセプション・ギャップに気をつけよう
  異文化/多文化共生を考える時、「Perception Gap(自分と他者との間にある "認識の差/ズレ")に注意することも大事です。 ものの感じ方や認識の違いは、日本人同士でも、世代や育った環境、性格などの違いによっても起こるものです。
  従来 「日米貿易摩擦」が起こるたびに、「双方の認識が異なるために 両国間の誤解や不信が生じる」と指摘されてきました。 しかし、30年前頃から 「日本独自の国際認識が 他の諸国とは異なるために摩擦を引き起こす」と考えられ始めました。 例えば 19世紀までの日本人は 「西欧列強の横暴に対抗し、アジア諸民族を解放する」と本当に信じていたのですけど、日清・日露戦争に勝利すると、日本人は 「名誉白人」と自認して 他の有色人種を 「土人<どじん>」と蔑<さげす>むようになりました。 それは第二次世界大戦後も、日本人の皮膚感覚の基層に残っています。
  今日でも、日本人は 「すごいぞ日本!」といった番組を快く楽しんでいます。 また、中国や韓国で不祥事や大規模な事故があった際に、その報道を 「小気味いい」と感じる人が少なくありません。 同じものを見聞きしても 話していても 「相手がどう感じているか」に無頓着ではいけないのです。
◆ 多民族・多文化・多宗教が共存する社会において、とかく"異文化対応力" とか "異文化衝撃(Cultural Gap)" が話題になるのですが、それらは 「知ってるかどうか」になり易いものです。 でも、「相手が今 このことをどう感じているのか?」に謙虚でいることこそ、コミュニケーションの基本だと思います。

第99回グローバル化社会の教育研究会が開催される
  4月30日、俳優の加山 到さんに話題提供をお願いしました。 幼少の頃から中2まで中国の現地校に通われた経験がおありで、帰国した後の逸話の数々を伺い、それを素に話し合いました。
<帰国子女は、親の都合で海外に連れて出られて、現地の子ども文化を身に着けて帰って来る> <TCKは、異文化・他文化の運搬係ではないかと思う>
  といった言葉は、帰国生教育に関わっている者の胸にストンと落ちます。 ともすると 外国語力だけに関心が寄せられますが、現地の子どもの社会で体得してきたものこそ財産なのです。 「日本で常識とされていることが、海外ではそうではない」ことを知っているだけでも、私たちの将来を明るいものにしてくれます。
◆ 日本国内に海外育ちの人が どんどん増えています。 かつての 「中国残留孤児」たちは90歳を越えています。 後戻りできない多文化共生の社会ですので、加山到さんの 「楽しくて 優しくて 温かい教育を期待します」の言葉を噛みしめたいと思います。

「五月病」のシーズン到来ですね。
  「念願の志望校に入学できた」など 幸せ一杯の境地にある生徒ほど、入学後約6週間後には「うつ」の状態に陥ります(なので、毎年 同じことを書きます) 新入生は 「こんなはずじゃなかった」などと悩み始めるのが普通で、この時期をどう乗り越えてもらうか、様々な工夫・努力をしなくてはなりません。 とくに 不登校や "うつ的要因" をもつ生徒に対しては、入学前から保護者と連携した対応が必要でしょう。
  米国では、子どもが学校に行きたくないといっても、親が独自に判断することは許されていません。 登校させるのは親の義務であり、それを怠ると 「Neglect(職務怠慢)」の罪を科せられます。 親にとっても辛いのですが、そのまま放置すると 子どもは学校に対する抵抗感・恐怖感を次第に増していくからです。
  臨床心理士の久保田 須磨さんの話では、日本人家庭だと、警察が乗り込んできて警告を発すると改善に向かうそうです。 もし 既に何らかの精神的障害が生じていたりすると 「医療ネグレクト」、さらに深刻な状況まで放置していたことが判ると 「児童虐待」の罪にも問われるとか。 「"学校任せ" では何も解決しない」という考え方です。
◆ 不適応症状に対して 「学校で何とかして欲しい」という保護者も多いのですが、最近は、他に対策も考えないまま 「無理して学校に行かなくてもいい」と考える保護者が増えました。 その背景には 「就学義務」の考え方の違いもありますし、サポート校やインター校のブームもその一因なのでしょうかね。

