子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2022年 3月、2月、1月、2021年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月。 2020年 9月〜12月、5月〜8月。 |
2022年5月以降のニュースは こちら。
ページトップ、 海外支援センター ※ ニュースのオリジナル版は、日本人学校・補習授業校にも お送りしています。【2022-4】 ◎ 若者に“学び”を促すコツ 4月の新年度に当たり、『 Nudge(実践 行動経済学)』(R・セイラー他。米 2008年)を 一瞥してみましょう。 「nudge」(小突く, 突っつく)は、誰かの注意/記憶を喚起したり 促したりするための行為をも意味します。 相手の肩を 指でトントンしたり、そっと肘で肘を突っついたり…… 言葉による誘導・促しも含まれるのです。 課題に積極的に取り組まない人に対し、ともすると怒鳴ったり皮肉ったりしてしまいますが、逆効果になるのが普通です。 指導者は、相手が 「指導されている」とできるだけ感じないように 「nudge」するのがコツ…… 大半が“無駄玉”でも。 要は 相手が 「確かに自分の利益になる」と納得し、「自分のために言ってくれてる」と理解できることが 勘所です。 いちいち指示されなくても 自主的に作業に取り組める気持ちになる…… そのための条件・環境を整えていきましょう。 ◆ 入試合格を絶対目標に頑張ってきた子は、合格後 どうしていいかわからなくなりますし、「とにかく就職」を目指してきたら、就職後に仕事に身が入りません。 受け入れた側は、新入生・新人が 面接で 「ここで頑張りたい」と言った姿を信じたいでしょうね。 日本の教育では“合格のための礼法”なのに…。 ◎ 二年目の不適応期症状に備える 二年生といえば 「荒れる中二、弛む高二」などと よく話題になります。 新しい環境や生活で一年を過ごすと、慣れや油断から “不規則な行動”を起こす傾向があるのです。 「中二病/厨二病」は 思春期の子がしそうな行動や思考を指し、主に “自信過剰からくる言動”をいいます。 これから派生して 「大二病」もあります。 大学二年になると、やたらと自らを悲観したり 社会を恨んだり 儚<はかな>んで…… 何かに異常な拘りを持ったり熱中したりもするので、「男子厨房に入る」の印象から「〇〇厨」ともいわれます。 入学の翌月の 「五月病」と同様、“二年目の不適応”(+サボり癖?)にも対策が必要とされる時代のようです。 ◆ 学生用語の 「リアルガチ」(本当に〜/真剣勝負で)は、それまで手を抜いていたことを白状しています。 また、「ペレ判定」は、試験で “不可/合格圏外”の成績を取ること…… 昔、サッカーの王様ペレが ED(勃起不全)治療啓発のCMに出ていたことから、“E・D判定”に懸けたものです(注:ペレ自身は EDではない模様)。 ◎ 第79回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催 4月27日(水)です。 話題提供は パリから帰国されたばかりの小野江 隆先生にお願いしました。 4月から武蔵村山市教育センター教授として 若手教員の指導に当たられますが、多くの実践的な著書でも有名です。 パリ日本人学校では 国際バカロレアの考え方、とくに世界で通用する力を 研究テーマにされました。 日本の教育システムだけでなく、社会の変化や保護者の考え方の変化等についてのお話しは楽しみです。 インドネシアのジャカルタ、中国の蘇州、そして パリの日本人学校に赴任されたご経歴もユニーク。 『月刊 海外子女教育』には書かれなかった “オフレコ”の話しも ぜひ伺いたいです。 ◆ 小野江 先生は、通知表の所見欄の書き方や “授業のネタ”など実践的な著作が多いので、上海日本人学校の職員研修をお願いしたことがあります。 校長(当時)の福井 明雄先生が 「この本は 講話付きですよね?」と蘇州に電話すると、快諾してくださいました (笑)。 ◎ “解り易さ”のジレンマ 新しい年度を迎え、新人の教職員は それこそ 「出勤簿」「指導要録」等から学び直しています。 また、少し慣れれば 実践的な知識・技術の伝授もあるのですが、指導する側は “解り易さ”のジレンマに悩まされます。 実践的な要領やマニュアル、秘訣などを説明する場合、「簡単で解り易く+より重要なことに絞り込む」よう努めます。 ところが、そうすると それらの要領などができてきた過程も “簡単にでき上がった”と誤解され易いのです。 「基礎・基本, 定石」などを知らないと仕事になりませんが、知ってさえいれば仕事ができるというわけでもありません。 職場では 常に試行錯誤が続けられていて、それらの過程を経て 新しい方策や秘訣などを生み出すことが創造=仕事です。 でないと 売れるものを造れません。 “習うより慣れろ”で育ったゲーム世代には 「ウザイ」と嫌われても、研修の最終段階では 「それが どんな試行錯誤を経てできたか?」という紆余曲折で、その趣旨や限界を教えましょう。 ◆ ゲーム世代は 「失敗すれば リセット」に慣れっこですが、大損害や犠牲者が出たりすると、「教えてもらってない」とパニックに陥ります。 企業の人事部の皆さんは 「中学・高校でしっかり訓練してよ!」と言われますけど、探求型や “打たれ強さ”を鍛えるのは 手間がかかるんです。