子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2019年 8月、7月、6月、5月、1月〜4月。2018年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月。2017年 9月〜12月。 |
2019年9月以降のニュースは こちら。
ページトップ、 海外支援センター ※ ニュースのオリジナル版は、日本人学校・補習授業校にも お送りしています。【2019-8月】 ◎ 8月6日は「World Wide Web」の誕生日 8月6日は広島平和記念日ですが、1991年のこの日、英ロンドンでT・バーナーズ=リーが 「World Wide Web:WWW」(世界を結ぶ蜘蛛の網。漢:全球<quan2qiu2> 資訊網<zi1xun4wang3>)の基本構造を提唱しました。 複数の文書(text) を相互に結びつける仕組みを 「hypertext」といいます。 世界中のコンピューターの中身を クリック一つで参照し合えるシステムは、画期的なものでした。 「hyper」は "超 (over, beyond, above)" を意味する接頭辞で、"活発な・精力的な・高揚させる" といった "興奮" の要素を含みます。 彼が 「It's a hyper-text!」と叫んでいる様子が目に浮かぶようです。 彼は 特許申請を一切せず、誰にも無償で開放しました。 3年後には 米マサチューセッツ工科大学(MIT) の教授として迎えられます。 やがて、文書だけでなく画像・動画、音声・音楽なども含む様々な情報を結びつける 「hyperlink」「多媒体<duo1mei2ti3>(multimedia)」として、世界中のITC端末機が "蜘蛛の網" のように繋がっていきました。 Amazon.com (1994)、Yahoo! (1995)、Google (1998)、"Blog"(2002)、Skype (2003)、YouTube (2005)、Twitter (2006)、LINE (2011)…… 平成の時代は 「WWW」の歴史そのものだった気がします。 なお、中国語で「全球/環球<huan2qiu2>」は "グローバル" の意味です。 ◆ 1991年に米ミネソタ大学が開発した 「Gopher」というテキストベースの情報検索システムがあったことを知る人は少ないです。 1995年まではWEBページ検索の主流でしたが、見る間に 「WWW」に取って替わられました。 「Windows 95」の登場は それを後押しする形になったのです。 ◎ 真夏にエシャレットやバヤムを味わう 7月・8月は、北海道産の玉ネギが旬の時期なのですけど、安売りに少し出た以外、ちっとも安くなりませんね。 中国語の「胡葱<hu2cong1>」、マレー語の「bayam, bayam-merah」は、欧州で 「エシャロット(Echalote, shallot)」と呼ばれる 玉ネギの仲間です。 原産地は中東で、十字軍が欧州に持ち帰ったとされます。 中国から東南アジアにかけての地域では、刻んで油で炒めたもの(油葱酥<you2cong1cu4>, bayam -goreng)を、ビニール袋に入れて売っています。 肉などの食材と一緒に炒めたり、麺料理の薬味に使ったりして、家庭料理には欠かせない材料です。 最近、日本でも 「フライド シャロット」の名で輸入され、ラーメンや焼きソバなどに かけて食べる人が増えています。 料理に使う人の話も、よく耳にするようになりました。 でも、「フライド シャロット」は まだ高価ですので、中国食品の店で 「胡葱・油葱酥」を探すことをお勧めします。 なお、50年前に築地で、根ラッキョウを 「エシャロット」と称して売った人がいたため、よく混同されます。 今では 「エシャ(レット)」と呼ぶことで、公正取引委員会のお目こぼしを得ていますけど。 ◆ 7年前からの円安政策の結果、生鮮食料品や輸入品の大変な高値が続いています。 NHKは 「天候不良により高値」を意図的に宣伝し、失政を誤魔化そうと……「円安は 輸出企業と海外投資家には有利な反面、国民の生活と資産を目減りさせる」ことから 目を背けさせています。 ◎ トンボが舞う季節です もうすぐ お盆休み。 旧暦の7月1日(今の8月初旬頃)に地獄の釜の蓋が開き、トンボ(とくに赤トンボ)が生まれるという言い伝えがあります。 この時期にトンボが多く群れ飛ぶことを、先祖の霊がやってくると考えるのです。 マレー語でトンボは 「capung」ですが、「aki(-aki)」(熟すこと⇒ お爺さん)とも呼びます。 それが 日本で 「アキチ」(稲の護り神, 先祖の霊)になったのかもしれません。 農村の子ども達は 昔、トンボを捕らえたり苛めたりしないよう、もしどこかに迷い込んだトンボがいたら 「盆と正月 礼に来い」と唱えて逃してやるよう、教えられていました。 幼虫のヤゴも、ボウフラなどの害虫を食べてくれる益虫ですので、日本人に愛されてきました。 『古事記』には、雄略天皇の腕にたかった虻<あぶ> を "アキツ" が食い殺したことから、本州を "アキツシマ" と呼ぶことになったという逸話もあります。 「ツ」を "集まり群がる" と解せば、トンボが豊穣や健康をもたらしてくれるよう祈ったとも考えられます。 もちろん、秋の季語です (逆に 秋の語源かも…)。 ◆ マレー語で 「aki」には "電池 (battery)" の意味もあります。"熟れる" から "蓄えられているor使える" という意味になっていったのでしょうか? あるいは、液体を使う電池が 果実の腐ったような匂いを放つからかもしれません。 ◎ 印欧語で トンボは"眼"? トンボのことを英語で 「dragonfly」というのは、ギリシア語の 「drakon」(しっかりと目に捉える, 凝視する)からきています。 大きな複眼を持つからですね。 「dragon」も同じ語源ですが、こちらは "ナーガ(蛇神)のように見る" から "蛇の化け物・悪霊" として発展しました (中国語の「竜」とは全く異なる概念です)。 だから、トンボも 「devil's darning needle」(悪魔の縫い針)などと呼ばれ、不吉な虫として忌み嫌われます。 なお、トンボの死骸が精力剤というのは眉唾もの…… きっと印欧語族(IE)の「Naga」(蛇神)と関連づけて、そういう俗信が生まれたのでしょう。 ◆ ゴルフの「ドラコン」(飛距離競争)は和製英語ですが、全員が球の行方を "じっと見つめて" 追いかけるので、外国人にも受け入れ易いと思います。 いずれ海外の辞書にも載るのではないでしょうか? ◎ インドネシアの独立記念行事 8月17日は インドネシアの独立記念日です。(cf. マレーシアは 8月31日) 今の若者に「P4」といえば、アトラス社のゲーム『Persona4』か インテル社のCPU「Pentium4」を思い浮かべるようですが、インドネシアでは 「パンチャシラの理解と実践のための指針」を意味します (4語の頭文字がPだから)。 「パンチャシラ」は建国の五原則…… 「唯一神への信仰」(星),「公正で文化的な人道主義」(鎖),「インドネシアの統一 」(ブリンギンの木),「代議制による民主主義」(牡牛の頭),「国民に対する社会的公正」(米と綿) の5つが、巨大な多民族・多文化国家をまとめる国是として掲げられているのです。 注)( )内はシンボル。 「P4」は、パンチャシラを全国民が理解し、日々の暮らしで実践できるようにしていくための指針で、学校教育でも大事にされています。 その学校の 「P4」の修了証がないと上級学校に進学できないし、まともな就職もできません。 インドネシアに関係する皆さんは、せめて「パンチャシラ」は理解しておいて欲しいです。 ◆ 「Panca-sila」は "5つの柱" の意味です。 "Panca" は「Pentagon」(五角形)の "penta”と同じ。 "4" は 「Tetrapack」(四面体)の "Tetra"。 なお、東南アジアの若者たちが 「t4」と書いたら、[t+empat] で "場所" の意味です。 ◎ 宇田川榕菴と和製漢語 8月13日(旧暦6月22日)は わが国の近代科学の先駆者、宇田川 榕菴<ようあん>の命日です。 蘭学医の子として生まれ、父の恩師に見込まれて養子となり、養父とともに幕府に重用されました。 西洋の医学・生物学・物理学・化学、そして度量衡の用語の翻訳/解説では、その後の日本の発展に多大の貢献をします。 元素名(酸素, 水素など)、化学用語(金属, 酸化, 溶解など)、生物用語(細胞, 属など)…… 今日の理科の教科書で使われる用語のほとんどを考案しました (和製漢語)。 これらはその後、中国に伝わり、ベトナム語でも重用されています。 宇田川家は代々、蘭学の大家なのですが、養祖父の玄随は 大槻玄沢の芝蘭堂で学び、杉田玄白・前野良沢らと親友。 養父の玄真は 大槻玄沢の後継者で、弟子に 適々斎塾(⇒ 大阪大学)を開いた緒方洪庵(=大村益次郎、大鳥圭介、福澤諭吉などの恩師)がいます。 ◎ マレー語の話者は4億人? 「マレー語の話者は どれくらい?」と よく聞かれますが、国家の第一公用語にしている インドネシア、マレーシア、シンガポール、ブルネイの4ヶ国を合わせた人口は 3億人強です。 これに 文法が共通のフィリピンやインドシナ半島、南太平洋諸島、マダガスカルなどの先住民・庶民が加わるので、通じる範囲はかなりに及びます。 マレー語の文法で英単語を使うことも多く、それらは「ピジン英語 (Pidgin English)」と呼ばれます。(例:Long time no see!(久し振り!)) 稲作文化や漁業技術が 台湾・琉球を経て わが国に伝来するに伴い、マレー語の土俗信仰や農漁業関係の用語も、たくさん日本語に入り込みました。 もちろん、その中には インドの梵語(Sanskrit)も含まれています。 例えば、梵語の「suargaloka」は、人間がこの世の善行を重ねた報いとして "来世で幸福に浸れる極楽・楽園" の意味です。 これが 東南アジアで 「surga」となった後 日本に伝わり、現在の静岡県の富士山麓辺りが 「珠流河」(⇒ 須流加⇒ 駿河) と呼ばれました。 ◎ 原発は 安上がりではありません 共同通信(7/26付)によれば、東京電力が、再稼働を目指す柏崎刈羽の原発(新潟県)の安全対策費で 約1兆1690億円かかるとする新試算をまとめたそうです。以前(6800億円)から2倍近くに増加した理由は、テロ対策施設(特定重大事故等対処施設)など原発の新規制基準への対応費用の増が要因とのこと。 その他、原発の再稼働に向けた「安全対策費」は全国で増え続け、関西電力で約1兆250億円、九州電力で9千数百億円と、巨額の費用がかかることが判明しつつあります。 従来から 「原発は安上がりなエネルギー」と宣伝し続けてきたのは大嘘であり、参議院選挙終了までは ひた隠しにされていました。 いずれ電気料金に上乗せすることと、民間が生みだした代替電力の買取を拒否することは 既定方針なのです。 マスコミは何をしているのでしょうか? ◎ 8月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 第2回 トビタテ!グローバル教師フォーラム--- 8月5日(月)、於:文部科学省 3F講堂 (東京都千代田区)。 テーマ 『派遣教師の経験を国内の学校で活用するには!』。※ グローバル人材育成には まず教師の多文化体験が必須…… 派遣教員として "研修"できる機会は貴重です (高校教員も可)。 ★ 第14回 獲得研夏のセミナー--- 8月 7日(水)、於:日本大学 文理学部。テーマ 『アクティブ・ラーニングをどう実現するか』。 ※ AL定着のため、小学校〜大学の どこでも活用できる技法を多数開発し 提案するワークショップ。 ★ TJF主催 SEOULでダンスダンスダンス 2019 --- 8月14日(水)〜19日(月)、於:[14日] 秀林外語専門学校(東京都江東区)、ソウル市で合宿(4泊5日)。※ 韓国語を学ぶ日本の中高生20名と日本語を学ぶ韓国の中高生 20名が、一緒に生活しながらダンスを練習する交流。 ★ 市民文化フォーラム 第55回 8.15集会--- 8月15日(木)、於:日本教育会館(東京都千代田区)。 テーマ 『<戦後日本>の現在--- 歴史と自治の現場から』。 発題者:斎藤 美奈子(文芸評論家)、保坂 展人(世田谷区長)ほか。 ★ 全海研 第46回研究大会(北海道)--- 8月22日(木)〜24日(土)、於:旭川トーヨーホテルほか。 基調講演:萬谷 隆一 (北海道教育大学 教授)。 分科会:「教育のグローバル化」「国際理解教育の再構築」「体験からカリキュラム化へ」「日本人学校のインターナショナル化」「コミュニケーションツールとしての英語」の5つ。 ※ 旭川藤星高校、東川町立東川小学校、旭川市立知新小学校・愛宕中学校の授業を見せてもらえます。 ★ BCN Conference 2019 夏--- 8月23日(金)、於:ホテル雅叙園東京(東京都目黒区)。 テーマ 『DX時代を生き抜くパートナーエコシステム戦略』。 ※ DXが進まなければ 日本社会そのものが地盤沈下するという「2025年の崖」発表から1年です。 ★ 第2回 こども "ど真ん中" フォーラム--- 8月24日(土)、於:足立区役所(東京都足立区)。 歌と講演「今の子ども達の見えない困りごと」=悠々ホルン(こどものSOSソングライター)。 ※ こども・若者に関わる団体の交流会、個人・団体の「パフォーマンスショー」なども。 ★ 尾木ママ×3keys トークイベント--- 8月31日(土)、於:明治大学 中野Camp.低層棟(東京都中野区)。 テーマ 『すべての子どもたちが安心して暮らすために』。 ※ NPO法人3keys は、虐待や貧困などで家庭環境や育つ環境に恵まれない子どもたちに、学習支援や相談支援などを行っています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 科学者にとっては、映画も 「multimedia」なのだそうです。 しかし、劇場映画には 「hyperlink」がありません。 ただし、内容(contents) だけは 電子端末機の間で転送や視聴が可能になっています。 ◆ 江戸時代の有名人の命日は 旧暦で偲ばれるのですが、宇田川 榕菴だけは新暦……明治の元勲や学者たちは、西暦で榕菴を偲ぶことで 恩師に敬意を表したのです。 なお、宇田川家三代の墓所は30年前、東京の多摩霊園から岡山県津山市の泰安寺に移されています。 ◆ 『月刊グローバル経営』7/8月号特集は、「日外協創立45周年記念号 日本企業の海外展開と日外協」です。 過去半世紀に亘る 日本人の異文化対応の格闘の様子が浮き彫りにされると同時に、展望も開けてくる感じがします。 ◆ 『月刊 海外子女教育』8月号の特集は、「海外で日本語を身につける」 と 「どうして算数・数学を学ぶの?」です。 いま "自分が見えなくなっている" と感じている先生には 是非読んで欲しいです。 会員校訪問は、横浜の白鵬女子高校に行ってきました(校舎正面の写真は 永久保存版!(^o^)\)。 ◆ 「昔、池袋駅前にあった豊島師範学校はどうなりましたか?」との質問…… 豊島師範学校は戦後、青山師範学校・女子師範学校などと共に 「東京学芸大学」になって 小金井市に移転しました。 跡地には 「東京芸術劇場」が建っています。 ◆ 宮森千嘉子さんが、『経営戦略としての異文化適応力』(日本能率協会MC)を上梓されました。 「ホフステードの6次元モデル」が易しく解説され、異文化を持つ人達と働くときに生じる様々なトラブルを解決するヒントになります。 ◆ 今年の夏は 清水 益太郎先生の7回忌でした。 30年前、北豊島学園の校長になられ、定年後は中村学園の校長、2004年からは神戸弘陵学園の校長もされました。 「上海に行きたいなぁ」と仰るので、先生の解説付きで世界遺産を巡るのを楽しみにしていたのですが、私が鬼籍に入るまでお預けです。 ◆「渋谷ネズミーらんど」騒ぎで、ついに夜間営業が一時停止に。 「24時間営業なので、ネズミ駆除は難しい」と言い逃れしてきたコンビニ店の本部も、ようやく他人事とは思えなくなってきたのでしょう。 ともかく 夜は休みませんか? ◆ 暑い日が続きます。 くれぐれも お身体ご自愛ください。 それでは皆様、ごきげんよう。 ================================================================================================== |