"不適応症状" の主たる原因は "環境の変化"
  入学・就職(→5月病)だけでなく、マイホーム購入や転居(→引越うつ病)、出世(→昇進うつ病)などもあります。 身体はどこも悪くなくても、痛みや下痢、吐き気、めまいなどを伴うため、不安感やイライラすることが増えるのです。 海外赴任・帰国の際も同様であることは間違いありませんが、父親が先行赴任・単身赴任する場合も要注意。 残される家族にとっては 立派な "環境の変化" ですから、同じ症状が心身に生じます。
  しかし、「誰にでもあるんだ」という予備知識と心構えがあれば、多くの場合、比較的軽く済むのが普通です。 誰かの環境や立場が変わったら、家族や知人、学校や職場の仲間同士で声を掛け合って乗り切るようにしましょう。
  また、この時期には、学校にも「苦情に近い質問や要望」が殺到します。 生徒も保護者も、新しい環境に慣れるため緊張の毎日を送ってきたわけです。でも、それは教員も同じでして、単なる質問を "非難" と受け取り易いデリケートな心理状態にもなり得るのです。 昨今は 「家庭訪問」という地道な活動が難しくなっています。 教師の "働き方改革" も進んでいます。 それでも保護者懇談会や面談などの機会を利用して、お互いにコミュニケーションに努めましょう
◆ <私たちの思考が 「原因」であり、私たちの見るものが 「結果」である。 人を非難するとき、最初に傷つけられるのは自分自身である。 私たちは、この一瞬一瞬を生まれ変わって生きている。 幸福は自分の外側からはやってこない。> (ジェラルド・G. ジャンポルスキー)

海外育ちの子は感知器が多い?
  4歳までインドネシアで育った我が長男は、「あれ? これ変だな」という疑問があれば 誰かにぶつけて確認しようとする子になってました。 でも、小学1年の担任は授業計画どおりに授業を進める先生で、彼の不規則発言は放置されることが多かったようです。 そのうち、話し相手になってくれるお兄ちゃんたちがいる2年生の学級に、勝手に行って遊ぶようになります。 2年生の担任は 長男をそのまま受けとめ、指導もカウンセリングもしてくださいました(心より感謝しています)。 長男は次第に自己管理できるようになったものの、体は1年生の教室にあって心は2年生の教室に飛んでいたようです。 7月末の彼の誕生会に集まってくれた友達は1人を除いて全員が上級生でした。
  数年間を海外で育つことで、いろんなことを察知する(感知器のような)力を獲得する子どもは多いようです。 子どもなりに "生き残る(Survive)ための闘い" を続けた結果なのでしょうが、そのことが却って重荷になる場合も…… 帰国(=異なる環境に移動)後、幼い頭脳では処理しきれない多量の情報に襲われ 混乱してしまう子が少なくありません。 そのためか、「周りの子から浮いたり誤解されたりすることが多かった」と回顧する "海外育ちの子" は多いのです。
◆ TCKsは 「器(Capacity)が広くなっている」ことが多いのですが、その重荷を背負って彼ら育っていきます。 彼らが 「それは障害ではなく個性なのだ」と信じ生きていけるように、周りの大人は彼らの自尊心を守って上げたいものです。

「きちんとする」って何よ
  私たちは子どもに対し 「きちんとしなさい!」と言うことが多いのですが、「きちんとする」は実に曖昧な概念です。 英語の 「Neat」でも、「いいね; 素敵だ; 素晴らしい」「綺麗好きな; 身だしなみのよい; 整った」「清潔な; すっきりした」「うまい; 的確な; 巧みな」等々、様々な意味があるのです。 だから、TCKs(海外育ちなど何らかの異文化的な背景を持つ者の総称)に 「きちんとしなさい!」と言うと、彼らは混乱や思考停止に陥りかねません。 「何が "綺麗" なのか?」「どうすれば "整っている" なのか?」等が、人と場合によって異なっていたりしますから……
  とくに 学校には 「本音と建て前」がたくさんありますので、子どもの眼には、矛盾や "好い加減さ" に満ちて見えます。 我が長女は 一度 「きちんとしなさい」と言われた状況は きめ細かく覚えていて 二度と指摘されないようにしてました。(呆れるほどの集中力・記憶力ですね (苦笑)) TCKsは「なぜ "変わったこと" をしてはいけないの?」「皆が違っているからこそ 楽しいのに… 」と考える子が多いようです。 「皆で(いっしょに)同じことをする」を子どもたちに強制するよりも、彼らの自由な発想を受け入れるほうが、明るい未来を創り出してくれるのではないでしょうか?
◆ 長女は、教師が言ったことは細かく覚えていて、もし教師の発言がそれとズレると許すことができず、その先生を追及していた模様です(苦笑)。 10数年後、「今思うと、私は "嫌な子" だったね」と本人は述懐してますが。  私の note に『「変わってる」って何なの?』を書きました。もう30年以上も前の話ですが、私たち家族と周りの皆さんとの「Perception Gap」(認識の差/ズレ)に悩まされる日々でした。
◆ 英語の 「Neat」が物に対して用いられると、「小ぶりな; 可愛い」「混ざり気のない (Pure)」の意味もあります。 英国のバーで 「スコッチをストレートで」と頼む時 「Scotch neat, please.」で通じます。