(なのに成人年齢は引き下げて…… 愚痴です) ◎ ビデオ教材 『中国人の交渉術と価値観』のメイキング 急に中国赴任となった人のためのビデオ教材を制作する依頼を受けたのは、20年前の春でした。 また当時、社内研修や大学の授業などの途中に使える “短い動画”が欲しいという声も、あちこちで聞いていました。 研修費も時間もない人を想定し、「最低限の基礎知識は何か?」と内容を精選するのですが、ここでもジレンマがあります。 「臨機応変のコツを表現するのに マニュアル化?」「単純化して 創意工夫させる?」「正解のない課題の答?」…… そして何より、解り易さに努めれば 「この課題をこなすのは簡単だ/楽勝!」と誤解される危険が大きいことです。 それでも 予備知識・心構えが全くないよりは好いので、「死なない程度の失敗や苦労は、した方が成長は早い」と割り切ります。 「転ぶのを怖れていて、〇〇なんかできるか!」ですから (笑)。 ◆ このビデオ教材は “一本10分”の全7巻です。 いま観れば やや陳腐化した内容かもしれませんが、異文化衝撃のワクチン…… 適度な “刺激”をコンパクトにまとめました (笑)。 ◎ 「三人成虎」の戒め 新学期や新入生のオリエンテーションで 忘れてはならないポイントは、「噂話を流さない/信じない」の注意喚起です。 漢文の授業なら、「三人成虎」(三人 虎を成す)や 「市虎三伝」、あるいは 「流言飛語/造言蜚語」などと教えますけど。 市街に虎なんかいないのに、3人も 「虎がいる」と言えば、情報が独り歩きします。 嘘や噂も多くの人が言えば、本当だと信じられるようになってしまい、まさに 「虎狼より 人の口おそろし」です。 SNS上で 事実でないことが拡散されることは多いものの、煽っている輩には 罪悪感がないのが普通です。 面白がって、あるいは 妙な正義心から 他人を誹謗中傷することは、社会不安を煽る/紛争を起こす行為に等しいのです。 ◆ 「都市伝説」も 飲み屋の与太話であれば好いのですが、世の中の不安や恐怖を煽りたてる目的に使われると、もはや犯罪でしょう。 「オミクロン株」の騒ぎも、 だんだんと “馬脚”が見え始めた気がします。 政治家よりも儲けているのは 誰でしょうか? ◎ ペオニア(牡丹)と ペオノールの効用 「Paeonia/Peony」(牡丹<mu3dan, ぼたん>)の花は 普通4月〜5月に咲きます。 花言葉は 「風格, 高貴」、季語は夏です。 9世紀半ば、唐の洛陽で 「天香国色<tian1xiang1 guo2se4>」(絶世の美人)と讃えられ、庶民には “高嶺の花”でした。 宋代(11世紀)には 「魏紫<wei4zi3>」(薄紅色), 「姚黄<yao2huang2>」(黄色)という貴重品種も出現、美人の代名詞に……。 種から育てるのは難しいのですが、20世紀半ば、芍薬<shao2yao, しゃくやく> への “接ぎ木”が考案され、急速に普及しました。 芍薬の根を乾燥した生薬も 「芍薬」(薬の中の薬)と呼びますが、牡丹の方は根皮だけを乾燥させ 「牡丹皮」と呼びます。 どちらにも含まれる有効成分 「Paeonol」には、消炎・鎮痛・抗痙攣などの薬効があります。 ただし、イライラと気が立っている女性には芍薬を、鬱血や血行障害などが認められれば 牡丹皮を処方するとのこと。 今時 「立てば芍薬、座れば牡丹…」というと批判されますが、昔の医学生は この処方を都々逸で暗記していたのですね。 ◆ 「歩く姿は百合の花」といわれる 「百合<びゃくごう>」は、ユリの鱗茎の鱗片を乾燥させた生薬で、消炎、鎮咳、利尿、鎮静薬として用いられます(ロキソニンみたい…)。 漢方医は 「五月病」にも処方するのだそうです。 ◎ 主体性と想像力の両輪を 私が異文化理解・対応力研修に関わり始めたのは、子どもの成長には両親の精神安定が必須と考えたからです(1982年〜)。 駐在員夫人の渡航前講座、現地校入学のための親子教室、そして 海外駐在員サバイバル講座、渡航準備VTR教材…… 民間企業の要望に応える形でプログラムの開発・実施等を担ってきましたが、私自身の学びでもありました。 研修の中心は 「主体性と想像力の両輪が揃って 創造性が生まれる⇒ 異文化を超えるリーダーに必須」という内容です。 目前の課題に当事者として関わり 自分なりのやり方を見出せるよう導くのは、それこそ「Educate」の原義です。 能力を引き出す…… 教えるのではなくて、本人が自ら気づき変わっていく契機を提供することが 本道だと思います。 ◆ 若い世代は “正解”のない課題ばかりの国際社会を生き抜いていかなければなりません。 「Teach ⇒ Educate」の転換を図り、次世代のリーダーを育てる…… 次の “担い手”を見出し、彼らが育っていく環境を整えましょう。 そのためには、保護者の啓発も避けて通れません。 ◎ 「2020年ドバイ国際博覧会」が閉幕 3月末まで、東京五輪と同様、一年遅れて アラブ首長国連邦(UAE) で開かれていました。 テーマの 『Connecting Minds, Creating the Future』の通り、無数の “夢のICT技術”が出展されていたようです。 「一帯一路 <yi2dai4 yi2lu4>」の名の下、AI, IoT, ブロックチェーンなどの基盤整備を中国が担っているのです。 なかでも 中国の通信機器メーカー 「海能達通信(Hytera Communications Co.)」のトランシーバーの普及度に驚きました。 日本の学校説明会や興行イベントでは Nokia、Kenwood、Tait Com.