子女教育ニュース

      担当: 国際教育相談員 小山 和智
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、
一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。
2018年 4月3月2月1月、2017年 9月〜12月5月〜8月1月〜4月。 2016年 9月〜12月5月〜8月

 2018年5月以降のニュースは こちら

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【2018-4月】

4月2日は「国際子どもの本の日」
  国際児童図書評議会(IBBY) が アンデルセンの誕生日に因んで制定(1967年) しました。 他方、セルヴァンテス、シェークスピアなど 文豪の命日である 4月23日は、「世界本の日」 として ユネスコ総会が制定(1995年) しましたが、日本では 「子ども読書の日」 と定められています (平成13年法律第154号)
  このたび、『魔女の宅急便』 の角野栄子さんが、国際アンデルセン賞を受賞されました。 「魅力的で思いやりと鋭気に満ち、楽しく、前向きだ」 というIBBYの講評は、その通りだと思いますし、嬉しいです。

春の陽気と 「霞が関」
  春爛漫……知人からのメイルに、「徒らに名をのみとめてあづま路の霞の関も春ぞくれぬる」(新拾遺和歌集) と書かれていました。 「霞の関」 は ヤマトタケルノミコトが 蝦夷 (えみし=まだ朝廷に帰順していない部族) の襲撃に備えて設けた関所だそうで、東日本に 何ヶ所もある地名です。 霞を “春が暮れて往ってしまうのを留める関所” と見立てる = 若さや “わが世の春” が いつまでも続くように願う心情表現でもあります。 なので、短歌を寄越した知人は 「わが青春も そろそろ終わりかい」 といった感傷に浸っているのでしょう。
                        「思ひ切つて更け行く春の独りかな」(夏目漱石)
  東京の 「霞が関」 は、今の総務省・国土交通省の辺りにあって、江戸幕府が開かれるまで 荏原郡の東の関所(今流にいうと "東北の玄関")が置かれていたそうです。 文部科学省の前に 金毘羅宮 (ヒンズー教の水運神クンビラを祭る) があることから、桜田通りの東側は海だったことが判ります。 江戸時代は 安芸(広島) の浅野藩邸、明治以降は内務省 (地方行財政・警察・土木・衛生など国内行政の大半を担う) が置かれました。 南隣の筑前(福岡) 黒田藩邸には外務省、東側にあった米沢(山形) 上杉藩邸には法務省… 等々 明治政府の庁舎が集められ、「霞が関」は “官庁” の代名詞になります。
◆ 今の日比谷公園の辺りは地盤が悪くて、明治政府はレンガ造りの庁舎を建てることを断念します。 ニューヨークの中央公園(Central Park) の辺りが、岩盤が硬くて建築に適さず、放置されていたことと似ています。 (理由は 真反対ですけど)

第64回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催
  4月20日(金)、聖学院中学・高校 (東京都北区) で行われます。 話題提供は 東京学芸大学の西村圭一先生にお願いしました。 テーマは 『庶民のための数学教育とは?--- 現実世界を読み解き解釈する能力の育成を』 です。
  最近の高校生の7割以上が、「こんな数学は 自分の人生に役に立たない」 と思っているそうです。 将来、同じ世代の10数パーセントしか専門家や技術者にならないのに、全員に同じ内容を課し、同じような教え方しかしないのは、余りに無理な話です。 ところが、数学教員を志す学生の大半が 「難問を学生の前で美しく解いて見せる」 ことを夢見ています。 社会の大半を占める庶民が困難な社会を生き抜いていける--- 実社会に出て、算数・数学の学びを主体的に活用できる子を育てるには どうしたら好いのか、西村先生のお話を素に話し合いたいと思います。

「Black Monday」 の意味は?
  春爛漫ですが、国際経済には 暗雲が立ち込めています。 「Black Monday」というと 1987年秋のニューヨーク市場から始まった世界的な株価暴落をイメージする人が多かったのですが、2008年9月の 「the Global Financial Crisis (世界金融危機)(いわゆる 「リーマンショック」) 以降は、印象が薄れました。 元は 復活祭(Easter) 翌日の月曜日のことです。 1360年の 「Easter Monday」 に英国がフランスの都パリを襲撃しますが、天候に恵まれず 大損害を被ったことから、“不吉で憂鬱な日” となりました。 以後、キリスト教圏では、この日を休日にする習慣が定着します。 今日では 「Black Monday」は “長い休暇明けの日”や“始業式” の意味で使われます (曜日に関係なく)。 子ども達が 「嫌だなぁ」 と思う日だといわれますけど、本当でしょうか?
  因みに、1929年の 「Wall Street Crash(ニューヨーク市場大暴落) は 「Black Thursday」に始まり、翌日 「Black Friday」も続落、翌週の 「Black Monday」 「Black Tuesday」 で 壊滅的な株価暴落となりました。 ダウ式平均株価が同じ水準に戻るまで 25年もかかる大惨事でしたが、この教訓から、緊急経済政策の策定に この4段階の表現が使われます。 だから 「Black Monday」は “最悪の事態になりそう”という意味になります。 実際の曜日とは関係ありません。
◆ 今年の 「Easter Monday」 は 4月2日でした。 アメリカ貿易収支の赤字幅が膨らみ、ドル安打開のためにドル金利を引き上げる観測が広がると、「Black Monday」 の悪夢が蘇ってきます。

猫も杓子も「アクティブラーニング」?
  今月から小学校で始まる新学習指導要領では、「AL (Active Learning)」を 「何を知っているか、何ができるか」「知っていること・できることをどう使うか」「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」 と言い換えて、主体的&協働的な “問題発見・解決” の場面を経験させることを奨励しています。 しかし、AL自体は 何も新しい概念ではありませんし、1965年頃までは、日本の公立小・中学校では 当たり前の手法でした。それが 受験戦争の激化により、知識量偏重の いわば“偏差値”や進学実績のみに標準を置く風潮が強まった結果、「学びに向かう力は、実社会や実生活に関連した課題などを通じて動機づけを行うことで興味がわき、努力し続ける意思が喚起される」 という常識が 忘れられてしまったのです。
  その点、帰国生のほとんどは海外で、そうした常識の中で教育を受けてきたわけで、いわゆる「地頭<じあたま> の良い子」(秀才タイプではないが、自分で考え抜く力や本質を見抜く力を持つ“キレ者”) として評価が高まっています。 かつて、多くの日本人が囚われている “常識”や“空気” を無視した言動を ついついしてしまう (KY) ことから、学校側から忌避されていたのですが、今日では 海外育ちの子が、健全な教育実現のための 貴重な存在となっている状況です。 帰国生、頑張れ!
◆ 「地頭の良い子」を育む方法は 無数にあります。 碁や将棋も立派な教材ですし、本格的な 「推理小説 (puzzles= mystery)」 も教本にできます。『国語力がつく なぞとき 算数パズル』の著者が、日本アクティブ・ラーニング学会の事務局長であることも頷けます。

