子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2015年 12月、11月、10月、9月、5月〜8月、1月〜4月。 |
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ページトップ、 海外支援センター ※ ニュースのオリジナル版は、日本人学校・補習授業校にも お送りしています。【2015-12月】 ◎ キリスト教徒の「待降節/降臨節(Advent)」です。 本当は開始日が毎年変わるのですけど、市販の 「アドベント カレンダー(Advent Calendar)」 は 12月1日から24日までになっています。 かつて日本の子供たちが 「もう いくつ寝ると お正月」 と指折り数えたように、キリスト教圏では クリスマスを 心待ちにする行事が続きます。 ◎ 第52回グローバル化社会の教育研究会(EGS)を開催 11月20日(金)、聖学院中学・高校(東京都北区)で開かれました。 永年、帰国子女教育に携わってこられた 石川 一郎先生、北原 都美子先生、熊野 孝先生を囲んで、「帰国生受け入れの“伝統校”は 今 どうなっているか」のテーマで 話し合いました。 冒頭に 石川先生から、1980年頃から20年くらい 「“受け入れ校”を作って 帰国生を“救済”する」 ことを 目指す時代があり、そのうち 「帰国生の“救済”から “特性伸長”へ」 という発展をしてきたこと、その頃は 入学・編入試験で “帰国子女”の認定や適用に現場が苦労したこと、ところが 2005年頃から学習塾が海外巡回説明会を開いたりするなど 入試体系の中に「帰国子女入試」が位置づけられるようになり、“帰国生を中心に置いた教育”が学校のブランド要素となっていること、などの概要説明がありました。 その後の目立った話題は、ITC普及と学習塾の海外展開により 情報過多の状況が生まれていること、国際結婚の家庭や外国籍の生徒も増えて「その子が どこで どう生きていくべきか」 も多様になっていること、駐在員子女ではない生徒や複数国を経験した生徒が多いこと、英国でもアジアでもインター校で学んだ生徒が急増していること、等々…。 「双方向授業 (Active Learning)」「批判的思考 (Critical Thinking)」「哲学 (Theory Of Knowledge)」「ディベート能力」 など、帰国生と向き合えば 認識せざるを得ないことが 今、国内校の現場で 注目されています。 「帰国生が一般生の中に入る」 形ではなく、帰国生が受けてきた教育スタイルの方に “国内教育を近づけよう”としているのです。 関係者としては 「何を今さら…」 と いささか呆れもしますが、帰国生受け入れの伝統校では “生徒一人ひとりに寄り添う指導” に変わりがないことが確認できて、安心しました。 偏差値に頼らない学校選びが、いっそう大切な時代になっているわけです。 ◎ アメリカの雇用統計(11/6)が不正確?? と、経済専門家が次々に指摘しています。 新規創業の企業数を大目に見積もっている(粉飾)上に、前月比で 「55歳以上の雇用が38万人増、25〜54歳の雇用は12万人減」(正社員を解雇して 55歳以上の人を多くパートタイム雇用している)というのです。 つまり、一見雇用が回復しているように見えても、一人当たりの所得は 過去6年間 減り続けているそうです。 にも拘らず、「雇用統計の改善で、12月の利上げが確実になった」 と報じられます。 米連銀は、日本とEU各国に異常な緩和策を続けさせて株・債券の相場を引き上げる一方、自国だけ利上げして “ゼロ金利” を脱したいのでしょうかね。 ◎ 中国の人民幣(RMB)が 国際決済の基軸通貨に。 公共施設の壁などに、「為人民服務(人民のために働く)」 という標語が書かれていますが、先日 ある店の棚にあるマグカップの図柄に 目が止まりました。 “人民”の後ろに “幣”を書き加えた落書きで、「人民元(=金)のために働く」 と変えている風刺です。 親族や宗家を 極端に大事にする中国や韓国では、本当の意味での “腐敗” は一族優遇です。 もし、血縁のない人との間で ビジネスチャンスを掴もうとすると、お金や供応・便宜供与などの 大変な努力が必要となる一方、警察に摘発される対象も、そうした “努力者”なのです。 わが国でも 段々と一族優遇社会の様相が強まり、政界も財界も “世襲化”が臆面なく行われるようになりましたが、グローバル化には逆行しています。 ◎ プラットフォーム型の職場を どう捉えるか? インターネット環境が整備されて、スマホやパッド等を駆使することは 企業活動では当り前になっています。 また、職場に対する働き手の感覚も、大きく変わってきました。 かつて 「会社は家族」と思われていましたが、今や “緩やかな繋がりの場” となった “会社(company)” の姿に、私たちは面食らうことも多くあります。 役所や学校が それを捉えきれなくて、右往左往しているのが現状ですが、今流行の言葉でいう 「プラットフォーム型」 の会社とは、一体なのか、そこで働き生きていく若者たちに、どういう職業観教育をすべきなのかを、真剣に考えなくてはなりません。 ◎ 年の暮れですね。 「年の暮れ(歳暮<sui4mu4>、<マレー語> silam tahun)」ですが、22日から「山羊座(Capricorn, Goat)」です。 山羊は、羊に比べて乾燥に強く、険しい地形にも適応できますし、粗食にも耐えます。 大航海時代には 船中でも飼育され、貴重な食糧でした。肉・毛皮は 羊の方が良質なものの、山羊の方が 乳質・乳量共に好いのです。 「山羊」のイメージは、ともすると 「黄禍論(Yellow Peril)」の偏見と重ね合せられます。 「(お金に対し)真面目で努力を嫌がらない」「常に現実的で、用意周到」 などと言われる反面、「目的合理主義で 独善的」「人の気持ちやセオリーを無視して、強引に仕事を進める」など…。 これらが 排外・排他のニュアンスを帯びると 危険です。 キリスト教世界で「羊」のイメージは “従順・無邪気” とされ、善良で温厚な人を代表しますが、「山羊」は “罪悪 (sin)” の印象が強く、“悪魔” を連想させます。 