、Motorola などがお馴染みですけど、今回の万博では、各国のパビリオンで 海能達通信の製品が “標準機種”だったそうです。 ◎ 4月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ TJF 多言語・多文化交流 「パフォーマンス合宿」2022春 成果発表会(On-Line)--- 4月3日(日)。 ※ 作品上映のほか、作品に至るまでの制作過程や 参加した高校生の感想や思いなど生の声も聞けます。 ☆ Tebiki 無料セミナー(On-Line)--- 4月19日(火)、テーマ 『現場教育における動画マニュアルの効果とは?』=脇村 優輔・酒井 彩花(Tebiki(株))。 ※ 具体的な事例も交えて徹底解説されます。 ☆ CFIEC 国際情勢ウェビナー--- 4月18日(月) 午後0時半〜2時、テーマ『ロシア ウクライナ侵攻と中国の目線〜日本の外交・安全保障への示唆』=溝口 修平・福田 円(法政大学 法学部教授) ほか。 ※ 中国・台湾の視点を通して、ウクライナ危機が東アジアにもたらす影響を読み解きます。 ☆ 国際人をめざす会×ゆいグローバルネット 緊急講座(On-Line)--- 4月21日(木) 午後7時半〜9時、テーマ 『コロナ禍だからこそ知りたい! 海外邦人のメンタル問題とストレス』 ※ 東南アジア各地、ヨルダン、米国サンディエゴからの現状報告で構成されます。 ☆ 第79回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(On-Line)--- 4月27日(水)、テーマ 『日本の教育は 何が変わりつつあるか?』=小野江 隆(前 パリ日本人学校 校長)。 ※ 40年の教職生活と3つの日本人学校勤務の総括、日本人学校におけるIB教育の実践報告は、国内の公立小・中学校に新たな地平を見せてくれます。 ☆ 先端教育人材育成推進機構パネルディスカッション(On-Line)--- 4月29日(金) 午後2時〜4時半、テーマ 『探究の共創・協働をどう進めるか?』=石川 一郎(21世紀型教育機構)・中里 忍(Institution for a Global Society)・松田 恵示(東京学芸大学)、司会:西村 圭一(同)。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ NHK朝ドラで 遠山 顕さんが実名で登場されましたね。『いつでも!英会話入門』はご覧になりましたか? 機械音痴の人がスマホを使えるように、英会話も “話してみよう” と思い切れば 少しずつできるようになります。 ◆ 接ぎ木された牡丹の枝は、芍薬の根から栄養を貰いながら自根を伸ばし、やがて低木として自立していくわけです。 まるで 新入生・編入生が学校に馴染んで、学校生活を楽しみ始めるようなイメージと重なります。 ◆ 『月刊 海外子女教育』4月号特集は 「継承語として日本語を学ぶ子どもたちの日本への思い」と 「日本切手のデザイン」です。 会員校訪問は 愛知学院中・高(名古屋市)…… 河合塾本部もある高台の 禅宗の学校です。 ヒトに本来備わっている潜在力を 引き出す知恵に溢れている、と感じる取材でした。 ◆ 『時代が締め出すこころ』(岩波書店)、『ぼくらの中の発達障害』(筑摩書房)で知られる青木 省三さんが 『ぼくらの心に灯ともるとき』(創元社)という小説を上梓。 人とのやり取りが苦手だったり こだわりが強かったりする人には “光明”…… 本人はもちろん、その周りにいる人にも読んで欲しいです。 ◆ 3月末、漫画家のメッカ 「トキワ荘」(東京都豊島区)に 「漫画で歴史・社会・科学など学ぶコーナー」がオープン。 手塚 治の 『ブラック・ジャック』や世界の歴史を描いたシリーズなど 約7千冊が所蔵されています。 “漫画と学び”を親子で楽しめる場が、また一つ増えました。 ◆ 3日(日) から イスラム教徒は 「ラマダン(断食月)」に入っています。 正しくは “斎戒”の時期…… 昼間の飲食だけでなく 喫煙や喧嘩・紛争、誹謗中傷、傲慢な気持ちなどを慎みます。 それが心身の健康の秘訣なのです。 ◆ 今年はマレーシア独立並びに日マ修好65周年で、「Look East Plicy (東方政策)」が始まってから40周年です。 『月刊マレーシア』4月号でも特集が組まれていますが、人材・教育交流、熱帯雨林再生、水環境整備など多岐にわたる非営利活動が持続しているのは 素晴らしいです。 ◆ 英国に駐在したことのある友人が、スコーンと Clotted Cream を持って訪ねてくれました。 Blueberry Jam と一緒に食べると 英国の初夏が脳裏に……「クリームとジャムのどちらを先に塗る(apply) か?」という地元の人たちの他愛無い議論まで、懐かしく思い出されます。 もはや 「Pub Crawl, Bar Crawl」(梯子酒)など できる齢ではありませんが、クリームとジャムをたっぷりと盛ったスコーンを食べるのも、罪悪感を感じてしまいます (笑)。 でっぷりと出た腹も身の内…… 健康には気をつけたいです。 ================================================================================================== |