今年の旧暦3月3日は4月18日でした。
  「雛祭り」 の原型は、稲作文化とともに日本に伝わってきた ヒンズー教の豊穣神ラクシュミ(吉祥天) を ヒナ(山麓) から招く神事で、ホスト役は “内裏様 (天皇)” です。 その行事の柱に 「潮干狩り(アサリ採り) がありました。 一方、合衆国ニューヨーク州、ロングアイランド西部の 「Little Neck Bay(リトルネック湾) で採れる ホンビノスガイ (白蛤)は、19世紀後半から ニューヨークや欧州各国の高級レストランで 人気を博すようになりました。 そして、日本産のアサリまで 「Japanese Littleneck」 と呼ばれるようになります。
  英語の 「Clam」 は 広義の “<はまぐり>” で、食用二枚貝の総称です。 中国語でアサリを 「玄蛤 <wuan2ge2>(黒い蛤)、「蛤仔 <ge2zi3>(小さい蛤) と呼ぶのも同じ趣旨で、殻の表面に細かい筋があって、ザラザラしている “蛤” がアサリです。 アサリは 濾過摂食性のため、水質浄化機能 (一個で 10リットル/日?) があり、干潟などの環境改善・再生の切り札として注目されています。 狭義の “蛤” はアサリより大粒で、殻の表面が白っぽくてツルツルしています。 英語で 「Common Orient Clam」、中国語で「文蛤 <wen2ge2>(雅やかな蛤)。「チョウセンハマグリ (汀線蛤)」 は れっきとした日本産で、鹿島灘など外洋に面した海岸で採れるものをいいます。 こちらは大型なので、殻は碁石の材料にされます。

第64回グローバル化社会の教育研究会(EGS) 開催される
  4月20日(金)、話題提供は西村圭一先生(東京学芸大学) でした。 「目から鱗」は、英国の数学教育の改良プロジェクト 「Bowland Maths」のソフト--- 実生活に数学的な推論を考えたり、数学的方法を使って分析することで、幅広い問題解決を図るケーススタディの例示がなされました。 生徒たちが、必要なデータを考え、仮説を立て・検証し、データを層別し、目的に合ったグラフを選び・読み、対策を評価し、データを示して伝え合い、決定に至る過程を実践的に学ぶことができます。 わが国では 今回の学習指導要領改訂で、ようやく この過程が正面から取り上げられましたが、学校現場では 「効率が悪くて 大学受験に間に合わない」 と、抵抗は相当大きいようです。
  しかし、「ドライバーズ効果(運転者は助手席の人よりも道を覚える) といわれるように、私たちの脳は、自分自身が主体者であると判断すると活性化し、自分が主体ではないと思うと “催眠モード” に入っていきます。 学習者に受身の感覚を持たせると、結局、脳内の学習効果を妨げてしまいますから、従来の授業形式の方も 非効率だったわけです。 日本学術会議でも、「これからの時代の市民にとって、数理科学的な事象の把握・処理の能力は欠かせない」 と訴えています (2013年)。 かつて、カメラの自動化が高度に進んで、「カメラマンに残されたものは、哲学しかない」 というCMもありました。 何もかもAI(人工知能) に任せる時代には、人間は 「あるべきもの」 を求める価値命題に取り組むしかありません。 それを怠れば、AIに 「人間はもう要らない」 と判断されかねませんから。
◆ 今回のEGS研究会に、「英語科も同じ問題を抱えています」 とのお便りをいただきました。 生徒の前で 格好良く英語を話したり書いたりして見せる…を理想とする教師たち……。 “超実用重視外国語教育政策” に見える実情は、まさに憂えるべきことで、それを “グローバル人材育成” と同義と誤解して(させて) いる向きには、どうしたものかと溜め息が出ます。

4月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
朗読ユニット『ぽらりす』第6回公演--- 4月 1日(日)、於:渋谷区文化総合センター大和田(東京都渋谷区)。 [第1部] Let's try!!「朗読」レッスン =岩井 正 アナウンサー、[第2部] 語り継がれる「日本の民話」=山根基世アナウンサー。 ※ 教師・声優などが「日本語 〜豊かな音の響きを求め」を掲げて活動するグループです。
JSTM 第17回 日本旅行医学会大会--- 4月 7日(土)・8日(日)、於:
国立オリンピック記念青少年総合センター (東京都渋谷区)。 [報告] 「留学生の旅行医学--- 留学安全管理者の育成」「留学・海外赴任時の病院のかかり方」「米国の歯科事情」「女性のワクチン接種」「最近の国際テロリズム情勢」ほか。 ※ メインテーマは 『シニア世代… 』ですが、企業の人事担当や教育機関にとって有益なトピックも豊富。
第25回 市民政治研究会--- 4月 7日(土)、於:婦選会館 (東京都渋谷区)。 テーマ 『 <市民政治> の未来 』=佐々木 寛 (新潟国際情報大学 国際学部 教授)。 ※ 参院選/新潟県知事選でも市民連合のリーダーとして活躍中の佐々木さんは 昨年11月『市民政治の育て方』(大月書店) を刊行されました。
第64回グローバル化社会の教育研究会(EGS)--- 4月20日(金)、於:聖学院中学校・高等学校 (東京都北区)。 テーマ 『庶民のための数学教育とは?--- 現実世界を読み解き解釈する能力の育成を』=西村 圭一 (東京学芸大学 教授)。 ※ 「実社会に出ても 算数・数学の学びを主体的に活用できる子どもを育てたい!」を掲げて活躍されている現状報告です。
関西「帰国子女教育を考える会」第78回 研究例会--- 4月21日(土)、於:奈良教育大学 (奈良市高畑町)。 テーマ 『グローバル人材育成を考える (仮題)」=渋谷 真樹 (奈良教育大学 教授)、芝野 淳一 (大阪成蹊大学 専任講師)。 ※ 渋谷先生は、日本人学校/補習校の改革提案を通じてのグローバル人材育成に貢献する「AG-5プロジェクト」の運営委員でもあります。
マイナビニュースセミナー--- 4月24日(火)、於:マイナビルーム (東京都新宿区)。 テーマ 『ユーザー事例から学ぶ! Hyper-V HCI (S2D) セミナー』=江崎 浩 (東京大学 大学院 教授) ほか。 ※「今さら HCIって何?」と聞けないという人向けの解説です。
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◆ 『草枕』 の中の シュレーの雲雀<ひばり>の詩 ⇒ 「ないものねだりは よしなよ。心底からの笑いでも いくつかの痛みに満ちているし、最も甘美な歌は 悲しい思いを伝えるものだから」 でどうでしょう? 雲雀(lark) は、欧米では“自由”の象徴で、“夜明けの詩人” にも喩えられます。 のどかな春の日を、鳴きながら空をどこまでも登って行って、きっと雲の中で死ぬ……と漱石は書いていますけど、煙草<タバコ>の名前にするのは…?

◆ 国際文化フォーラム(TJF) の 「多言語・多文化交流パフォーマンス合宿」 最終日を観てきました (於:大学セミナーハウス)。 さまざまな文化的ルーツを持つ高校生と国内育ちの高校生とが4日間、演劇ワークショップを中心に交流活動するものです。 若者が急成長していく様子に感動しました。

◆ 「多言語・多文化交流パフォーマンス合宿」の会場に、神奈川県立弥栄高校の坂本万里校長の顔もありました。 3月で定年退職され、4月からは神奈川県教委の嘱託となられ、教職員の指導に当たられます。

◆ 「〇〇先生は今、低気圧/台風」 は 子ども達が “警戒警報” の意味で使いますが、教職員の方は、新学期を 「台風が戻ってくる」 とも表現します。 どちらも結構 楽しみにしていると思うのですけど。

◆ アサリならぬ 「阿闍梨<あじゃり> (Acarya)」は、仏教(とくに密教) で師範たるべき高僧をいい、「教授」 と漢訳されます。 その宗派(School) で最高位の修行を積み 秘法を伝授されたという意味です。

◆ 「Active Learning」 は 全ての教科において実践されるべき基本ですが、カタカナの 「アクティブ・ラーニング」 になってしまうと、余りに方法論に偏ったりして、ともすると生徒は 何を学んだか実感を持てません。 他方、為政者や役人は、国民を如何に “催眠モード” にするかと知恵を絞るわけで、教師自体が自己保身や怠惰のために “催眠モード” を擬装するのは、自滅行為でしょう。 先生は 「生徒を覚醒させてなんぼ」 です。

◆ 船橋洋一さんの 『検証 日本の「失われた20年」 日本はなぜ停滞から抜け出せなかったのか』(東洋経済新報社) は衝撃的な内容です。 第6章『教育「キャッチアップの完了」が すべてを間違わせた』 は必見!

