子女教育ニュース

      担当: 国際教育相談員 小山 和智
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、
一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。
2018年 8月7月6月5月1月〜4月、2017年 9月〜12月5月〜8月1月〜4月。 2016年 9月〜12月

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【2018-8月】

夢は 「Jupiter」 にお願いするのが一番
  田舎で過ごす夏の夜には、ぜひ星空を見上げてみましょう。 寝転がったり座り込んだりして ゆっくりと…… 思わず口から出る歌が 『When You Wish upon a Star (星に願いを)』 という人も多いでしょう。 ディズニー映画 『ピノキオ』(米 1940年) の主題歌で、あらゆる年齢・世代に親しまれる名曲です。 青春時代の、恋への憧れや思い出を重ねる人も多く、“叶わぬ夢” への惜別の涙にも重なったりします。
  「a bolt out of the blue」 は、ローマ神話のユピテル (Jupiter=ギリシャ神話のゼウス) が空から投げ下ろす 「thunderbolt (雷光)」 のこと--- 青空から いきなり ピカッ! バリバリッ! と、何の前触れもなく突然に起こる様子 (青天の霹靂 <へきれき>) をいいます。 でも、本当は とても嬉しいことが到来しています。 「Your dream comes true.」 ですから。
◆ 「Jupiter」(木星) は “天空or日の父たる神”の意味で、中国では 「太歳(星)」。 「一番星」は 金星 (Venus:太白星) なのですけど、わが孫が 「一番星!」 といって指差すのは、いつも木星です。(苦笑) ◆ 火星が 15年振りに地球に大接近していて、今月中は 木星よりも明るいそうです。 『Fly Me To The Moon (In Other Words)』では、「木星や火星に どんな春が訪れるのか見てみたい。つまりね……」 と歌われます。

第65回グローバル化社会の教育研究会(EGS)を開催
  7月23日(月)、「IB教育と教員養成」 をテーマに開かれました。 国際バカロレア(IB) は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、“より良い より平和な世界” を築くことに貢献する、探究心・知識・思い遣りに富んだ若者の育成を目的としています。 自分と異なる考えの人にも それぞれの正しさがあり得ると認め、共感する心をもって、生涯に亘って学び続けるよう 子ども達、そして教師自身にも 働きかけるものです。
  星野あゆみ先生は、IB教員の養成には、有給でIB研修に専念できる制度や、十年研修 or教員免許更新の際に IB研修を盛り込むなどの工夫も必要と提案されました。 また、IB研修の目的は、単に教師個人の技量向上だけでなく、学校全体としてのアクションプランが立てられる “内発的な教員” を育てることにあることも、指摘されています。 それは、新しい学習指導要領を具現化する方向性とも一致しています。 IBの理念や 膨大に蓄積された教材・ノウハウなどが 広く知られていくだけでも、日本の教育が変わる追い風になるのではないでしょうか。

新型エンジン「SKYACTIV-X」の可能性
  「ハイブリッド車 (Hybrid Vehicle)」 「電気自動車 (Electric Vehicle)」 「燃料電池自動車 (Fuel Cell Vehicle)」 のデメリットについて 論じる気はありませんが、これらの車の “環境に優しい+燃費が良い” という要素も、愛好者が信じているほど数値は良くないのが現実です。 にも拘らず、「〇〇年までにガソリン車の製造を停止」 と決定する国が相次いで、運転愛好家は 気が気ではありません。
  昨年8月、マツダが新型エンジン「SKYACTIV-X」 の実用化に成功したことを発表しました。 「HCCI (予混合圧縮着火)」 という技術で、ガソリンをディーゼルエンジンのように自己着火させ、CO2削減とクリーンな排気(NOx・煤etc.削減) を両立させる “究極の燃焼方式” です。 燃費効率でも ハイブリッド車を凌駕しますので、数年後には “賢い人が乗る車” といわれるでしょう。 もちろん、運転愛好家には堪らない “感触” が 残されます。 そして、洪水後の使用では 感電の危険も少ない……?

夏休みは まとめて取られていますか?
  河合 薫さんが、『「1カ月の夏休み」 は夢?』 というコラム記事(8/10) で、国際労働機関(ILO) は、有給休暇の分割取得を 原則的に認めていないことを紹介しています。 現在の世界標準=ILO第132号条約(1970年) では、「労働者は1年間の勤務につき 3労働週 (5日制⇒15日、6日制⇒18日) の年次有給休暇の権利をもつ」 「休暇は原則として継続していること。 もし 分割される場合、その一部は連続2労働週を下回ってはならない」 「祝日や慣習上の休日は、年次有給休暇の一部として数えてはならない」 と規定されていると。
  つまり、年20日間の有給休暇がある場合、少なくとも10日は連続して休むことが求められているのに、日本は批准していません。 「国連を尊重し、優等生でありたい」 と言う政治家も役人も、大嘘つきです。 「こういった連続した休暇を取らせる制度…… これが国のやるべきことだと思うのです。 プレミアムフライデーだの、シャイニングマンデーだの 小手先のイベントを打ち上げても 意味がない」 と河合さんも訴えます。
  もちろん、日本は昔から貧乏な国なので 「身を粉にして働く」 が当たり前という考え方もあります。 まして 個人事業主には、有給休暇などありません。 しかし、家族一緒に数日間の休暇を過ごした思い出は、子供たちが独立した今では 貴重な財産になっています。 若いお父さん・お母さんには 是非、そのことをわかってほしいものです。

風邪薬の「Airborne」について考える
  夏風邪にもご注意ください。 わが国には 「葛根湯」 という万能薬がありますが、アメリカの風邪の予防薬 「Airborne」 は、最近、日本でも知られるようになりました。 風邪の初期症状がある時に 患部に 「throw into(投入)/「dispatch(急派) され、翌日には症状が和らぎます。 こう表現されるのも、本来の意味が “空挺部隊” だからです。 軍用機から落下傘で降下して 敵の背後を急襲するなど、軍隊の花形です。 映画 『Private Benjamin』(米 1980年) では、主人公が空挺部隊に配属されますが、その隊員は “最精鋭のエリート” であることがわかります。
  わが国には、陸上自衛隊に 「第一空挺団」 があります。 私たちの世代の海外駐在者は、「自分たちの命はどうなっても好いから、自衛隊海外派遣はしないで欲しい」 とずっと願っていたのですが、1999年、海外邦人保護を目的とした「誘導隊(50人規模) が編成されました。 「邦人の生命・財産を守るため」 で始まった上海事変(1932年,1937年) の不幸が解る人は、どんどん少なくなっていきます。
  2002年には 「特殊作戦群 (SOG)」 の予算が通り、翌年 暮れには 「イラク復興業務支援隊」 に SOG要員が参加しました。 彼らは部隊として活動する時は軍服を着ますが、通常は民間人に紛れ込むので “格好いい青年” としか見えません。
◆ 昨年5月に強行採決された自衛隊法改正が施行され、今年3月に 「陸上総隊」 が創設されました。 陸自の “最高司令部” の創設は、太平洋戦争で統帥権を盾に暴走した “陸軍参謀本部” の復活ではないかと危惧されましたが、安倍首相は 50年振りの大改革を断行したわけです。