悪魔や悪人は、山羊の姿で描かれることも多く、たとえ悪くなくても 「犠牲(scape-goat)」に供されるのです。 「羊を山羊から分ける」(善人と悪人を区別する)も、聖書の中の言葉です。 目の形と “あごひげ” が違うだけなのに、何故? と思いますけど。 なお、マタイ伝には 「(羊飼いは) 羊を右に 山羊を左に置くだろう」 と書かれているので、欧米文化において「右 (right, droit)」は “正しい・善良・権利”、「左 (left, gauche)」は “危険な・不吉な” の意味にもなります。 ◎ 外務省が在外子女数調査を公表 『月刊 海外子女教育』12月号に 今年の在外子女数調査が載りました。 アジアと北米、そして欧州も、在外子女(小・中学生)は急増していますが、日本人学校に通う子は2万人と変わりません。 つまり、増加分は 北米では現地校、アジア・欧州では 主にインターナショナルスクールに入っているわけです。 この機会に、私の修士論文に付けていました参考資料も差し替えることにしました。 これまでの流れを 大雑把に掴んでいただければ幸いです。 因みに、毎年一年間で帰国する小・中・高生は、1971年の 1,543人から増え続け、90年代は約1万2千人で推移。 今世紀に入って 1万人強に(2003〜05年は中学生がやや減)なります。 2008〜9年だけは帰国者が増えた(リーマンショックの影響?)ものの、その子たちの中には 翌年、再出国した者も多いようです。 2010年以降、帰国数が少ないということは、海外残留が増えているともいえます。 1980年頃 外国人子女の国内校流入もありました(1981年 97,694名が在籍)が、2013年は 76,341名にまで減っています(22%減)。 ◎12月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ BCNカンファランス 2015--- 12月 2日(水)、於:青山ダイヤモンドホール(東京都港区)。 テーマ 「Slerは どこへ向かうべきか? Slerの未来像」。 ※ (株)BCN主催で コンピュータ関連大手企業のほとんどが協賛しています。 ★ 朗読ユニット『ぽらりす』第2回公演--- 12月 6日(日)、於:浜離宮朝日ホール・小ホール(東京都中央区)。第1部 公開レッスン 「豊かな朗読表現をめざして」=岩井 正(元 NHKアナウンス室長)。 第2部 朗読会 「近代日本語の父 夏目漱石の作品を中心に」=岩井 正、松平 定知、田中 隆子、飯島 裕三、蠣崎 裕子、中村 涼子、東 涼子。 ※ 公開レッスンの生徒は 昭和女子大附中、板橋区立泉南中の生徒たちです。 ★ RTN 2015年度 第1回就活支援セミナー--- 12月13日(日)、於:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)。 テーマ「就活の鬼門GD(グループ・ディスカッション)対策」。 第1部 講義「就活について学ぼう!」、第2部 Panel Discussion 「企業の話を聞いてみよう!」Panelist=ソフトバンク、楽天、ADK、トーマツの4社。 第3部 懇親&懇談会 「企業人事部の方と直接懇談しよう!」。 ★ 第67回 GSDM国際シンポジウム--- 12月14日(月)、於:東京大学山上会館 大会議室(東京都文京区)。 テーマ 『ポストTPPの世界貿易秩序:日本にとってのチャンスと課題』。 パネラー:Jo-Ann Crawford(WTO貿易政策検討部 参事官)、米谷 三以(西村あさひ法律事務所。元 通産官僚) ほか。 ※ 東京大学のGSDMプラットフォーム セミナー。国内外の貿易法や政策の専門家が、TPPの大筋合意後の喫緊の問題を論じます。 ※ 元 帰国生たちが組織する、海外生活体験者のための就職支援プロジェクトです。 ★ 平成27度 IIST国際情勢シンポジウム--- 12月22日(火)、於:東海大学校友会館 阿蘇の間(東京都千代田区)。 テーマ 『安保法制後の日中関係』=久保 文明(東京大学大学院 教授)、香田 洋二(元 自衛艦隊司令官・海将)ほか。 ※ 貿易研修センター(IIST)の主催。南シナ海の緊張が高まる中、産業界を含めた 政治・経済関係者が集まり、現状認識を共有します。 ★ HLAB2015 年次総会--- 12月23日(水・祝) 、於:東京大学伊藤国際学術センター(東京都文京区)。 [第一部] HLAB2015 報告会、[第二部] シンポジウム「H-LABの過去、現在、未来」。 ※ 20歳代の若者たちが 後輩に対して職業観も含めた種々のアドバイスをするという、現代世相を端的に表している活動です。 ★ 国際表現言語学会 群読ワークショップ--- 12月25日(金)、於:港区立御成門小学校(東京都港区)。テーマ 「群読入門講座:脚本づくりの体験」=重水 健介(日本群読教育の会 事務局長)。 ※ 第二言語教育における演劇の果たす役割を考える、格好の機会です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 最近は、「クリスマスカード」を 「季節のご挨拶(Season's Greetings)」と呼ぶのが、グローバルな教育者の共通理解になっているとか。 「宗教的・政治的に中立であるべき」(Political Right) という趣旨からです。 ◆ 今年の在留邦人子女数調査(外務省調べ)がまとまり、『月刊 海外子女教育』 にも紹介されています。 注目すべきは、アジアに帯同される子女の急増で、アジアにおいても 日本人学校通学者が 初めて半数を割り込みました。 ◆ グローバル化社会の教育研究会(EGS)も、プラットフォーム型の組織です。 今回のお知らせも、期せずして 全てそうでした。 HLABは、『月刊 海外子女教育』 12月号に、参加者の投書が載っています。 ◆ つい最近まで、東京は 暖かな日が続いたため、都内の紅葉は 今一つ鮮やかさを欠いています。 一斉に色づく紅葉を観たい気もしますが、寒さ が厳しくないことに感謝すべきでしょうね。 師走も半ばです。三の酉まである今年は、火事も多いのではと警戒されています。 火の元にもご用心を。 ◆「小羊 (lamb)」とは 生後半年以内の羊をいいますが、それより育つと 英国では 「肉羊(hog)」と呼び、2歳くらいで毛を刈られた(sheared)後に、「羊(sheep)」(食用には不適) になります。 なお、大文字の 「the Lamb」は イエス・キリストを指します。 ◆『中国人の交渉術と価値観』が、スマホのアプリでも学べるようになります(グローバル×ペイカード社が販売)。 中国人観光客などの接客の教本としても、ご活用ください。 ◆ 若者を食い物にする 「リボ払い」や「赤字国債発行」も、大企業絡みのペテンです。 “正直者がバカを見る” 例が横行する社会で育つ子供たちに 「短気はよくない」と諭し、心の拠り所を一緒に探していく営みは、ずっと続けていくしかないと 肝に銘じる年の瀬です。 ================================================================================================== |
【2015-11月】 ◎ 「寒い日は11月に始まる」(英国の諺) 欧州先住民のケルト人は、「新年は11月1日から始まる」 と考え、収穫祭を兼ねて祝っていました。 前夜から 「死者の霊が家族を訪ねて来る」 とする一方、悪霊や魔女も現われると信じていて、仮面を被ったり魔除けの焚き火を焚いたりする風習がありました。 ローマ・カトリックの 「万聖節(Allhallows)/諸聖人の日(All Saints'Day)」は、7世紀頃までは 5月に祝われていたのですが、ケルト人の住む欧州全域に布教するに当たり、その “正月”に合わせて 11月1日に変更されたそうです。 万聖節の前夜(Hallowe'en)、子供たちが 「Trick or Treat!」 と叫びながら大騒ぎをする習慣は、カトリック教徒の 「火薬陰謀事件(Gunpowder Plot。1605年11月5日)」の後、プロテスタントが このテロ事件を記念して 「ガイ フォークスの日(Guy Fawkes' Day)」を始めたことが 基のようです。 「ガイに1ペニーやってよ!(A penny for Guy!)」 と言って大人たちに 小銭をねだる点は、今では 「キャンディを頂戴!」 に和げられ、宗教色も払拭されて、世界中の誰もが楽しめる行事となっています。 ◎ 帰国ママのグループの苦戦 「コスモス浦和 (在外経験者の会)」の 中村かおり さんから、「グループメンバーの高齢化により、この度 活動30周年を機に コスモス浦和は解散し、活動を終えることとなりました。」 とのお便りをいただきました。 横浜の「教育の国際化を進める会(かけはし)」、東南アジア滞在経験者の会(Group Sea) など、高齢化により 活動が休止状態のグループが結構あるのですが、コスモス浦和も とうとう…と、寂しくなりました。 他方、帰国ママたちの世代間ギャップや状況の変化(それによる意識の変化) 等を越えて 上手に世代交代を図り 活動が続いている民間グループには、敬意を表すると共に、一層の活躍を期待しています。 ◎ 第52回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催 11月20日(金)、聖学院中学・高等学校(東京都北区)で行われます。 テーマは 『ミニ・シンポジウム: 帰国生受け入れの“伝統校”は 今 どうなっているか』 です。 EGS研究会では 2003年から3年間、教育フェア 「ガンバレ、帰国生!」を開きましたが、あれから10年を経て 「どこが変わり、どこが変わっていないのかを知りたい」 という質問が よく寄せられます。 今回は、帰国生の指導に長年携わって来られた3人の先生をお招きして、10年前の状況との対比をしながら、各校の現状と帰国生受け入れ校全体の状況がどう変化してきているかについて、参加者で話し合いたいと思います。 ◎ 立冬を過ぎると晩秋です。 秋の味覚の 「ザクロ(石榴 shi2liu)」 の実も熟しています。 鮮やかな赤 には “血”を想起する方も多いとか。 イラン〜インド辺りが原産ですが、わが国には 仏教と一緒に伝来したので、呉音の 「ジャク・ル(石榴・若榴)」 から 「ザクロ」 と変化したそうです。 かつては、果皮を煎じて下痢・下血の薬、虫下し、口内炎・扁桃炎等のうがい薬などに用いられていました。 在来種の実は酸っぱくて、食用としてよりも 銅鏡を磨く材料として使われることが多かったようです。 今日、私たちの口に入るのは、輸入物。 ミネラルやビタミン、酒石酸・クエン酸(カルシウム吸収を助ける)などが豊富で、疲労回復や骨を丈夫にする効果があります。 ポリフェノールも多く、抗酸化作用による生活習慣病予防が期待されます。 英語では 「つぶつぶリンゴ(pome-granate)」 とフランス風に呼びますが、欧州大陸では 「grenade」。 1月の誕生石 「石榴石(garnet)」、カクテル用シロップや染料の 「grenadine」の語源です。 また、形状が似ていることから 「手投げ弾・榴弾」も意味します。 18〜19世紀の欧州では、接近戦の切り札として 「近衛歩兵の擲弾兵部隊(Grenadier)」 が 各国で編成されました。 その後、手榴弾や擲弾発射器(G.launcher)が 歩兵の標準装備となるにつれて、「Grenadier」は 次第に“名誉称号”となります。 しかし、“鉄血”のシンボルに変わりありません。 「実ざくろの裂けたき空となりにけり」(下村志津子) ◎ 学園祭のシーズンは小学校・幼稚園の入試 東京の私立小学校・幼稚園では入試が行われており、本帰国が3月に固定されている家庭にとっては、受験のために一時帰国することが必要です。 中学・高校であれば、海外入試やインターネット入試等を してくれる学校もありますが、これも かなり限られています。 なお、中学・高校の帰国生入試は 11月20日から12月中旬に集中しています。 通常は 出願前の事前相談が必要ですので、帰任が近いようでしたら、早めに問い合わせることをお勧めします。 10年間で 「共学になった学校」「別学にした学校」「男子校or女子校で頑張っている学校」「IB導入校」 などのほか、かつての帰国生受け入れ校で “進学校色”を打ち出す所もあり、さまざまな変更が起こっています。 ◎ 11月22日から「射手座」です。 「射手座 (Sagittarius, Archer)」には さほど明るい星はなく、秋の夜の天の川の中に 静かに佇んでいますが、天体や天文学に関心のある人は、常に頭の片隅に置いています。 なぜなら、銀河系の中心が その方向にあり、星雲・星団 あるいは変光星などの宝庫なのです。 “射手”には “一発屋” のイメージがあり、「楽天家で、嫌なことは直ぐ忘れてしまう(反省もしない)」と見られがちですが、元々は、常人の見えない先まで直感的に見抜ける、いわば “慧眼の才能(sage)” に恵まれていると考えられていたのです。 かつて「帰国子女」に対して、これに似たイメージを描き、敬遠したり期待したりする風潮が 1980年頃にありました。 とんでもない偏見に、本人も家族も翻弄されることが多かったのですが、「帰国子女受け入れ校」 という 世界でも稀な制度が生れる背景でもありました。 もちろん、新しい言語や環境に馴染もうと、幼い頭で懸命に努力した結果として、帰国生が多少 楽天的な性格を獲得しているかもしれません。 しかし それは、彼らが苦労の末につかんだ知恵ですから、周囲の者こそ 「sage(賢者・哲人)」の度量で受け止めたいものです。 ◎ 南山国際が2022年度末に閉校 南山学園が、南山国際中学(愛知県豊田市)の入学者募集を 2年後から停止すると発表しています。 最後の学年が中学校を卒業する2020年3月で中学校を廃止、彼らが高校を卒業する2023年3月で高校も廃止して、完全に閉校となります。 南山学園は上智大学(東京都千代田区)の兄弟校です。 1979年に南山中学校に設置された海外帰国子女特別学級(後に国際部)を母体として、1993年に南山国際中学・高校を開校しました。 自動車関連企業などの要請を受けて、帰国生と外国籍生徒に特化したユニークな学校でした。 文部省改革に伴う補助金打ち切りもあって、累積赤字が75億円に達していたそうです。(2008年度の在籍者 780名⇒ 2015年度 470名) マルクス理事長は 「帰国子女は特別な存在ではなくなり、社会から与えられた使命を十二分に果たした」 と語っています(10/24)が、寂しい限りです。 学園関係者には、10月中旬に 突然発表があったそうです。 EGS研究会で話題提供をしてくださったこともある 浅野 享三先生から、「外国人生徒と日本人帰国生徒は、今 わが国の大きな教育改革が進行するなかで、新たな存在として位置付けられるのに、余りにもったいないです」 とのお便りをいただきました。 帰国生の関係者としては、南山中学・高校で受け入れていってくださるよう願っています。 ◎11月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ TJFセミナー「りんごをかじろう」--- 11月 7日(土)、於:講談社会議室(東京都文京区)。テーマ「暮らしの中の祈り--- タイの民間信仰」=加納 寛(愛知大学 教授)。 ※“りんご”は 国際文化フォーラム(TJF)の提唱する「さまざまな文化や隣語(りんご=外国語)に触れよう」という運動です。 ★ つくば市 ICTを活用した小中一貫教育研究大会--- 11月10日(火)、於:つくば国際会議場(茨城県つくば市)ほか。 [1日目] 授業公開:春日学園(小・中学校)、つくば竹園学園(東・西小学校、東中学校)、ICT教育全国首長サミット。 [2日目] 文部科学省基調講演、分科会:「これからの小中一貫教育におけるICTの活用」=樋口 直弘(筑波大学教授)、「2020年のICT教育」=赤堀 侃司(東京工業大学名誉教授)ほか。 ※ ICTを活用した小・中一貫教育の授業公開や実践発表を行い、今後の在り方を提案・協議します。 ★ バイオ研究で世界へ羽ばたけ!10代サイエンティスト!--- 11月15日(日)、於:日本科学未来館 7F 会議室(東京都江東区)。「藻類を使って肥料をつくる」=蒲 朋恵、「腸内環境と私たちの健康の関係」=服部 真央、「緑茶成分カテキンの機能と新しい活用法」=東野 昌伸、「インフルエンザワクチンに関する伝え方の研究」=柳田 優樹 ほか。 ※ 5人の高校生等が、バイオテクノロジーに関する個人研究の成果を発表します。 ★ 第8回 日本旅行医学会 東京大会--- 11月15日(日)、於:東医健保会館(東京都新宿区)。 基調講演「進化する免震・耐震技術の最先端」=金子 美香(清水建設(株) 安全安心技術センター所長)、「新ガイドラインに沿った食物アレルギー対策」=山口 公一(同愛記念病院 小児科 部長)ほか。 ※ 外国人旅行者に関して 受け入れた症例、言葉・システム対応の取り組み、将来展望の3部門の現場報告です。 ★ 第52回 グローバル化社会の教育研究会(EGS)--- 11月20日(金)、於:聖学院中学・高等学校(東京都北区)。 ミニ・シンポジウム 『帰国生受け入れの“伝統校”は 今 どうなっているか』。 <パネラー> 石川 一郎(かえつ有明中・高等学校 校長)、北原都美子(啓明学園 理事・学園長)、熊野 孝(桐朋女子中学・高等学校 教頭・国際教育センター主任)。 ※ 10年前のEGS教育フェア資料と 現状とを対比しながら、何が変わって 何が変わっていないのかを検証します。 ★ 獲得研 第15回 高校生プレゼンフェスタ--- 11月22日(日)、於:跡見学園中学・高等学校(東京都文京区)。 テーマ 「参加型で考える 私たちの未来!」。 ※ 多様な文化的背景をもつ生徒が その場でグループを組み、半即興型のプレゼンテーションに挑戦します。 ★ 日中文学シンポジウム「食と文学」--- 11月27日(金)、於:日中友好会館 大ホール(東京都文京区)。 [一部] 基調講演:浅田 次郎(日本ペンクラブ会長)、中国作家代表 ほか。 [二部] パネルディスカッション <通訳あり> ※ 日本ペンクラブと中国作家協会との相互訪問・交流活動の一貫です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 印欧語族(IE)では 「一日は、日没から日没まで」と考えますので、祝日もお祭りも、前日の日没(eve.) から始まるのですが、私たちは それを 「前夜祭」 と呼んでいます。 