【2019-7月】 ◎ 7月7日は 「七夕」です 「七夕<Qi1xi1,シチセキ/たなばた>」…… 古代中国の牽牛星(Altair)・織女星(Vega) の伝説と祭りは、わが国でも 夏の風物詩となっています。 「Altair」は アラビア語の 「Al-nasr at-ta'ir」の省略形……"鷲<ワシ>"+"鳥=飛翔" で "飛ぶ鷲" の意味になるとのこと。 地球の公転により動き回って見える(牽牛も 畑をぐるぐる耕す?)というのは、眉唾ですか? 他方、「Vega」は 「Al-nasr al-waqie」の省略形で、"羽を畳んでじっとしている鷲" の意味だそうです。 「Al-nasr」が "鷲" だと判りますね。 旧暦7月7日は、中国では雨が降ることが多く、牽牛・織女が逢瀬の嬉し涙を流すからといわれます。 しかし、天の川の水位が上がって渡れなくなるため、カササギ(鵲)が掛け橋になるとも……。 中東・欧州では 白鳥座(Cygnus) なのですが、その一番明るい星を 何故か 「Deneb」(雌鶏の尾)と 呼びます。「Deneb」は、牽牛星・織女星と共に 「夏の大三角形」を形成します。 なお、七夕行事の一つである 「井戸さらえ」は、日本の風習です。 井戸の水を全て汲み出して 中を掃除することですが、公衆衛生上も大事でした。 その時の掃除道具が青竹で、七夕が近づくと 門口などに立てていたのですね。 子どもも大人も願い事を書く、微笑ましい風物詩 (建前は6月なので 季語は夏)です。 ◆ アポロ計画(1970年代)では 月面着陸船を 「Lunar (Excursion) Modules」(月の(周遊)機材)と呼んでいましたが、2007年暮れ、米国政府は 「ALTAIR」と正式に命名しました。 "鷹" は国章ですし、"飛び回る" 印象を大事にしています。 ◎ 「喫煙者不採用」の衝撃 今年4月、長崎大学が 喫煙者を教職員に採用しない方針を発表し、話題になっています。 敷地内全面禁煙とする大学は多いのですが、「喫煙者不採用」の方針は衝撃的です。 税収の減少を心配した政府は、厚生労働省から 「喫煙者を人事採用対象から除外すべきという法律はない。公正な運用を」と "忖度" を求めています。 昨年7月に成立した 「健康増進法の一部改正」により、受動喫煙を防止するための取り組みは、法的な義務になりました。 「個人の住宅以外での屋内の原則禁煙」「屋内での喫煙には、喫煙室の設置+標識掲示を義務付け」「20歳未満の喫煙エリア立入禁止」… 今年7月から、学校・病院・児童福祉施設等及び行政機関の敷地内が 原則禁煙、そして来春4月から、それ以外の施設等も 屋内は原則禁煙と定められています。 五輪・パラリンピックの "隠れた誘致条件" だったのですが、政府はギリギリまで粘ったわけです。「喫煙者不採用」だけは 何としても拒否したいでしょう。 ◆ 因みに、学校の敷地内禁煙の法定は 30年前にグローバル標準となっていて、海外の日本人学校では、校門の外に出て喫煙する教員の姿を よく見受けました。 炎天下で、「治外法権になれば…」「大使館附属にできないか…」 などという話し合いもしていました。 ◎ 首都圏は 中元節とお盆行事のシーズン この時期は、怪談や怨念に関わる話題が増えますが、人を操る手段の一つ 「curse」(呪<のろ>い/呪詛)も、取り上げられます。 「人を呪わば 穴二つ」…… 平安時代の陰陽師は、人を呪い殺そうとする際に、呪い返されることも覚悟して 墓穴を二つ、自分の分も含めて 用意させたそうです。 人を陥れたり害したりすれば、自分も災いを受けるという戒めです。 「charm」(魔術・魔法、呪文を唱える)は、(薬などが)不思議とよく効いて 魔法にでもかけたように効果が出ること。 複数形の 「charms」は "美貌・色香⇒ 鼻薬" で 「money」の隠語…… 下心で人心を惑わすわけです。 忖度も、接待や便宜供与、寸志・心付け等も、それ自体は "社会の潤滑油" ではあるものの、下心が露骨になると 反社会的行為です。 こうした悪い誘惑や他人の魔術などから身を護ってくれるのが 「amulet」(お守り, 魔除け, 護符)で、聖書には 「shield of faith」(信仰の楯)と書かれています。 ◆ 能動的な護符・お守りは 「talisman」…"魔除け(charm against evil spirits)" のほか、人の行動や感情に 驚くべき影響を及ぼすものをいいます。 神秘的な力を持つ模様/文字を刻んだ石や指輪、カード・お札など様々…。なお、古代ローマの楯は「scutum」(庇護) と呼びました。 ◆ 仏教の「陀羅尼 (Dharani)」は、「薩婆訶 (Svaha,<ソワカ>)」(祈りが天に届きますよう)で終わる呪文です。 繰り返し唱えることで雑念を払い、無念無想の境地に至るのが目的ですが、下心が強いと "生臭い" といわれます。 ◎ 暦の上では 7月は秋 詩経の中の農民の詩『七月流火』には、「七月には "火"が流れ」(赤い星の高度が下がる)が繰り返し出て来て、秋の訪れを詠っています。 「火」はサソリ座のアンタレス…… 日本では「アカボシ/豊年星」などと呼んできました。 しかし、いくら旧暦といえど、7月を秋と考えるのは、私達の感覚から かけ離れています。 かつては 「盂蘭盆」も秋の季語でしたが、今では 「花火」「トンボ」「コオロギ」とともに、真夏を表現する言葉として使ってよいそうです。 なお、「Antares」は ギリシア語で "火星に似たもの" の意味(赤い巨星なので、火星とよく間違われた由)。 アラビア語や地中海諸国では 「サソリの心臓」(仏:le Coeur du Scorpion)という呼び方が普通です。 ◎ 第70回グローバル化社会の教育研究会(EGS) 開催される 7月8日(月)、聖学院中学・高校で開かれ、鈴木 寛先生の 『AIとグローバル化の時代に必要とされるコンピテンシーについて』のお話しを素に 話し合いました。 日本の15歳は、2012年以降 PISAでトップレベルに返り咲いたこと、数学優秀者(Level5以上)は約2割で アメリカ(6%)と ほぼ同数(20万人)…… といった話には 元気が湧きます。 心配なのは 「学び続ける意欲」や「世界への貢献意欲」では、世界で最低レベルになっていることで、アクティブラーニングやPBLは 必須です。 新学習指導要領も 決して学習量を減らせというのではなく、知識伝達型教育を脱し 「能動的な学習で 学習定着率を上げよう」という趣旨です。 作業・学習のやり方も、「PDCA」から 「デバグ主義(AAR)」(まずやってみて 適宜修正)への転換が グローバル標準になっていることが解りました。 ◎ 海外で パスポートを失くしたら? 学校では、留学や海外研修の渡航前研修で 「旅券 (Passport) が命の次に大事」と生徒に教えますが、本当に失くした場合 どうすべきか、ご存知ですか? 海外で旅券を失くした人が 緊急に帰国したい場合、在外公館に 「帰国のための渡航書 (Travel Document for Return)」を申請することができます(地元警察の証明が必要)。 