◆ 3年前、文部科学省が出した 「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」の通知を巡り、「国立大学で “文系廃止”か?」の騒ぎとなりました。 「モリソバ・カケソバ」騒ぎで 救われた(?) 感じですね。

平川理恵さんが、4月から 広島県教育長に就任されました。 「全国初の公立中学校の女性民間人校長」、そして 中教審特別部会委員も経験されましたが、“日本一の教育県” でも ご活躍を期待します。

◆ 4月から海外の日本人学校・補習授業校に赴任される先生方は、道中お気をつけていらしてください。 元気な子ども達が待っていますよ。
  それでは皆様、ごきげんよう。

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【2018-3月】

3月は卒業式のシーズンです。
  卒業式といえば、米スタンフォード大学での スティーブ・ジョブスのスピーチ 『Stay hungry. Stay foolish.(2005年6月12日) は、いつ聞いても感動的です。 「私は大学を中退したので、大学の卒業式に出席するのは初めてです」 というジョークで始め、「点を繋げること」「愛と喪失(敗北)」「死」 の3つの逸話を紹介しながら、卒業生に、夢を追求しチャンスを見出すよう訴えています。(YouTubeで観られます)
  圧巻は、「死は…… “古き者” を消し去り “新しき者” のための道を作る…… 君たちの時間は限られているので、他の誰かの人生を生きている暇はない…… 他人の雑音によって、自分の内なる声が掻き消されないようにしよう。 そして最も重要なのは、自分の良心と直感に従う勇気を持つことだ」 の部分で、拍手が しばし鳴り止みません。
  しかし、この部分が 団塊の世代には極めて不評で、上げ足をとる論評も無数にあります。 多くは、このスピーチの前提に 「人を傷つけたり貶めたりといった “自分がされて嫌なこと” は他人にしない」 という黄金律があることを知らないからで、弊害ばかりを感じるからでしょう。 年寄りが 若者たちの迷惑を顧みずに 「Stay hungry. Stay foolish.」 をやり続けるのは論外。 後進を育て 支援することに徹するべきです。
◆ 「Stay hungry. Stay foolish.」は種々な訳があります。「ずっと無謀で」(山形浩生)、「ハングリーであれ! バカであれ!」(Tosche) 等々…。 意訳では、「恐れず、迷わず、捉われず、信じた道を行け」(野村尚義) も。

「衣鉢を継ぐ」は死語でしょうか?
  「衣鉢」とは、仏教の 「三衣一鉢」(僧侶の下着・普段着・儀式着+托鉢用の鉢) のことで、仏法を伝授した証として 師僧から弟子に与える習慣がありました。 このことから、宗教・芸術などで 老師・先生から伝える奥義、さらには 前人の事業・行跡などを引き継ぐ際に 「衣鉢を継ぐ」 といわれるようになりましたが、「袈裟 <けさ>」 も知らない若者には、理解不能です。 他方、欧州キリスト教では、「mantle /manteau」 といいます。 卒業式のマントを除いて マント類が廃れた現在、衣鉢は どうやって継がれるのでしょう? 子ども達には 『鏡の国のアリス』 に出てくる 「port-manteau(かばん語) の方が身近です。 “両開きの旅行鞄” が廃れても かばん語が残るように、マントが廃れても “教えの礎 <いしづえ>” は 舌先に残るリズムとして 受け継がれていくのかもしれません。
  いずれにせよ 日本の大衆化した大学では、「修得(学問を修め自分のものにする) よりも 「履修(何時間勉強したか) を基準に卒業証書を出すので、恩師の衣鉢を継ぐことなど 学生は全然考えていません。 だから、志望校で どんな先生が教鞭を執っているかを よく知っている受験生は、希少価値があります。 不合格になることは、まずないでしょう。
◆ 大和言葉では “かばん語(混成語)”を正規の語法とすることは少ないのですが、商品名や若者の流行語としては、無数に見られます。息長く使われるものも多いですね。(例:京阪神地区、国公立校など)

『インドネシア・マレイシア駐在員マニュアル』 について
  旺志社から出版して 丸20年が経ちました。 とっくに絶版ですし、時代も変わっていると思うのですが、今でもインターネット上で 値段がついて 売り買いされており、ご愛顧に感謝します。 出版の際、毎日新聞の朝刊一面に広告を出していただいたことは感激でしたが、『月刊マレイシア』や『日刊ゲンダイ』、旅行雑誌などでも紹介されて、この上ない幸せでした。 出版直後から 誤記・誤植が何ヶ所か見つかり、20年間、赤面の思いで過ごした面もあります。 「今でも、時々読み返しますよ」 などとお世辞を言ってくださる方もあり、ただただ 赤面と冷や汗 に耐えています。
  「素人が素人のために書く」 というスタイルは、ソーシャルネットワーク(SNS) 時代の現在では、当たり前のことになりました。 青空文庫の故 富田倫生さんが 「膨大なゴミのような文章が氾濫する」 と予測していた通りになったわけです。 そして、この教育通信も その最たるものといえます。 お目障りな点は ご容赦くださいますよう。

「ポート」 の意味は?
  中学・高校で、課題学習の定番に 「ポートフォリオ(自己作品集) を作る」 という学習方法があります。 「port-folio」は 元々、公用書類を入れるカバンのことですが、銀行などで作成する有価証券の一覧表も意味し、投資家のために参考資料も見易く添付してあります。 要は、その体裁で学習活動報告をまとめさせるわけです。
  ラテン語の 「port」は “持ち運ぶ (carry)” の意味で、軍隊では “控え銃<つつ>(身体の前で斜めに銃を持つ)、つまりは 銃を持ち運ぶ姿勢をいいます。 また、城壁や船体の設計をする時、その防御線や胴体が破られない お呪いとして、開口部は ペン(地面に描く時は<すき>) を浮かせて “運ぶ” 習慣でした。 このことから 「port」 に “” の意味が生まれ、さらに “” や “銃眼・砲門” に発展してきました。 (それ以外の“壁”部分は、より堅固である前提です)
  したがって、船の胴体や飛行機の機体横に開けられた 丸い窓 (舷窓) も 「port(-hole)」で、明り取りや通気・排気、あるいは 銃眼の機能を果たします。 因みに、船の場面で 「looking-glass(姿見・鏡) を “窓”と訳す生徒がたまにいますが、その意味はありません。 見ているのは 自分自身や横、あるいは後方(⇒あべこべ) なのです。 もし 何かの尻尾が見えたり、横に居る人が写らなかったりしたら 要注意! 居ない人が映ったら……、もっと怖いですね。
◆ 「port-manteau」(両開きの旅行鞄) も "port" が “持ち運ぶ” なので、“マントで運ぶ” が “鞄” を意味したわけですね。 また 「folio」は "leaf"(見開きページ,二つ折り) が原意です。 サイズは まちまち…。

