子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 facebook note |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2024年 11月、10月、9月、5月〜8月、1月〜4月、2023年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月、2022年 9月〜12月、5月〜8月。 |
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ページトップ、 海外支援センター ※ ニュースのオリジナル版は、日本人学校・補習授業校にも お送りしています。【2024-12】 ◎ デジタル化の普及 早くも 「師走」ですが、最近のファミレスなどでは、ロボットが走り回って料理や食器を運ぶ様子が見られます (笑)。 備え付けのタブレットや客のスマホで注文をさせる店もずいぶん増えました。 その内、出前までロボットやドローンに代わっていくのでしょうか? 「業務支援アプリ」が発達し普及している証しなのでしょうけど、人間同士のコミュニケーションは希薄になります。 人手不足解消や人件費削減、ペーパーレス等の効果・効用をいわれるほど、年寄りは居心地の悪さを感じるのです。 大学・短大や専門学校等では 30数年前から学生の出席管理がデジタル化されてましたが、今はスマホ利用が主流です。 そもそも出席をとる必要があるのかすら議論にならず、「代返」も死語に…。 先日行った某大学では、教務部掲示板にはQRコードだけが掲示されていて、学生はそれをスマホで撮ってました。 今や 研修会やイベントでも、資料や小テストなどを 「このQRコードを読み込んでください」と言われたりします。 スマホの文字が小さくて読めない年寄りには苦手なのですが、「ペーパーレス」「省エネ」 の波には逆らえません。 ◆ コロナ禍以降、タブレットを使う授業はすっかり普通になりました。 オンラインによる遠隔地との交流イベントや授業・会議等も盛んです。 EGS研究会もハイブリッド形式で開催するようになって丸2年です。 もう慣れるしかないのです。 ◆ 警視庁が、サイバー捜査を担当する "特任警部" を募集しています。 ハッカーが免責を交換条件に捜査に協力する "都市伝説" はあるものの、公募するのは初めて。 「秘匿性の高い通信アプリの解析」が急務で、背に腹は代えられなくなったわけです。(遅いよ!) ◎ 第92回グローバル化社会の教育研究会(EGS)開催される 11月20日(水)の第92回EGS研究会は、古家 淳さんの話題提供でした。 まず メタカルチャーの会(1980年〜)は、帰国生が自らの問題意識の上に "居場所" や "自己同一性" を探り始めたこと。 その後、"当事者" として声を上げることの必要性から 『私情つうしん』(1995年〜)が生まれた経緯の紹介がありました。 『月刊 海外子女教育』 にも、帰国生本人へのインタビューや 「帰国生がこの学校に入ったら?」などの企画を導入…… 帰国生本人たちを主人公にする取材記事の意義と難しさについても、率直な話をしてくださいました。 メキシコに居たことで 日本とアメリカのことが より深く理解できたという経験を素に 「第三の視点」 の獲得を提唱。 「教える側」は 「教わる側」の視点にも配慮し、両者を超える 「メタ的視座」に立つべきだというのです。 「教わる人がいなければ教える人の存在意義はない」という現実では、教師も親も、子どもに寄り添うしかありません。 <"排除" ではなく "包摂" を。"自己肯定感の助産師" でありたい> という古家さんの言葉には 心を揺さぶられます。 <「この子は頑張ったな」「この子はいま一歩だな」⇒ 「どうして伸びたのだろう?」「どうすればもう一歩、先に行けるのだろう?」…… 教わる側に寄り添った上で、教える側が 何をできるだろうと考えることで、何かが劇的に変わるのではないでしょうか?> 「居心地のいい居場所」「安心して何でも言える場所」 を保証することで、お互いの "学び" の機会を共有できます。 ◆ 数年前から 「包摂教育」という用語も使われ始めています。 「包摂」は "多様性を受け入れ、互いの参加と満足を得る" ことで、共感や動機付け、互いの融合などを目指します。 また 実質的には、帰国子女が文部省に 「教わる側」の視点を教えたともいえます。 ◎ 12月9日は「国際腐敗防止デー」 「国際腐敗防止デー(Int'l Anti-Corruption Day)」は、民主主義や公正競争、法の支配、人権などが、横領、贈収賄、汚職などの犯罪により脅かされない世界を目指します。 2003年以降、国連腐敗防止条約加盟団体会議(UNCAC)は ほぼ2年毎に開催されています。 「チート行為」は まだ流行語ではないものの、「Cheat」は "イカサマ" という意味のネットスラングとなっています。 試験中だと、日本語では 「カンニング」 ……英語の 「Cunning」(狡猾な, 狡い, 悪賢い)とは意義が異なるようです。 中国語では「欺騙<Qi1pian4>」「作弊<Zuo4bi4>」…… つまり "不正, 詐欺, 汚職" などの違法行為を意味します。 ゲームアプリのプログラムに手を加え、主人公の "能力/装備" を強化したり"状況"を変えたりする行為も 「Cheat」。 突然、警察官が家宅捜査に現れて、子どもが連行されたり 罰金や賠償金を科されたりすると、親も教師も衝撃です。 衝撃のあまり 「たかがゲームで、なぜ警察沙汰になるの?」 「学校の責任は?」と反発する親も少なくありません。 しかし、「Cheat」を放置すれば、他人に多大な損害を与えたり社会の根幹を揺るがしたりする危険に繋がるのです。 「バレなければ儲けもの」と思い込んで育つ人は大成できません。 しかし、管理職にそういう輩が多いと、どんどん増殖します。 ◆ 論文やレポートを書く際、あたかも自分が書いたようにして 他の資料から 「コピペ(Copy & Paste)」することは、盗作(泥棒)です。 「ChatGPT」はそれを自動的にやるわけで、そのまま提出するのは 「Cheat」。 幼いうちから 「Cheat」の怖さを教え込んでおかないと、平気で 「闇バイト」に手を出すような輩になります。 ◎ "過ち" だと表現する慣習 マレー語の 「Salah」(間違い, 誤り, 欠陥)は、やむを得ない事情で 法律や掟・仕来りなどを犯した場合を含みます。 たとえ悪意をもって罪を犯した事例でも、できるだけ悪意は薄めて "過ち" と表現するのが、アジア諸国の慣習です。(神様は見ていたわけですから…) だから 辞書によっては 「Palsu」(偽造 (の))を "疑似, 虚しい" とか "間違い" と訳しているものもあります。 ジャワ語には 「Bodongan」(偽善(の))という言い回わしもあるのですが、これを "偽造" と訳すと、誤解が生じます。 本来 「Bodong」は "愚かな, 突き出た" でして、"その場凌ぎ" の 苦し紛れに取り繕う(=嘘)心情が裏にあるのです。 相手も 「嘘でも好いから○○と言って」 「どうせなら騙し通して」等の感覚でいたりして。(♪ 優しい嘘の上手い人) 公文書や証明書などの偽造を 警察は 「Palsu」と言いますが、庶民の多くは 「Bodongan」を使いたがります。 心情としては、相手が困らないために(例:雇う側が困らないように)その場凌ぎのために作っているのです。 その意を汲み取って 「それでも、あなたの "過ち" ですよね?」