今年の豪雨の被害は、未曽有の規模
  小泉内閣 (2001年〜) による郵政民営化は、過疎地への行政サービス削減 (←都市計画法) の一貫でしたが、山村のライフラインまで “抑制” することは 過疎化を助長し、日本の林業の衰退を加速させました。 劇画『カムイ伝』 にも 江戸時代の “治山” の重要性が描かれている通り、林業は 治山にとって不可欠の要素ですけど、“誰も儲からないから” と放置されてきました。
  楠原佑介さんは、『この地名が危ない』(幻冬舎新書) で、祖先が “ここは危ない” というメッセージとして地名を付けてきたことを紹介しています (中身の転載は差し控えます)。 また、地方自治体では ハザードマップを作成しているものの、公表は抑制される傾向にあります。 もちろん、注意すべき崖などが開発によってなくなったり、過去に水害が多発した場所でも その後の水利工事の努力で リスクが大幅に減っているケースも少なくありません。 しかし、「売れれば好い」 と手抜き工事で造成して逃げる業者が 後を絶たないのも現実です。 「自分は大丈夫」と思う前に、自らの周囲を点検する必要があります。
◆ 「5千万円以上するはずの住宅が、2千万円台で買える」 という風評を信じて買った人が、後に建物の欠陥を指摘されてから “騙された” と主張する姿は悲しい……“美味しい話” には 必ず危険が伴うものです。 ◆ 高度成長期〜バブル期に建造した橋やトンネル、ダムなどが、軒並み老朽化していってもいます。 後の保全コストも考えずに造ってきたツケは、若い世代に負わされるのです。 原発も その一つです。

桃源郷に泊まり込む 「カンポンステイ」
  「ウンマ (Umma)」は 紀元前26世紀の中東に生まれた都市国家ですが、一つの民族や民俗宗教をもつ “共同体” の意味を持っていました。 概念としては “ (home)” に近い用語です。 マレー語では 何故か 「rumah(家) と訛っています。 もちろん、ムスリムは 啓典をアラビア語で読みますから、東南アジアでは 「umah」 も “家” で通じます。 また、もう少し公的な建物・事務所、宮殿のような建物は 「balai」 と憧れを込めて呼ばれます。
  1994年、クアラルンプール日本人学校の生徒が 農村の民家に泊まり込む 「カンポンステイ」 を行い、ユニークなプログラムとして確立されました。 その時の 「kampung (故郷)」 が、ペラ州の 「Cenderung Balai」 という名の村です。 地元新聞は 「神に祝福されたムラに 日本の子ども達も心動かされる」 と、村の名前に懸けて報道しました。 一緒に参加した先生方が、「ここは桃源郷ですね」 と言ったことも思い出されます。
◆「カンポンステイ」 は、今では小学生プログラムまで実施されています。 25年前の先駆的な実践のお蔭で、日本の高校生が毎年4千名以上、マレーシアの農村で 安全にホームステイできる環境が整えられています。

獲得研が 『参加型アクティビティ入門』 刊行
  8月14日、獲得研シリーズ第4巻として発売されました (学事出版)。 今まで 獲得研が開発し 提唱してきたアクティビティの総合的な運用を提案するものです。 [第1部] 学びのツールであるアクティビティの紹介、[第2部] アクティビティを運用して学びを演出するための知恵、[第3部] アクティビティを使った実践事例、[第4部] 獲得型教育の基礎理論 …… 獲得型学習の展開について、分かりやすいアドバイスが満載です。

8月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
フレンズ創立35周年記念 講演会--- 8月 7日(火)、於:東京海上日動ビル新館(東京都千代田区)。 テーマ 『外国語! どう向き合う? どう学ぶ--- バイリンガル教育の専門家が説く 母語の重要性』=中島 和子 (トロント大学 名誉教授/トロント補習校 高等部校長)。 ※ 『マルチリンガル教育への招待』 の中島先生は 北京日本人学校で学ばれたこともあります。
第13回 獲得研「夏のセミナー」--- 8月 7日(火)、於:日本大学 文理学部 (東京都世田谷区)。 テーマ 『学び方指導の新展開II--- アクティブ・ラーニングをデザインし運用する』。 [基調提案] 渡部 淳 (日本大学教授/獲得型教育研究会 代表)、[実践紹介] 藤光 由子 (パリ日本文化会館 日本語教育アドバイザー)。
全国海外子女教育・国際理解教育研究協議会(全海研)第45回 全国研究大会--- 8月 9日(木)〜11日(土)、於:千葉県教育会館 (千葉市中央区)。 特定課題 『グローバル社会の進展の中で国際理解教育を改めて問い直す--- 共生・地球的視野・グローバル人材』。 講演 『国際理解教育における道徳教育との関連性』=土田 雄一 (千葉大学・教員養成開発センター教授)。
第1回 トビタテ! グローバル教師フォーラム--- 8月20日(月)、於:文部科学省 3階講堂 (東京都千代田区)。 内容:[基調講演] 油井 亀美也 (JAXA 宇宙飛行士)。 [パネル討議] 「グローバル教師が 学校をどう変えるか」=山中 毅 (三菱商事(株)人事部人材開発室担当部長)、菅野 和良 (岡山市教育委員会教育長/元 リヤド日本人学校)、池端 美希 (狭山市立柏原小学校/元 ニュ-デリ-日本人学校)。 
第14回 せせらぎ文庫フェスタ--- 8月24日(金)〜26日(日)、於:軽井沢千ヶ滝西区公民館(長野県北佐久郡)。 内容:読み聞かせ、面白理科実験、社会体操、折り紙、英語劇、詩を紙に描くワークショップなど。 ※ 例年より1ヶ月遅い開催ですが、子供から年寄りまで 世代を超えて楽しめるお祭りです。 大人のための 「はなそう会」 は 要予約。
Let's めやす主催 ワークショップ--- 8月27日(月)、於:関西学院大学 (大阪市北区)。 テーマ 『パフォーマンス評価をどう活かすか--- 外国語教育の「逆向き設計」を考える』=西岡 加名恵 (京都大学 大学院教育学研究科 教授)。 ※ 外国語教育に従事している教員または教員志望の院生が対象。
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◆ 「最近の若者は挑戦心がない」 などと言われますが、「どうせ無理」 や 「やるだけ無駄」 で育ててきた大人、とりわけ教育者の責任は大きいと思います。 人は夢を追い続けている過程で、多くのことを学ぶわけですから、教員が 「どうせ無理」 と言ってしまうのは 犯罪的な行為です。

◆ 今年度から 「上海日本語補習クラブ」 が、補習授業校 (政府補助対象校) として正式に認知されました。 ママさんたちの6年に亘る地道な努力があってのことです。 私も開校時に少し関わっていたということで、先月、代表の金田さんが報告に来てくださいました。

◆ 8月15日(水)、第54回「8・15集会」日高六郎さん追悼集会が 日本教育会館(東京都千代田区) で開かれます。 秘密保護法、安保法制、政治の私物化、原発推進、カジノ法、なし崩し的な軍拡、そして憲法改悪…… 手をこまねいている訳にはいきません。

◆ 『月刊 海外子女教育』8月号の特集は、「英語圏以外で現地校に通った帰国生」--- 日本の高校の英語至上主義に 再考を迫ります。 もう一つは、「東京の都市構造を歩いて知る」です。 「顔」も読んでくださいね。

◆ ICU高校、大阪千里国際の設立に関わられた藤澤 皖 先生の一周忌です。 関東地区・関西地区の帰国子女教育関係者には 大きな悲しみでしたが、先生ご自身は 現在の世相の方を悲しまれているのではと思います。

◆ 山陽本線は9月まで、線路が途切れたままの箇所が残ります。 呉線・芸備線は 復旧の目途さえ立っていません。 物流をトラックにしか頼れない情況で、復興に向けた努力が続けられています。 それなのに、戦闘機やミサイル防空網の整備が優先される意味が理解できません。

◆ アジア大会がジャカルタで始まりました。 アジアの若者たちの雄姿や頑張りを楽しみたいです。 しかし その一方で、体重を気にする余り 拒食症や摂食障害に陥るアスリートのことも 頭を過ぎります。

◆ しつこいようですが、北米に渡航する若者には、「THC (Tetra-hydro-cannabinol)」 の表示に注意するよう 徹底しましょう。 普通の店で売るTHC入りクッキーで、死ぬ人もいるのです。 「フェンタニル」のトローチなども、興味本位で手を出さないように 厳に戒めてください。

◆ 台風12号と その関連の豪雨・高波などの被害に遭われた皆様に、お見舞いを申し上げます。
  「葛根湯」 がいくら “万能薬” でも、習慣的に飲むのはお勧めできません。 少し頭痛、二日酔いの都度…… と飲んでいると、肝心の時に……。
   欧米の現地校等では、8月下旬から新年度が始まる所も多いでしょうね。 北海道などの寒冷地でも 新学期が始まります。 皆 元気でありますよう。