旅券のコピーや運転免許証など 本人確認ができるものがあれば、ほぼ翌日に発給してもらえます。 ただし、本国に帰るためだけに有効な渡航文書ですので、周遊は認められません。 経費は、例えば アメリカで日本の渡航書を取得する場合 21米ドル(cf.5年旅券 92ドル)、インドネシアで取得すると 約3万円(cf.同 13万円) です。 ◎ 他人の痛みを想像し 共に課題解決に立ち向かう セブンイレブンの「時短営業」を巡る問題で、「本部の社員から 『深夜に店を閉めても、これまで通り 夜中にしか商品の搬入はできませんよ』と何度も言われ、暗に 『24時間営業をやめるな』と言われている」 と話す店主が報道されました。 セブンイレブンの本部と加盟店との契約では、売り上げが増えるほど本部の収入が増える一方、深夜に店を開けるための人件費等の高騰は加盟店側が負う仕組みになっており、240店舗以上が "時短実験" を希望しているそうです。 本社の役員は「勝ち組」ですから、小規模事業主の苦労を 「あの人たち頭悪いから」としか考えません。 時短営業に関しても 「検討する振りをしていれば、そのうち世間は忘れる」くらいの認識で、本部社員の尻を叩くでしょう。 今年の東京大学の入学式の祝辞で、上野千鶴子先生が「(あなたたちの) 恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、人々を助けるために使ってください」と話されました。 社会のあらゆるところで、相手の辛さや痛みを想像・共感し、一緒に課題解決に立ち向かう姿勢が求められています。 ◆ 本部の社員も 大半は "負け組" でして、"勝ち組" の上司から尻を叩かれています。要は、現場では "負け組" 同士が闘わされ 双方傷つく一方、数字だけ眺めている上層部は 辛さも痛みも感じないという会社の構造なのです。自分が "勝ち組" と思っている人は 疑心暗鬼なだけで、上野先生の慧眼を理解できないでしょうね。 ◎ 「主体的、対話的で深い学習」を 海外生活が長かった皆さんは、「アクティブ・ラーニング (Active Learning)」は耳慣れないかもしれませんが、新しい学習指導要領の基本にある学習観です。 前世紀までの学習観は「知識伝達型教育」=人間が生まれた時は「tabula rasa」(白紙)の状態であり、教師はそこに知識を注入する、という考え方でした。 しかし、人工知能(AI)の発達で、過去の経験/知識に基づいた判断や 定型的でスピードを要するような仕事は "自動化" し易く、人間はそれを使いこなせるor既存の知識等に囚われない創造的な頭脳を育てる必要に迫られています。 そのために、教師主導ではなく 「学習者が自ら考え 体験し 話し合う過程」を中心に据えざるを得ません。 また、国内労働市場の2割以上を外国人が担うようになると、多民族・多文化への対応力が必要となります。学校の中でも "異文化育ち" の比率が上り、「どんな背景を持つ人ともチームを組んで働き、好い結果が出せる人材」を育てざるを得ないわけです。 「主体的、対話的で深い学習」は、待ったなしです。 ◆ 一斉授業や講義で学習者の頭に残る内容は わずか5%、資料や書籍を読むのは10%とされる一方で、他者と議論すれば50%、経験・実地訓練をすれば75%、学んだことを他者に教えれば90%といわれ、能動的になればなるほど 学習の定着化を図れます。 探究や課題解決型の学習の導入は 定着率向上にも役立ちます。 ◎ 7月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 私立中高協会 東京西地区進学相談会--- 7月7日(日)、於:東京経済大学 。 参加校:東京の西側の私立中学・高校 78校。 ※ 一時帰国の生徒・保護者が 学校を知る好い機会。 帰国後 "普通のサラリーマン家庭"に戻る場合、授業料軽減の相談も…。 ★ 第70回グローバル化社会の教育研究会(EGS)--- 7月8日(月)、於:聖学院中学・高校(東京都北区)。 テーマ:『 AI とグローバル化の時代に必要とされるコンピテンシーとは?』= 鈴木 寛 (慶應義塾大学/東京大学 教授)。 ※ 灘高校での教員経験や高校生の国際交流の苦労話も交えた 具体的なお話しを素に 話し合います。 ★ "千葉都民" のための進学相談会--- 7月15日(祝)、於:北千住丸井。 参加校:城東地区(山の手線の東側)の私立中学・高校15校。 ※ 一時帰国・帰国直後の生徒には、落ち着いて相談できる好い機会です。 ★ コンピューターで受験するIELTS Open House Event--- 7月26日(金)、於:IELTS公式テストセンター 東京 (東京都新宿区)。 講演+『コンピュ-タ-で受験するIELTS』概要紹介+テスト体験。 ※ 日本スタディ=アブロード=ファンデーション(JSAF)が 教員等にIELTSのCBT版を体験してもうものです。 ★ JOES 帰国生のための学校説明会・相談会--- 7月25日(木) 大阪府立国際会議場、26日(金) 愛知県産業労働センター、30日(火) 都立産業貿易センター台東館。 ※ 帰国生によるパネルディスカッション、IB教育・英語教育の講演、海外で働いている社会人による講演など。なお、JOBAの相談会は 27日(土)、ベルサール汐留(中央区銀座)。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ この教育通信の愛読者には喫煙者が多く、JT社員の方もおられます。 数年前に私が禁煙した際には、残念がる声も寄せられました。 今では、喫煙者のヤニ臭さが気になりますが(笑)、パイプ煙草や葉巻の香りは好いなぁと まだ思います。 ◆ 3月に行われた国際文化フォーラムの「多言語・多文化交流『パフォーマンス合宿』2018」の活動報告が公開されました。 掲載VTRには、私の "朧ろ月"(後頭部)も写っています。 ◆ 2020年度から始まる大学共通テストの「英語」に代えられる外部試験として、7団体8種類の民間試験が "認定" されていましたが、TOEICが辞退することになりました。 本来 ビジネスマン向けに特化した試験でしたから、当然といえば当然の帰結…… これで生徒の悩みが一つ減りました。 ◆『月刊 海外子女教育』7月号の特集は「プラネタリウムを楽しもう」と「海外経験が『生き抜く力』をもたらすまで」です。 30歳以上になった元 帰国生たちが、壁を乗り越え 元気に活躍している話を聞くと、嬉しくなります。 頑張れ! ◆ 帰国生編入試験のシーズンに入ります。 2月の一般入試 そのものが大きく変わり始めていますけど、欲しい生徒をどう選ぶかという点では、編入試験のあり方も同じです。 「帰国生なら どんな子でもOK?」…… 各校の姿勢や器量・品格まで見えてくるようです。 ◆ 最近帰国したご家庭も、一時帰国した皆さんも、できるだけ志望校を訪ねてみてください。 7月中旬くらいの平日であれば、その学校の素顔や生徒の雰囲気を体感できます。 その時に素肌で感じたことは、かなり正しいといえます。 都内の公立中学への越境入学相談は…… ここには書けません (ごめんなさい)。 ◆ カササギの学名は 「Pica pica」です。 英語の 「Eurasian Magpie」よりも覚え易く、「Deneb」や「Cygnus」を思い出せない時でも 話は通じます。 夏休みに海外に居る人or行く人は、日本とは違った位置にある星座を楽しんでください。 田舎に行ける人も、都会では見えない星を堪能しましょう。 私は プラネタリウムで我慢しますけど。 ◆ 夏休みは、久し振りに保護者の皆さんと再会するのも楽しみです。 たまに「お子さんのお名前は…?」と聞いたら 「嫌だ、先生!」と言われ、元 生徒だと判ったりすることも…(笑)。 既に 大学生を持つ親になってる子もいるわけで、覚えていたら奇跡ですよね(…と 言い訳&お詫び)。 ◆ 最近 もの忘れが酷く、大事なことを「何だったっけ?」と慌てることが多くなりました。 大学入学資格とアクティブラーニングに関連する用語などの『備忘録』を作ったので EGS研究会で皆様に差し上げましたら、けっこう喜ばれました。 同病相哀れむ……という方も多かったようです。 ================================================================================================== |