と諭せる人は、優秀な指導者になれると思います。 ◆ 免許証/状にしても、公式の免許のほかに 「仮免許」がありますし、「特別免許」(例:優れた知識経験等を有する社会人等を教師として迎え入れるために、都道府県教委が授与)というのもあります。 しかし、本人が使うために作れば偽造です。 最近は、出身校や役所の "担当者が一存で" 作れば 「忖度」(?)…。 ◆ 法律の専門家は、同じ罰金でも 刑罰(刑事事件で有罪の場合)を 「科料<とがりょう>」、刑罰以外(主に民事上の罰と行政罰)を 「過料<あやまちりょう>」と区別していて、過料には 「前科」はつきません。 過料の納付をしない場合、財産の差し押えがあるだけです。(だからといって…) ◎ 入学前のクレーマー? 『弁護士JPニュース』のサイトに 都内の某病院の 「患者向けアンケート」が掲載されました(12/5付)。 8項目ありますが、「病院」を 「学校」に置き換えると 他人事ではない気がします。 <折角ご来校されましたが、ご自分の状況を正確に教師に伝えることや、教師からの指示を理解する自信がないため、今日の面談は取りやめますか?> <本日の用件において必要なことを、正確に教師に伝える自信がなくて、適当な話を伝えて取りあえずほしい書類だけを貰っておこう、という気持ちですか?> 等々、最初から 「お引き取りください」といわんばかりの "質問" ですけど、実際にあった迷惑行為なのだそうです。 これまで相当苦労されてきたのだなぁと同情しますが、多文化共生とは元来、そういうものだと思います。 私立学校では 「わが子の成績は好い ⇒ 入れてくれて当たり前」という姿勢の保護者に、困惑することがよくあります。 「学校なら、これくらいのサービスを提供しろ!」と受験相談の時から主張されたら、お断わりしたくなります。 それでも、そうした思い込みに鷹揚に対応できることが 肝要なのです。 ◎ 国会議員の数を半減すべき 臨時国会の会期が終ると、約1ヶ月国会はお休み。 現在の国会議員定数は衆院465人、参院248人の計713人です。 一人につき 歳費1,550万円、調査研究広報滞在費(旧 文書通信交通滞在費)1,200万円、立法事務費780万円……。その他に 議員会館の維持管理費や公設秘書3人の給与、地元と東京を往復するための交通費も税金で賄われます。 だから、政党交付金も考えれば、一人につき約5千万円が私たちの負担になっているのです。 そのうえ 議員には 「国政調査権」がありますから、それに対応する国家公務員の数も膨れ上がってます。(さらにパーティー券は "税外の負担金") 1980年代には 衆参両院で764人も居ましたが、今年の秋には716人に減ってはいます。 しかし、労働者人口も多く景気も良かった時代の感覚のままで定数を考えると、私たちの税負担は増すばかりです。 議員数を半減させれば(公務員も減らせるし) 税収の減は相当カバーできるのですが、与党議員は頑として認めません。 既得権益を持つ輩や宗教法人は "現状維持" が最大利益ですので、固定票/組織票を固めて現職(or後継者)を支えます。 今や、国家の財政が何のためにあるのか 全く解ってない議員ばかりになり、有事に緊急出動する備えを喪失してます。 それでいて 「防衛力増強のための1兆円増税」は勝手に決めてしまう…… 百年前の日本の状況に似ています。 ◆ 衆院には17常任委員会と8特別委員会(委員総数 885人)があり、内閣閣僚を除くと代議士は二つを兼務…… と言われても、勝手にどんどん委員会を作ったのは代議士です。 「これ以上掛け持ちが増えれば 議論の質の低下を招きかねない」とは、盗人猛々しい発言にか聞こえません。 ◆ 百年前の1924年頃は、選抜中等学校野球大会(現 春の選抜高校野球大会)が始まり、甲子園球場も完成。 日本棋院と東京将棋連盟(現 日本将棋連盟)、落語協会が設立されてます。 また、日英同盟の失効、米国で 「排日移民法」(日本人移民の全面禁止)の成立などもあり、わが国の反英・反米感情が高まりました。 ◎ 12月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 国際高専 「Girls Meet STEM」---12月8日(日)、於:金沢工業大学虎ノ門Camp.。 ※ 山田進太郎D&I財団による 女子中学生向けの体験プログラム(保護者見学可能)… 英語に強い女子には是非お勧めしたいです。(〆切:11/27) ★ AI & Semiconductor Forum SEMICON JAPAN--- 12月13日(金)、於:東京ビックサイト。 テーマ 『台湾と日本の連携を考える』=黄 欽勇(DIGITIMES 董事長)・黒田 忠広(東京大学 特別教授)ほか。 ※ TSMC熊本工場が注目される中、半導体の未来と国際協力の重要性、ビジネスチャンス等を考えます。 ★ JACTFL特別講演会--- 12月15日(日) 午後2時〜、於:慶應義塾大学矢上キャンパス。 テーマ 『中国語に魅せられて』=人見 豊(音楽・文学クリエーター)。 ※ 慶應義塾高校で中国語・漢文を教えていた 「ザ・タイガ―スのピー」が、ミュージック&ポエテックを話します。 [中・高生募集] TJF 多言語・多文化交流 「パフォーマンス合宿 in東京」--- 3月27日〜、於:大学セミナーハウス(東京都八王子市)。 ※ PCAMPが久し振りに東京に戻ってきます。(〆切 2/16) [参考] TJF ときめき取材記『ゴリラから学ぶ』(WEB記事)--- 山極 壽一 (武蔵野美術大学 教授)。※ 霊長類学のフィールドワーク研究から解ることや、ヒトと動物との共生等について伺います。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 中国語の 「高新技術<gao1xin1 ji4shu4>」(ハイテク)に替わって 「黒科技 <hei1ke1ji4>」(荒唐無稽な技術)が…… 本来とは真逆の "驚くべき(素晴しい)ハイテク" の意味になってます。 かつての 「酷 <ku4>」(格好いい)と似てますね。 ◆ 1日(金)は 高校野球のレジェンド監督、迫田 穆成さんの一周忌です。 甲子園出場は春夏合わせて14回(22勝)と意外に少ないのですが、優勝候補の高校を次々と破り続けた腕は、まさに伝説。 達川 光男などを育てた名伯楽で、江川 卓も "先生" と呼んでました。(享年84歳) ◆ フレンズ 帰国生 母の会の 『フレンズだより』第83号が届きました。 40余年の間に 社会情勢は大きく変わる中、上手に世代交代が進んでいるのは素晴らしいです。 編集後記に 「来年度より名称を変更します」と書かれていて、さらなる展開に期待します。 ◆ 「開戦記念日」と聞いて、「何のこと?」という人がほとんどになりました。 83年前の12月8日は、日本が世界を相手に全面戦争を仕掛けた日です。 なぜそうなったのかの反省がないまま、また同じ道を辿り始めていることが 怖くてなりません。若者には、もっと真剣に考えて欲しいのですけど。 ◆ キリスト教徒は 「Advent」(待降節,降臨節)に入っています。 クリスマスまでの約4週間を、我が身を振り返りつつ神に感謝する季節のはずですが、傍目にはそうは映りません。 平和の到来を願うのみです。 ◆ 今年も 喪中ハガキをたくさんいただきましたが、ここ数年 「古希を迎えたことを機に 今後は年賀状によるご挨拶を控えさせていただきます」等と書き添えてある例が増えました。 もっとも、「教育通信」をお届けしている皆様には、私の "生存確認" は不要でしょうけど。(笑) ◆ ジャズ歌手ロニー=ハーシュさんのアルバム 『The Happiness Blues』がネットに開放されました。 作詞は彼、作曲は 渡辺エジソン(秋川雅史 『千の風になって』のプロデューサー)。 甘い声は 格好のクリスマスプレゼントです。 ◆ 今年もご愛顧ありがとうございました。 来る年が 皆様にとりまして稔り多い一年でありますよう。 新年快楽! Selamat Hari Natal dan Tahun Baru! Joyeux Noel et Bonne Annee! Merry Christmas and A Happy New Year! ================================================================================================== |