【2022-3】 ◎ シロタエギク の生き方 冬の庭の “銀の葉”というと 「白妙菊<シロタエギク>」…… 一見 トナカイの角を思わせる葉が、元気を与えてくれます。 地中海沿岸原生で、英語では 「Silver Ragwort」ですが、世界中に多品種あり 園芸植物として愛でられています。 別名 「Dusty Miller」(埃まみれの粉屋)。 “埃”といっても 脱穀中の粉塵で、風車/水車小屋の中で 黙々と働く姿…… “粉屋”は、古くは産業革命の先駆、今は 「パティシエ(patissier(e))」(菓子職人)にとってなくてはならない存在です。 お喋りでも 温厚な性格なくしては勤まらない仕事ですし、白妙菊の花言葉も “あなたを支えます”です。 日本では、初夏に花蕾ができると摘むのが普通。 花を咲かせると株が弱って、猛暑に耐えられず枯れてしまうのです。 自分では花を咲かせることもなく ほかの草花の引き立て役に徹する様子は、いかにも いじらしい気がします。 “不思議なほど優れている菊”といわれる所以が 咲かせないこと…… 残酷なようでも、そういう命もあるわけですね。 なまじ 小さな花を咲かせたばかりに命を縮めるより、別な生き方を見出していくのも 生きる知恵です。 ◎ 東京の「国際教育の3本の矢」 2017年4月に東京都教育委員会が打ち出してから5年が経ちます。 第一の矢: 都立立川国際中等教育学校に附属小学校を開設し、一貫校とするもの。(2022年度開校。 学年定員: 一般生 58名+帰国児等 12名)。 第二の矢:“第二都立国際高校”を 地下鉄 「白金高輪駅」の南に開校予定。 港区立高松中学校の桜田通りを挟んだ向い(ブロック石垣の上)ですが、開校はずっと遅れて 2026年度のようです。 第三の矢: 英語村 「TOKYO GLOBAL GATEWAY」は 2018年9月、江東区青梅2丁目にがオープンしました。 新しいタイプの体験型英語学習施設として人気があり、予約は一杯の盛況です。 ◆ 体験型英語学習施設の老舗 「British Hills」(佐野学園)も健在。 12〜18世紀の英国民家9棟や調度品などが、時代考証に基づいて 見事に再現してあります。 英国にある実物は 触ることも許されず、古ぼけた “お宝”…… ここなら色彩も鮮やかで、触らせてももらえます。(=^o^) ◎ ロシアが遂に ウクライナに侵攻 もっとも、2008年頃からオリンピック等に隠れて ジリジリやってましたが。 中国も 「清帝国の再現」を目指しており、ウイグル・チベット地区、南沙諸島、台湾、尖閣諸島… を圧迫しています。 トランプが 「新モンロー主義」(他大陸不干渉の方針)をとれば、バイデンも 中・露を煽り立てて 逆効果の結果に…… 日本は 円安の上に エネルギー確保の困難まで降りかかると、年金基金を注ぎ込んで株価を維持するのも限界です。 「国家として どうすべきか」の議論を避けてきたツケが一気に押し寄せ、これ以上 国民を騙すことは無理でしょう。 日本政府の無為無策、そして マスコミの無責任報道体質は どうにかしないといけません。 ◆ 私たちが世界史で 「キエフ大公国(Kievan Rus')」と習った連合国は、現地での正式名称は 「Pycb <ルーシ>」だと初めて知りました。 ロシアもベラルーシも皆、キエフを “京都”と考える文化圏なのですね。 だからと言って……。 2月21日(月)の国連安保理おける ケニヤのM・キマニ国連大使の演説、3月1日(火)のEU議会における フォンデアライエン委員長の演説など、英語の教材にしたいほどの名文です。 しかし、美文の裏に 様々な思惑も渦巻いていますから、言葉通りには受け取れません。 ◎ 3月8日は 「鯖の日」 鯖<サバ>に興味・関心をもってもらい、鯖の恩恵に感謝を示す日とのこと。 「鯖 (Mackerel)」は、江戸時代の生物学書 『大和本草』(1709年)に 「牙が小さいので 狭歯という」と記されています。 他方、多数で群れていて 各々見分けがつかない様子を、マレー語では 「sabah, syabah」といいます。(「sahabat」は “友達”の意味…… これも群れている様子から?) また、「seba, saba」は 古くは “拝謁する, 訪問する”の意味で、「sabas」も “立派! あっぱれ!”でした。 たぶん日本語の 「素晴らしい」の語源なのでしょうけど、魚肉や鳥獣の肉などを混ぜて煮た料理も 「サバ」でした。 ◆ 鯖料理専門店 「SABAR」(本社:大阪府豊中市)の名は、東南アジア(マレー語)では “落ち着いた, 柔和な, 忍耐強い”の意味です。 因みに フランス語の 「Sa va.」(O.K./FIne)は、語尾を挙げた疑問形で よく耳にします(英語の 「How are you?」「It's to be O.K.?」)。 ◎ 「願わくは 花の下にて 春死なん」(西行法師) これは 満開の桜の花を指していますが、下の句に 「如月の望月の頃」(2月15日=釈迦入滅の日)とあります。 旧暦ですので、今でいえば 3月中旬頃…… 桜の満開には 少し早すぎる気もします。 出家して僧になった人ですから、釈迦尊の亡くなった日に死にたいと願う気持ちが わからないではありません。 西行法師が63歳頃の短歌だそうで、「もう思い残すことはない」という境地に達していたのでしょう。(今なら 90歳くらい?) お彼岸に先祖の墓にお参りする習慣は、コロナ禍で ずいぶん廃れてしまった気がします。 とりわけ 父母が育った地方に旅する機会は、数年に一度も行ければ好い…… お彼岸を機会に思い立つのも一興です。 