【2019-6月】 ◎ 6月になると "尺" が キになります 6月になると、木々に体長約5cmの「尺取り虫」が 繁殖します。「桑尺蠖<クワシャクトリ>」は養蚕業には害虫ですが、小鳥の餌食にならないよう 小枝に擬態して身を守る……「土瓶割り」という異名もあります。 英語の 「geometer」(幾何学者)/「measuring worm」の名は、指で長さを測っているように見えるからでしょう。 中国語では「尺蠖<chi3huo4>」です。 「尺」の字は、親指と人差し指・中指(2指をくっつけて)とを広げた象形で、古代の中国では "親指の先から中指の先までの長さ" を意味しました (マレー語:jengkal)。 3千年前には 約20cm だったようですけど、時代が下るに従って 長くなっていきます。 大昔は 公文書や手紙を、一尺幅の木簡や帛(ハク=絹布)に書いていたため、「尺」は "文書" を意味するようにもなり、文鎮の意味にもなりました。 より幅の広い(=文鎮が長い)ほうが、ハクが付いたのかもしれませんね。 「尺幅千里<chi3fu2qian1li>」(一尺の紙面にも千里の景色を描ける=多くの内容を含んでいる)も雄大な表現です。 なお、"六" は安定の数なので、「六尺」には様々な意味が生れていきます。 論語で 「一尺」は2年半、「六尺」なら15歳です。 「六尺之託」(幼君の後見を託すこと)、「六尺之孤」(孤児)といった表現が出てきますが、身長ではありません。 ◆ 「尺を取る (measure)」が "他人の器量を測る (scale)" の意味に転用されるのは理解できますけど、今では "つまらぬ話題で時間を潰す" の意味もあるとか…。元は 芸能界の用語でしょうか? ◎ 6月のヨーロッパは花盛り 6月は、欧州が花で覆われる 夢のような季節です。 現地校・国際学校は 年度末で大変ですけど、誰もが心ウキウキ… 「早くお休みにならないかなぁ」と思っています。 『ハリー・ポッター』の世界に憧れる人は多いのですが、その旅の起点は ロンドン西部にあるパディントン駅です。 ロンドン地下鉄の発祥の地ですし、「Paddington Bear」が "発見" されたのもここです。 蒸気機関車Thomasの友達 Duck が働いていた 「Great Western Railway」(GWR。愛称:Holiday Line) が、西イングランドをカバーしています。 東京なら 新宿駅・渋谷駅に相当するでしょうか? オクスフォードやグロスター、イートン校があるウィンザーなどを巡るだけでも、幸せな気持ちに浸れるでしょう。 『ピーターラビット』の故郷 「湖水地方 (Lake District)」も、是非行ってみたい憧れの地でしょうね。 イングランド北西部ですから、訪れるには ユーストン駅か キングス=クロス駅から出発です。 "人類の故郷" は 世界中の詩人や芸術家を魅了し続けていますし、世界遺産も多く点在します。 「欧州から置き去りにされた」と残念がる声もありますけど、私は そのままでずっと遺していって欲しいと願います。 ◆ 世界初の地下鉄が パディントン駅からファリンドン駅(東京なら 大手町か日本橋) で運行し始めた時(1863年) は、蒸気機関車で引っ張っていました。今でも煤の匂いが残っているそうです。 ◎ 6月10日は「時の記念日」です 通訳・翻訳をしていて一瞬 処理に困るのが、"一日" の概念です。 例えば、「金曜の夜に注文を受け、一日中かけて仕上げた。そしたら土曜の朝、火事で燃えてしまった」の直訳のままだと、日本語では 「?」となります。 これを 「木曜の終業後に注文を受け、金曜の朝から晩までかけて完成させたが、土曜の朝…」と "解り易い訳" でシラッと済ませたいのですが、「木曜じゃなくて 金曜だろう?」と言い出す人がいると面倒です。 世界四大宗教では 一日の始まりを日没と考えますから、「金曜の夜 (Eve.)」は 私たちの "木曜の日没後"。 「all-day」(全日/一日中)も "始業から終業" つまり7〜8時間です。 一人が全日かけてやる作業量が 「man-day」(人日<にんにち>、人工<にんく>)…… これも、「24時間だろう?」という石頭の人が多くて困ります(一人で24時間なら 3人日!)。 因みに、"man-month =20人日" ですので よろしく。 ◆ 今回の新月は 日本時間の6月3日 19時02分なので、日没時に月を目視できるのは、エジプト辺りから西側…… イスラムの断食明け(Idul-Fitri)は、欧州・アフリカ・南北アメリカでは 「3日の日没=4日のEve.」、アジア・大洋州・中東では 「4日の日没=5日のEve.」でした。(トルコはEU?) ◎ RPAの落とし穴 パソコンの入力作業などの定型的な業務を自動化することを、「Robotic Process Automation (RPA)」と言います。 機械学習や人工知能(AI) などにより ホワイトカラーの手作業をロボットに担わせ、業務の効率化を図るものです。 「人為的なミスもなく、処理速度も速い」として 導入する事業所は少なくありません。 しかし、例えば ロボットの管理者が退職してしまい、他に解る者がいなくなった場合、「野良ロボット」(Stray robot) になってしまうことも…… 管理者不在なので、勝手に仕事をしてくれればくれるほど 混乱の原因となります。 元役員を相談役で残す場合と同様に、RPA導入時から賢く体制を整えておくことが必要です。 こうした素養は、中学・高校時代から アクティブ・ラーニング等で養っておきましょう。 ◎ 第70回グローバル化社会の教育研究会(EGS) の開催 7月8日(月)、会場は聖学院中学・高校(東京都北区) です。 節目の今回は、われらが鈴木 寛先生に 『 AI とグローバル化の時代に必要とされるコンピテンシーとは?』のテーマで、話題提供をいただきます。 鈴木先生は 文部科学省の副大臣や大臣補佐官を歴任され、現在は 慶應義塾大学と東京大学の教授のかたわら、「OECD日本イノベーション教育ネットワーク(ISN)」の代表も務めておられます。 下記の「学校・教育 総合展」でも 特別講演をされますが、EGS研究会では、灘高校での教員経験や高校生の国際交流の苦労話等を交えて、"あるべきコンピテンシー(力)" について具体的にお話しいただき、それを素に "膝詰め" で話し合いたいと思います。 ◆ 鈴木 寛 先生との出会いは、「第一回教育夏まつり」(日本教育再興連盟 主催。2006年8月。於:御成門中学校)でした。 公立校にも見事な実践例は多く、それらが地域や現場教師から発信され 共有される社会を目指そうと 誓いました。 ◎ 新学習指導要領の目標は? 今更ながらですが…… 一言でいえば、従来の学力観が 「知識・技能の "高さ"」を求めていたことから、「理解・探究・協働・発信の "広がり+深さ"」に力点を変えようということです。 今後は「世界に通用する学習量、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性等」、さらにいえば 「自分で自分の人生を選び取りor創れること」に向け、大学共通試験も大幅に改革されていきます。 そうなると、全ての教職員(事務職も含め)が、知識・技能を "与える" 姿勢から、生徒の能力を "刺激し 呼び覚ます"(これこそ「educate」の原義です)方向に変わっていかざるを得ません。 