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【2018-7月】

「K2」は “ヤバい”の意味?
  7月4日は 一昨年、南谷真鈴さん (当時19歳) エベレスト登頂に成功された日ですね。 そのすぐ隣の 「K2」(カラコルム第2号峰) は エベレストに次ぐ 世界第2の高さ(8,611m) ですが、登り難くて 多くの遭難者を出してきました。 登山家の間では “畏怖と憧れ” を持たれ、「K2」 に “ヤバい” の意味まで込められます。 他方、野球では “三振 (Strike Out)” を 「K」で表わします。 理由は諸説あって 本当のところは不明ですけど、2打席連続三振(K2) は、周囲を “ヤバいなぁ” という気持ちにさせます。
  「ビタミンK」 は、ヒトの腸内細菌が作るビタミンです。 血液凝固に欠かせない要素ですが、乳児の体内では 十分に作れません。 ビタミンK欠乏性出血症(VKDV) の処方薬 「K2シロップ」 には、ビタミンK2(メナキノン) が含まれています。
  イタリア隊が 「K2」 に初登頂した際 (1954年)、マリファナ使用の噂(?) があり、大麻(Cannabis) 系の薬物を 「K2」と呼ぶようになったともいわれます。 また、マレー語で 「kakak(姉さん) や 「kilat-kilat(キラキラッと光る) を 「K2」と略したりしますが、これらも大麻に関連づけられて、与太話の種になっています。 ただし、「K2シロップ」は 大麻とは全く関係ありません。
◆ 「K2」は「KZ」とも書かれます。 私のハンドルネイム「KZ」は、通称が「カズ」だからですが、ナチスドイツの強制収容所も 「KZ」でした。若者の間では “戻って来られない” 絡み辛い” の意味になっています。

高校生がアジアの言語で研究した成果を発表
  6月30日(土)、関東国際高校(東京都渋谷区) の「近隣語 公開プレゼンテーションコンテスト」 があり、『私たちから見た 日中マナーのギャップ』 が最優秀賞、『インドネシア人と日本人の自分の外見に対する意識の違い』 が優秀賞に輝きました。 高校生が、その国の言葉でアンケート調査したり 原語の資料に直接当たったりして情報を集め、分析/考察したもので、実に興味深い発表ばかり。 審査員を勤めた 各大学の先生たちも、絶賛していました。 「英語だけ話せれば好い!」 と思っている高校教師には 是非とも見せたい現実が、そこにあります。
◆ 発表者は、現地の高校生にSNSでアンケートしたり、浅草寺の仲見世通りで その国の旅行客を探して 調査に協力して貰ったり……「主体的、対話的で 深い学び」 も ここまで来たかと 感慨を覚えます。

旅券の紛失・損傷等と「渡航書」
  夏休みを利用した海外研修や模擬国連など、海外渡航の準備に入っている生徒も多いと思います。 覚えておいて欲しいのは、旅券(Passport) は “命の次に大事” ということです。 海外で旅券を失くしたり 損傷したりした場合は、直ぐに 日本の大使館か領事館に連絡を取ります。 緊急に帰国したい場合は、「帰国のための渡航書 (Travel Document for Return)」 を申請することができます (紛失・盗難等の場合、警察の証明が必要)。 本国に帰るためにだけ有効な渡航文書ですので、周遊は認められません。 なお、例えば、アメリカで日本の渡航書を取得する場合、21米ドル(cf.5年旅券なら 92ドル)、インドネシアで取得すると 約3万円(cf.同 13万円) 相当です。 旅券のコピーや運転免許証など 本人確認ができるものがあれば、ほぼ翌日に発給してもらえます。

集中豪雨の被災者の皆様 お見舞い申し上げます。
  昨年暮れ、この通信で 「エルニーニョ南方振動 (El Nino-Southern Oscillation)」 について触れた時は、異常な冬将軍の到来が 目前でした。 しかし、その “シーソー現象” は、やがて猛暑や集中豪雨を呼ぶことも意味していました。 「線状降水帯 (Linear Precipitation Zone)」 なるものが認知されて、もう何年になるでしょうか? 数年前から 広島豪雨、関東・東北豪雨、さらに 米サウスカロライナ州豪雨(2015年) といった記憶も まだ新しく、災害が どんどん巨大化しているのに、わが国の治山・治水事業は、利権構造 (要は首相の "お友達優先政策") により歪められているのです。
  “忖度” や “お友達優先” といったことに基づく 「人治政治」 は、それが構造化すると、いざという時に対応が遅れたり 収拾がつかなくなったりするものです。 自民党員でも、「国民の代表として、普通に考えたらやらないだろうということをやってしまっている」 と首相を批判していました。 そうして 防災への備えは、どんどん杜撰になってきました。 海水温度の上昇=地球温暖化の結果、私たちは 酷くなる一方の気象条件に直面しています。 “お友達” に配慮する治山・治水事業から 素早く脱し、公正な判断に基づく 「持続可能な開発」 の体制を実現すべきです。
◆ どんな制度や道具にも 本来の目的と 適切な使い方があり、それを誤れば "凶器" にもなります。 なお、一度 冠水した車は、感電にご注意ください。

大手企業が主力事業から次々と撤退
  かつて 日本の半導体産業を代表していた 「ルネサス」 の名を聞くたびに、心が暗くなります。 私は、日立製作所に 1998年1月から10年間、三菱電機には 2001年11月から5年間、海外駐在員の異文化研修に講師で呼ばれていました。 2002年11月に両社の半導体部門が合併して、「ルネサス テクノロジー」 になりました。 さらに 2010年4月、「NECエレクトロニクス」 と合併して 「ルネサス エレクトロニクス」 になった時には、液晶部門の伸び悩みは 深刻だったようです。 そして、2011年の東日本大震災で8工場が被害を受け、とくに 茨城県の日立那珂工場の被害は甚大でした。 ついに 2012年末、大規模な第三者割当増資により、NEC・日立製作所・三菱電機は 主要株主から外れ、営業部門の「ルネサス販売」も売却されました。 もはや どこの会社か判らなくなったのは、残念です。
  大手企業が主力事業から撤退する発表が 続きます。 東芝が 「東芝メモリ」 を売却して 半導体事業から撤退したほか、カシオ計算機は デジタルカメラ事業から撤退すると発表。 エーザイは、高脂血症薬や降圧剤などの 「エルメッド エーザイ」 を、段階的に 日医工に売却とのこと。 そして今回、シダックスが カラオケボックスの運営会社 「シダックス コミュニティー」 を B&V (「カラオケ館」の親会社) に売却したのも衝撃的です。 「自分が辞めた後のことは知らん」 という経営陣ではないことを願います。
◆ 私は 東芝には6年間(1997年6月〜)、駐在員研修に呼んでいただきましたが、原発事業の巨額の損失で、東芝は奈落の底に……。 また、東レが 中国の青島即発集団との合弁会社を同社に売却して、東南アジアに拠点を移す(戻す?) というニュースにも 驚きました。 時の流れを感じます。