「父母のふるさとよ春遠からじ」(小野寺 節子) ◎ 『大人の言葉の選び方』 石原 壮一郎さんが、政治家から学ぶ 「都合が悪い時に論点をずらすための3つのコツ」を紹介されています。 (1)「そもそも論」を持ち出して対象全体を悪者にする…… より大きな話にしてしまえば、その不自然さが見え辛くなる。 (2) 支離滅裂でも何でもいいので「問題ない」と言い張る…… 余計な説明をして言質をとらせず相手を言い疲れさせる。 (3) 事実無根でもいいので 適当な理由を付ける…… 言い続けることで、相手も「それもありかな?」と思うかも…? 厚顔無恥に論点をずらし続ければ 引き分けに持ち込めるかもしれませんが、周りで観ている者は 呆れてしまいます。 国際政治や外交の世界では SDGsの最大の障壁です。 若い世代が どう乗り超えるか 斬新な発想に期待します。 幼い時から 主体性を持ち、地域の課題などを自分で見出し解決して、それを発信するコミュニケーション力…… つまりは、身の周りや地域社会を巻き込んでいく力が育たないと、“大人たち”の嘘に振り回されるしかないのです。 ◆ 「質問に 正面から答えない/嘘をつく」という流儀が 政界・財界でまかり通り、社会全体の暗さや低迷を増幅しています。 「知らない、知りたくもない、知ったことか!」(悪魔ルーシー)が横行すると、弱者にしわ寄せがいくのですけど、それすら知らん顔をする嫌な風潮ですね。 ◎ 原子力利用について本気の議論を 日本の原子物理学の父、長岡 半太郎(大阪大学 初代総長)の卒業式の祝辞に、「糟粕<そうはく>を嘗<なむ>るなかれ」があります。<先人が精魂込めて創ったものを、その精神を汲み取らずに “見た目”だけを真似るようなことはするな> 「糟粕」とは “酒粕”…… 酒精(Alchole=Spirits)を取り去った後の “搾りかす=不要の物”の意味です。 職務の定型化・普遍化のため マニュアルや作業規程を作っても、それを使う者が 趣旨や限界を理解していないと…… 適正な手順を守ってもらわないと、その知識や “道具”は凶器にすらなります。 科学技術の進歩は 人類の夢の実現なのですが、常に乱用される危険も伴うわけです。 まして、その技術を使うことで生じる廃棄物の 処理の目途が立たずに稼働・利用することは、決して許されません。 原子力利用の社会的なコストや 世界的に不足している専門技術者をどう育成するかを、真剣に話し合うべき時です。 たとえ廃炉するにしても 30年以上かかる大事業で、専門技術者は必要なのですから。 ◆ 12年前、ドイツは原発を廃止して 不足電力をフランスから買う一方、燃料はロシアの石油と天然ガスに頼ることにしました。 3年前には、スイスに原発の稼働停止を要求しました。 フランスは逆に 14基新設を発表(2/10)。 今回のエネルギー不足は EUを直撃していますが、原発廃止論者たちも追い詰めています。 ◎ ニュースの棒読みと垂れ流し 岸田内閣がスタートしてから、官房長官の記者会見では 記者の質問も長官の返答も、原稿の棒読みなのに呆れます。 NHK記者のように読み上げに長けた例外はあっても、“筋書き通り”には変わりなく、そら恐ろしいものを感じます。 安倍内閣時代は、総理自ら話した内容が 数日後には 本人の口で全く異なる話になっていることが常態化しました。 訂正しないどころか 「一貫している」と言い張るのは、私たちから見れば大嘘なのですが、マスコミは放置しました。 こうした “筋書き通り”のシャンシャン会見に 私たちが麻痺させられてしまったことは、困った遺産です。 「一知半解」「半ちく」のニュースを垂れ流される私たちの耳目は、既に病的なレベルに達しているようです。 ◆ 「半ちく」は “中途半端, 閑散”の意味ですが、落語では “好い加減な野郎!”と未熟を叱る表現になります。 昔は 「生半尺<なまはんじゃく>」とも言ったようです。 今の若者には 「生半熟」と書いほうが 意味が通じそうですね (笑)。 ◎ 小林 和夫先生の『描きかけの自画像』 小林 和夫先生(前 中村学園理事長)の新刊を拝読しました。 ご自身が中村学園に入職されて以降の50年間に留まらず、学園の110余年を振り返る “年史”でもあります。 少子化やコロナ禍もあって 女子校受難の時代ですが、“本物の教育”が受け継がれていくことを 切に願います。 1993年夏に取材に訪れた際、地元の深川の皆さんとの一体感に感動したのですが、それは今でも変わりません。 「父性(Paternity)を感じさせる学園作り」という記事にまとめると、小林先生は とても喜んでくださいました。 なお、数年後 その記事を読んだ長女は、中村高校を志望し 入学しました。 ◆ 『描きかけの自画像』には、長女が中村高校在学時の校長、清水益太郎先生への追悼文も収録されています。 訃報は2013年夏、神戸弘陵学園の建て直しを終えられた矢先でした。 清水先生の追悼集には 長女も寄稿しています。 ◎ 3月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ 「未来の教室」フォーラム 2022.03 (On-Line)--- 3月4日(金)、テーマ 『STEAMライブラリーでつくる 「ホンモノの課題」から始まる学び』。 ※ 「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善にどう取り組むべきか、先行例を交えて紹介されます。 [高校生募集] TJF 多言語・多文化交流「パフォーマンス合宿」2022年春プログラム(On-Line)--- 3月6日(土) から全6回(最終日:4/3)。 ※ 参加者同士が Zoom とVRでつながり、演劇や表現活動を通して交流しながら、一緒にパフォーマンス映像作品を創作します。 ☆ ITトレンド EXPO2022Spring(On-Line)--- 3月8日(火)〜11日(金)。 ※ マーク・ランドルフ(NETFLIXの創始者/作家)、橋下 徹 (元大阪府知事/元大阪市長)、岡田 武史(元サッカー日本代表監督)など多彩な講師が並んでいます。 ☆ JACTFL 第10回記念シンポジウム(On-Line)--- 3月13日(日) 午後1時〜6時半。 基調講演:『外国語を教えない外国語教育』=當作 靖彦(米UCサンディエゴ校教授)。 ※ 大妻中野中・高校(仏語)、県立藤沢総合高校(中国語・西語)など 各校の実践報告は参考になります。 ☆ CFIEC国際情勢ウェビナー【臨時】(On-Line)--- 3月15日(火) 午後6時〜7時半、テーマ 『ウクライナ危機の行方--- 米欧露で何が起きているのか』=久保 文明(防衛大学校 校長)・袴田 茂樹(青山学院大学 名誉教授)・鶴岡 路人(慶應義塾大学 准教授)。 ※ ウクライナ危機による外交と安全保障の課題/展望を米・露・欧の視点を通して読み解く緊急討論です。 ☆ CFIEC国際情勢ウェビナー(On-Line)--- 3月16日(水) 午後4時〜5時半、テーマ 『大統領選挙後の韓国の針路』=小針 進(静岡県立大学 教授)、安倍 誠(JETRO アジア経済研究所 新領域研究センター長)ほか。 ※ 新政権が韓国をどういう方向に進めていくか 分析・考察します。 ☆ 海外邦人安全協会 3月講演会(On-Line)--- 3月24日(木) 午後3時〜4時半、テーマ 『コロナ禍における海外邦人のメンタル問題とストレスを知る』。 ※ 東南アジア各地、ヨルダン、米国サンディエゴからの現状報告で構成されます。 ☆ 第2回終活ドラゴン体操会(On-Line)--- 3月26日(土)、指導:馬渕 正彦(www.3dead.com/taisou)。 ※ 合気道の動きをイメージしながら健康体操を取り入れた体操です。 ☆ 学びの芽育 子供科学セミナー(On-Line)--- 3月27日(日) 午後5時〜、テーマ「科学の発想からえがく『将来の自分』」=山田 明彦(元 小中学校教諭、心理士)。 ※ 小学4年以上対象。英国の10歳の男子が、スペシャルプレゼンターを務めます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 白妙菊は常緑多年草なのに、毎年枯らしては 秋に種を撒いている人も少なくありません。 それって、優しいのか 残酷なのか…? 入学相談から受験日に至るまで 受験生と付き合う間、私は 「たとえ不合格でも この子の人生にプラスになりますように」と祈っていました。 それでも 恨まれたりするのですけど。 ◆ 14日(月)から、遠山顕さんの 『いつでも!英会話入門』のWEB配信が始まります。 28年間担当されたNHKラジオ英会話講座を 昨年10月に終えられ、今度は WEB上に転戦。 「英語が未だ話せない」と愚痴っている人には、最後の “蜘蛛の糸”となります (笑)。 内容は極めて実践的で、現代口語/英語文化の理解にも役立ちます。 ◆ 『月刊 海外子女教育』3月号特集は、「在外教育施設から未来をひらく」と 「帰国生の母親たちのボランティア」です。 後者は、フレンズ帰国生母の会、関西帰国生親の会 かけはし、神戸ECHO(まだ存続中!)、そして臨床心理士たちの 「With Kids」を紹介。 会員校訪問は 市川市の昭和学院…… 久し振りに 実際に学校を訪ねての取材でした。 東京都心から30分の場所なので、“千葉都民”や外国人が周りに住んでいます。 校内の空気は 実に穏やかでした。 ◆ 『月刊グローバル経営』3月号特集は、 「日本人学校は いま---変わる在外教育環境」…… 昨年の 「第12回 海外・帰国子女教育に関するアンケート」調査結果のほか、関係者の論考が並びます。 海外子女教育振興財団の綿引 宏行理事長は 「日本人学校の再定義を」と 踏み込んで…。 ◆ 2日(水)の国連総会で、ロシアのウクライナ侵攻を非難し 即時撤退などを求める決議案が 賛成多数で採択されました。 しかし、5ヶ国が反対、35ヶ国が棄権(Abstention)、12ヶ国が“逃亡”しています。 国連憲章が定める国連の目的の第一は 「国際の平和と安全を維持すること」なんですけど。 ◆ 昔の機織り機を触っていた子が、「鶴の声に似てるね」と言いました。 その気になって聞くと、木製の構造の軋む音が 鶴の鳴き声に思えてきます。 『鶴の恩返し』の 「ギーバタンバタン」という音の “ギー”の部分は、鶴が痛みを堪えているのだと思うと、よけい哀しく感じます。 「ギーバタンバタン」という音に 冬の寒さや乾燥した空気、鶴の痛みや思いなどにまで思いが至ってしまう子どもの感性には、感動を覚えます。 どうか こうした柔軟で瑞々しい感性が許容され 評価される社会でありますよう。 ◆ 沈丁花<じんちょうげ> の香りが漂う中、卒業生には 幸多かれと願います。 また、3月で退職される先生方、お疲れ様でした。 先生方のご健勝と 次のステージでのご活躍をお祈りします。 日本人学校・補習授業校等から帰任される先生方、道中お気を付けて。 皆さんが土産話をしてくださるのを、楽しみにお待ちしています。 ================================================================================================== |