【2024-11】 ◎ 今の時期は旧暦の10月 「神無月」の "ナ" は連体助詞の "の" なので、"神の月" と解するのが通説です。 そして、その年の収穫に感謝する 「食物月 <オシモノツキ>」が 「霜月」となったともいわれ、祭り続きの時節に…? 額に汗して働けたことを ヨロコび、稔りに感謝する営みは、日本人の培ってきた文化の基礎となっていました。 ところが、「闇バイト」に関わり逮捕された若者の多くが 「手っ取り早く(金を)稼ぎたかった」と話すそうです。 安易に儲かる話に まともなものはないのですが、「きっと(密かに)稼いでいる人がいる」と思い込んでいるのです。 偏差値信奉/依存の教育は 「少しでも好い数値」を目的化させ、「ズルい手を使ってでも」の心の荒廃を生んでます。 昔は 「日本人は法律・規則をよく守る」と評されましたが、1990年頃から 「人が見ている所では」の条件が 頭につくように…… 「わからなければ儲けもの」の感覚を持つ人が社会の管理職に増えてきて、職場の雰囲気を変えていきました。 職務規定や就業マニュアルは都合の好い点だけ "摘まみ食い" され 形骸化され、倫理に反する判断が横行し始めます。 日本人や日本製品の信頼性を損なうような不祥事が頻発して、「安全神話の崩壊」とまでいわれました。 「作業の手抜き」「データ改ざん」「インサイダー取引」などは、日本人が最も嫌っていた "ズル" のはずです。 なんとかして、日本人の愚直なまでの正直さや「矜持 <きょうじ>」を取り戻してほしいと願っています。 ◆ 「振り込め詐欺」や 「投資話」の被害者も、「密かに儲かる/旨い話がある」という思い込みを 巧みに利用されています。 分別ある年齢の人が 次々に騙されるの見ていると、溜め息が出ます。 「言われる通りにしていれば、犯罪にならない」というのは大嘘で、自分の手を汚さないために、指示する側が 「俺の言う通りにしろ」と言ってるだけです。「それ危ないよ。よしなさい」と言ってくれる知人・友人もいないのでしょうか? 自分の頭で考え判断する力を習得させましょう。 ◎ 帰国子女が問題ではなかった! 学校教育の現場では、ようやく "多様性(Diversity)の受容・共生" の必要性が認知されるようになりました。 一方、数年前から 「包摂教育(Inclusive Education)」という用語も使われ始めています。 「包摂」は "多様性を受け入れ、互いの参加と満足を得る" ことで、共感や動機付け、互いの融合などを目指します。 本来の趣旨は 「多様性」と同じですけれど、教職員のマンネリや "狎<な>れ" を防ぐために、新しい用語を用いているのです。(笑) 社会の役割分担や専門分野が細分化される現代では、誰にとっても 「生き難い」と感じられやすいものです。 だからこそ 学校教育では、そうした障害を乗り越えていける 「生きる力」を養わせることが最大の課題です。 かつては 「帰国子女」が排除/疎外されることが問題とされました(帰国子女が問題ではなかった!) 「帰国子女が優遇されれば好い」というのではなくて、学校全体の課題として包摂が求められたのです。 20日(水) 第92回EGS研究会のテーマは 『当事者の声を聴く---「教える側」よりも 「教わる側」に立って』です。 "元帰国生" の視点で活動して来られた古家 淳さんにお話を伺い、それを素に話し合います。 ◎ 「ポピュリズム」「ミーイズム」の危険 今回の米国の大統領選挙の様子を見て、振り子のような "揺り戻し" を感じた人は少なくありません。 オバマ大統領の就任(2009年)は 「初の黒人大統領で 人権問題を解決…」 と期待され、実際に多くの進展はありました。 しかし、その急速な変化と、IT産業で新たな財産を築く人の多くが民主党員であることとに 反発もあったのです。 その結果が第1期トランプ政権(2017年)を生み出したことは、今ほど深刻には感じられていませんでした。 でも、その頃から 「(Anti-)WOKE」は流行語になっていて、今回のトランプ再選の一因となったようです。 「WOKE」は、社会の課題や環境問題などを真剣に考える "意識の高い" 状態をいう俗語<スラング>…… 本来は褒め言葉なのですが、保守系の人が相手を "罵<ののし>る言葉" としてこれを使い、社会の分断を深めました。 「Elite」(指導的な立場に立つ優秀な人)が "ズルい奴" と否定的な意味で使われるようなものです。 真面目に人権問題等を提議する人を 「意識高い系」と からかう風潮は、一種の思考停止を引き起こしてもいます。 "あまりに強過ぎる主張は敬遠したい" という 「Reaction」(反動),「Backrush」(反発)は避けられず、人気も集めます。 ヒトラーは、これを上手に逆手に取って独裁者となりました。そして今、世界各国で極右勢力が力を得ているのです。 ◆ ボランティア活動の現場に居合わせた時、「自分には関係ない」「誰かがやればよい」としか思えなければ、そこからの学びはありません。 誰かの痛みや悲しみを想像したり共感したりすることを疎かにする代償は、極めて大きいのです。 ◎ 第92回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催 1990年代のわが国では 「帰国子女の特別扱いは 逆差別だ」という反発が、多く聞かれました。 学校現場では 「その子に必要な指導を個別に与える」 というだけで、国内育ちの子を粗略に扱ってはいないのですけど。 言い換えれば 「表面的な平等ではなくて、全ての子に機会均等を保障」しようとしていただけです。 ただし、「海外で得たものを最大限に活かす」という功利的な発想から、帰国生を特別扱いする場面もあったでしょうね。 また、「帰国子女は(課題を抱えて)かわいそう…」という "救済" の考え方も、学校現場を混乱させる一因でした。 しかし、本当の悲劇は、それぞれの子の持っている課題に対応できない学校や社会に 彼らが翻弄されていたことです。 それは、何も帰国子女に限ったことではありません。 そんな当たり前のことに国民の大多数が気づくのは、2005年まで待たなければいけませんでした。 大手の学習塾が、「帰国生を中心においた学校づくり」を提唱し始めるまで…。 20日(水)の第92回EGS研究会は、そうした構造や経緯を 「教わる側」の視点から眺めて、話し合います。 話題提供は、帰国子女教育を子どもの側から取材し広報する活動をライフワークにされている 古家 淳さんです。 ◆ いまや 「御三家」と呼ばれるような名門進学校(選別の極致)でも 「帰国生を受け入れて指導します」と嘘をつかないと 受験生が敬遠します。 だから 帰国生のための受験相談会や受験ガイドにも、かつての名門進学校が全て参加……"嘘だらけ" となって、どんどん意義が薄まっていきます。 ◎ ドイツ経済の失速と日本の将来 10月末、フォルクスワーゲン社(VW)が今後、国内の3工場以上を閉鎖するというニュースが飛び込んできました。 それに伴い、数万人規模の人員整理が行われることは必至で、ますます 「Stagflation」の傾向が強まるでしょう。 かつて 「大衆<Da4zhong4>」の愛称で中国の高度成長に貢献し それなりの利潤も挙げた時代は 既に終わっています。 起死回生だったはずの電気自動車(EV)でも、中国の独自開発/生産の前に売り上げを伸ばせないで喘いでいるのです。 自動車工業よりも早く、化学工業の各企業は ウクライナ紛争による天然ガス不足/高騰で 既に業績不振に陥っています。 エネルギーコストが生産コストの大半を占めるため 国際競争力を失い、工場と人員の整理が始まっているのです。 ドイツ経済の両翼を成す2大産業の停滞は 大量の失業者を生むとともに、国際競争力を著しく低下させていきます。 メルケル政権以降、エネルギー政策では 「脱原発」と 「脱炭素」という相矛盾しかねない戦略をとってきました。 ショルツ政権はそれに加えて、「脱ロシア」も推進せざるを得ません。 "EU経済の牽引車" の失速は 相対的に BRICS諸国の地位を高め 米欧を中心としたドルの信用体制をも揺るがします。 いわゆる 「米英覇権体制」から 「多極化体制」への移行が進む中、わが国がどういう舵取りをするのか 今が正念場です。 ◎ 「ミーイズム」からの脱却を 今回の衆議院選挙に如実に表れていたのは、「日本は今後、何を売って外貨を稼いでいくのか?」という議論の欠如です。 さらに露骨に言えば 「どうやって国民を食べさせていくのか?」の長期的な視点が 政治家にもマスコミにもないのです。 アベノミクスで徹底的に傷つけられた日本の 「ものづくり」の現場を どうやって建て直すのか、誰が考えるのでしょう? 「新自由主義」や人気取りのバラマキ政策を批判していたはずの人も、首相に内定した途端に 尻すぼりになりました。 戦後の民主主義教育は 「自分の好きなことに挑戦し、生きていけ!」を趣旨として、子ども達を指導してきました。 ところが、ともすると 「三無主義」(無気力・無関心・無責任の若者気質)を助長する結果になったのは皮肉です。 1990年代には 「ミーイズム」(私生活主義)という 「誰にも関わりたくない、自分の私生活を守るだけ」の風潮が…… 日本経済の衰退過程を正面から分析し、それを変えていく過程は "茨の道" ですが、皆でやっていくしかないのです。 新しい技術の開発やビジネスモデル、人財の育成などに、即効性のある解決方法などありません。 目先の株価や助成金、電力費補助などに騙されることなく、耐えるべきところは耐えて 立て直していきましょう。 ◆ 「ミーイズム」の蔓延には困ったものですが、寺島実郎さんも『財界』に書かれています。<若いうちに不条理だと思うことも受け止めて、耐えながら、組織を支え、這いつくばって考えた意見だなと思えるような経験を積み、発言をする人がほとんどいない> ◎ 11月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ マレーシアフェア 2024東京--- 11月2日(土)・3日(日)、於:豊洲公園&ららぽーと豊洲。※ マレーシアのグルメや民族舞踊、伝統文化が楽しめ、マレーシアを旅行する気分を味わえます。 ★ 子どものための秋のおたのしみ会--- 11月17日(日)午後1時半〜、於:国際子ども図書館(東京都上野公園)。※ 4歳〜中3生とその保護者向け。コウモリについて絵本の読み聞かせと飼育員の話を聞けます。 ★ 第92回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(Hybrid)---11月20日(水) 午後2時〜4時半、テーマ 『当事者の声を聴く---「教える側」よりも 「教わる側」に立って』=古家 淳(帰国子女ジャーナリスト)。※ 古家さん流の “現代社会の輪切り (Analysis)” のお話しを伺い、それを素に話し合います。 ☆ 第1回 EDIXセミナー(On-Line)--- 11月20日(水)〜25日(月)の6日間。 テーマ 『教育×AI』 『GIGAスクール構想第2期』 『教育DXとデータ活用』。 ★ ASIA-NETセミナー 「台湾 エッジAIデー」--- 11月21日(木)、於:パシフィコ横浜。 テーマ 『エッジAI定着の重要な鍵:NPU』 『生成AIのパーソナル利用』 『エッジAIの応用事例: NVIDIA の戦略』。 ※ 台湾から専門家を招いて、エッジAIの最新事情を聴きます。 ☆ CFIECウェビナー(On-Line)--- 11月22日(金) 午後2時〜、テーマ 『米トランプ大統領再選と緊迫する中東の行方』=高橋 和夫(放送大学 名誉教授)・小谷 哲男(明海大学 教授)ほか。 ※ ウクライナ、ガザ、アメリカ、中国など 現下の国際情勢について専門家が解説します。 ★ 親子でリユース買い物体験―― 使い捨てプラ時代からリユース時代へ--- 11月30日(土) 午前10時〜、於:スペース中目黒(東京都)。 ※ プラスチック問題に関する映画の上映会とマイ容器を使ったテイクアウト体験会です。 [高校生募集] TJF 地球講座 The CORE (On-Line)--- 11月30日(土)・12月8日(日)・21(土)、テーマ『国際交流じゃない地球交流しよう!』=竹村 眞一(京都芸術大学 教授)。 ※ 世界各地から集まった高校生と、視座を往還しながら未来の地球のアイデアを共創します。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 「為せば成る」といいますが、世の中には、やりたくてもできないことがたくさんあります。それをただ 「できない」というのは簡単だし、当たり前すぎます。 「どうすればできるか」を探していくのが仕事ですし、"学び" だと思います。 今やるべきことを先延ばしにしたら、成功も幸せもないです。 ◆ 東京都の私立中高協会は「帰国生入試」の解禁日を11月20日と決めています (昨年は 11/10)。 昨年から国内インター校の在籍者は 「帰国生入試」を受験できなくなったものの、2月の 「英語入試」が用意されています。 ◆ 今年の 「ディパ・バリ」の祭りは10月31日(木)ですけど、この前後に関連行事が いくつも開催されます。 昨今では、あらゆる宗教の人が集える貴重な機会となっています。 平和の礎となりますよう。 ◆ 5日(火) 公表された人口動態統計によると、今年の出生数は 「70万人割れ」となる公算が大きいようです。 1994年に 『エンゼルプラン』(当時の出生数は 124万人)が掲げられて30年間、「(安い労働力の)女性活用」の "衣の下" を見せられては、子どもを産んで育てようという意欲は殺がれ続けています。 ◆ 一昨年の11月、木野 雄介さんが 石川 一郎さん,児浦 良裕さんとの朝日新聞での座談会の話を FaceBookに書いていました。 高校が持つべき課題として 「why から考える癖」「自ら選ぶ、決定する大切さ」「文理選択システムはやめた方がいい」「やるなら、総合型・一般型選択」など…… 来年2月の第93回EGS研究会が楽しみです。 ◆ 11月21日は、大沼 淳 先生(学校法人文化学園 元 理事長)の命日です。 コロナ禍の最中(2020年)でしたので、葬儀にも伺えませんでした。 私学経営者としての矜持を静かに話していただいたことが忘れられません。 享年92歳でした。 ◆ 「国会議員の "キックバック" という収入に係る脱税を許すかどうか」が問われた国政選挙で、国民は辛うじて "NO" と答えました。 その点の報道を避けているマスコミに対する反発が、今回の兵庫県知事選に吹き出した感じがします。 報道機関のあるべき姿を反省して欲しいものです。 ◆ 岸田政権の 『異次元の少子化対策』(2023年)も、「金を配れば…」 という不遜な態度が見え見えで 「こども家庭庁」 は "独り相撲"……。 若い人達が 安心して子どもを産んで育てられる条件整備が大切なのに、なぜか国会では議論されません。 ================================================================================================== |