日本数学教育学会が 創立100周年
  今から76年前、数学者の島田 茂 先生が 『数学ヘ育再構成の一つの方向』 を書かれています。(現代かなに変換)
「『応用問題』…… は 多くの場合 現実から数回抽象された問題であり、適用すべき方法も その節(=単元) の方法を適用すればよいということは 既知とみなさざるを得ないから、ある一つの概念を如何に applyするかという練習にしかならない。 ところが 数学を現実に使うという場合には、つぎの様な性格が考えられる。
(1) 如何なる方法で解けるかは 前もってわかっていない。 自分のもっているあらゆる武器を総動員してかからねばならない。 (2) 問題は常に複雑している。 それ故、自分の目的にかなう様に適当に仮定を作って、数学の問題に化さなければならない。 (3) 従って 解決の方法は色々あり、その結果も あくまで近似的である。 (4) 数学的な解決は、今一度現実と自分の問題との相関の中において考えてみて 初めて真の解決になる。 ここで初めて 始めに自分が考えた仮定が現実に即していることが検証される。…… この様な性格は、数学の中の問題では中々おこり得ない…… 数学を使える様にする為には、この様な現実にぶつからせることが必要であろう。」
  いまだに 島田先生のいう 「数学を現実に使う」 活動、つまり 「現実世界の問題を数学的視座から真に考察する」活動には至っていない教師は多いようです。 第100回 全国算数・数学教育研究大会が 8月2日(木) から4日間 東京ビッグサイトで開かれますが、「100年の伝統を踏まえた未来の算数・数学教育の展望」 には、大きな期待が寄せられています。

7月下旬から 帰国生のための進学相談会
  海外子女教育振興財団主催 帰国生のための学校説明会/相談会は、7月26日(木) 大阪府立国際会議場(大阪市北区)、27日(金) 愛知県産業労働センター(名古屋市中村区)、8月2日(木) 東京都立産業貿易センター台東館(東京都台東区) で開かれます。 また、海外・帰国子女のための進学相談会 「JOBA学校フェア」は 28日(土)、ベルサール汐留(東京都中央区) で開催です。 今年の帰国生特別選抜の募集要項が出揃い、大きな変更点を確認する貴重な機会です。

全海研の第45回 全国研究大会は千葉で開催
  今年の全国海外子女教育-国際理解教育研究協議会(全海研) 全国研究大会は、8月9日(木)〜11日(土)、千葉県教育会館 (千葉市中央区) で開かれます。 特定課題は 『グローバル社会の進展の中で国際理解教育を改めて問い直す--- 共生・地球的視野・グローバル人材』、講演は、土田 雄一先生 (千葉大学・教員養成開発センター教授)の 『国際理解教育における道徳教育との関連性』 です。 「実践事例研究発表会」 は 10日(金) 午前、派遣教員希望者や再派遣予定者などのための 「ワーキングテーブル」 は 11日(土) 午前です。

7月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
英国国際教育研究所 ことばのセミナー--- 7月 1日(日)、於:品川区立総合区民会館 (東京都品川区)。 テーマ 「教えるための言語分析の視点」=図師 照幸 (英国国際教育研究所 所長)。 ※ 本来あるべき外国語教育では どのように言語を分析すべきなのか、また 外国語教育が持つ可能性について考えます。
日本旅行医学会 2018年 登山医学セミナー--- 7月 7日(土)、於:KFCホール (東京都墨田区)。 テーマ 『火山と登山医学』。 講演:「草津白根山噴火災害対応」=藤塚 健次 (前橋赤十字病院)、「アウトドア活動における脱水」=西本 泰久 (京都橘大学) ほか。 ※ 教育関係者は 事前予約すれば、資料代だけで聴講させてもらえます。 翌8日(日)には、大阪国際交流センターで 同内容。
第13回 総務・人事・経理ワールド「ダイバーシティ」講演--- 7月13日(金)、於:東京ビッグサイト。 [講演] 「経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント」=内永 ゆか子 (NPO法人 J-Win 理事長) ほか。 ※ 「多様性が大事」と言いながら 踏み込めない “旧人類” は、もはや 企業には“お荷物”--- 中学生/高校生の職業観教育において “要らない人材” の生産の継続は 社会悪です。
女性記者の公開講演会@聖学院大学--- 7月18日(水)、於:聖学院大学チャペル (埼玉県上尾市)、テーマ 『現代日本の少年犯罪と子どもの貧困の現実--- 取材現場から見えてきたもの』=山寺 香 (毎日新聞さいたま支局 記者)。 ※ 政治経済学部創設30周年記念 公開講演会です。 現役の女性記者の視点から 多様性に開かれた社会の可能性を展望する連続講演の2回目。
第65回グローバル化社会の教育研究会(EGS)--- 7月23日(月)、於:聖学院中学・高校(東京都北区)。 テーマ 『IB教育と教員養成--- 日本における課題と展望』=星野あゆみ (玉川大学大学院教育学研究科/国際バカロレア機構(IBO)アジア太平洋地域 開発マネージャー)。 ※ 「日本語DP」の導入を検討していながら、踏み切れないでいる学校の最大の心理的な障害を どう克服していくべきかを話し合います。
日中学院 三遊亭楽生師匠 講演会--- 7月28日(土)、於:日中学院 (東京都文京区)。 演題 『伝える中国語』=三遊亭楽生 師匠。 ※ HSKで優秀な成績の人が必ず上手に喋れるかというと そうではない…… という体験談を枕に、楽しく。
森上教育研究所主催の無料公開シンポジウム--- 7月29日(日)、於:神田女学園講堂。 テーマ 『十分な睡眠と運動がわが子を伸ばす!』=三池 輝久 (熊本大学名誉教授・医師)、小澤 治夫 (元 筑波大学附属駒場中高教諭)。司会:山口 榮一 (玉川大学名誉教授)
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◆ 6月13日、成人年齢を18歳にする民法改正が 国会を通過しました。 付随して選挙権などに関しても 法改正が進められてきましたが、肝心の 「良識ある大人とは?」 の議論は 置き去りです。 「Populism」(衆愚政治) に陥らない賢い大人を育てる責任は、中等教育に負わされています。

◆ 6月から 住宅宿泊事業法(民泊新法) が施行されました。 「AirBnB」等の 安全面・衛生面の確保、騒音・ゴミ出し などの近隣トラブル解消などのためのルールを定めたものです。 民泊の鍵箱の暗証番号を 前の使用者が 別人に教えてしまうこと、失火や漏水等の 責任所在が不明確である点は、世界中で問題となっています。 それでも 人気があるのは、儲かる人が多いからですね。

◆ ある高校の数学の先生方と議論しました。 厳密な論理展開に固執する余り、ともすると 生徒を “拷問” している情況に 教師が気づかない…… 島田先生のいわれる (3) にもある通り ファジー(近似的) なもので構築/考察する論理こそ、庶民の生きる知恵であり 糧なのです。

◆ 東南アジアでは、かき氷や蜜豆の類にご注意を。 確かに美味しいのですが、その土地に半年以上住んで、何度も酷い下痢を繰り返して 抵抗力ができた人でないと、お勧めできません。 かつて、大阪千里国際の高校生10数名が禁止を振り切って食べ、“事件”になったこともありました (1996年)

◆集中豪雨の被害は どんどん膨れ上がって、死傷者・行方不明者も2百名を越えました。 防災ばかりか 救助・救援面でも 政府の対応は遅いし、杜撰な点が目立ちます。 弾道ミサイル避難訓練などよりも、やっておくべき大事なことがあったのではないでしょうか?

◆ クアラルンプ―ル日本人学校の国際交流ディレクターをされた片野智之さんが 6月20日亡くなりました (享年 80歳)。 定年退職後は 「海外に子供用車椅子を送る会」 や日マ両国の養護学校同士の親睦交流などの活動に、精力的に取り組まれました。 ご冥福をお祈りします。

◆ 40年前の7月6日、読売巨人は 広島の赤ヘル打線に対して 「1イニング10四死球」 の“汚点記録”(草野球でも滅多にありません) を残しています。 その時の巨人は、2位の広島に10ゲーム差の首位でした。 以後 ズルズルと負け続けて ヤクルトが初優勝。 「江川事件の序曲」ともいわれます。

◆ 『月刊 海外子女教育』7月号の特集は 「帰国受験体験記」--- 帰国して受験するという選択、志望校の選択、それぞれの背後にある自身の経験の見直しと心の動き……。 もう一つの特集は「ミュージアム特集」です。

◆ いよいよ 夏本番! 海外研修や国際交流活動なども盛んですが、「主体的で 対話的で 深い学び」(Active Learning) の視点を忘れず、事前学習も しっかりやって欲しいです。 地震や火山噴火の上に 集中豪雨が続きます。 被災地の皆様が 一日も早く平常の暮らしに戻られるよう 祈っています。
  20日からは、夏休みの風物詩 「夏期巡回ラジオ体操・みんなの体操会」 が始まります。 体力づくりが目的なので、本当は一年中 公園などでやっています。 この機会に 是非、好い習慣にされませんか?