春と「Fandango」、そして粉屋
  英国では 昔は3月25日が正月でしたが、春の訪れとともに、野山を歩いたり、英国国教会の総本山であるカンタベリー大聖堂にお参りしたりするのは、楽しい行事です。 こんな時に欠かせないのが 「Fandango」--- 元はスペインのフラメンコの一種で、ギターと手拍子で伴奏する 三拍子の曲に乗って、男女が躍動感豊かに踊ります。 酒場などでは 大勢が輪になり(cartwheel)、速いテンポで グルグル踊る(razzle-dazzle) ので、“バカ騒ぎ” の意味もあります。 中年以上の人には、青春の思い出ですね。
  バレー舞曲 『代官と粉屋の女房』(英1917年初演) の第一幕で、粉屋の女房が、鼻の下を伸ばした代官を からかって踊るのも 「Fandango」です。 かつて 欧州の 「粉屋 (miller, molinero)」は、水車・風車を動力源とする大きな臼を持っており、ブルジョワの代表格---- 今の感覚でいうと “工場のオーナー社長” でした。 美人の奥さんや娘がいるのに 留守がちで、近所の男どもが 不倫を妄想…… というのは、世間話の定番です。
  水車や風車は 川岸・運河沿いにあり、洪水の際に 粉屋は設備を守ろうとして溺れる例も、多かったようです。 そのほか 罠に はめられたり、あるいは 危ない取引をしたり といった身の上話には事欠かず、酒に酔えば 話が長くなります (miller's tales)。 周囲も 「一杯 おごるよ」 と言ってくれるのを 期待して待つので、話はグルグル巡ります。
◆ 『カンタベリー物語』(英14世紀) にも粉屋が登場、大工の女房の不倫話をしますが、“本山参り”の一行の目には 鼻持ちならない金持ちです。 粉屋が粉の出来栄えを指で確かめる仕草は、札束を数えているような……  英国パブで 「miller's tale」 といえば、“週刊誌ネタ” でしょうか? 「The mirror showed/told his tail.」(鏡が彼の尻尾=正体を教えた)と、懸詞<かけことば> になっています。 酒の肴には もってこいです。

現実への類推や洞察に到る“抽象力”を
  教育の現場では、解り易く図解するため、誇張したり色を付けたりすることが多くあります。 例えば、地図の道を実際の10倍以上の幅にすることで、位置関係を学習させたりするのですが、そこで 「この道を渡るのに……」 と考えてしまう子の頭の中は、混乱しています。 人体模型でも、動脈を赤、静脈を青にしてあるものが多いため、「青い血が流れている」と思っている子すらいます。
  したがって、理解・認識のための方策の一方で、現実への類推や洞察にいたる “抽象力” を養っていくことは、全ての教科において大事にされるべきです。 国際バカロレアの初等教育課程(PYP) では、その点にかなりの重点が置かれていますし、中等教育段階(MYP, DP) においては、「知の理論 (Theory of Knowledge:TOK)」 が必修領域とされています。
  物理の力学で、重力や張力を矢印で示していても、実際には目に見えないのだということをどう教えていくか、「こう覚えなさい」 と言われても納得できない子を どう刺激するかは、かつて秀才だった人には想像できません。 寺子屋時代に培われた、庶民の “地頭” を鍛える方策を、もう一度捉え直す必要を感じます。 そうすれば、「儲かる話は他人に教えない」「安価ということは何か理由がある」 といった庶民の知恵が回復し、詐欺に引っ掛かったり 株で損をしたりする人も減るはずです。
◆ 次回のグローバル化社会の教育研究会(EGS)は 4月20日(金)です。 西村 圭一先生(東京学芸大学) を迎えて、社会を支える庶民のための算数・数学教育、そして庶民の “地頭” を鍛える方策について話し合いたいと思います。

3月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
JACTFL 第6回 外国語教育の未来を拓くシンポジウム--- 3月11日(日)、於:上智大学四谷キャンパス (東京都千代田区)。 テーマ 『豊かな人間性を育む多言語・複言語教育』。[基調講演] 田中 克彦 (一橋大学名誉教授)。 ※ 英語に偏らない外国語教育 に関心を持つ教師等が集まります。
TJFセミナー「外国語学習のめやす」の目標分解表を作ろう--- 3月12日(月)・13日(火)、於:立命館大学 大阪いばらきキャンパス。 テーマ 『逆向き設計によるカリキュラム構築を学ぶ』=阪上 彩子 (関西学院大学講師:日本語)ほか。 ※ 外国語教育に従事している教員及び その志望者が対象。
TJF 小・中・高校の教師向けワークショップ--- 3月21日(祝)、於:国際文化フォーラム (東京都文京区)。 テーマ 『学びの質に こだわってみよう--- ルーブリックで評価を見える化する』=稲垣 忠 先生(東北学院大学教養学部 教授)。 ※ 実際に生徒たちが制作した作品を吟味しながら 学びの「質」を言語化し、評価基準にまとめます。
JALs日本アクティブ・ラーニング学会 第2回全国大会--- 3月25日(日)、於:文京学院大学 本郷キャンパス (東京都文京区)。 テーマ 『2020年新学習指導要領とアクティブ・ラーニング』[基調講演] 溝上 慎一 (京都大学 高等教育研究開発推進センター教授)、鹿野 利春 (文部科学省 生涯学習政策局 教科調査官)。 ※ 先進的な学校現場の取組や高大連携の取組に着目し、“深い学び”について議論がなされます。
外国語授業実践フォーラム 第15回会合--- 3月31日(土)、於:関西大学千里山キャンパス (大阪府吹田市)。 テーマ 『<すべての学習者> の学びを保障するために 我々は何を変えるべきか』=竹村 和浩 (ビジネス ブレークスルー大学) ほか。 ※ 英語教育ユニバーサルデザイン研究会代表の 村上加代子先生 (神戸山手短期大学)も登壇。
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◆ “世間の常識” を振り回して 苦情ばかり言う年寄りは、許せませんね。 そんな輩には、「よく言った それをお前がやってくれ」(万能川柳1995年) と嫌われ口をぶつけて、若者たちの活動領域が 少しでも広がればと願っています。

◆ IB採用の小学校(PYP) で、「Singularity」を課題研究している子に会いました。 「教師はどうなる?」 と聞くと、「"teacher" は要りませんね」 とバッサリ! 「でも、"facilitator" "mentor" は必要ですよ」 と言ってくれて、ハッグしました。 この子たちの将来が楽しみです。

◆ インドネシアの首都圏は 「Jabodetabek」と呼ばれます。 ジャカルタ特別市(Jakarta) と ボゴール市(Bogor)・デポック市(Depok)・タンゲラン市(Tangerang)・ブカシ市(Bekasi) の頭2〜3字を混成したものです。

◆ 『月刊 海外子女教育』 3月号特集は 「海外で身につけたチョット変な力」 です。 帰国生の“あるある”を 4人の井戸端会議で盛り上げています。 会員校紹介は、総合学科高校の筑波大学附属坂戸高等学校です。

◆ 香川県教員の合田芳弘さんの小説 『イブキの島』がミュージカルになり、3月25日(日)観音寺市民会館で公演されます。脚本・演出は浜畑健吉さん、音楽監督は北川 潤さん。地元の子ども達が たくさん出演します。

明石順平さんの新著 『アベノミクスによろしく』は 時宜を得た力作です。 政府の公表データを基に、安倍政権の嘘を暴き、「アベノミクスの恐るべき実態 ⇒ 日本経済の絶望的な未来」 を看破しておられます。 お見事!