【2024-10】 ◎ 学習観の変化 今世紀に入って、わが国の学習観は大きく変わってきています。 急速に進んだグローバル化の波もあって 教育の在り方も 「教え込み」から 「自ら学ぶ」形に変容を遂げているのです。 その意味では、帰国生や外国籍の子ども達にも 学び易い環境になってきているのでしょう。 例えば、子どもは 自分が喋った音を 耳や肌身で聞いています。 その自分の音と、周りの大人や友達が話している音とを耳で聞き、肌で感じて、ずれている部分を修正していきます。 その "気づき" と修正の繰り返しで学習していくのです。 つまり 「まず自分でやってみて、その結果を五感で受け入れて修正し、またやってみる」の繰り返しで学習します。 ほとんどの宿題も、その繰り返しを課すことで法則性や仕組み等に気づき、定着させることを狙っているわけです。 逆にいえば、「自分でやってみる」ことの繰り返しを伴わない情報や経験は、右から左に通り抜け "学び" になりません。 とりわけ、音楽や図画・工作、体育などを通して得られる比率や倍率、強弱、均衡や調和などの感覚は習得できない…… そして、それなくして未知のことを想像したり、予測したり共感したりすることは難しいと言わざるを得ません。 ◆ 「学習ピラミッド」については、何度も説明してきました。 一斉授業や講義で学習者の頭に残る内容はわずか5%とされる一方で、他者と議論すれば50%、経験・練習など実地訓練をすれば75%、学んだことを他者に教えれば90% といわれます。 ◎ 小学生への外国語教育導入の現状と課題 第91回グローバル化社会の教育研究会(EGS。9/27)は、小学生への外国語教育導入の現状と課題に焦点を当てました。 過去40年間、「小学校教育に英語は必要なのか?」という議論は延々と続いています。 他方で、「本を読まなくなった子ども」「コミュニケーションの取れない子ども」は増え続け、指導に当たる先生方は困惑しています。 しかし、小学生への外国語教育導入の趣旨には 「言語のスキルを身につけさせること」以上に大切な意義がありました。 将来を担う子どもたちには、自分とは異なる価値観や文化・習慣を持つ相手を受け入れ、尊重する姿勢を養わせたい…… 幼少期から、日本語とは違う 「音」や 「発想」や 「文化」に触れる機会を重ねることで世の中の多様性を受け止める…… 幼い時から 「異文化対応力」ともいうべき資質と姿勢を育むことは、外国語の知識やスキル以上に大切といえるのです。 EGS研究会の冒頭、渡辺香代子先生から衝撃的な数字が提供されました。 "先行導入" の指導を受けた子ども(2023年度の中3生)の 「全国学力テスト」の英語の結果は; 「聞く」「話す」「書く」の平均正答率は46.1%(旧課程時より 10.4%低下)、「話す」は12.4%(同 18.4%低下)。 さらに、小6の意識調査(2021年)で 「英語の学習が好きではない」と回答した割合は31.5%(8年間で 7.8%増加)とのこと。 しかし 渡辺先生は、"外国語教育の未来を拓く" ために 「小学校における母語教育及び母語の必要性と重要性を示す」という観点から、小学校の外国語教育に何が必要で、どんな役割であるべきかを具体的な授業を通して考え提案。 なんとか現状を打開するため 「国語の教科書の改修」「母語教育推進のためのなんらかのアクションプラン」に着手されているそうです。 ◆ 渡辺香代子先生の結論は 「小学校は "外国語教育における明るい未来" の入り口」「小学生の外国語への興味は、無制限かつ無限大」「英語は、外国語への入り口に過ぎない。 明るい未来ある外国語教育の扉を、小学校という入り口で閉ざさせるわけにはいかない」です。 本当にその通り! 仲間が増えますよう! ◎ 誰も守らないルールのアナウンス? たまに通勤電車に乗ると 「無駄だなぁ」と感じる車内アナウンスが多いことに呆れます。 例えば、「走行中は 揺れることがございます。 つり革・手すりをお持ちください」 「電車とホームの間が広く空いている所があります。 足許にご注意ください」 「走行中、窓から手や足を出さないようお気をつけください」(誰が?)…… 等々、とにかく "うるさい" です。 また、「優先席付近では、携帯電話の電源をお切りください」と 数駅毎に放送されますが、操作を止める人はいません。 誰も守れないルールを押しつけたり、マナーを呼び掛けたりするのは、かえって逆効果…… 「だって、みんなやってるじゃない?」と開き直られ、反発されるだけです。 「エスカレーターを歩かないでください/二人並んでご利用ください」というアナウンスも同じですね。 エスカレーター事故の原因の過半数は、歩行・走行によるものです。 歩く人が多いと傷んだり歪みが生じて、年寄りや子どもの靴などが挟まる事故が多発することも、周知させるべきです。 それを知っていても、歩く人が後を絶ちません。(未必の故意! 急ぐのなら 階段をどうぞ!) こうした 「無駄な要求」が生まれたり、無駄にさせたりする感性は、どこで育てられるのでしょう? そう考えていたら、『12歳までに身につけたい社会と法の超きほん』(朝日新聞出版)を教えてもらいました。 <大事なのは、ルールや制度は 対話によって作れるし、変えられる、という経験値を増やしていくこと> …… 子ども達に、"生きる力" や前例のない課題を解決する力を養わせるにも、そういうやり方が有効なのです。 ◆ エスカレーターで歩いたり走ったりしていて、人を怪我させたら(未必の故意が成立して) 想像以上の "罰金" があるのですが、ニュースにはなりません。 だから、相変わらず歩く人は多いままです。 ただし、個人賠償保険は掛けておきましょう! ◎ 自分自身の頭で考え、判断する ファーストリテイリングの柳井 正さんの 日系企業や日本人についての発言が 企業経営者に注目されているそうです。 <残念ながらこの30年間成長していなくて、『日本一国主義でいいんだ』という、すごくそういう感覚があるんです> 日本円の価値が半減したため、日本人の平均給与は昔の感覚でいえば "年収200万円台" レベルになっているとのこと。 とくに小泉政権・安倍政権の時期には 円安と低金利の政策が過激に進められて、「自分で考える」習慣が失われました。 <『あなた何考えてるの?』ということをもっと表明しないと、日本人は個人として認識されないんじゃないかな。やっぱり日本人同士なれ合いみたいなことを廃止しないと、外国人と一緒に仕事できないんじゃないかと思う> 大事なのは、何事も 「自分のこととして考える」 「自分自身の頭で考え、判断する」ということでしょう。 それがグローバル社会、ICT社会を生き抜く術ですし、平和な多文化共生社会を創りあげる最低条件だと思います。 ◆ 「職場/学校がブラックだ」という若者は多いけれど、自分の好きで探究していると時間など関係なくなるし、仕事/勉強も上手くいきます。 「ブラックだ」とマイナスに捉えないで、"自ら〜する" という姿勢で臨むよう励ましましょう。 ◎「Critical Thinking」の認識の変容 40年前に帰国生たち、あるいは海外の教師と話していて、耳障りな言葉は 「Critical Thinking」でした。 「"批判的な思考" ばかりしてるから、いつまで経っても異文化理解ができないのでは?」とすら感じていました。 しかし 「Critical Thinking」は、物事を鵜呑みにせず 客観的な事実に基づいて批判的に分析して結論を出すことです。 「何故そうなったのか?」「元の情報は確かなものか?」などの疑問を重ねることで 物事の本質に迫るという思考です。 当然ながら 客観性と論理性が必要なので、自分の先入観や思い込み、習慣などから一旦 距離を置くことになります。 そうすれば、論理のすり替え/飛躍、矛盾点や擦れ違い、あるいは欠点/欠陥が見えてくることが多いのです。 受け入れ校の教師は、次第に 「Critical Thinking」の重要性に気づき始めました。 「Boiling Frog」(茹でガエル)は、緩やかな環境変化に気づかない間に "致命的な状況" に陥るという喩え話です。 この迫って来る "重大で緊急を要する状況" が 「Critical」と表現されるのは、取り返しのつかない危険だから…… まさに、気づくべき「臨界点」(Critical Point)を指しているわけです。 ◆ 「Critical Thinking」は 他人に騙されない賢い生き方に 必須の条件ともいえます。 逆に、相手が 「臨界点」(修羅場?)に達するように仕向ける攻撃が成功すると、「Critical Hit」(会心の一撃)と呼びます。 ◎ 帰国生の「Strategy」 1980年頃、元帰国生の若者がお互いに支援し合う 「メタ・カルチャーの会」というネットワークがありました。 そこでは 「Strategy」(方略, 戦略)という言葉が飛び交い、まるで 「Survival」(生存)を懸けた闘争の話のようでした。 日本に "来て" みたら、親も周りの大人も先生も皆、「これは常識。 きちんとやりなさい」と言う……、その前提となる知識や技術は、自分には全く馴染みのないものなのに、「こんなことも知らないの?」と言われる…… そのストレスは 柔らかい頭脳に重くのしかかっていて、時折、爆発もします。 帰国生の世話をしてる私に、「先生は向う側(=敵)の人間だ!」と言い放った小学5年生もいました。 しかし、ほとんどの子は 「大人や周りの子を騙すしかない」と悟るのです。 ◎ 第92回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催 開催は11月20日(水)で、古家 淳さんに話題提供をお願いしました。 「メタ・カルチャーの会」を組織し、『私情つうしん』の主宰者として長年、"元帰国生" の視点で活動しておられます。 1987年から昨年8月号まで 『月刊 海外子女教育』のレギュラー・ライターでした。 「多文化共生教育が普及した」 といわれる今日でも、学校側の "方法(Tactics)" は空回りしている感じです。 「教える側」と「教わる側」とのズレは どこから生じているのでしょうか? どうすれば克服していけるのでしょう? ◆ 海外育ちの子どもたちは、幼くして異文化の洗礼を受けているので、常に 「前提となる情報や習慣、価値観など」が 親とは全く異なることを知っています。 まさに 「親にも言えない葛藤」を抱えていることが、私たちが指導する際の留意点となってきます。 ◎ 10月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ Question X オンラインセミナー--- 10月7日(月) 午後8時〜9時、テーマ『Question X 導入校による活用事例と生徒の変容について』=石川 一郎・安藤 拓也(専修大学北上高校)。 ※ 全国で実践されている問いの探究学習プログラム『Question X』を通じて、生徒たちの知的好奇心をどのように引き出し、学びに繋げていくのかを具体的に掘り下げます。 ★ 明日香音魂祭<おんたまさい> Mini2024 --- 10月12日(土)・13日(日)、於:高松塚周辺地区 芝生広場(奈良県明日香村)。 ※ 世界を旅する和太鼓集団 「倭-YAMATO」などが参集。 明日香村で秋の太鼓祭りです。 ☆ 教育者のためのWorkshop 「Compassion ×Systems×教育」(On-Line)--- 10月21日(月) 午後8時半〜。 ※ システム思考、SEL、思い遣り、世界のIB校の新しい取り組みなどが易しく紹介されます。 ★ JOES シンガポール講演会--- 10月26日(土)、於:シンガポール日本人会 講堂。テーマ『もっと、使える英語力へ』=服部 孝彦(大妻女子大学大学院教授)。※ これからの子どもたちに求められる批判的思考力や創造的思考力、課題解決力を、英語学習を通じて育む方法について話されます。 ★ 国際フェスティバル 「科学と芸術の丘 2024」--- 10月26日(土) 午前10時〜、於:戸定が丘歴史公園(千葉県松戸市)。 テーマ 『City of Artists --- つくるをひらく』。 ※ 「何かを創り出す人」が皆、アーティストであると捉える特別展覧会、ワークショップなどが目白押しです。 ☆ JOES 第1回 Identity Forum (On-Line)--- 10月31日(木)、テーマ『日本の感性と東洋の叡智 ― 私の感じた日本文化の総復習』=中村 順一(元 国立京都国際会館 館長)。 ※ 「日本の伝統文化」「東洋の考え方」、および外交官として外国と関わるなかで感じたことを、易しく話されます。 [新刊] 『裸眼思考』(かんき出版。荒木博行 著) ※「合理的で効率的なアプローチ」を続けた結果,「仕事が苦しく、そしてつまらなくなってしまった」という人への "福音" です。 [新刊] 『きょうだい学--- 生まれ順で違う育て方・育ち方』(著:向井忠義)。 ※ 著者は NHK番組 『おかあさんといっしょ』の体操のお兄さん(4代目)。 育児ママが欲しいと思うヒントが満載です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 『子どもに外国語はいらない:地球時代の井戸端会議』(文藝春秋 1981年。鳥飼玖美子・中津燎子)は40年前の刊行です。 当時、「英語教育は幼い時から始めたほうが好い」という素人考えから、英語学習熱が急速に高まりましたが、結果的には "英語嫌い" や "変な子ども" を大量生産するだけに終わる事例が続出しました。 ◆ 渋谷真樹さんの 『「帰国子女」の位置取りの政治』(勁草書房 2001年)は、帰国生同士にも "方略" があることを指摘しています。 一言で 「帰国子女」と言っても、渡航した国、時期や期間など成育歴の違いにより多様に異なるわけで、"生存の方略" も複雑です。 ◆ 道路交通法には 「歩道では、自転車は押して歩く」ように定められていますが、ほとんど守られていません。 駅の通路や地下道でも、チリンチリン鳴らして強引に乗る人も…。 事故が起これば 「民事訴訟で7千万円の賠償」などの判決は出ますけど、ニュースにはなりません(どこかでお金が動いています)。 ◆ 能登地方の豪雨災害の惨状は、9ヵ月前の震災に対する復旧・復興対策の不十分さと無関係ではありません。 