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【2018-6月】

「新法解剖」 について考える
  6月から 刑事訴訟法の改正が施行されましたが、「死因・身元調査法(2013年4月施行) について一言。 この法律は、警察機関が取り扱う死体について、死因・身元を明らかにするための措置を定めたものです。 海外では 「医学的に死因が判明するまで、解剖や薬物検査をきちんと実施する(死亡までの経緯を 科学的に解明する)」 のが常識ですが、日本では 5年前まで、犯罪性がある場合(⇒ 司法解剖 (autopsi)) を除けば、遺族の承諾がない限り “行政解剖” しないことになっていました。
  例えば、子どもがベッドに挟まって死んでいた場合、親は 自分を責め続けることも多く、「もうこれ以上 遺体を傷つけないで欲しい」 という感情もあるので、従来は 解剖しないで済ませることもありました。 しかし、科学的に死因が判明し 調査されるほうが、関係者の感情もプライバシーも守られるはずですし、再発防止にも有効なのです。
  その意味では わが国も、この 「新法解剖」 で、ようやく世界標準に従ったのですが、肝心の法医学(forensic) の専門機関や専門医養成に 追加予算がつきませんでした。 司法解剖は 1件当たり約30万円の経費がかかり、従来から警察の予算を圧迫していたにも拘らずです。 安倍首相は、新法解剖(地方自治体の経費です) を約10万円で 民間委託させることを選択したわけですが、押し付けられる現場の医師は 大変です。
  
朱雀大路は、京都のどの辺りにある?
  猛暑の京都を、修学旅行の生徒が たくさん歩いています。 「朱雀大路」は 中国の都にならい、御所の正面から真南に向かって造られた大通りです。 外国使節への示威、軍隊の出征・凱旋といった儀式用にのみ使われ、朝廷の権威を発揚する舞台でした。 平安京では 幅が約80mもあった(今なら25車線?) そうで、南の端に羅城門(羅生門) がありました。 しかし、朝廷の力が弱まると、人々は勝手に 農地にしたり宅地にしたりするもので (新在家, 今在家)、どんどん消えていき、16世紀に豊臣秀吉が 「御土居 <おどい>(都の防壁) を築くに至って 消滅しました。
  日本史好きの生徒に 「朱雀大路は 今はどうなっている?」 と聞いても、「羅生門は どこにあるの?」 と聞いても、まず答えられません。 京都の地図を出して 「船岡山千本通りを探してご覧」 というと、数分かかってやっと見つけますが、二条城よりも西側にあることに驚いています。(京都駅を出た山陰本線が北上していく辺りです) 千年前は、中国に長安と洛陽の二都があることになぞらえ、平安京の西半分(右京) 長安城、東半分(左京) 洛陽城と、風流に呼んでいましたが、やがて右京は荒廃して 左京のみが繁栄、「」が 京都全体を表わすようになります。 御所自体が、東に約2km 移動してしまったのです。
◆ 応仁の乱(15世紀) で 「朱雀大路」の真北の船岡山に “西軍の陣地” が敷かれたので、その辺りを 「西陣」と呼ぶようになります。 わが国を代表する絹織物の中心地です。 元々は “内裏の北側” だったのですね。

もうじきイスラム教の「レバラン」
  イスラム教の断食月が、残り1週間を切りました。 世界史で十字軍について学ぶ生徒も、イスラム圏の歴史や習慣については 余り興味を示さないのですが、10〜15世紀ころは “世界の文明のトップレベル” にありました。 そのことを理解しないと 科学の習得は難しいとさえ思われます。 「algebra」「chemistry」 といった学術用語の多くが、アラビア語からきているのも、中世の欧州各国の科学技術や行政処理 (複式簿記の考案も含む) が、イスラム教徒に大きく依存していたからです。

各国の通貨記号について
  日本銀行条例が 1882年6月に公布され、日本銀行は その年10月に開業しました。 各国の通貨記号 (貨幣のマーク) は、アルファベットに1・2本の横線を引いて表すことが多いのですが、元々これは “省略した” という印刷業者の符号でした。 英国ポンド(GBP) は、古代ローマの「lib(v)ra」(銀の重さ) が基本になっていたので、L に横線で表します。 日本円や中国元(RMB) は Y に横線(¥)。 ドル($) には 諸説ありますが、イスパニア帝国の銀硬貨「Peso duro」(堅い良貨) の頭文字の PとS(sum) を組み合わせたというのが 通説とされます。 スペイン銀貨が 欧州の標準貨幣だったわけです。
  なお、ドルの語源は ドイツ語の 「thaler <ターラー>(谷)。 ボヘミア渓谷の銀で鋳造した銀貨が とても良質だったことから、欧州各国で 自国通貨を「dollar」(良貨) と愛称する習慣が生まれました。 日本で江戸時代の 「ドルラル」 は、オランダ貨幣を意味したのでしょうが、明治以降は “国名+ドル” の形で 外国通貨を呼ぶようになります。 マレーシア・ドルも、正式名称は「リンギッ・マレーシア (RM)」です。
◆ かつては スペイン銀貨が世界標準だったため、フランス語で "金銭" は 「argent」(銀)、スペイン語でも「plata」(銀) といいます。 中国語や日本語で 「銀行」(銀の店) というのも、銀本位制の名残りですね。

今年6月からの刑事訴訟法の改正施行
  「全ての被疑者が (起訴される以前も)50万円以上の貯金等がなければ 国選弁護人を申請できる」 ことになりました。 しかし、現実的には、逮捕されて拘留状が出るまでの48時間が “勝負の山” でして、身に覚えがないことで逮捕された場合には、すぐに知り合いの弁護士(私選弁護人) か 「当番弁護士」(初回のみ無料) を呼んでもらうことが必須です。 とくに 痴漢容疑事件では、これを怠ると 職まで失いかねません。 ほとんどの事業所が、「無断欠勤3日」「勤務先の信用失墜」 を解雇の事由としていますから。(注:逮捕後の電話連絡は一切不可能です)
  さらに 大きな変更は、「捜査・公判協力型 協議・合意制度」 の導入--- 海外ドラマでよく耳にする 「司法取引 (Judicial deal)」 です。 対象事件は 経済犯罪 (汚職や脱税、談合など) や銃器・薬物犯罪などの特定犯罪に限定されており、死刑または無期の懲役・禁錮に当たる罪は 除外されます。 ここで、弁護士の同意が必要であることはもちろんです。
◆ 逮捕後 すぐに弁護士を呼びたい時、あなたならどうしますか? 日本の中等教育では、なぜかそれを教えないので、憲法の保障する国民の権利 (教員免許の必須履修事項です) も、実に不確実なものになっています。

Smoke on the Water』 は基礎・基本
  6月下旬になると欧州では、バカンスをどこで過ごすかが話題になります。 保養地として とくに人気なのが、スイスのレマン湖 (Lac Leman=<英語> Lake Geneva, <中国語>日内瓦湖) です。 弓形の湖の西端に 国連機関が集まるジュネーブがあり、東端に 世界のセレブに人気の街 モントルーがあります。 芸術家や音楽家も集まってくるし、“欧州のジャズの都” としても有名です。
  ロック音楽に馴染みのない人も イントロだけは知っている 『Smoke on the Water(英1972年) は、このモントルーのカジノ火災のことを歌っています。 ディープパープルの曲で、『Black Night(英1970年⇒UCCコーヒーのCM曲) と共に 広く親しまれています。 日本公演(1972年夏) の録音が余りに秀逸なため、『Made in Japan』 のタイトルで世界中でリリースされ、各国で “プラチナ盤” の賞賛を得ました。 「日本製は素晴しい」(物真似を越えた) という “印象” を広めてくれた慶事でもあります。
  極めて単純な和音(Code) 進行にも拘わらず、ギター技法の全ての要素が含まれているとされ、釣りの世界の 「ヘラ鮒に始まりヘラ鮒に至る」 に相当する慣用句として、「Somke on the Water」 も使われます。 しかし、今どきの高校生バンドに「『Smoke on the Water』をやって!」と言っても、「?」 という顔をされます。 基礎練習は嫌なものです。
◆ 『Black Night』の「Maybe I'll find on the way down the line that I'm free, free to be me」(たぶん私は判る この道の先で…) の歌詞は、1970年代の若者の感覚を 如実に現わしていました。