◆ 東日本大震災から丸7年を迎えますが、「原発がなかったら…」 というのは許されませんか? あの時、「どうしてくれる?」と政府に詰め寄っていた人たちが今、原発再稼働の旗を振っているのです。 何も解決せず…

◆ 私が 「もう 腹が立つ!」 と言うのを聞いた5歳の孫が 、「腹が立つと太くなるの? 細くなるの?」 と聞きました。 「う〜ん、太くなるかなぁ?」 と言うと、孫は 「困るね」…… 何を怒っていたのか 忘れました。

◆ 永田町の大騒ぎ--- ことの発端は 「忖度があったとしたら ありがたい」(上の意を汲んで動けなければ外す) という首相発言でした。 だから 指示がなくても役人が動いたわけで、政治家が 「指示はしていません」というのは大嘘です。 黙認・放置することが 「それで好い」の意思表示ですから。 民間企業にまで “過度の忖度” が蔓延したことがパワハラを産み、社会の活力を殺いできています。 春のうらら…… 夏目漱石の『草枕』の冒頭が思い起こされます。

◆ 「雪が溶けて川になって……」 と、春はもう そこに来ています。 日本人学校・補習校から帰国された先生方、お疲れ様でした。 休む間もなく 新年度の準備でしょうが、お身体を大切になさってください。 それでは皆様、ごきげんよう。

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【2018-2月】

相手や場に敬意を払う姿勢を
  2月1日(木) は 東京・神奈川の私立中学の入試が解禁日、私立高校の一般入試は10日(土) が解禁日です。
  ある茶道の先生のお話しでは、稽古が終わった途端に 生徒たちが 「あー疲れた!」 といって足を投げ出してしまうことが多いそうです。 先生としては、“もてなしの空気を造る” とか “内面から自然に染み出てくる優雅さ・美しさ” などを教えたいわけですが、生徒たちは “技術”と考えているのでしょう。 「礼に始まり礼に終わる」も “パフォーマンスの区切り” としか考えていませんから、“下駄を履くまで…” などと言おうものなら、「ウルセェナー」 と睨み返されかねません。
  かつての日本人は、先生が教室を出てドアを閉められるまでは、大人しくしていたものです。 陸上競技等で全力を出し切ってゴールしても、決して足を投げ出したりしませんでした。 教室や研修の場、道場や競技場、職場などに対して敬意を払い、常に自らを律することを当然としてきた世代にしてみれば、“演技の出来” だけに関心を払う若者たちは、全くの異文化を持つかのようです。 でも、グローバルな社会で生きていくには、相手や場に敬意 (respect)を払う姿勢が必須であることを 忘れてはいけません。 とくに 発展途上国に赴任する駐在員とその家族には、何度でも申し上げます。
◆ 最近は、授業の初めと終わりに礼をさせない先生も 多いようです。 しかし、パフォーマンス世代は、始業の礼をしないと “学びのスイッチ”が入りません。 授業が終わって 礼をした途端に、喧騒にもなりますけど。

タキソノミーでいう “上位思考スキル” を鍛える
  以前、B・ブルームの『教育目標の分類体系 (TAXONOMY OF EDUCATIONAL OBJECTIVES)』(米1956年) に触れました。 “思考”は 「知識⇒ 理解⇒ 応用⇒ 分析⇒ 総合⇒ 評価」 の6階層で進むとしています。 また、松本輝彦さんは、20年前から 「Higher Order Thinking Skills: HOTS(上位思考スキル) を提唱されていますが、「知識⇒ 理解⇒ 応用」 という “下位思考技術” の積み重ねが きちんとできていないと 成立しないことも強調されています。
  わが国では「学び」を “基本の知識や型を効率的に真似る(⇒ まねぶ)” ことに偏って捉える傾向が強く、ともすると “応用”までの段階で十分(とくに大学受験には) と考えられてきました。 しかし、近代民主主義の 「為政者に騙されない国民の育成」 や 「持続可能な発展の実現」 などのためには、「分析⇒ 総合⇒ 評価」 の思考を 自分でできる “学び”(アカデミックな力) が必要なのです。
  「中国・韓国の製品は皆パクリだ」 と思い込んでいる人は多いのですが、わが国も 50〜60年前には同じことをしていましたし、今や彼らも、“応用”の段階までは日本を凌駕するところまで来ています。 世界大学ランキングのトップ10に入る大学に留学する者は、日本人留学生の数倍もおり、国際特許の申請数も日本の何倍もあるそうです。“日本ブランド” に 胡坐<あぐら>など かいてはいられません。

中学入試シーズンは 2月5日で一段落
  2015年の文部科学省の推計で、18歳人口は120万人 (25年前の半分)、2023年頃には110万人になる と予測されていましたが、当然、中学入試を受ける満12歳の子供の減少は、これより6年早くやってくるわけで、とくに今年は 106万人にガクンと落ちる予測でした。 この衝撃を、公立中学は統廃合で凌げるかもしれませんが、私立中学にとっては深刻です。
  2017・18年入試で 定員より多く生徒を確保しようという露骨な方策が目立つ一方で、受験生側も 賢く “投資効率” を考えるようになりました。 つまり、従来の賢い帰国生たちが、中学入試の偏差値が「60」を越えている学校を忌避し、伸び率の期待できる (多少ゆとりを持って学べる、面倒見のよい) 学校を選択するやり方を、国内育ちの受験生も採るようになったのです。
  もちろん、それ以上に注目されているのが 学校の雰囲気です。 いわゆる “秀才型タイプ” ではない “地頭の良い個性派” が多くいて、伸び伸びと学べる学校に 人気が集まりました。 大学入試改革が進行するなかで、「特進○○」「東大〇〇」「医進〇〇」などの “神通力” が いつまで持つのか試されたのが、今年の中学入試といえるでしょう。

公立の「総合(学科)高校」の躍進が目立つ
  高校教育の個性化・多様化を推進するため、普通科高校と職業高校(農業・工業・商業などの専門学科を開設)を統合する 新しいタイプの高校です。 原型は 英国の 「Comprehensive School(1944年教育法) ですが、これを どう訳すかは、1970年頃まで揉めたそうです。 結局、ドイツのシュタイナー学校などが 「Gesamtschule(総体の学校) と呼ばれていることも勘案し、“総合制中等学校” “総合(学科)学校” に落ち着いています。
  わが国の 「総合(学科)高校」 は、将来の職業選択を視野に入れた 「自己の進路への自覚を深めさせる学習」 を重視し、その動機付けとなるような科目を開設するとともに、生徒の科目選択に対する助言や進路指導などのガイダンス機能を充実すること。 また、幅広く選択科目を開設することで、生徒の個性を生かした主体的な選択や実践的・体験的な学習を重視し、多様な能力・適性等に対応した柔軟な教育を行うことを目指すこと…… になっています。(1993年3月22日 文部省初等中等教育局) そして、自己の進路への自覚を深めさせるとともに、将来の職業生活の基礎となる知識・技術等を修得させるため、必修科目 「産業社会と人間」、情報に関する基礎的科目、および 「課題研究」 の科目を設けなくてはいけません。 1994年、筑波大学附属坂戸高校が 全国で初めて 総合学科高校になり(完成年度は1996年度)、実践研究が始まりました。 それから四半世紀を経て、一層の充実が期待されています。