だから、ハロウィーンも 元を質せば ケルト人の “正月行事” なのです。 ◆ 消費者事故調査委員会が、染毛剤(ヘアカラー)の危険性を呼び掛ける報告書(10/23)を発表しました。 30年前からアレルゲンとして公表され、花粉症もアトピーも毛染めが原因かもしれないのに、高校生までが髪を染める風潮に流されています。 ◆ 「地方自治は国の政策よりも優先される」 という民主主義の原則も、葬り去られようとしています。 “国家の品格” を損ねる 「カネ! カネ!」の合唱を聞くと、心が張り裂けそうです。 それでも、「健全な心は健全な心に宿る」 と言いますので、皆様、お身体をご自愛くださいますよう。 ◆ 立冬を過ぎると「地始凍(大地が凍り始める)」と言われ、わが国では、“地(→血)が固まる” の縁起担ぎで ザクロが 一役担っていたようです。 なお、お釈迦さんが「鬼子母神」にザクロの実を与え、人肉を食べないように諭したという逸話は、わが国だけの俗説です。 ◆ 『エイズ治療薬を発見した男』の満屋 裕明博士が、初めてテレビ(NHK)に登場されました(10/8)。「死の病」を “闘える病気” に変えた功績に奢ることなく、「救えなかった命」に涙される姿には、胸が熱くなります。 ◆ 雲一つない快晴の青空… 朝の澄みきった空気も心地よく、思わず深呼吸してしまいます。 「今日も何か良いことがある」と思って 一日が始められるのは、本当に幸せです。 ◆ ヒンズー教の賢者は「saga」で、日本語の「賢(サカ)し」の語源といわれます。 マレーシア国産車企業(PROTON)の第一号車種も「Saga」と名付けられています(第二号車種は「Wira (勇者)」)。 赤くて堅いサガの実は 重さが一定(0.25g)なので、昔は 金取引の分銅として使われました。 ◆ 南山国際 ならびに南山大学には、私の関わった生徒を 随分受け入れていただきました。 とくに大器晩成型や天性素直な生徒を受け入れ、大事に育ててもらえていることには、心より感謝しています。 ================================================================================================== |
【2015-10月】 ◎ 晩秋の夜空に オリオンが猟犬を伴って登場 犬は “最も古い家畜” とも言われ、従順で働き者のイメージが強いのですが、身近にいるが故に 差別・偏見の対象にもされます。 中近東から欧米にかけては 「劣等な・見下げた奴」「下らない物、粗悪品」「愚民、烏合の衆」などの代名詞ですし、とりわけイスラム教では、近づくことすら嫌悪されます。 これが「雌犬(bitch)」となると 更に残酷で、「意地悪・利己的・わがままな女」「淫らな女」の蔑称になり、耳を覆いたくなるほどです。 その点、東洋では「狐(hu2)」が その役割を担っていまして、犬を表わす「狗(gou3)」には やや同情的です。 主人に従順であるということは、周囲の者には “警戒すべき対象”で、“走狗(為政者や悪人の手先)”と見られ易いからです。 また、職務上では最前線に立たされ、任務を終えると 「走狗烹らる」の運命も待っています。 因みに、中国語で「熱狗(re4gou)」は “熱いソーセージ(hot dog)”で、火傷をしないよう串に刺すか、パンにくるんで売られます。 アメリカで 「ドイツ製ソーセージには犬の肉が使われている」という偏見から生まれた名前も、中国では 抵抗なく受け入れられているわけです。 ◎ 第51回グローバル化社会の教育研究会(EGS)を開催 10月3日(土)、聖学院 駒込新館(東京都北区)で開かれました。 松村 浩二先生から、上海飛翔インター設立の経緯と17年間の生活環境の激変、ONLY ONE指導の方法論、指導の現状、指導実践から見えてきた課題、そして「飛翔インターの可能性とは何か?」等についてお話を伺いました。 「異学年 複数科目 同時指導」は、一人ひとりの子供と真摯に向かい合う必要性から生れた“必然”であり、“ライブ感覚”の緊張感が子供の理解力を支えているというお話しは、感動的でした。 子供や保護者からの手紙や指導記録簿、月間通知簿などの実物(写し)も見せてくださり、今の教員の常識では “神業”に感じられることも、合理的で効率的な工夫に裏付けられていることが判ります。 むしろ、かつての僻地や離島の教育現場で当り前のように行われていたことが、昨今の教育現場にノウハウとして受け継がれていないことの方が問題なのではないか と思われます。 ◎ 教育の情報化セミナーを全国各地で開催 10月17日(土)から 「New Education Expo 全国縦断 教育の情報化セミナー」がスタートします。 NEE20周年の特別企画として、教育の情報化セミナーを全国各地13都市で開催するもので、タブレット端末の導入事例、ICT活用でどのような授業効果が得られるかの実践例が紹介されます。 (株)内田洋行が後援しており、参加費は無料。 電子機器の使用に消極的だった中高年の先生方には 願ってもない機会です。 ◎ ヨハネスさんの事件、治療費は未解決 10月1日(木)、マスコミ各局が一斉にニュースを流しました。 この事件は一昨年8月、観光で東京を訪れていた ヨハネス・スハルソノさん(インドネシア人、当時36歳)が 中国人青年に新宿の路上で殴られ、頭がい骨骨折の重傷を負わされたというものです。 刑事事件としては、容疑者が起訴されて一応の決着をみたわけですが、事件以来26か月に亘って寝たきりになっているヨハネスさんの治療費は、莫大な額(1千万円以上?)に達しています。 しかし、容疑者や その一族の資産は ほとんどなく、損害賠償の力はありませんし、ヨハネスさんは観光旅行で日本に来て事故に遭ったため(本邦の居住者ではないため)、わが国の犯罪被害者等給付金支給法が 適用されません。 日本に観光でやってきた青年が不幸な事故に遭い、植物状態に陥っているという状況には 心が痛みますが、「外国人vs.外国人の事件」が起こるたびに、外国人観光客の積極的受け入れの姿勢・体制が、全然整っていないことを痛感します。 このままで オリンピックなどできません。 ◎ 在外教育施設の第2期教員公募は11月上旬 海外の日本人学校・補習授業校の教員公募(2016年4月赴任)です。 7月の「第1期(学校別)募集」が 応募側の“単願”(プロ野球でいう「逆指名」)であったのに対し、11月の「第2期(学校一括)募集」は、いわば “ドラフト会議”です。 “ドラフト参加校”は 海外子女教育振興財団のホームページで確認できますが、どの参加校に決まっても赴任することが応募条件。 指名を受けた全ての学校の面接選考を受け、内定者決定ルールに基づき、最終的に1校から内定を受けます。 採用予定数は約80名、応募期間は11月1日(日)〜11月13日(金)正午(書類必着)です。 なお、内定後は学校との直接契約となります。 任期は2年以上、給与は原則として「現地通貨払い」で、月額15〜25万円相当(賞与は年に1〜2ヶ月分)。 教員社宅は 学校側で用意されます。 このほか、医療保険料の補助、赴任・帰任時の旅費・支度金等も支給されます。 ◎ 「さそり座(Scorpius, Scorpion)」に入ります。 10月24日からです。 夏の星座なのですが、「霜降」(10/23頃)から「小雪」(11/22頃)の間、太陽が留まるとされ(黄道)、古くから天体観測の基本に据えられてきました。 とくに、サソリの首の辺りの一等星アンタレスは、太陽の約7百倍の大きさと言われる巨星です。 火星が接近して見える時期、競うように赤く輝くことから、ギリシャ語で 「火星に対抗するもの(anti-Ares)」 と名付けられました。 サソリは一見、甲殻類に見えるのですが、クモの仲間です。 殻もさほど堅くなくて、鳥類やネズミ等の餌食にされます。 毒も、神話でいわれるほど強くない種類がほとんどだそうです(蜂に刺されたくらいは腫れるようですけど)。“両手”(鋏) で獲物を押さえて 尻尾の先で毒針を刺す様子から、「腹黒い人」の意味になり、スパイや魔術・詐欺など 危ない話に よく登場します。 また、古代の武器「投石器(ballista)」の愛称でもあります。 ◎ 『帰国生への学校案内《関西》2016』が発行されています。 関西 「帰国生親の会かけはし」 の,帰国ママが 近畿地区の受け入れ校等を 直接訪れ、母親目線で取材した資料集です。 巻頭特集のセミナー報告 「グローバル人材という名の象」も 時宜を得た企画。 保護者必見です。 ◎10月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 第51回グローバル化社会の教育研究会(EGS)--- 10月 3日(土)、於:(学)聖学院 駒込新館(東京都北区)。 テーマ「上海の指導現場から見えてきたもの」=松村 浩二(上海飛翔インター 校長)。 ※ 学年も学習進度も異なる子供たちを 同時に指導する“奥義”に迫る試みです。 そこには 日本の教育の課題が浮き出てきます。。 ★ TJF・REX-Net共催レクチャー--- 10月18日(日)、於:大阪大学 中之島センター(大阪市北区)。テーマ「グローバル時代の社会とつながる教育」=當作 靖彦(カリフォルニア大学 教授(言語学博士)) ※ グローバル時代のキャリア形成,ライフデザインにつなげる先進的な教育目標・教育実践・評価について考えます。 注)札幌でも開催予定(11/7)。 ★ Intel Teach Program 1day研修 in 東京--- 10月12日(月)、於:ダイワボウ情報システム(株)(東京都品川区)。 テーマ 「21世紀型スキル育成のためのプロジェクト型学習の体感」。 ※ いわゆる「アクティブラーニング」を ワークショップ形式で学で学ぶことで、現学習指導要領下でも直ぐに使える授業づくりを目指せます。 ★ 横浜国大附属鎌倉中学校 研究発表会--- 10月14日(水)〜16日(金)、於:横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉中学校(神奈川県鎌倉市)。 テーマ 「育成したい資質・能力をふまえた授業づくりと評価」。 ※ 自立した人間として 多様な他者と協働しながら創造的に生きていくために必要な「資質・能力」を希求します。 ★ 2015 東京私立中学・高等学校 池袋進学相談会--- 10月18日(日)、於:池袋サンシャインシティ文化会館(東京都豊島区)。 ※ 東京私立中学高等学校協会の主催。204校が募集要項や出願書類を配布し、相談にも応じます。 ★海外子女教育振興財団 特別講演--- 10月25日(日)、於:J国際学院(大阪市西区)。 テーマ「帰国生のための英語表現力の育成」=服部 孝彦(大妻女子大学 教授、早稲田大学 講師)。 ※ 服部博士の第二言語喪失研究を踏まえた参加型ワークショップ形式。「ロジカル・スピーキング入門」「アカデミック・ライティング入門」の二部構成。 ★ 第13回 beo 大学・大学院留学フェア(英語圏)--- [東京]10月25日(日)、於:ベルサール渋谷ファースト(東京都渋谷区)、[大阪]10月27日(火)、於:ハービスOSAKAホール(大阪市北区)。学校ブース、留学セミナー、相談ブースで専門家が対応。 ※ 米・英・濠など英語圏の大学・大学院が約100校集結。認定・休学留学、語学留学の相談もできます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ サラリーマン(公務員・教員も含め)が 「走狗烹らる」を恐れて 事なかれ主義に染まり、「狗拿耗子(犬がネズミを捕る⇒余計なお節介をしない)」を決め込む例が 少なくありません。 でも、そんなのは 面白くない人生ですよね。 ◆ 秋祭りや学園祭の花盛りのシーズンです。 子供たちの元気な声を聞くと、こちらも元気が湧いてきます。 秋の味覚は美味しく食べられる時に 食べておきたいものです。 猛暑の疲れを癒し、冬の寒さに備えましょう。 柿や栗など 秋の味覚が店に並んでいますが、結構 良い値段です。 いつの頃からか 「物価指数では季節要因を省く」ことになって、季節野菜の高騰は、物価指数ではノーカウント。 それで「物価上昇率2%以下」という人たちは、庶民感覚から大きく乖離していますよね。 ◆ 先日、曽我部 泰三郎 先生(元 お茶大附属中学校 副校長)をお訪ねしました。 