「被疑者取調べの録音・録画」の義務化
  改正刑訴法の一つで 施行は来年6月ですが、裁判員裁判対象の事件では、既に録音・録画は始まっています。 しかし、録音・録画により有罪となる確率も上昇する (後で証言を覆すことが認められ難い) 傾向や、個人情報が法廷に開示されるなど、被疑者が不利益を被るリスクも少なくありません。 なお 従来、録画が進まなかった理由の一つに 取調室の狭さもありました。 通常の取調室は 約2坪(7平米弱) なので、焦点距離が確保できなかったのです (だからカメラの精度向上や警察庁舎の改築を待って…?)。 私たちが映画・TVドラマなどで見る “取調室” は、実際の何倍もの広さがあります。 そうでないと撮影できませんから。

第65回グローバル化社会の教育研究会(EGS) の開催
  7月23日(月)、いつもの聖学院中学・高校(東京都北区) で行われます。 テーマは 『IB教育と教員養成--- 日本における課題と展望』です。 国際バカロレア機構(IBO) アジア太平洋地域 開発マネージャーの 星野あゆみ先生(玉川大学 大学院教育学研究科 教授) を囲んで、"IB教育の目指すもの" を踏まえながら、その教員養成や環境整備などの現状理解を深めたいと思います。 夏休みに一時帰国される先生方にとっては、国内の海外子女教育関係者に出会える貴重な機会でもあります。 注) 今回は月曜日開催です。

6月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
中国語教育学会 第16回全国大会--- 6月 2日(土)・3日(日)、於:早稲田大学 (東京都新宿区)。 [基調講演] 「外国語学習の科学--- 第二言語習得論の中国語教育への示唆」=白井 恭弘 (Case Western Reserve大学)。[ワークショップ] 「身近な言語をもっと知ろう ○○語は 90分でここまでできる!」※ 「90分で 独・仏・韓・西・露語にどれだけ親しめるか」 への挑戦。
さんむ田んぼアートプロジェクト2018--- 6月 2日(土)、於:千葉県山武市松尾町。 ※ 千葉商科大学人間社会学部のプロジェクトで、田植えの農業体験のほか、畜産品なども楽しみ。
千葉大学先進科学センター創立20周年記念シンポジウム--- 6月 8日(金)、於:千葉大学 西千葉キャンパス (千葉市稲毛区)。 [基調講演] 「大学飛び入学--- 日本型エンリッチ・モデルの挑戦」=岩永 雅也 (放送大学 副学長) ほか。 ※ 17歳の大学生3名が誕生してから20年が経ち、日本における「飛び入学」のあり方を振り返ります。
異文化間教育学会 第39回大会--- 6月 9日(土)・10日(日)、於:新潟大学 (新潟市西区)。 [特定課題研究] 「政策的視点からの異文化間教育研究」。[シンポジウム] 「次の世代を地域で育てる--- 異文化間教育の役割」。 ※ 異質な文化の接触により生ずる様々な教育の問題を研究する学会です。
ホームスタート・わくわく 活動報告会--- 6月17日(日)、於:としま産業振興プラザ (東京都豊島区)。 ※ 無償で未就学児のいる家庭を訪問し 母親と一緒に子どもの世話をしたり 家事をしたりしながら、母親の話を傾聴する活動です。
マイナビITセミナー--- 6月21日(木)、於:インターネットイニシアティブ本社 (東京都千代田区)。 テーマ:『知っておきたい Web分離検討のポイントとは--- Webアクセスに潜む脅威の現状と対策の事例』。 ※ 標的型サイバー攻撃の実情についての説明・対策とともに、「結局どの製品を選んだら好い?」 という疑問にも 答えてもらえます。
KANTO近隣語各コース公開プレゼンテーションコンテスト--- 6月30日(土)、於:関東国際高等学校 (東京都渋谷区)。 テーマ 「近隣語でつながる私たち」「私が出会った美」。 ※ 関東国際高校の近隣諸国語(中・露・韓・タイ・インドネシア・ベトナム語)を同時に学ぶことができる「複言語教育」は必見!
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◆ 5月30日は 「ごみゼロデー」 で、その前後には、あちこちで清掃活動が行われます。 わが町内は 外国人が増えたこともあって、道路脇の植込みに パンや菓子の袋、空き缶、煙草の吸殻がたくさん…… 億劫ですけど、根気よく教えてあげるしかありません。

◆ 毎年5・6月は、3月末に定年を迎えられた先生方が、ひょっこり訪ねて来てくださいます。 30歳前後で日本人学校に赴任された先生も多いのですが、わが家に入ると 急に当時の顔に戻られるのが、面白いです。 お顔の皺を見ながら、「お疲れ様でした」 と心から労います。

◆ 60歳は 気力・体力も まだ十分ありますから、新しい世界に飛び込んでみられるのも好いですね。 大学院に通う方も 意外と多いようですが、知的欲求に終わりはありません。 願わくば "緩やかな共有" も よろしくお願いします。

◆ 安倍首相は2年前、「行政府の長として当然、行政上のさまざまな課題・問題について、最終的に責任を負うのは私であります」 などと、繰り返し答弁していました。 ところが最近は、「私の答弁は 官僚の説明を紹介しただけです」 と言い逃れ…… 子どもの教育上、大きな悪影響です。

◆ 教室天井の照明にLED電灯を使う場合、「学校環境衛生基準」 の机上の照度を確保しようとすると、従来の蛍光灯よりも多く設置する必要がありますが、生徒は眩しさを訴えます。 基準を見直すべきでは?

◆ 『サラリーマン川柳コンクール』 の結果が発表され、「スポーツジム 車で行って チャリをこぐ」が第一位、「『ちがうだろ!』 妻が言うなら そうだろう」 の次点作と 僅差でした。 一昨年の「退職金 もらった瞬間 妻ドローン」は 強烈でしたね。

◆ 海外子女教育振興財団の設立は 1971年です。 一般旅券の発給が解禁となり、海外直接投資も自由化されて、海外駐在員と海外子女が急増し始めた時期でした。 戦後日本は ロックと共に発展してきた気もします。

◆ そろそろ梅雨入りでしょうか。 食べ物の管理にも お気を付けください。 舞っている花粉の量が減りますので、花粉症の人は やや楽なのでしょうか? この時期に、体力を養えると好いですね。 欧米の現地校やインターナショナルスクールは、年度末ですね。 一時帰国して、日本の学校に体験入学する子も多いことでしょう。 日本のことを たくさん体験し、吸収していって欲しいです。