【2022-2】 ◎ 「シリアル」の意味は? 2021年は 「それは コーンフレークやろ!」に いささか食傷気味でしたので、書かなかった話題を。 英語の 「cereal」(穀物)の語源は、ローマ神話の豊穣の女神 「ケレス (Ceres)」…… 穀物の収穫を司る 地母神です。 よく混同されるのが 「serial」(直列, 連続○○, 通し番号など)ですが、そちらは 穀物と全く関係ありません。 若者たちが 「尻有」と書くのは、「serious」(真面目/厳粛な)+「comical」(滑稽な, 面白い)の合成語…… 深刻な要素と滑稽な要素が混在する話題や展開のことです。 でも、“現実にある深刻な話”をユーモアを交えて易しく話すだけだから 「serious+real」だという人もいます。 ◆ ギリシア神話の 「ケール」は女の悪霊で、複数存在することから、普通 「Keres」と呼ばれます。 翼と長い歯、長い爪を持ち、戦場で人を死なせ 血を吸うとか……。 ローマ神話のケレスとは、全く無関係です。 ◎ マインドフルネスの効果 「Mindfulness-based cognitive therapy: MBCT」("念" に基づく認知療法)は、医療の世界で かなり普及しています。 基本理念が 道元禅師の曹洞宗にあることは 意外と知られていないのですが、禅の効果であることは間違いありません。 先日 取材した高校は 曹洞宗が設立母体でしたが、インタビューの間、ずっと頭から MBCTが離れませんでした (笑)。 生徒の学習・心理面に関しても、集中力が増す、頭の回転(脳の演算処理速度)がよくなるなど、メリットは多いのです。 また、免疫力がアップして 病気に罹り難くなるなど、ヒトに本来備わっている潜在力を引き出す知恵ともいえます。 だからといって 「進学実績を向上させるのは 瞑想である」などと記事に書いたら、皆さんに叱られますよね。(笑) ◆ 英語の 「Mindful」は “忘れない”“気遣う, 心配りする”ですが、禅の境地を説明する用語として 定着しつつあります。 禅問答は “決めつけないこと”が神髄とも……。 受験シーズンには、さりげなく “瞑想”を教える先生は結構います。 でも、やり過ぎは禁物です。 ◎ 学歴や成績の好さは、仕事能力を予測しない 投資家ムーギー・キムさんの知見ですが、賛成です。 学歴や偏差値が高いことは、いくつかの基本的能力の目安にはなるかもしれませんが、仕事が出来ることとは無関係…… 人事担当者が、リーダーシップやコミュニケーション能力などの重要な資質を見抜けなくなったのは、情けないことです。 <仕事が趣味であり 喜びの源泉という人は、四六時中 仕事について考えているから、自然に他人と差がつきます。 『好きなこと』×『自分が得意なこと』×『社会的需要のあること』の3つの基準で仕事を選んでいる人は強いですね> いわば “東大志向型”は、効率・スピードを要求していく結果として 「手抜き(儲かればよい)」に陥り易いといえます。 逆に、趣味嗜好を仕事にすることに価値を置く人は、とかく “だらだら真面目(時間無制限)”になり易いようです。 その矛盾を克服するため、キムさんは “ファシリテーター型”(同僚の世話・支援に価値を置くこと)を勧めています。 「PIL」(教え合いの学び)の学習効果が高いことは事実で、コミュニケーション力が “できる人材”の必須条件です。 ◆ 主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度は、幸福感と表裏一体です。コミュニケーション力を高め、社会的需要を模索しながら ヒト・モノ・カネを使っていく姿勢を仕事の基本にできれば、きっと幸せが向うからやって来る筈です。 ◎ 「AO選抜」から「総合型選抜」へ 大学入試も佳境に入っていますが、かつて 「AO選抜」といわれていた入試は、現在は 「総合型選抜」と呼ばれます。 大学側が求めている学生像(Admission Policy)と 受験生の求める学びの形とが 一致している受験生を見出すこと…… 大学側としては、真にその分野に興味関心があり 本気で取り組もうとしている受験生を見極めたいわけです。 よく “人物評価”といわれますが、ただでも社会常識から乖離している教授陣が “人となり”の審査などは まず無理です。 しかし、一人ひとりの受験生が、これまで どういう努力をして現在があり、どういった潜在力を秘めているか…… それが その学部の将来に適合しているかどうかを判断し、一般入試に不向きな学生の中からも逸材を確保したいのです。 いわば“大学の命運を握る選抜”ですので、志望理由書や「自己PR」「ポートフォリオ」などを提出させています。 また、面接やワークショップなどを課して、その記載内容に偽りがないかを確認しようとしています。 (帰国生入試では、中学・高校でも やっている作業ですけど) ◆ 蛇の道は蛇…… 大学で学びたいことが明確に意識できている高校生は、2年の夏までに 大学を訪れています。 驚くのは、有名大学ほど「あの生徒が欲しい」と 2年生を指名してくる例が多いことです。 それが高じたものが、千葉大学の「飛び入学」(1998年開始) でした。 その後、名城大学(2001年)、昭和女子大学・成城大学・エリザベト音楽大学(2015年) が「飛び入学」始めます。 