日本の冬は マスクの季節です
  衛生マスクは 第一次世界大戦中(1915〜19年)、インフルエンザが大流行し、人類の3割が感染(死者は1億人?) する事態のなかで普及しました。 それ以後 わが国では、冬季にはマスク着用が奨励され “国民の習慣” になりましたが、多くの人がマスクをして街中を歩く様子は、外国人の目には 物々しい光景に映るようです。 欧州では、「mask」 は元々 「ghost」(魂・亡霊・幻影など)、「witch」(魔女・悪女など) の意味でして、次第に “正体を隠すもの(⇒ 覆面・仮面など)” になってきました。 それを 何人もの人が着用しているのを見ると、非常事態や異様な雰囲気を感じてしまうわけです。
  他方、「musk」 は 「麝香 <she4xiang1, じゃこう>」(雄のジャコウジカのフェロモン嚢⇒芳香材・薬料) のことで、似たような匂いのする動植物も そう呼ばれます。 「nut-meg(ニクズク) の "meg" も 「musky」 が語源で、“麝香のような好い匂いがする” の意味ですけど、香りは異なります。(イスラム寺院やロシアの首都も……) 「麝香」は、精神安定や心機能亢進、抗ヒスタミン作用の薬効があり、わが国でも 六神丸・奇応丸・宇津救命丸・救心 などの薬料です。 ニクズクは、止血・鎮痛・下痢止め・健胃などの効能があるほか、気管支炎やリウマチにも用いられます。
◆ 「musk」は 仏教・ヒンズー教では “生命の源となる種子”(英語の"nut") で、日本語では 「産す」の字が当てられました (⇒ 産す子/産す女)。 中国語の「息 <xi1>」には “増える・生える・子女”の意味があり、日本語では 「息子/息女」も <むすこ/むすめ> と読みます。 また、仏教・ヒンズー教の 「musk」は、英語の 「nut」と同様に “睾丸 (testis)” の隠語でもあります。 “精子は種、母体は畑” の発想が背景にあるからです。 ただし、麝香は精嚢ではなく、精子を作りません。。

第63回グローバル化社会の教育研究会(EGS) 開催される
  16日(金)、いつもの聖学院中学・高校(東京都北区) で開かれ、日本アクティブ・ラーニング学会の 難波俊樹 事務局長の話題提供を素に 「学ぶ力を引き出す教育の再生」 について話し合いました。 まず、「大学入学共通テスト」の試案問題を分析した結果については、数学においては 「圧倒的な文章量」「語句の穴埋め」「選択肢が1対1ではない」「正解が一つではない」 等の特色が報告されました。 数学教師から 「これは数学ではなくて、国語教師が指導すべき範囲」 との感想も多かったとのことで、これには 参加者から強い反発が出ます。 世界史や現代文の試案問題についても、同様の議論が続きました。
  各教科が縦割りになっている点を 縦糸と考えると、いわゆる 「汎用的な能力」 を横糸 (or全教科を横串に指すイメージ) として明確に認識していないと、本来 目指すべき “学力”は育たないといえます。 それを、いわば 「千本ノック」(基礎や課題学習等の繰り返し練習) で体得させるのではなく、「学ぶべき要素」への分解と、それを明示的に学ばせることとが、教師集団に求められています。 教育改革は、あたかも “黒船”のようにいわれますが、いつ時代にも 突き付けられている課題です。 とりわけ昨今の、読解力と思考力の低下に どう対処していくのか、教育の本質を見据えた議論が必要です。

2月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
AppGuard 次世代型セキュリティ対策セミナー--- 2月13日(火)、於:JPタワー4F ホール (東京都千代田区)。 テーマ 『経営を守る。情報を守る。エンドポイントを守る。』=横山 尚人 (IPA情報処理推進機構セキュリティC) ほか。 ※ 中小企業の経営者/情報システム担当者が対象ですが、教育関係者も歓迎。実態調査に基づく最新情報が提供されます。
関西帰国生親の会「かけはし」 春のレッツトーク 2018--- 2月13日(火)、於:大阪市立総合生涯学習センター。 ※ 帰国ママの井戸端会議……子どもの教育から生活のことまで 戸惑ったりイラついたりすることなどを 思い切り話すことで見えてくる世界もあります。
平成29年度 IIST・中央ユーラシア調査会公開シンポジウム--- 2月14日(水)、於:東海大学校友会館 (東京都千代田区)。 テーマ 『中露のユーラシアアジア戦略と中央アジアの対応』=袴田 茂樹 (新潟県立大学 教授)、田中 哲二 (中央アジア・コーカサス研究所 所長) ほか。 ※ "一帯一路" 路線と "ユーラシア共同体" 戦略の実現性・将来性に光を当て、その間に挟まれる中央アジアの現状と対応 および日本の中央アジア外交について議論。
第63回 グローバル化社会の教育研究会(EGS)--- 2月16日(金)、於:聖学院中学・高校 (東京都北区)。 テーマ 『“地頭”がよいとは?--- 学ぶ力を引き出す教育の再生を』=難波 俊樹 (はざまけんじ。 日本アクティブ・ラーニング学会 事務局長・理事)。 ※ 「未知のことを考える力」「知識を活用する力」「深い学び」等は なぜ必要で どうやったら獲得できるのかを、具体的に考えます。
第1回 スポーツビジネス産業展--- 2月21日(水)〜23日(金)、於:幕張メッセ (東京都港区)。 [基調講演] 「日本のエンターテイメント、スポーツ、地方創生を考える」=川淵 三郎 (日本トップリーグ連携機構 会長) ほか。 [特別講演] 「ブランディング/ファン満足度向上のための戦略」= Michael Gandler (インテル・ミラノ最高販売責任者)。 ※ 集客・ファン獲得のためのサービス・製品・諸グッズ、先端テクノロジー(AI、データ分析、VRなど) が一堂に。
ASIA-NETセミナー「中国/深センベンチャー事情/現地視察報告会」--- 2月27日(火)、於:南部労政会館(東京都品川区)。 講師:吉村 章 (ASIA-NET 代表)※ なぜ深センが注目されるか?(他地区との違い,深センの特徴)、深センスタートアップ企業の特徴、業家の実像とその背景など。
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◆ 入試で、面接室を出て ドアを閉めた直後に 「ベーッ」 と、しかめっ面をする受験生がいます。 廊下にも教師の目が光っていることを、教えられてないようです。 否、教えられていても、条件反射でやってしまうのか…?

◆ 「学校は生徒が作る」といいます。 単に学業成績ではなく、その学園を支えてくれる生徒の資質とは何かを考え抜き、学園の命運を懸けて選抜すべきです。 たとえ不登校や学力不振の子であっても、「どこが伸びるか」「どれだけ伸ばせるか」 という眼で臨めば、光が見えてきます。

◆ 日本の大学に優秀な研究者や学生が集まらなくなり、ようやく大学入試改革が本格化しました。 グローバルな社会では 「正解のない課題」 に対して、自分で考え、自分の意見を持ち、それを人に伝える力が必須だと 文科省も訴えています。

◆ 中等教育の改革が一気に進む雰囲気になると、バリバリの進学校までが、手軽な進学実績向上や学校改革の道具にするために 「帰国生を受け入れます」 と宣伝するようになりました。 騙されないよう注意しましょう。

◆ 『月刊 海外子女教育』2月号の特集は、教育相談員の座談会です。 幼児の海外帯同の留意点や、中学・高校段階での帰国、IBカリキュラムなど 現在の問題について、専門家から見た傾向と対策が話し合われています。

◆ 日食・月食(Eclipse) がある度に、『Masquerade (仮面舞踏会)』(英1979年) を思い出します。 帰国生たちが興奮して “謎解き” をしていたのが懐かしいです。 この絵本は 日本語に翻訳するのは無理と思っていたら、1981年 角川書店から出版されました。 お持ちの方 おられますか?

◆ 今年は 2月9日から 謝肉祭(Carnival) が始まります。 復活祭(Easter) 前の “節制 (肉断ち)” をする前に 大いに食べて騒ごうという キリスト教の行事ですが、事件・事故が多発する機会でもあります。 くれぐれもご用心を。 なお、「ビフテキ」 は 「beafsteak の短縮形」 だと永年思っていたら、フランス語の 「bifteck(炙り肉) でした。 後ろに 「de〜」 をつけて、牛テキ、豚テキ、鳥テキ 等の料理を表わすそうです。

◆ 冬季五輪といえば、トリノ大会(2006年) で 荒川静香さんが 金メダル獲得後に踊った 『You Raise Me Up(あなたの支えがあるから) が忘れられません。 Martin Hurkens の歌に付けられた訳を YouTube (MrMoonligtt) を見ると、感情が高まるにつれ表現が変化して、一層 感動を誘います。

春節(旧正月) は2月16日(金)から。 世界各地の中国系の人たちは、紅い提灯を吊り下げて “新年”を祝います。 近所で見つけた 中華屋の看板:「源遠流長有道財、根深葉茂無彊業、迎新春財源廣進」(川が 水源から長く流れている間に 商売の道がある。気長に根を深く張り 葉を茂らせて、無理な仕事をしない。新年を迎え、商売の糧が一層広がる)。 万事流転の身にも、夢は いっぱいあります。 恭喜発財! 年年有余!