5月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――
きみも研究者!親子で化石発掘チャレンジ---5月4日(月)〜6日(水)、於:IMAGINUS (東京・高円寺北)。 ※ 世界最古級とされる魚竜化石や新種発見が相次ぐ希少な化石資源をもつ南三陸町の魅力を紹介します。
JOESキャリア教育イベント(On-Line)---5月24日(日) 日本時間午前11時〜、テーマ『ことばの力で勝利に貢献! スポーツ通訳士というお仕事』=小林 至 ((一社)スポーツマネジメント通訳協会 会長) ほか。 ※ TCKの経験や語学力は スポーツの現場でどのように仕事に繋がるのでしょうか?
TNC中国オンラインセミナー---5月26日(火)、テーマ 『BYDを徹底解剖--- 数字から見た実力』=呉 明憲 (TNCリサーチ&コンサルティング代表取締役)。 ※ 低迷するBYDの再生方略の分析は、日系各社の対中戦略立案や競合分析、投資判断の一助となるはずです。
☆ 国際高専オンライン進学説明会---5月30日(土)。 ※ 国際高専は 15歳から英語でテクノロジーを学ぶ高等教育機関で、世界の起業家も注目。帰国生に人気の白山麓キャンパスは一見の価値があります。 注)「Girls Meet STEM」(6/28)は別便にて。
[中・高生募集] TJF多文化合宿プログラム「The QUEST」---8月3日(月)〜、於:湘南国際村センター(神奈川県葉山町)。 ※ 多様な人と「未来を共に生きる仲間」になる5日間……人と違うことが希望になることを体験します。
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◆ 「帰国子女は国の宝」と持ち上げられた時代もありましたが、その多くが 「便利な人財」の発想で捉えられていました。 ましてや 「経済(産業)戦士」として期待されることには、TCK本人は戸惑ったり拒絶したりしてきたのです。 「帰国子女問題」とは一体 何だったのか? という根源的な問いが頭をもたげてきます。

◆ TCKは 「生き残りを懸けた必死の努力/緊張感」があるからこそ 言語力や状況把握力、あるいは コミュニケーション力などを身に着けたのであり、決して楽に習得してはいません。 福沢諭吉の 『学問のすゝめ』の2ページ目に 「賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由りて出来るものなり」と書かれています。

◆ 人として一日を生きるということは、大変なことです。 失敗もし反省もして、その中で幸せを見出して感謝して、明日へ進む力としましょう。 依頼心(他人に頼むこと)や偶然(幸運・奇跡など)で、幸せは得られないのですから。

◆ 4月30日(木)に行われた 第99回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の前半部分を YouTube で公開しました。 note 『ぐるる』の説明を読んでから、動画をご覧ください。

◆ 「音楽で日本史をもっと面白く」を提案される YouTuber学べるMUSIC」さんは、会社員なのだそうです。 オリジナル楽曲と映像で表現される日本史は、秀逸! note では、動画で描ききれなかった歴史背景を深掘り…… 楽しみながら歴史を学ぶ入口に立てます。 ダンス部にも喜ばれますよ、きっと。

◆ 「終活」の断捨離をする一方で、古い資料の発掘/復刻の作業も進めてます。 その一つが過去のVTRデータです。 例えば、高畠通敏先生の古希記念インタビュー(2003年秋 収録)は、高畠ゼミOB・OG会で閲覧できる形にできればと考えています。

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