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【2018-5月】

「甍<いらか> の波に 雲の波……」 のゴールデンウイークです
  祝日や運動会を迎えるたびに 私は、旗竿・マストの先端に付ける玉飾りは、正式に何と呼ぶのだろうと悩みます。 生徒の前では 一応 「国旗玉」 と言うようにしていますが、ご存知の方は教えてください。 私は高校生まで 「金玉」と呼んでいたのですけど、英語では 「ox-ball (牛の睾丸)」 だと聞いた時、驚くと同時に 妙に安心したことを思い出します。(笑)
  「ox」とは 「bull(雄牛) を労役・食用のために去勢した牛で、比較的大人しく 扱い易いので、“のろま, 不器用” の意味にもなります。 男子学生たちが集まって ワイワイ元気に議論する時は、当然ながら 「bull session」 と呼び、「ox」 は使いません。 また 「hen party(女性だけの会合) に対する男子だけの集会を、「stag party("牡鹿" の会合) というのは、「cock」が 「penis」(陰茎) を意味する隠語であることを 憚<はばか>るからです (それでなくとも猥褻な演出が多いので)。 なお、マレー語でも 睾丸は 「testis」ですが、若者たちは 「ujian(試験/考査) とも呼びます ("テスト" の混同では?)。 その代わりに、アラビア語で 「zakar」と言っても通じますけど、本当は 男性器の総称です。
◆ 小説家の阿刀田 高さんによれば、大昔の酒は 「どぶろく」(濁り酒) で、精液(どぶろくに似て見える) が製造される器官を 「酒の玉 <きのたま>」 と称したのが、「金玉」 の語源となったのだそうです。

ジャカルタ日本人学校は 満49年
  1969年開校なので、来年5月に満50年を迎えます。 開校準備は 1968年4月から始まり、9月には 日本語補習校がスタ―トしました。 その実績を基に 11月に運営法人の設立、校舎確保、インドネシア政府の許可申請と、急ピッチで手続きが進みました。 私が赴任したのは、児童生徒数がピーク(927名) となった 1985年ですが、15年で30倍に一気に膨れ上がった “水膨れ体質” の改善が急務でした。 3年掛かりで経営改善が図られ、その後の10年間は 安定的に発展していきます (約 1,200名まで)
  1998年経済危機による混乱で 休校に追い込まれた後 (再会時 164名)、800名台を回復。 リーマンショック (2008年秋) 後に、再度 670名前後まで落ち込んでも、2年程度で回復基調に戻って、2014年には1,200名前後を回復しました。 児童生徒の大幅な増減は 日本人学校の宿命ですが、ジャカルタの現業スタッフは我慢強くて創意工夫に長け、経費節減や現地教材の活用に大きく貢献してくれます。 私の時代に居たスタッフは 全員定年退職していますけど、現在のスタッフも 学校の伝統を しっかり守ってくれているようです。
  なお 33年前、ジャカルタでの私の最大の使命は 11人の人員整理と労働協約(就業規則を開示し 職員側と契約) の締結でした。 解雇の方は初年度で何とかできましたが、その反動の中で 就業規則の交渉をするのは大変です。 ストライキも経験しながら、ようやく妥結に到った時には、3年の任期が終わっていました。

夏の陽気と“極楽”と“楽園”
  早くも盛夏の陽気ですね。 昼下がりに街中を歩いていると、『欲望という名の電車』 を思い出します。 米ニューオリンズの 「極楽 (Elysian Fields)」通りに面した安アパートを、ヒロインが訪ねるところから始まります。 この「Elysian Fields」 は、ギリシャ神話の “神々に愛された人々が死後に 至福の生活を営む” とされる野原のこと。 梵語では 「Sukhavati」で、中国では 「極楽 <ji2le4>」 と訳され “阿弥陀仏の居られる所” ですが、苦しみも患いも全くない 清浄・安楽な世界をいいます。
  一方、「楽園 (Paradise, 園林<おんりん>)」 は “不幸”や“地獄・冥界” に対立する概念で、平和・幸福・繁栄(PHP)のみが存在するとされます。 古代の印欧語(IE) では “王室の庭園” の意味だったそうですが、次第に 宗教上・形而上学的な用語に昇華されていきます。 “充ち足りた世界” “神聖な場所” という概念で、仏教経典で 「浄土」、旧約聖書では 「Gan Eden(エデンの園)、イスラムの聖典クルアンでは 「Firdaus」となりました。 他方 マレー語の 「Syurga」は “神々のおわす所” の意味で、古代日本では 「珠流河」(⇒駿河) の字を当てています。
  因みに、 ヒンズー教の 「Deva/Devi(神) は 中国で 「天」と訳されました (水天、弁天、帝釈天など)。 「順天者昌」 は “神の意思に従えば栄える”、「順天堂」 は “天国に真っ直ぐ向かう=敬虔な生活” という意味です。
◆ 昔、ジャカルタ日本人学校のプール管理担当に、Firdaus という職員がいました。 プールは 放課後や休日は在留邦人に開放され、毎日家族連れで賑わっていました。 なお、「taman-sari」(花園) も “楽園” です。

五月病は 温かく見守りましょう
  五月病を悪化させる要素の一つに、周囲の大人の対応があります。 友達をつくることは大変なのに、「友達できた?」「友達増えたか?」 と立て続けに聞いてしまう例を 散見します。 そのうえ更に、「自分の言うことは全部聞いてくれるのが、友達だ」 という思い込みを助長し、ますますコミュニケーション能力が育つことを疎外してしまう例も。
  喧嘩もできない仲は 友達ではありませんし、自分を見つめている時間も 大事なのです。 「人間は一人で生まれて 一人で死んでいく」 という絶対孤独を分かっていないと、他者との共感が生まれないし、発達・成長ができません。 そのうえで お互いに異なる点を含め、丸ごと受け止め愛せるようになった時が親友であって、親や教師が 「親友じゃないの?」 と繰り返し問い詰めることは 逆効果です。 温かく見守るしかありません。

「CEFR」 と大学入試センター試験
  30年前、ポーランド民主化やベルリンの壁崩壊などが起こって 欧州が 「EU統合」に向け大きく進み始めた頃、欧州評議会では 「欧州市民のための言語学習」 の共通座標作りが始まりました。 欧州全言語に共通する学習状況の評価・指導の方法を提供するためで、語学検定同士を比較する 「欧州言語共通参照枠 (CEFR)」 が策定されました。 「初心者 (A1)」「初級者 (A2)」「自立した中級者 (B1)」「実務可能な準上級者 (B2)」「優れた言語運用者 (C1)」「ネイティヴ相当者 (C2)」 の6段階に 分類枠(Cadre) が定められています。
  3月末に、大学入試センターから 「大学入試英語成績提供システム」 の参加要件確認結果について 発表がありました。 IELTS、ケンブリッジ大学英検のほか、TOEFL iBT、GTECが順当に入っていますが、日本の 「英検 (STEP)」 や TOEICも “参加要件を満たしている” というのは、“首相案件” ではないかと思われます。

カンヌ映画祭が閉幕
  5月19日の最終日、『万引き家族』(是枝裕和監督) が最優秀賞を受賞しました。 その晴れやかな光景を見ながら、昨年から続いた騒動について、後味の悪さも感じました。 昨年、事務局が 「2018年からコンペ出品を希望する作品は、フランスの映画館への配給を確約すべし」 という新ルールを発表して、動画配信大手の 「ネットフリックス(Netflix)社」(映画製作資金も多く拠出している)が猛反発。 それに対し審査員長も、「デジタル産業は、映画館という既存のネットワークのルールに従うべきだ」 と 劇場公開を拒むネットフリックス社の姿勢を批判…… 遂に先月、ネットフリックス社は作品を出品しないと発表しました。
  これは “映像産業の資金の流れをどういう形にするか” という争いであると共に、“映画とは何か” という根本的な問いを巡る争いでもあるというのが、多くの見方です。 映像がインターネット上を容易に往来するようになると、「観客が一堂に会し、フィルムをスクリーンに映して鑑賞する」 という19世紀以来の “映画の形” が、維持できなくなるわけです。 映画に関わる全ての仕事のあり方が、転換期を迎えています。
◆ かつて映画館には“弁士”という職人がいましたが、サウンドトラック(音声帯)付きの映画の登場で、廃業となりました。 映画に関して、次になくなっていく仕事は 何なのでしょうか?