従来は大きな自然災害があれば、国も補正予算を組んで即応したものでしたが、岸田政権は防衛費の臨時増額はしても、震災復旧の補正予算は組みませんでした。 無責任としか言いようがありません。 ◆ 米国MLBの大谷翔平選手の活躍は見事でしたね。 私は 「塁打数(Total Bases: TB)」に感心しています。 9月19日の 「1試合17塁打」は歴代4位ですし、年間で 「410塁打」は歴代17位(史上13人目)だそうです。 リハビリ中の投手なんですけどね。 ◆ 4日(金)、服部 幸應さん(服部学園理事長)が亡くなりました。 市ヶ谷の私学会館で時々会ってましたし、インタビュー記事を書いたことも…。 来春、パリ郊外に開校予定の 「山下アカデミー」の良き理解者でした。 享年 78歳、合掌。 ◆ 9日(水)、いわゆる 「袴田事件」(1966年)の被告の無罪がようやく確定しました。 30歳で逮捕された被告も88歳…… 奪われた時間や得べかりし経験の膨大さに、胸の痛みを覚えます。 ただただ、彼の今後の平安を祈るのみです。 ◆ 「日本原水爆被害者団体協議会」 がノーベル平和賞を受賞! "ことば" が核の使用を阻止する…… そういう抑止力を再認識させるものです。 広島選出の首相が核兵器を容認し 軍拡を推し進める事態に、世界が危機感を抱いたのでしょう。 ================================================================================================== |
【2024-9】 ◎ 猛暑が続く中を9月に入りました。 欧米系の学校では、新年度を迎えています。 こんな時期こそ、「学校(School)って何?」を考える機会も多いです。 印欧語(IE)で 「suk, syuk」は "〜の振りをする" で、ギリシアでは 「sch-, sc-」になっていきました。 その点、大和言葉の 「マネ(る)/ナラ(う)」(⇒ 学ぶ)とも似ていますね。 「Schole」(学びに使われる余暇)もそうで、戦争や農耕などのない 暇な時にするのが "学び" だったのです。 近代的な "学校" は、イタリアのボローニャ大学(1088年創立)を雛形にしてでき上がったといわれます。 それ以前の欧州では、子どもは "お抱え家庭教師" を自宅に泊まらせて 指導させるのが普通でした。 やがて、十字軍遠征に参加した若者(=貴族たち)が、イスラム圏から 「syuk-」(宿?)で学ぶ習慣を持ち帰りました。 地域コミュニティ(public)で雇った教師に 子どもの教育を託す形式(Scuola pubblica)です。 教師は 「Imama」(ターバン)を頭に巻いたムスリムで、15世紀末まで "世界最先端の科学技術(Scienza)" を指導しました。 中国語では 「校 <xiao4>」ですが、音通の 「效・効」(習わせる, 学ばせる⇒ 結果/効き目)が語源とされます。 「学 <xue2>」も "子どもに世の中の手振りを習わせること" の意味です。 地域民がお金を出し合い 「院(Inn)」(寺の施設)に "老師" を招き、子女を教育する原型は、仏教と一体でした。 ◆ 学問の女神は必ず楽器を抱えています。弁才天(ヒンズー教の「Sarasvati」)も 琵琶が叡智の素です。 ラフマニノフ(露)の 「音楽は 平和で平穏な場でないと成立しない」は、学問の神髄をも表わしています。 ◎ 第91回グローバル化社会の教育研究会(EGS)を開催 今月27日(金)、前回に続いて言語教育について考えます。 前回は慶應大学の大津由紀雄先生を囲んで、『ことばの認知科学から見た、母語の重要性』のテーマで話し合いました。 「母語は習わなくても使えるもの」 という錯覚や 「国語教育」の偏向性などが、言語教育に歪みを与えていること、また、英語教育では 「実用指向」「文法の軽視」「英語の授業は英語で」の短絡も見受けられることが指摘されました。 母語では直観を利用した 「ことばへの気づき」を育成し、それを外国語を学ぶことで 更に 「ことばへの気づき」を増す…… 母語と外国語の効果的運用の実現を目指す考え方を、一般的な公立小学校で実践に移すと何が起こるのでしょうか? 話題提供の渡辺香代子さんは、埼玉県の公立校で担任をしながら外国語教育に取り組んでおられます。 子ども達が どう反応するかはもちろんですが、周りの教員や管理職が どんな反応(反動?)を見せるのか、興味津々です。 ◎ 今年は16日(月)が「敬老の日」 最近は 「60歳は鼻たれ小僧」と言われるほど、年寄りが増え続けています。 年下の人を 「鼻たれ小僧」と呼んでいる後期高齢者も、「口だけは元気」と陰口を叩かれているわけですけど。 「Pride」(誇り, 矜持)は "自分の尊厳の意識" ですが、それを繋ぎとめる "こだわり" が 人格を形づくっています。 「Self-Esteem」(自己肯定感, 自尊心)も同様で、学習や技芸の上達、業績を上げる、責任を取るなどの "よすが" です。 しかし、何かの理由で脳の働きがどこか悪くなると、日々の生活にも支障をきたすようになります。 「Cognitive Impairment」(認識機能障害=認知症)といわれ、周りの人が驚くような行動/心理症状が現われるのです。 最近 「Inside-Out of Pride」(誇りの裏返し)の表現に出会いました。 70歳過ぎには "こだわり" を喪失するとも……。 以前なら 「そんなことは絶対にしない/嫌だ」と明言していたことを忘れ、周りから「人格が変わった」とされたり……。 その人が ずっとこだわっていた/大切にしていたことについて、真反対の言動をされるのを見るのは辛いものです。 脳の働きが変調をきたしているので、自ら責任も感じない/取れないまま体面や社会的な信用まで失うのですから。 「人柄が好い/人格者だ」と言われていた人が、排便や性的な話題を所かまわず話したり、急に怒り出したり…… 身内や親しかった人であるほど、衝撃は大きいですよね。 「見苦しいことをしていたら、すぐに教えてね」と周りによく頼んでおきたい…… と感じるこの頃です。 ◎ インド政府が日本の高校生を招へい 8月末、インド科学技術省(DST)が日本の高校生10名をデリーに招へいするプログラム(1週間)が実施されました。 西川 裕治さん(JISTEC)が8年前からDSTに働きかけていて、やっと今年実現した画期的なプログラムです。 参加した西大和学園と甲陵高校の生徒たちは、現地の高校生(Pathways校)・大学生(IIT Delhi)等と積極的に交流。 その他に訪問した Airtel, Dabur India, TERI Gram でも大歓迎を受け、世界最先端の設備等も見学しました。 最終日の修了式で DST長官(局長レベル)は、来年は日本からの招へい者数を増やすことを宣言したそうです。 インド教育省の長官も 「来年は25人程度の高校生を招へいする」と言っていて 西川さんも忙しくなりますね。 ◆ インドの人口は、昨年 14億2,860万人に達し、中国を抜いて世界一となりました。 しかも、年齢の中央値は27.9歳(2022年時点。中国は 38.5歳)、2050年予測でも38.1歳(同 50.7歳)と働き盛り世代がボリュームゾーンを占めます。 1人当たりの平均所得水準は毎年約10%ずつ拡大しているそうで、5年後には 米国・中国に次ぐ 世界3位の経済大国になります。 ◎ 「敬老の日」前後には、考えることが多い? 和田 秀樹医師の 『70歳が老化の分かれ道』(詩想社 2021年)が よく売れているそうですね? 