93歳ですが、お話しは しっかりしておられます。 若手教員の時代から 定年後の東京銀行相談室長、日本在外企業協会のお仕事のことまで、懐かしく聞かせていただきました。 文字通りの“生き字引き”です。 ずっと お元気でいてくださいますよう。 ◆ 上海の信男教育学園が、日本語教師を募集しています。来年9月からの国際職業高校(看護科等)の開校も控え、教員確保は急務です。 免許外の先生であっても、“日本語で教えた”経験のある方なら 是非 問い合せて欲しいそうです。(まずは、こちらまで ご一報ください。) ◆ 天空上をあちこち動き回る 火星に比べて、アンタレスは じっとしている感じが 如何にも サソリらしいです。 「ある日突然現れて、周囲からチヤホヤされて…」 と嫉妬の眼を向ける同級生の心情も 理解することから、転入生の指導を始める必要があります。 ◆ 今世紀に入り、日本のノーベル賞受賞者が急増しています。 評価されている実績は30年以上前のもので、教育・研究は将来への投資なのです。 1990年以降、その予算を削って高齢者優遇の政策をとる人に政治を任せてきた私たちは、子や孫の世代に何といって詫びるのでしょうか? ◆ 灯火親しむ候ですが、女性の間で「哲学ブーム」が起こっているそうですね。 睡眠不足になられませんよう、お身体をご自愛ください。 ================================================================================================== |
【2015-9月】 ◎ 「学校に戻る (back-to-school)」は 9月の“符丁” 多くの国々が “新年度”を迎え、生徒たちも先生方も、どことなく ウキウキした気分になっていて、私たち日本人が “桜の咲く4月”に抱く感慨を、9月に感じているわけです。 したがって、この通信で毎年5月初旬に書いています 「環境への不適応症状(いわゆる“五月病”)」は、海外校の子供たちには 10月初旬に やってくることになります。 心身の変調を訴える時期が 迫っていますので、保護者・教員のみならず 周囲の理解と心遣いが必要です。 他方、8月下旬から 「乙女座(Virgo, Virgin)」に入っていますが、この時期に生まれた人は 星占いで 「理詰めの性格、独立心が強い、勤勉」とされます。 社交的でボランティア精神旺盛 とも言われます。 しかし、乙女座の “左手”に当たる1等星は、「スピカ (Spica, ear of grain)」--- 麦などの“穂”のことですが、これが結構 私たちの手や腕などに “突き刺さり(spike)” ます。 どんなに 「清純無垢な人(white rose of virginity)」でも “棘がある(have thorns)” のです。 ◎ 全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会(全海研)が全国大会 8月21(金)・22日(土)、全海研の全国大会/関東ブロック大会が、東京(代々木)で開かれました。 教育界の世代交代が急速に進む中、全海研では 研究団体としての充実・改革に向けた努力が続けられています。 しかし、研究実践報告の中身も 協議の質も 高レベルに維持されており、心強い限りです。 とりわけ 港区立の東町小学校の取り組みは 素晴らしいもので、議論が盛り上がりました。 ◎ グローバル化社会の教育研究会(EGS) 第51回研究会 上海の飛翔インター校長の 松村 浩二先生に 話題提供をお願いしました。 帰国生受け入れ校の担当教員の間で “伝説” となっている 松村先生の授業は、多学年と習熟度別の個別指導とを 同時並行でやってしまうものです。 小規模校の複々式学級や、帰国生の国際学級などでは、学年も学習進度も異なる子供たちを 同時に指導せざるを得ないのが普通です。 現場で苦闘している先生方には 是非 知ってもらいたいと願います。 なお、現役の先生方のご希望に応え、土曜の午後に開催します。 日時 : 2015年10月 3日(土) 午後1時〜3時半 場所 : 学校法人 聖学院 駒込新館(東京都北区中里2-9-5) ◎ 「ロハ」にしていいの? 日本語で「ロハ」は、明治時代に “代金無用(free)”の意味の「只」を、カタカナで分けていう流行の名残りです。 「只」には、“唯一の(sole)”の意味もありますが、「只ひたすら」は “心(soul)の底から” 何かに専念することです。 今 流行の「ロハス(LOHAS)」は “健康と持続可能な社会生活を心がける生活様式” の頭文字をとった言葉です。 陸上競技の高地訓練、そしてスノボーで有名なアメリカのボルダ―市で1990年代から始まり、わが国には 高橋尚子選手の人気の高まりと一緒に伝わってきました。 有名になり過ぎて 商標登録が間に合わず、使用料が “ロハ”になったとか…。 マレー語で「loha」は “午前9〜10時ころ”のことで、イスラム教の「正午の祈り(Lohor=11時頃)」の前に 個人的に捧げる祈りのことも意味します。 また、「rohani」は “霊・精霊・精神”の意味です。 ハワイ語で「アロハ(aloha)」は、“愛(love)・親切(kindness)”などの意味で、挨拶では「ごきげんよう」となります。 時刻や状況に関係なく使える挨拶のオールマイティです。 「アロハ シャツ」は 和製英語といわれるほど日本人に親しまれていますが、商標登録は中国人がしています。ともあれ、アロハシャツを着たお洒落なお年寄りを見かけると、嬉しくなりますね。 「定年の無位のアロハの涼しけれ」(久本十美二) ◎ 朗読ユニット『ぽらりす』のHP 蠣崎 裕子先生が代表を務められている 『ぽらりす』のホームページが “工事中”です。 NHKの杉澤陽太郎さんの薫陶を受けた人たちで構成する “朗読サロン”の会ですが、「伝わる“読み”の技術」を次世代に引き継ごうと頑張っておられます。 このサイトは、「アジアの生活と文化を考える会(Group Sea)」「ICBA国際児童文庫協会」「FRC福岡帰国子女の会」、そして 上海日本人学校高等部などの 最初のホームページを引き受け、それぞれの“巣立ち”までお世話してきました。 