2017春闘アンケート   

 非正規労働者であっても「主たる生計者」として家計を担っている方が33.9%(東京全体25.8%)と、非正規労働者全体の3割にものぼります。

 非正規労働者の生活を賄うだけの十分な賃金や労働条件の改善が求められています。
 月額の人のみ集計しました。回答者263人のうち、15万円未満の方が56人と、昨年の50人を若干上回っています。また、15万円以上の方は207人で、こちらも昨年の190人から若干増加しています。

 月額賃金の加重平均額は、東京全体で147,270円となっており、昨年の加重平均額148,790円を下回りました。

(加重平均額の算出方法は「9万円未満」は85,000円、「30万円以上」は325,000円で計算し、10円未満を四捨五入しました)


 
 こちらは時給制の人のみ集計しました。回答者186人のうち時給額900円台以下が89人(昨年87人)、1000円以上が97人(昨年43人)となり、全体的に時間給が上がっています。

 10月1日から東京都の最低賃金は932円に引き上げられ、全国でも823円となりました。
 引き続き、誰もが人間らしく暮らせるよう、全国一律最低賃金制度の実現を求めて取り組みをすすめましょう。

   
 
 こちらは日額制の人のみ集計しました。73人(昨年64人)の方に回答していただきましたが、収入にばらつきが表れました。

 豊島区で最も多かったのは、昨年同様「7000円台」ですが、東京全体では「9000円以上」が最も多い結果となりました。


   
 

 30時間以上が38.7%(昨年44.3%・東京全体 37%)を占めています。

 通常、正規労働者の1週間の所定労働時間と同じ労働時間で通常雇用されている非正規労働者は、法に抵触する可能性があります。
 
 

 労働契約を435人(昨年369人)が文書で締結しており、多少の改善が見られますが、「口頭のみ」や「文書や口頭等で労働契約を行っていない」についても11人います。

 労基法では、パートタイム労働者も含めて、労働者を雇い入れる際には、労働条件を明示することが事業主に義務付けられています。
 特に、「契約期間」「仕事をする場所と仕事の内容」「始業・終業の時刻や所定時間外労働の有無、休憩・休日・休暇」「賃金」「退職に関する事項」などについては、文書で明示することが義務付けられています。
   
 
 雇用期間がある人の年限について聞いたものです。
 「1年以内」「6ヶ月以内」と答える方が多数となっています。このことは更新時期を迎えるたびに雇用不安を抱えることとなり、安心して公共サービスに従事するための妨げとなっています。
 「5年以内」も53人と多くなっており、非常勤職員の5年雇い止めが現れています。

   
 
 勤続年数では、回答者のうち、3年以上働いている人が227人・50.6%(昨年212人・54.9%)と、近年同水準で推移しています。
 この方たちは、非正規労働でも恒常的に自治体業務を担って住民に対して公共サービスを提供しており、雇用年限撤廃、賃金の経験加算、一時金・退職金などを早期に実現することが重要です。

   
 
 有給休暇については「ほぼ取れる」が254人(57.0%)となっています。「ない」が24人(5.4%)、「あるが取ったことがない」と「3割ぐらい取れる」を合わせると81人(18.2%)となりました。

 労働者の権利である有給休暇の取得しやすい職場環境づくりと、十分な執行体制が求められます。

   
 

 育児・介護休暇が「ない」と答えた人は144人(33.3%)で、昨年の120人・32.6%(無回答を除く)よりも若干増えました。また、制度の有無がわからない方が35.6%もいます。

 働きつづけられる条件を整えるためにも、今ある制度の周知と改善に向けた取り組みが重要です。
   
 

 通勤手当については、「一部支給」と「ない」とした回答者を合わせると、278人・62.9%と、昨年の253人・66.2%と比較すると率では若干減少しました。

 「通勤手当は時給に含まれる」という自治体もありますが、通勤手当を差し引くと東京の最低賃金を下回りかねません。通勤手当を実費弁償させることが必要です。
   
 

 制度が「ない」と答えた人は104人・23.5%と、昨年の72人・18.8%と比べて若干悪化しました。

 事業者は労働安全衛生法に基づき、非正規労働者でも1週間の所定労働時間の4分の3以上である場合は、健康診断を実施する義務があります。
 臨時・非常勤・委託など全ての労働者が健康診断の受診対象となるよう、労働安全衛生活動も含めた運動の強化が必要です。
   
 
 賃金(報酬)額や労働時間、休暇などの賃金・労働条件が明示されている「辞令」「任用通知書」「勤務条件通知書」などが交付されているかどうかでは、圧倒的多数が「交付され、明示されている」になっています。
 しかし、「明示されていない」「交付されていない」というケースが40人・9.2%(昨年63人・17.2%)あります。法で定められた内容であり、早急に改善することが求められています。


   
 
 該当する項目を全て選択してもらいました。身近で何らかの賃金・労働条件の切り下げや解雇がおこなわれたとした回答者が88人・20.4%(昨年70人・19.4%)にものぼっています。
 引き続き、安定雇用の確保と賃金・労働条件の引き下げを許さないたたかいの強化が必要です。

   
 
 今の仕事や職場の不満や不安について3つ選択していただきました。
 「賃金が安い」が149人(昨年145人)、続いて「正職員との賃金・労働条件の格差」119人(昨年88人)、「雇用契約が更新されないのではないか」「人手が足りない」「職場や仕事がなくなるのではないか」という回答が上位となっており、職場が厳しくなっていることがうかがえます。


   
 
 労働条件の改善で特に要望することについては、「賃金(時間給)の引上げ」が最も多く、続いて「ボーナスの支給・額引上げ」「雇用の安定」が強い要望となっています。(順位は昨年同様)