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【2018-1月】

明けまして おめでとうございます。

(イヌ)年ですね。
  「 <xu1>」 は 方角では “西北”の意味。 「戌の刻」 は午後8時ころ--- 仏教の宵のお勤め、イスラム教の 「isya」 の祈りの時間です。 動物だと 「 <gou3>」 が当てられましたが、日本語では 「犬」 の字を用います。 犬はずっと “愚か者, 卑しい者, スパイ” の代名詞で使われてきました。 旧約聖書では “ならず者, ヤクザ” の意味で、「You dog!」 は 人を罵倒する言葉です。 「Hot dog」 は ドイツ製ソーセージを貶める用語でしたが、すっかり製品名となって定着し、中国でも 「熱狗」 と呼ばれます。
  日本語では、わずかに 「犬に三年」(=石の上にも三年)、「犬は三日飼えば恩を忘れない」「犬は人に付く」 などで、“愚鈍” な側面がプラス評価されています。 たくさん子を産むことから、一族繁栄のお呪いにも使われ、水天宮の境内には 必ず犬の親子が飾られています。 正月飾りの代表は「鏡餅」「しめ縄」「門松」 ですが、かつては 「懸け鯛<かけだい>」 というのもありました。 干した鯛2尾を 藁縄で結び合わせて、神棚や門松、あるいは 「かまど」 に飾るものでした。 「犬に懸け鯛」 は、もう死語でしょうか?
◆ 商売人は懸け鯛の立派さを競うこともあったようですが、違いが判る人が見てくれなければ、何の意味もありません。多田先生の新著()も、手にとって見てもらわないと、「犬に懸け鯛」となりかねません。

多田孝志先生が『グローバル時代の対話型授業の研究』を上梓
  暮れに 東信堂から刊行されました。 多田先生は 「グローバル化が進む中、心理的切迫感に襲われ他者信頼が希薄となるなど、人間関係に疲弊する人々が急増している」 「人口知能(AI)が人間を超えるというシンギュラリティの到来を前に、育んでおくべき基礎力の養成に向けて学校を変えていく必要がある」 という認識に立って、「人間形成」についての考察、活用すべき「対話」の精緻な検討、対話活用の具体的場面である 「対話型授業」 の 特質や要件を明確にする研究・実践を続けられています。
  元より多田先生は 「生涯一教師」 を地で行く方ですから、現在の教師たちの疲労感・多忙観・自信の喪失、さらには創意への意欲も喪失している現実を体感されています。 対話型授業への認識を深め、実践力を高めることで、教育の担い手としての誇りと自信を回復する契機としてほしいという 熱い情熱が、この本に溢れています。
  教育の営みには、鑿<ノミ> 一本で洞窟を掘り進むような “愚鈍” ともいえる直向<ひたむ>きさや継続性が求められます。 しばしば悩みや絶望感にも襲われるのですが、紹介されている具体的な指針や考察、実践例は、まるで灯台のように 私たちに光を与え、警鐘を鳴らし、励ましてくれます。 常に抱えておきたい一冊です。

1月6日は クリスマス行事の最終日です。
  キリスト教の 「公現祭 (顕現日, Epiphany)」 で、宗派により 位置づけはそれぞれですが、いわば 「クリスマスツリーを片付ける日」です。 「Twelfth-day(クリスマスから12日目) とも呼び、前夜(Eve.) から 音曲漫才の類が 日本の獅子舞のように各家を回って一家の繁栄を祈り、ご祝儀をもらう習慣もあります。 アジアの正月行事は 「元宵節 (上元節), 灯節(小正月=1月15日) までで、松飾りなどは その時に片づけます。 しかし、明治政府は1873年の新暦(グレゴリオ暦) 導入の際、キリスト教に倣<なら>い、「7日までが松の内(7日は “人日”の節句) を奨励、8日を “正月事始め” としました。 1875年、「学齢を満6歳から満14歳までとする」 と発表したのも 1月8日でしたし、後に公立学校は 8日を授業再開の日にします。
七草粥は 1月6日から作り始めます。 「人日 <ren2ri4,ジンジツ>」(1/7) は 五節句の一つ。 中国では 「七種菜羹 <qi1zhong3cai4geng1>」というスープを食べ、紙人形を屏風などに貼って 吉兆・立身出世を祈る風習です。

映画 『Sully』(米2016年) に寄せて
  正月のテレビで放送していました。 US航空1549便の不時着事故 (2009年1月15日)、いわゆる 「ハドソン川の奇跡 (Miracle on the Hudson)」 の実話を扱ったものです。 真冬に観てこそ、あの日のニューヨークの凍るような寒さを 肌身に感じられます。 世間が 「奇跡を起こした英雄」 に賞賛を送る一方で、アメリカ政府としては 航空機メーカー擁護の思惑もあり、操縦士の判断ミスではないかと機長・副機長を責め立てます。 いっそう寒さを感じさせる展開です。
  事故調査の冒頭から、“墜落 (crashing)” というか “不時着 (emergency/water landing)” というか の応酬がありますが、この映画の公開直後、沖縄でオスプレイの事故が起こりました。 米軍が 「英雄的な不時着」と発表したのに対し、地元は 「墜落だ」と抗議しています。 不時着を 「lapse of arrival (到着の失墜)」と表現することもあります。 「lapse」 は、進むべき途から逸れること (あるいは その事情や経緯) です。 思いもよらない事態に遭い、犠牲を避けるため飛行継続を断念する判断は、常に 信用・道義の“失墜” と 背中合せなのです。 犠牲者が出なくても、“人為的ミス” や “過失” と責められるでしょう。 しかし、そうであっても 何が優先されるべきかを決められるのが “成人・大人”です。

成人年齢の変更について
  公職選挙法上の選挙権年齢は、昨年6月から18歳に引下げられましたが、その前提に 「身体的・精神的に十分に成熟している」ことがあります。 一個の大人として、自分自身で判断できることが求められており、中等教育の責任は 大きいです。 どんな仕事でも 「社会に責任を負っている」という意識は必要で、常に 成人・大人としての判断を求められるのは、楽ではありません。 映画で サリー (C. B. Sullenberger III) 機長は、娘に 「世界で一番の仕事って何?」 と聞かれて、「やらなくてもいい時でも、やりたくなる仕事」 と答えます。 その真摯な姿勢は、私たちに希望や勇気を与えてくれます。