『ぽらりす』の運営も 早く軌道に乗り、発展されることを祈っています。 ◎ 間もなく中秋節です 今年の「中秋節(Zhong1qiu-jie, Moon-cake Fes.)」は 9月27日(日)です。 中秋節の数週間前から「月餅」を贈り合う習慣が あるのですが、高級になればなるほど餡の中に漢方薬の類が増えていって、まるで “屠蘇袋の中身”を食べているような感じになります。 正直なところ、美味しいといえるものではなく、「幸せは皆とお裾分け」と他所に回されるものも少なくありません。 中国では日本人学校でも、日頃 お世話になっている役所関係や警察などの担当者に 月餅を届けます。 「こんなことをしてはいけない」「いえいえ、これは日本の風習でもありますので…」の押し問答を しばらくしてから、強引に置いて帰ります。 まあ、これを口実にアポを入れ、定期的にコミュニケーションを図っておくことが、“相互理解”の基礎 となるわけです。 ◎ 乙女座と天秤座 乙女座は ギリシャ神話の司法神「アストライア(Astraia、Justice)」だとも言われます。 堕落して 欲望と争いが絶えなくなった人類のために、最後まで地上に留まって正義を訴え続けた女神です。 善悪を量るための「天秤(Libra、Scales)」を手に持っていました。 元は、古代ヒンズー教の司法神「ヴァルナ(Varuna、水天)」で、天の運行を司り、それを乱す者には 「腹水病」の罰を与えると信じられていました。 わが国の古事記の冒頭では 「天之御中主神」の名で登場する始源神です。 少子化のせいか、最近は 安産祈願の話題を余り耳にしません。 なお、アストライアが人類に絶望して手放した天秤は、虚しく夜空を漂っています。 天秤座生まれの人は 「優雅で穏健」の性格とされる一方で、「真面目に細かいことに拘る反面、決断力に欠ける」 といったイメージも付きまといます。 天秤の持ち主の不在が原因かもしれません。 ◎ 「日本サッカーの父」が逝く 9月18日(金)、D-クラマーさんの訃報が届きました。 メキシコ五輪の年 高校1年だった私は、長沼 健監督や小城選手・桑原選手が高校の先輩であるため、クラマーさんの教えは身近に聞いていました。 今でいう 「スポーツ工学」の基本を説くものでした。 しかし、クラマーさんの神髄は 「人間を愛すること」にあり、「“共に育つ”という姿勢が世界の発展・繁栄を促す」 という信念だったと思います。 気性は かなり激しい方だったようですけど…。 日本の安保法制が変更される前夜に、平和の灯が また一つ消えました。 ◎9月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 登進研バックアップセミナー 94--- 9月 6日(日)、於:SYDビル2階ホール(東京都渋谷区)。テーマ「不登校 ― 登校刺激は誰のためなのか?」=小澤 美代子(さくら教育研究所 所長)。 ※ 登校拒否の子どもたちの進路を考える研究会 主催。 第2部は「不登校なんでも質問箱」。 ★ 帰国生のための学校説明会・相談会(秋)--- 9月12日(土)、於:(学)文化学園 遠藤記念館(東京都渋谷区)。[特別講演]「英語学習の大切さと学習のポイント、英検の活用方法」=塩崎 修健(日本英語検定協会 教育事業部長)、「大学入試制度変更による影響と今後の対策について」=安田 賢治((株)大学通信 常務取締役)、 教育相談員の講話、個別ブース参加校の挨拶 など。 ※ 帰国生入試の願書受付時期を控え,“最後の相談”をする絶好の機会です。 ★ 異文化コミュニケーション学会 第30回年次大会--- 9月19日(土)・20日(日)、於:桜美林大学 町田キャンパス(東京都町田市)。テーマ「未来に向けてのダイアローグ--- 戦争と平和を考える」=近藤 紘子(広島原爆の体験者)、久郷ポンナレット(ノンフィクション ライター)ほか。 ※ SIETAR 30周年記念のパネルDのほか、前日に東京ジャーミイ(モスク)の見学も。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 文科省の「子供の自殺等の実態分析」等によれば、わが国の18歳未満の自殺のピークは 8月末〜9月初 とのこと。 学校も人生も 楽しいものであって欲しいし、“自殺は近所迷惑”ということも 解って欲しいです。 ◆ 合田 芳弘先生(香川県)の 『改変孩子、這里開始』 が、上海のブックフェアで注目され、中国全土で購入できるようになったそうです。 日本・中国・韓国・タイの子供1万2千余名に、睡眠と食育ついての調査をした結果の報告書です。 元になった論文は 英語・中国でもご覧いただけます。 ◆ 学生募集でマレーシアに行く大学職員にとって、マレーシア元留日学生協会(JAGAM)の ロハニ女史は、実に頼もしい存在です。 流暢な広島弁を駆使される愉快な方ですが、“赦して”の意味で 「ロハにして!」を連発されるのはどうも…。 ◆ 6月の気象庁発表では、ペルー沖海水温度が非常に高いレベル(+4度)にあり、沖縄の梅雨が例年より12日も早く明けたとのことでした。 急激な気象の変化、台風の日本接近など 「例年よりも激しい気象現象が起こり易い」との警告でしたが、その通りの事態となりました。 世界各地で異常気象が続いています。 避難勧告が出たら、直ぐに避難を! ◆ 定期的に「一緒に食事をする」ことは、どこの国においても必要なことですけど、説教あるいは自慢話は禁物です。 職務と全く関係ない話題で楽しく過ごすことができないと、次回はありません。 ◆ 天秤秤(scales)は物資の流通には欠かせない道具ですが、梃子(テコ)の原理を応用した台座式のものが多いようです。 分銅が軽くて扱い易いからでしょうね。 もちろん、体重も量れます。 ================================================================================================== |
2015年 8月以前のニュースは こちら。
※ ニュースのオリジナル版は、日本人学校・補習授業校にも
お送りしています。
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