目次を眺めるだけで 大体の内容は予測できますが、要は 脳の老化現象と どう上手くつきあっていけるかでしょう。 「健康のためには、適度な栄養と運動と休養」と言われますが、古希を迎えても それは変わらないはずです。 収入にならなくて好いから 何か働く/発信すること、ラジオ体操や散歩などの運動習慣をつけること、そして、肉類を食べること(素人ダイエットはしない)……などは "心の健康" にも必要です。 ◆ 家内からは断捨離と、子ども達への "死後処理マニュアル" をまとめておくよう しつこく言われてます。 しかし、なかなか進みませんね。 整理の途中で思い出に浸っていると、どんどん時間が過ぎていきます。 ◎ STAP細胞の "不祥事" から10年 結局は何が問題だったのか、うやむやにされたままです。 人間の名誉・金銭に対する欲望、それに妬み・嫉みなど ドロドロした感情までが交錯して、後味の悪い印象が残ります。 将来の 「持続可能な社会の実現」の期待を担う若者たちに、この件で私たちは何を語れるのでしょうか? 日本分子生物学会の声明(2014年)は、政府・企業の研究開発費獲得競争に "現を抜かす" 風潮への戒めに聞こえます。 <今回の研究不正問題が 科学者コミュニティーを超えて広く国民の関心を惹くことに至ったのは、論文発表当初に不適切な記者発表や過剰な報道誘致が為されたことに原因があり、それらは生命科学研究の商業化や産業化とも関係していると考えられる> ◎ 第91回グローバル化社会の教育研究会(EGS)は27日(金) 研修テーマは、『小学校における 「ことばの教育」―― ことばが ことばの未来を創る』(話題提供: 渡辺香代子 教諭)です。 明るいグローバル社会にすべく小学校に導入された 「外国語」も5年目……児童にとって英語は得体のしれないものに? 小学校教育は 担任教師が原則として全教科を指導することで、論理性や探究心、倫理観なども総合的に養えています。 児童にとって教科の垣根などないし、児童の状況によっては教科書を離れて "合科" 的授業を展開することも可能です。 ところが 「外国語」を "技術" と蔑む感覚が、音楽や体育などと同様に "専科" の教員に任せたい衝動を生んでいます。 文科省もそれに迎合するように、教科担任制を小学校に導入する動きを始めていますけど、真面目に考えてますかね? ◆ 第91回EGS研究会に来てくださる渡辺香代子さんの公立小学校での実践…… 「総論賛成、各論反対」の無責任教師に囲まれながら、彼らを説得し巻き込んでいく営みは、是非お聞きしたいです。 でも、愚痴の言い合いにならないよう、前向きの議論にしたいですね。 ◎ 9月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ JOBA 帰国生受け入れ校 学校説明会(On-Line)--- 9月7日(土)・9日(月)。※ 帰国生を積極的に受け入れている学校を、1校40分で巡っていけます。 ★ 2024千葉県私学フェア--- 9月16日(月) 午前10時〜と午後1時半〜 の2部制、於:幕張メッセ国際会議場(千葉市)。※ 千葉県内の全ての私立中学・高校が参加する進学相談会です。(完全入替制、要事前予約) ★ サンシャイン水族館 SDGs Week --- 9月16日(月)〜25日(水) 午前9時半〜午後6時。 ※ ロッテ 「固有種のマーチ」プロジェクトとのコラボレーションを含む4つのイベントがあります。 ☆ オンライン展示会 「ITトレンドEXPO 2024 Summer」--- 9月18日(水)〜。 講師:北島 康介(東京都水泳協会会長)・澤 穂希(元サッカー日本女子代表)ほか。 ※ 世界の舞台で高い成果をあげた経験から、国際視点でのビジネスや生き方などの話を聞けます。 ★ 第91回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(Hybrid)---9月27日(金) 午後2時〜4時半、テーマ 『小学校における「ことばの教育」―― ことばが ことばの未来を創る』=渡辺 香代子(幸手市立 上高野小学校)。 ※ 公立小学校の現場の生の声を素に、話し合います。 ★ EDIX関西 ---10月2日(水)〜、於:インテックス大阪。 [講演] 『これからの学校教育』=工藤 勇一(横浜創英中学・高等学校 元校長)ほか。 ※ 学校教育や人材育成など教育のトレンドが集まる総合展会です。 [無料公開] KANKO:Teacher with オンラインセミナー(配信中)--- テーマ 『発育急進期でのトレーニング指導とは?』=長野 崇(大阪国際大学 准教授)。 ※ 子どもたちの体力低下、成長期における性差の違いや発育特性について学びます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 古今東西、教師の雇い主は親ですので、身分は教え子よりも低いです (笑)。 「校」は <jiao4> と読むと "比較して正す" の意味で、「教, 較, 叫」と音通…… "解るまで話しかける" ような気がしてきます。(笑) ◆ 米国オハイオ州での 「移民がペットを食べている」という "噂" が、次期大統領選挙候補の討論会でも言及されました。 歴史的に 「ドイツ系移民は "犬" を食べる」という差別的発想から 「Hot Dog」という商品が生まれた背景があるのですが、悪意は今、有色人種に向けられています。 ◆ フレンズ 帰国生 母の会の『帰国生のための学校案内 2025』が刊行されました。 今年も "母親の目線で集めた情報" が満載なのですが、嘘でも 「帰国生を受け入れます!」と言わざるを得ない(羊頭狗肉の)学校の事情も見透かされていて、興味深いです。(苦笑) ◆ 『サンパウロ日本人学校の初期 10年(1967−1977)』……1962年度生まれ(62歳?)のサンパウロ日本人学校卒業生たちが、文集を発行しました(2024年3月)。 その中に 同校の設立から約10年間の貴重な話がまとめられていて、学術的にも貴重な資料となっています。 ◆ 「剰余金」と「余剰金」の違いは何でしょうか? PTAや生徒会などの会計には 厳密な意味での 「剰余金」はないのですが、資本金等がないので 実質的な 「純資産」に当たります。 他方、「余剰金」はイベント毎に "余っちゃった金" ですから、「剰余金」は、過去の 「余剰金」が累積されたものともいえます。 ◆ 最近「カスハラ」(顧客側からのイジメ)が話題になっていますが、長年 "親怪獣" に責め立てられてきた教育関係者は 「何を今さら」と思ってしまいます。 団塊世代の 「客は神様だろう!」 という思い込みを 好い加減に改めてもらいたいのですけど、その第二世代に見事に遺伝しています。(苦笑) ◆ 18日(水)、中国の深セン日本人学校近くで登校中の児童が刺された事件(翌日死亡)は衝撃です。 柳条湖事件(1931年)のあった "要注意日" とはいえ、蘇州日本人学校の児童が襲われた事件(6/24)もあったばかりで…… 子どもが標的にされるのは、やりきれません。 ◆ 昨年の暮れ、在日中国人の数は82万人を超え(出入国在留管理庁調べ)、全ての在日外国人の約3分の1を占めます。 その大半が 将来 帰化を申請し、日本国籍を取得することを希望しているそうです。 私の住むマンションでも、区分所有者の3割が "中国名"。それが過半数となる日も近いでしょう。 ================================================================================================== |