「生徒の前で格好よく 〇〇して見せる」を理想にして教師を目指している学生・院生諸君には、頭を切り替えてもらわないと困ります。 政府は、「アベノミクスにより 有効求人倍率が上昇した=景気は回復している」と答弁してきました。 しかし、団塊の世代(ベビーブーム世代)が65歳に達し始めた2012年以降、日本の生産年齢人口(15歳〜64歳)が激減したために 人手不足が生じていることは、統計上でも明白です。 景気が悪くても上昇するわけですから、「アベノミックスの手柄」は "巧妙な嘘" …… そういう批判的な思考を育てることが、社会の健全化に不可欠であることの所以です。 ◆ 学力偏差値に換算し易い "暗記中心型" の教育を受けた世代の下に、"ゆとり教育" の世代がいます。 「探求型学習が導入されながら、学習内容が大幅削減された教育の被害者」だそうですが、、教えてくれる人(大人であれ友達であれ) に対して感謝も謙虚さもなければ、学力など身に着きません。 ◎ 列車の食堂車は懐古趣味? ある「乗り鉄」(列車に乗って楽しむのが目的の鉄道ファン)と話していて 食堂車の話題になった時、「ああ、昭和の遺物ですね」と言われて驚きました。 鉄道ジャーナリストの枝久保 達也さんは、JR各社が今年3月〜6月で車内販売の大半を終了することについて、「電車の高速化とともに "鉄道と食の関係" は変わっていく」と書かれています。 弁当やスナック類、飲み物などは 駅で買って乗ることが当たり前となる…… やがては 飲食も控えるのがマナーになるかもしれない…… というのです。 食堂車の食事は高価で、貧乏人には縁遠いものでしたが、あのバターの香りの漂う空気に触れるのも、旅情の大事な要素でした。 現在は 「それをレトロ体験したければ、富裕層向けのクルーズトレインに乗れ」という時代なのでしょう。 かつて、「修学旅行に新幹線/飛行機を使わせるのは…」といった愚かな論議がありました。 今後、「車内/機内での飲食は不適切であることを、学校で指導せよ」などという話が出てくるとしたら、実にくだらないと思います。 ◆ 私は、新幹線で缶ビール1本を持て余すようになって 数年になります。車内で弁当を買わなくなってからは 30年です。リニアの時代には「車内では飲食しない」が当たり前になるのでしょうか? もしそうなら 寂しいことです。 ◎ 6月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 異文化間教育学会 第40回大会--- 6月8日(土)・9日(日)、於:明治大学 中野キャンパス(東京都中野区)。 特定課題『異文化間教育における政策と研究者の役割』、公開シンポ『異文化間教育とダイバーシティ理論と実践をつなぐ』。 ※ 初日の昼食は「若手国際教育家のランチ会:海外での研究・留学の意義を考える」です。 ★ 第51回 親の技(スキル)研究会--- 6月15日(土)、於:鴎友学園。 テーマ:『2024年大学入試に向けて--- 学習者中心の鴎友・社会の注目問題』。 ※ 森上教育研究所との共催。 講師に 文教大学の早川明夫先生も加わられます。 ★ 第10回 学校・教育 総合展--- 6月19日(水)〜21日(金)、於:青海展示棟。 [特別講演] 『学校における働き方改革』=常盤木 祐一(文部科学省 初等中等教育局 企画官)、『これからの子ども達への教育』=赤堀 侃司(日本教育情報化振興会 会長)、『教育の情報化の最新動向と今後の展望』=谷 浩樹(文部科学省 情報教育・外国語教育課長)、『Future Ready Skill---- 21世紀を生き抜く力』=中井 陽子(日本マイクロソフト(株))ほか31講座。 ★ 第8期社会貢献塾2019--- 6月19日から毎週水曜(7/17・24・31 は休み)、於:神戸市勤労会館。※ 座学と実習を通じて、社会にどのような課題があるのか、社会貢献活動にどのように参加していけばいいのかを統括的に学びます。 ★ 帰国子女教育を考える会(関西)第81回研究例会--- 6月22日(土)、於:YMCA学院高校(大阪市天王寺区)。 テーマ 『帰国子女受け入れ校の実際を聞く』=田澤秀信(関西学院 高等部副部長)、中川浩和(大阪薫英女学院 教頭)、早藤 充(京都外大西高校企画部長)。 ※ 確固たる教育観のもと 多感な青年期に適合した独自のカリキュラムに注目。 ★ 中学生対象 ICT GLOBAL SUMMER CAMP 2019 --- 6月24日(月)〜30日(日)、於:国際高等専門学校 白山麓Campus(石川県)。※ STEAM教育に焦点を当てた英語合宿。 批判的思考を刺激し、幅広く興味を探り 自信を築くように指導されます。 ★ 第4回 近隣語プレゼンテーションコンテスト--- 6月29日(土)、於:関東国際高等学校(東京都渋谷区)。 ※ 同校の近隣語各コース生徒14名(中・露・韓・泰・越・マレー語)による自由研究…… 学んだ言語で調査活動等をしたユニークな発表は見ものです。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ イスラム暦は月齢に依るので 1年は354.36日…… 太陽暦(365.24日) より約11日短いです。 断食明けの祭りも年々早まり、33-4年で同じ時季に戻ってきます。 私がジャカルタ日本人学校に赴任した1985年も、6月初旬でした。 ◆ 政府の掲げる 「働き方改革」は、どうも "働き甲斐は二の次" の本音が見え隠れします。 労働力確保のための 「1人日=8時間」であって、働く楽しさや それを支える喜び、あるいは 社会的弱者との機会シェアなどの大切さは無視…… ◆ 海外子女教育振興財団 教育相談室の熊谷勝仁先生が3月末、5月末には関西分室の山岡荘平先生が退職されました。 現役の教職時代から ずっと私たちを支えていただき、感謝しております。 熊谷先生の後任は 後藤彰夫先生(1983年 ワルシャワ日本人学校派遣)、山岡先生の後任は 橋本芳登先生(2016年 ヨハネスブルグ日本人学校派遣)です。 ◆ 『月刊 海外子女教育』6月号特集は、「『使える外国語力』って何だ?」…… 翻訳家の岡本和子先生など 外国語のプロが、"外国語というツール" の本質を突く提言をされています。 もう一つは、「海外で子育てをする主夫」…… 夫人の海外赴任に同行し 子育てをした男性3人(アメリカ・タイ・英国)の、楽しいレポートです。 ◆ 『月刊グローバル経営』6月号は 「ASEAN新潮流」の特集。 ここ10年間で ASEANは世界の工場地帯に変貌しつつあり、わが国への外国人就労者・留学生も 3分の1がASEANから…… 親日国との交流発展は頼もしいですね。 ◆ 最近、お茶や水、清涼飲料等のペットボトルが大き目になっています。 とくに "中サイズ" は 600ml 前後(約2割増)です。 熱中症や脱水症への対策もあって、常時持ち歩く or机に置いておくスタイルが一般的になったのでしょう。 ますます行儀悪い感じがするのですけど。 ◆ 高齢者の運転で車が暴走する事故…… 自動化が進むほど ヒトの身体能力は退化していくので、日頃から運動を欠かさないことが大事です。 ラジオ体操でも気功でも 何でも好いですから。 早くも日本は「暑季」に入り、「小笠原に避暑に行こうか?」 という与太話も飛び交います。 寝不足の上に 食中毒の危険も高まっていますから、お互いに気を付けましょう。 ================================================================================================== |