日本の「報道の自由」は地に落ちた?
  「国境なき記者団 (Reporters Without Borders:RWB)」 の2017年度報道の自由度ランキングのトップ10は、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、オランダ、コスタリカ、スイス、ジャマイカ、ベルギー、アイスランドでした。 G7諸国では、ドイツ16位(前年16位)、カナダ22位(←18位)、フランス39位(←45位)、英国40位(←38位)、アメリカ43位(←41位)、イタリア52位(←52位)、そして日本は前年と同じ72位です。 日本は、2010年は11位でしたが、安倍政権になってから 順位がどんどん低下し、台湾(45位)、韓国(63位) よりも下になっています。 政府の嘘が解明できないうえ、政府による “誤魔化し” や “論理のすり替え” を指摘できないこと、“記者クラブ発表” に全面依存した報道しかできなくなっていることなどが、知れ亘っているわけです。
◆ 日本の大手新聞の記者が 外国人記者クラブ(東京の有楽町) で、日本人のゲストに “代表質問” をする姿も、情けなくて 見ていられません。 「取材能力がないのか?」という印象を 世界に与えています。 また、15日、毎日新聞の岸井成格さん(享年73歳) が亡くなりました。 「ジャーナリストは志を持て。毅然と権力に立ち向かう、理不尽なこととは闘うという精神を維持せよ」 という硬骨感が また一人…… 寂しいです。

第65回グローバル化社会の教育研究会(EGS) は7月
  7月23日(月)、開催されることになりました。 話題提供は、玉川大学大学院教育学研究科の星野あゆみ先生です。 星野先生は、国際バカロレア機構(IBO) のアジア太平洋地域 開発マネージャーもされています。 IB、とりわけ 「日本語DP」 の導入を検討していながら、踏み切れないでいる学校が多いのは、担当教員の確保と養成・訓練の難しさ、そして 設備拡充も含めた経費が一体どれくらい掛かるのか が予測しにくい点などがあるからです。 そうした心理的な障壁を どう克服していくべきかは、是非とも取り上げたいテーマです。 月曜日の開催である点に ご注意願います。
◆ 星野あゆみ先生は “時の人”ですので、超多忙な日々を送っておられます。 EGS研究会も、日程調整に 1年以上もかかってしまいましたが、やっといらしていただけます。 夏休みの研修の一つに 是非どうぞ。

5月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あだち子ども未来応援円卓会議--- 5月13日(日)、於:東京未来大学こどもみらい園 (東京都足立区)。 テーマ 『家庭・家族』 [ファシリテーター] 冠地 情 (イイトコサガシ代表)、[基調講演] 町田 彰秀 (A-Step代表)。 ※ あだち子ども支援ネットは 子ども達や若者の発達支援、地域の課題を解決するための様々なアイデアを掘り起こす活動を行っています。
Japan IT Week 春 セミナー 第1回AI・業務自動化展--- 5月 9日(水)〜11日(金)、於:東京ビッグサイト (東京都江東区)。 ※ 今後の職場がどういう形になっていくのか、いわゆる“働き方改革”の将来を眺めます。
One Earth Guardians育成プログラム キックオフ公開シンポジウム--- 5月 18日(金)、於:東京大学 伊藤謝恩ホール (東京都文京区)。 [特別講演/パネリスト] 中嶋 一郎 (住友林業(株))、赤名 正臣 (エーザイ(株))、古谷 研 (創価大学 教授)。 [産官学鼎談]『SDGs時代における高等教育の可能性』。 ※ 100年後、人類があらゆる生物と共存していける世界を創るための人材「地球医 (One Earth Guardians)」を育成する教育プログラム。
教育ITソリューションEXPOセミナー--- 5月16日(水)〜18日(金)、於:東京ビッグサイト。[基調講演] 「教育ICTの最前線」=梅村 研 (文科省 情報教育課長)ほか。 [特別講演] 「アクティブラーニング実践」=和田 孫博 (灘中・高校 校長)、「新学習指導要領とICT整備」=堀田 龍也 (東北大学大学院 教授)、ほか。 ※ 専門セミナー「2020年に向けたICT活用」は、広尾学園・同志社・聖徳学園の授業実践が体験できます。
ASIA-NET セミナー「中国ビジネス3部作 電子書籍版/出版報告会」--- 5月17日(木)、於:南部労政会館 (東京都品川区)。内容:「中国人とうまくつきあう実践テクニック」「知っておくと必ずビジネスに役立つ中国人の面子」「すぐに中国人との実践交渉術」で伝えたいポイント、コミュニケーションスタイルの違い。※ 著者の吉村章さんから直接、解説してもらえます。
これからのNPO・市民活動を一緒に考えよう--- 5月19日(土)、於:府中市市民活動センター。 テーマ 「はじめたい人・悩んでいる人・次につなぎたい人」=富永 一夫 (NPO フュージョン長生)。 ※ 団体運営の悩みや困りごとの解決策や これからについて グループワークで一緒に考えます。
ASIA-NETセミナー--- 5月22日(火)、於:ASIA-NET/初台センタービル (東京都渋谷区)。 テーマ 『結果を出す人が必ずやっているNLPトレーニング』=野澤 茂樹 (ヒューマンプロファイル研究所 代表)。 ※ NLPは、今日では コーチングや職員研修に欠かせない技法となっています。 生徒のやる気にも…。
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◆ 6年前 ジャカルタを訪れた時、日本人学校の元職員たちから 「先生のお蔭で、わが子を皆 大学に行かせることができた」 と感謝されました。 就業規則の交渉などで 彼らにも我慢を強いたのですが、「Sekolah kita(われらの学校)」 と彼らが呼べる環境造りが、働き甲斐に繋がったとのこと。 こちらこそ感謝です!

◆ 野球の「鉄人」 衣笠祥雄さんが逝去されました。 入団から十年間、背番号が "28" だったので そう呼んだのですが、"" になって(1975年) からも鉄人振りを発揮して 国民的英雄に…… 赤ヘル黄金時代の看板選手でした。 好記録・好エピソードは数知れず、私たちを 今でも勇気づけてくれます。

◆ 国立天文台が、来年の「平成31 (2019)年暦要項」(二十四節気、月の満ち欠け、国民の祝日などを紹介) を発表しましたが、天皇誕生日がありません。 皇太子の徳仁親王(浩宮) の誕生日は 2月23日で、即位されるのは 5月1日ですから。

◆ 海外子女教育振興財団の 「帰国生のための学校説明会・相談会」 の海外開催の日程が 公表されています。 開催場所などは同財団のサイトをご覧ください。 北米(5/5-12)、欧州(5/17-21)、アジア(5/26-31、6/18-23)。

◆ 『月刊 海外子女教育』5月号特集は、「教育改革と海外・帰国生」と「"やる気" を科学する」---“主体的・対話的で深い学び” の実際が、易しく説明されています。 会員校は 白百合女子大学--- しなやかで清々しい雰囲気が魅力的--- 取材しながら 至福の時を満喫できました。

◆ 5月16日から イスラム教徒は断食月(Ramdan) に入ります。 日の出から日没まで飲食を避け、心身の浄化を祈る年中行事です。 この時期にイランを刺激するのは、どうかと思います。 世界の平和と安定を切に祈ります。

◆ 20日(日)、有楽町で 東京私立中学合同相談会があり、いよいよ次年度の募集活動が本格化しました。 会場にいると、堀越克明先生や吉田盛次先生、山本慧彊先生、村田照子先生…… といった先生方のお姿を思わず探してしまいますが、昔を振り返ってばかりではいけませんね。
  「広尾学園(港区) が 村田学園(文京区) に続いて 成女学園(新宿区) を買収?」 という噂が流れています。 正しくは、「創志学園(神戸市) のグループ傘下に」 でしょうけど、校名が残るだけでも……と思います。

◆ それにしても、米・野菜は異常に高いですね。 NHKが 「先月比で〇%下がった」 と喧伝しますが、2年前から異常高値だったことには触れません。 “官邸に忖度” のニュースなのですね。
  知人から送ってもらった “貴重な筍” を、ゆっくり噛みしめながら 幸せを享受しています。 しかし、筍の香りには 「五月病」で悩む親子のことも想起させられます。 いよいよシーズン到来。 どなたも心身の健康にご配慮ください。

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2018年 4月以前のニュースは こちら

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