大学入試センター試験は 1月13・14日でした。
  志願者は約58万人だったそうです。 3年連続して増えているのは、現役(高校3年生) の志願率が 約45%と過去最高になっているからでしょう。 センター試験は、多くの私立大学でも入試に利用されるようになりましたが、3年後には大幅に改革されます。 そのため高校入試でも、新しい「大学入学共通テスト」 に対応できる生徒 (いわゆる “地頭<じあたま>”のよい子)の確保が、各高校の課題となっています。
  東京都立高校の推薦入試・IB入試は 1月26・27日(金・土)に行われます。 東京以外の公立高校は、5年前から推薦入試を廃止、もしくは一般入試の日程と一本化(具体的には 群馬県 2/7、千葉県 2/13、神奈川県 2/14、埼玉県 3/1) してきています。 なお 東京都立高校の 「一次及び分割前期」の入試は 2月23日(金)、海外帰国生対象の入試は 2月16日(金)です。 公立の中高一貫校で “併設型”("中等教育学校" と名乗らない一貫校) の場合は、高校の入試や編入試験があります。 国内生は “途中から入る” ことを嫌がる子が多いので、帰国生にとっては “穴場” ともいえます。
  一方、国立系の筑波大学附属高校附属駒場高校、および東京学芸大学附属高校は 一般入試、帰国枠入試ともに 2月13日(火)です。 筑波大学附属坂戸高校の SG入試(帰国生枠あり)・推薦入試は 1月17日(水)で、一般入試は 2月6日(火)、東京学芸大学附属国際中等教育学校4年(高1相当) の編入試験は 2月3日(土)…… この2校には 「日本語DP」 のIBコースもあり、ノンビリした空気に溢れていて、帰国生には “狙い目” でしょう。

第63回グローバル化社会の教育研究会(EGS) の開催
  2月16日(金)、聖学院中学・高校(東京都北区) です。 日本アクティブ・ラーニング学会の 難波俊樹事務局長のお話しを基に、「地頭のよさ」 について考えます。 難波さんのペンネームは 「はざま けんじ」---“未来型の算数能力” を育成するための学力診断法と教材の開発、教育現場や家庭で実践できる学習支援システムの提案などで知られます。 元々は 文学青年で、その柔らか頭から次々と生まれるアイディアや発想に触れることは、私たちが 既存の “常識” から解放される契機になると思われます。
  新学習指導要領が目指す 「新しい時代に必要となる資質・能力」 は、従来の “教科” の発想からは捉えきれません。 「カリキュラム・マネジメント」や「教科横断的に身に付ける力」 といった用語は、意味不明の遠い存在と思われ易いようですが、全ての教員が待ったなしで対応を迫られています。 難波さんの “柔かい” 解説は、グローバル化社会における教育のあり方や多文化共生教育を考える上でも、ありがたいです。

1月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第5回 創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ--- 1月7日(日)、於:東京大学伊藤国際学術研究センター (東京都文京区)。 [特別講演] 「Spiber を起業した理由」=関山 和秀 (Spiber(株) 取締役兼代表執行役)。 [最終審査会=高校生プレゼンテーション] ※ 地域の課題解決や国際社会への対応などをテーマにした 高校生ならではの多様性と創造力に溢れるプランの“ベスト10”が競い合います。
第4回 ウェアラブルEXPO--- 1月17日(水)〜19日(金)、於:東京ビッグサイト(東京都江東区)。 [特別講演] 「AR/VRがウェアラブルにもたらす革新」=廣瀬 通孝 (東京大学大学院 教授)、Thad Starner (ジョージア工科大学 教授)。「ウェアラブルとAIの融合で生まれる新たな世界」=矢野 和男((株)日立製作所 理事)、Heike Riel (IBMワトソン研究所 IoT局長) ほか。 ※ 拡張現実(AR)や人工知能(AI)の技術が職場に入って来るのはもう目前。職業観教育のあり方に再考を迫っています。
第95回GSDMプラットフォームセミナー/国際シンポジウム--- 1月15日(月)、於:国際学術研究棟 SMBC Academia Hall (東京都文京区)。 テーマ 『プライベートスタンダードとグローバルガバナンス その可能性と課題』。※ 東京大学大学院「社会構想マネジメントを先導するグローバルリーダー養成プログラム」(GSDM) 主催、貿易研修センター(IIST) 協賛。
ASIA-NETセミナー 関西--- 1月16日(火)、於:阪南大学あべのハルカス (大阪市阿倍野区)。 テーマ 『中国とビジネスをするための鉄則55』=吉村 章(ASIA-NET 代表) ※ 著者の吉村さんから直接、商習慣の違い、ビジネスの進め方の違い、仕事観・就業意識等について、実践訓練を受けます。
ASIA-NETセミナー「AI理解の基本」--- 1月19日(金)、於:南部労政会館 (東京都品川区)。 テーマ 『AI革命の現状とこれからの社会』=藤原 敬行 (ナレッジフォース・パートナーズ代表)。 ※ AIについての知識を改めて確認したい or学び直したいという人のためのセミナー。今更 若い者に聞けないというベテラン先生にも…。
ASIA-NETセミナー「台湾ビジネス最前線 2018」--- 1月24日(水)、於:南部労政会館(東京都品川区)。 テーマ 『吉岡桃太郎氏を招いて聞く台湾ビジネス最前線』=吉岡 桃太郎 (台湾伝え人/作家)。 ※ 独自の切り口で台湾の魅力を情報発信し、台湾人旅行者に 日本の良さをPRされる吉岡先生…… 内側から見る台湾の魅力を伺います。
桜美林大学孔子学院 第5回漢詩朗読・創作発表大会--- 1月27日(土)、於:桜美林大学 淵野辺キャンパス (神奈川県相模原市)。 [漢詩講演会] 『漢詩の愉しみ』=石川 忠久 (斯文会 理事長、全国漢文教育学会会長)、[朗読・創作発表大会]。 ※ 石川先生は「NHK漢詩シリーズの先生」といったほうが 親しみ易いかもしれませんね。
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◆ 英国の与太話で、「Spaniel」 は 「Jap」 と同義の隠語だと聞いたことがあります。 “叩いて教えるしかない犬” だそうで、日本の政治家や外交官が “外圧” を盛んに利用する (or外国におべっか使いする) ことが、根本原因のように思います。

◆ 「melancholy(憂うつ) を 「Black dog」 ともいいます。 これは妖怪の一種らしく、人の背中に乗って 不機嫌にさせたり 意気消沈させたりすると信じられているようです。 テレビのアニメは関係ありません。

◆ 沖縄のオスプレイ事故--- 操縦士が機外に脱出した後に機体が落下したのであれば “墜落” と呼ぶべきだと私は思います、 たとえ 垂直離着陸機(VTOL) でも。 もちろん、犠牲者が出なくて幸いでした。

◆ 新学習指導要領では、1) 生きて働く知識・技能の習得、2) 未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等、3) 主体的に学びに向かう力・人間性等 の3要素を強調しています。 もはや 黒板を背にした一斉授業だけでは 育てようもありませんが、地頭の良くない “単なる秀才” も 大学には喜ばれません。

◆ 『月刊 海外子女教育』 1月号の特集は 恒例の 「私の仕事」 で、5人の元 帰国子女が “働き甲斐” を語ってくれています。 「日本人学校における現地理解の取り組み」の特集には 12校が登場、実に楽しそうです。

◆『月刊グローバル経営』 新春特別対談は 橘フクシマ咲江さん(経済同友会 元副代表幹事)伊藤雅俊さん(日本在外企業協会 会長)。 橘さんの 「グローバル・リーダーの要件」の表も 興味深いです。

◆ 8日の成人式の日、上海日本人学校高等部の入試があり、東京試験会場 (於:海外子女教育振興財団) では8名が受験しました。 高校生を安心して帯同できるご家庭は幸せですね。

◆ 正月は時間があったので、過去の執筆原稿などを整理しました。 また、10年経過した順心広尾学園等のアーカイブも、学術研究者の利用に供するようにしました。「小山和智の部屋」からどうぞ。

◆ それでは皆様、この一年が実り多い年でありますよう。
  また、今年 成人式を迎えた若者たちの健勝と活躍を 切に祈ります。

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2017年12月以前のニュースは こちら

小山和智の執筆記事・コラム等の一覧

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