【2019-5月】 令和の時代です。 「人々が美しく心を寄せ合う中で 文化が生まれ育つ」 という理想に近づける社会であることを 心より祈ります。 ◎ 桑の実が色づく季節です 日本は遠足シーズンですが、桑の実が熟して 赤黒く(dark/red purple)色づいています。 キイチゴのように柔らかい粒が集まっていて、甘酸っぱい味です。 欧米では 「Mulberry」で、語源は「morus」--- 「元は白い実だったのに、『ピュラモスとティズベーの悲恋』で流れた血のため 赤く熟すようになった」 と、ギリシア神話を使って子供に教えます。 桑の実は、抗酸化作用があるポリフェノールを多く含みます。 童謡『赤とんぼ』(作:三木露風)の歌詞に 「山の畑の桑の実を…」とありますが、日本で小籠に摘むのは 成熟前の実で、ご飯に炊き込むためでした。 なお、桑の根皮は 「桑白皮 <sang1bai2pi2>」という薬剤です。 利尿や血圧・血糖値降下、解熱、鎮咳、水疱の治療などの効用があります。 葉は 「桑茶」にしたりしますが、やはり血糖値の抑制効果が認められ、葉を食べる蚕の糞を乾かした「蚕砂」も、同様の効能があるとされます。 因みに、「桑弧蓬矢<そうこほうし>」は 桑の木で作った弓でヨモギの矢を射る ……古代中国で男子が生まれた時、その子の将来の雄飛を祈った風習です。 そこから 「桑蓬の志」は男子が志を立てる意味になり、やがて 「矢志<shi3zi4>于科学」(研究者を志す) 等の表現が生れました。 ジェンダーフリーの時代では、端午の節句も 男女等しく祝いましょう。 ◆ 「滄桑の変/桑田滄海」は、桑畑が見る間に海に変わっていくような天地の激しい流転、時の流れの無常……の意味。 また、「クワバラ……」の呪文は、「桑畑には雷が落ちない」という俗信が元だといわれます。 ◎ 「五月病」に備えましょう この時期は毎年、「五月病」について書いています。 環境の変化が原因で起こる不適応症状ですので、本人も周囲もそれを理解して、心構えを持つことが最善の方法です。 新入生・転校生だけでなく、その保護者、そして もちろん新任教員も、「五月病」に罹<かか>ることをお忘れなく。 次女が卒業論文で、「学生が犯罪に遭う危険を減らすには、防犯意識と防犯行動のほかに "環境適応感" も必要」 という仮説を立てて 検証していました。 わが身の安全や財産を守る上で 精神安定が大切なのですけど、「他人に害意を抱かせない心理学」も研究・習得が必要です。 ◎ 雲雀のさえずりが聞こえます 「雲雀<ひばり>」は春の季語ですが、今日では 初夏のイメージが強まっています。 メンデルスゾーン作曲の 『おおひばり』は、日本では 高野辰之の訳詩で歌われます。 「おお 雲雀、高くまた 軽く何をか歌う。天の恵み、地の栄え、そを讃えて歌う、そを寿<ことほ>ぎ歌う」の繰り返しだけですが、高校時代の、とりわけ 春から初夏の思い出 と重なる方も多いことでしょう。 しかし、雲雀は、どこまでも高く舞い上がって行く様子から、「若くして死ぬ」イメージにもつながります。 ギリシア神話のイカロス(Icarus)とも混同されるようです。 イカロスは 飛ぶことに夢中になって、太陽に近づき過ぎて死ぬわけですが、荒井由実の『ひこうき雲』も 山田美也子の『勇気一つを友にして』も、クイーンの『No-One But You (Only The Good Die Young)』も、青年の真っ直ぐな生き方を歌い上げています。 ◆ 「五月病」の悩みは、雲雀やイカロスの歌などに 昇華させていって欲しいです。 決して 自ら命を断つ方向に向かいませんよう。 なお、トンボは 夏ではなく 秋の季語です。 中元節やお盆の時期に たくさん発生するからだそうで、先祖や死者の霊と見るわけです。 ◎ 子供を産まなかったほうが問題? 2月初めに麻生副首相が、「年を取った奴が悪いみたいなことを言っている変なのが一杯いるが、それは間違い。子供を産まなかったほうが問題なんだから」と高言しました。 5年前にも同じ発言をして 撤回していることから見ても、党としての本音なのでしょう。 1980年代に消費の冷え込みを怖れた政財界は 「DINK」(子供を持たずに 夫婦共稼ぎをするライフスタイル)を "格好いいこと" として大いに宣伝する一方で、母親が働ける環境づくりには サボタージュを続けます。 第二次ベビーブームのための教育施設も 不足していました。 1990年代後半には、労働力不足が深刻になり、主婦を "安く" 職場に誘導する様々な制度が整備されていきます。 「子育て支援」「主婦が働き易い環境」という言葉とは裏腹に、"子供を産み育てる幸せを 感じられる社会づくり" の視点も "児童福祉" の観点も 欠落していました。さらには 赤字国債を乱発し、「子供を産んでも、その子が将来苦労するだけ」の風潮を煽り続けています。 この期に及んで、「子供を産まなかったほうが問題」と言うのは無責任で、犯罪的ですらあると思います。 コラムニストの河崎 環さんが、「一億総活躍社会」を 「いま社会に労働力として貢献していない "怠け者の社会的弱者" を働かせてやって、国家の成長に資すること」と看破しています。 このように 為政者の嘘を見抜けないと、グローバル社会では生きていけません。 ◆ 「産めよ殖やせよ、働けよ、介護もせよと、結局女に全てを担わせる」と、河崎さんの舌鋒は痛快です。 しかし、なぜか若者の多くが選挙の投票に行かず、給与の4割以上を取り上げられる現実の維持に甘んじています。 ◎ "青いカップ" が中国で流行 中国の最新流行といえば、「小藍杯<xiao3lan2bei1>」(青カップちゃん)でしょうか? 「Luckin Coffee(瑞幸珈琲)」という、テイクアウト専門のコーヒーショップが正式オープンしたのは、2018年5月。 年末までに、中国各地に2千店舗以上が開店したそうです。 今や "鹿のマークの青いカップ" は、ビジネス界と学生のファッション・アイテムです。 来店前に スマホのアプリで 注文・支払いをしておき、店舗で受け取る(配達も頼める)システムなので、「並ばずに済む」とのこと。 値段は、トールサイズのラテが 24元(約400円)と、「Starbucks(星巴克)」の31元より22%も割安。 「最初の一杯は無料」「五杯注文すると次の五杯は無料」「友人を紹介すると更に一杯無料」のサービスは、かつて スタバでもありましたが、「〇曜日の無料券」は人気のサービス。 味も「今のところ 中国国内のスタバよりは美味しい」とのことですが、レジがなく(現金払い不可)、待ち時間もない、食器がない、店内でゴミがほとんど出ない…… と 余分なものを徹底的に省いたセンスの良さが、人気に拍車をかけているようです。 コンビニ・コーヒーが全盛の日本に "青いカップ" が上陸してくるかどうかは、未だわかりません。 ◆ 「瑞幸 <rui4xing4>」(幸運の)は 「Lucking」の漢訳でしょうが、多分、広東語で読めば(他の外来語と同様)似た音になるのでしょう。 "鹿" がモチーフなのは、「鹿吭 <lu4keng1>」(鹿がものを言う)と 「lucking」(運が好い)を懸けて、商売・学業等の縁起を担いでいるのだと思います。 ◎ 5月20日は 「世界計量記念日」です 今年の5月20日(月)、新しい国際的な度量衡 「SI単位」(International System of Units) が発効・施行されます。 昨年の11月の国際度量衡総会(CGPM) において 7つの基本単位のうち 「キログラム(kg)」(質量)、「アンペア(A)」(電流)、「ケルビン(K)」(熱力学温度)、「モル(mol)」(物質量) の4つについて 定義が根本的に改定され、残りの 「メートル(m)」(長さ)、「秒 (s)」(時間)、「カンデラ(cd)」(光度) については 表現が改められました。 「メートル法条約」(1875年5月成立、日本は1886年4月20日勅令)以来、科学技術の発展の基礎となってきた度量衡の統一事業も、新しい時代に入ります。 なお、基礎となる単位の千倍の量であることを示す 「キロ」は、小文字の "k" です (km, kg, kW などと表記)。 わが国は1960年以降、道路標識では 「Km」と標示するよう定めていたのですが、やっと改められました (2008年国土交通省令第2号)。 約半世紀にわたり 教育現場や警察官を悩ませた責任は、どこにあるのでしょうか? ◆ 永六輔さんが「鯨尺を全面否定したら 日本の伝統工芸は廃れる」と訴えていました。 英米では inch, yard, feet などが "幅を利かせて" いますが、「by inches」「Never give an inch!」などの決まり文句がなくなると寂しいです。 ◎ 新マレーシア駐日大使が着任 平成天皇が 最後の「信任状捧呈式」(憲法第7条の国事行為)に臨まれた相手は、マレーシアのダト・ケネディ・ジャワン駐日大使でした(4月5日)。 陛下から 「日本の国を どう思われますか?」と 聞かれ、大使は 「私が初めて 外交官として赴任したのは 日本でしたので、とても印象深い国です。長年の友人もたくさんいます。私の使命は、ルックイースト政策を推進し、日マ両国の関係をより一層強く活発なものにすることだと思っています」 と答えられたそうです。 私も (社)日本マレーシア協会主催の歓迎パーティーで 大使とお話しできたのですが、サラワク州出身の気さくなお人柄で、如何にも親日家らしい安心感を感じました。 さすが、日本人が「老後を過ごしたい国」のトップに挙げる国の大使だなぁと思います。 ◆ ケネディ大使の出身地、サラワク州の州都は クチン(猫)です。街の至る処に 猫の彫像があり、猫の博物館もあります。毎年8月には 猫に因んだ祭りが いくつも開催されますが、姉妹都市は彦根市ではなくて、高知県高知市…… どちらも語源が 「kocing」(港)だからだそうです。 ◎ 招き猫と彦根藩・豪徳寺との因縁 一昨年のNHK大河ドラマ 『直虎』に、やたらと猫が登場するので 外国人には不可解だったようです。 主人公の甥の井伊直正(彦根藩主=今の滋賀県東部を治めた)の子、井伊直孝が武蔵野に鷹狩に出て雷雨に遭い、猫の手招きで近くの寺(=後の豪徳寺)に避難した逸話から、「招き猫」の信心が始まったと伝えられています。 猫は、古代エジプトでは "月の象徴" とされ、不思議な魔力を持つと信じられていました。 東南アジアでも 「kucing」(九品=極楽浄土に往生)と呼び、その生命力に祟られないよう大事にします。 どうやら 井伊家が未だ地方豪族だった時代から、猫の不思議な霊力を信じる習慣があり、だから直孝も 素直に猫に従ったということなのでしょう。 ◆「招き猫」は どちらの前脚を挙げているでしょうか? 彦根市や東京の豪徳寺で売られる "正統品" は、必ず右前脚を挙げています。 「左手は不浄の手だから」と説明されますが、東南アジアの人々と同じ感覚です。 ◎ 5月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 海外子女教育振興財団 帰国生のための学校説明会・相談会--- [北米] 4日(土) サンフランシスコ、5日(日) ロサンゼルス、7日(火) メキシコシティ <墨>、9日(木) ヒューストン。 7日(火) コロンバス、9日(木) シカゴ、11日(土) ニューヨーク、12日(日) ワシントンDC。 [欧州] 18日(土) マドリッド <西>、19日(日) ロンドン <英>、21日(火) デュッセルドルフ <独>、22日(水) アムステルダム <蘭>、24日(金) ブラッセル <白>。 [アジア] 20日(月) ペナン <馬>、 22日(水) ニューデリー <印>、24日(金) シラチャ <泰>、25日(土) バンコク <泰>、27日(月) マニラ <比>。 ★ Japan IT Week【春】後期 セミナー--- 5月8日(水)〜10日(金)、於:東京ビッグサイト。 特別講演『チームワークと技術革新がかなえる未来の働き方』=カル・ヘンダーソン(Slack Technologies社の創業者)、ほか。※ 日本の社会に求められている「働き方改革」や「イノベーション創出」の提言に注目。 ★ マイナビニュース主催 Windows10 移行セミナー--- 5月22日(水)、於:新宿ミライナタワー/オンライン。 『Windows10 の魅力と新機能のポイント』=西脇 資哲(日本マイクロソフト(株))ほか。※ Windows 7の延長サポート終了まで あと7ヶ月です。 ★ 関西帰国生親の会主催 かけはしセミナー 2019--- 5月24日(金)、於:大阪市総合生涯学習センター。 テーマ 『バイリンガルの言語と認知の発達』=赤松 信彦 (同志社大学 文学部 教授)。 ※ 異文化の中で バイリンガルの子供の言語や認知がどう発達していくのか…。 ★ 2019年度 日本語教育学会 春季大会トークセッション--- 5月25日(土)、於:つくば国際会議場(茨城県つくば市)。 テーマ 『「+日本語」の人生をたずねて--- 境界を生き、境界をほぐす4人の物語』。 ※ 複数の言語を使い 複数の文化を行き来しながら 意志を持って豊かに生きている人達の話。 ★ 知って得する『健康』『終活』セミナー--- 5月25日(土)、於:大町ふれあいの家(東京都調布市)。 ※ 中学校で保健体育科の教師歴 約40年の馬渕正彦先生による ウォーキング・ストレッチ、「健康」セミナーなど。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 私は10年前まで、中国へのお土産はインスタント・コーヒーと決めていました。 スタバですら泥水のようなコーヒーを出していたので、お土産で持って行くととても喜ばれたからです。 喫茶店ではコーヒーよりも ココア(チョコ)を飲むほうが、腹も立たず 寛げました(以前は)。 ◆ 横浜の帰国ママのボランティア・グループ「T−GAL」から、ニュースレター(第36号)をいただきました。 幅広い活動を続けておられ、敬服します。 WEBサイトが変更されています。 関西帰国生親の会かけはしの会報(Vol.41)も届きました。「幼児期を海外で過ごすことのメリット・デメリット」がテーマ。「異文化でドッキリ」のコーナーは、トイレに関する悲喜こもごも…… 面白いです。 ◆ 『月刊 海外子女教育』5月号の特集は、「日本人学校・補習授業校等での文芸指導」(文芸作品コンクール40周年企画)です。 巻頭の 「顔」は 和菓子職人の中西浩樹さん。 教育相談室は、つちやみちこさんが 思春期の子供の帰国について、自らの子育て経験を交えて解説されています。 ◆ 桑の実に関係ないのですが、「Morse code」(モールス信号)を考案した サミュエル・モールスは、妻の危篤の知らせが遅れて 葬儀に間に合わなかったといわれ、その悲しみが 信号発明の衝動となったそうです。 ◆ 4月27日は、モールスの誕生日でした。 哲学者ソクラテスの命日だから 「哲学の日」なのですが、ソクラテスの妻は悪妻として有名で、「悪妻の日」と呼ぶほうが一般的です。 でも、"悪妻" の定義は 何でしょう? ◆ 映画 『ちはやふる』(2016年)で 朗々たる読み上げを披露していた 安元文紀くん(東京都羽村市)の訃報が届きました。 高校時代から真っ直ぐな性格そのまま…… 昨年の朝日歌壇「番外地」に 「選者とは酷な仕事よ幾万の淡き望みを摘み取る作業」があります。 享年66歳。 合掌。 ◆ 「この教育通信は、いつから続いているのですか?」 との質問をいただきましたが、1998年4月の『隣人』の配信が最初です。 2001年に 『小山デース!』になり、2005年から 現在の標題に変わりました。 今後とも ご愛顧のほど、よろしくお願いします。 ◆ 令和の時代に期待される人材は、「ICT・AI等の技術や異文化交流の体験を活用して新しい価値を創り出せること、そして、どんどん変化していく自分や社会を楽しめること」 と、どこかで読みました。(出典が不明のままで すみません) 若者風に言えば、「それな!」です。 ================================================================================================== |