しかし、大学で中退した場合に 学歴が 「中学卒」となる点は課題です。 高大連携の主流は 「AP(Advanced Placement)」など“ 大学教育の先取り履修”に向っており、3年間で卒業させる大学も増えています。 ◎ 第78回グローバル化社会の教育研究会(EGS)開催される 2日(水)、国際人をめざす会の湯澤三郎さんを囲んだ話し合いでした。 冒頭、最近の子どもたちが “学び”にワクワクしていないのは、何のために勉強するのかが 曖昧だからでは? の爆弾! <「自分は 何になりたいか」と 「どういう人になりたいか?」の二つの “問い”を、子どもに突きつけていないのでは?> 自分を見つめ、限りない可能性を秘めた自分と 人に生かされている自分とを知ることが 学びの出発だというお考えです。 また、教育者も 「どういう人間を育てたいのか」という視点を明確にすべき…… 国際社会における日本人は、とかく 「横並び/誰かについていく」「ルールを知って守っていればいい」の傾向が強いが、そうではなくて、「(新しい秩序に)世界をリードしていく」形の仕事ができる日本人が求められていると話されました。 <「国際力」とは、世界の国々・人々・社会の違いのなかで通底する共通部分を見つけ、それを拡大する努力を重ねてとりまとめる行動とパワー(エネルギー) である> それを教える基礎として、「自分の可能性を信じ 他人を尊重する」「世界の誰とも働ける」「自立(自律)している」、そして 「日本に礎を置く世界の社会人に」の要素に分けて解説。 また、海外への関心を高める方策や事例、学習法などの具体例を いくつも挙げてくださいました。 さらに、キーは 「異論をとりまとめる力」で、「聞く力」の教え方と 「話す力」の教え方を 具体的に解説されました。 とくに、<タテ・ヨコの絆に支えられた自分、多様な開花を尊ぶという謙虚さを意識して、良い聞き手になる…> には、わが意を得たりと思います。 子どもに会得させる前に、まずは教える側に “傾聴・共感”が求められているのです。 ◆ 湯澤さんは、柳井 正さん(ユニクロ社長)の記事(日経2021.12.31)を引用しながら、「日本人は世界の福祉・平和・発展のためにユニークな有形・無形資産を持っていながら それを自覚せず、進んで身を挺して貢献しようとしていない」 と訴えられました。 ◎「梅は咲いたか 桜はまだかいな……」(江戸端唄) 大寒に咲く「梅(華)」の花は “若い芸妓”の隠語です。 先輩の姐さん(櫻)たちが到着して “宴もたけなわ”になるまでの場つなぎで、本格的な春の到来を心待ちにする心情です。 因みに、次に続く 「柳」は “移り気”(なよなよ=風に ゆらりくらり)、「山吹」は実を結ばないから “浮気性”の隠語…… 花言葉では、柳は 「従順, 自由, 愛の悲しみ」、山吹は 「気品, 崇高」ですけど、春は 恋の季節でもあります。 「七重八重 花は咲けども 山吹の実の一つだになきぞ あやしき」(兼明親王) この短歌は、太田道灌のエピソードでも有名です。 その舞台とされる 「山吹の里」は、江戸時代に観光名所になりました。 わが家に近い 「面影橋(姿見の橋)」(東京都豊島区高田)辺りですが、「梅は咲いたか」の流行で 短歌の印象も変わりますね (笑)。 ◆ 梅・櫻・柳・山吹、いずれも春を告げる花です (季語も春)。「ほろほろと 山吹ちるか 滝の音」(松尾芭蕉)…… 初春のゆったりと流れる時間と ずっと聞こえている滝の水音に誘われて、こぼれるように山吹は散っていくのでしょうか? ◎ 「Tuesday」の意味は? 今月22日は火曜日…… 2022年2月22日と "2" が並ぶので 「2's day」と喜んでいる人たちがいます。 しかし、「Tuesday」は “the day of Tiw”(軍神 Tiw に捧げた日)ですから、単なる駄洒落です。 「Tiw」は、ローマ神話の 「Mars」に当たり、彼を讃える火曜日をフランス語では 「Mardi」といいます。 ギリシア神話では 「Ares」…… 槍と松明を持ち、最も強い風に引かれた戦車に乗っているとされます。 さらに 遡って、ヒンズー神話では 「Skanda」(⇒ 韋駄天, 鳩摩羅天)…… 孔雀に乗り 槍を携えた姿で描かれます。 戦争のことしか考えていないので、女性が近づくことすら拒む性格だとされます。 そういえば、日本の鞍馬天狗も…。(失礼) ◎ 合格〜入学の期間を どう過ごす? 先月 「合格させた子には 4月の入学まで いっそうの成長を促す方策が、知恵の絞りどころ」と書きました。 テスティーの繁田和貴さんは 逆に、中学受験後の子どもの緩み⇒“深海魚”スタートを警告されています。 「入学まで遊んで好い」と自由にさせたら、「勉強習慣は忘却の彼方に消えて “深海魚”」となった例も多いのです。 入学してみたら 同級生の真ん中辺りよりも遥かな底に沈んだ処にいて、頑張っても なかなか追いつけない状態です。 保護者も 「本人は “できない自分”に次第に疲れ、気力を持ち直すのに約2年…」と、涙と反省の日々を送ります。 まして 「自ら調べ 学ぶ」などを掲げている学校には、個性の強い子が集まってますので、基礎学力がなければ地獄です。 入学前に 勉強習慣を失わせないだけでなく、最も学力が伸びるこの時期を有効に過ごせれば、一生の財産になります。 探求型の学習が身についている子であれば 杞憂ですが、遊び呆けるような子については、きちんとフォローが必要です。 ◆ 「入学後の最初の中間試験の成績で、その後の成績は ほぼ決まる」という傾向は、中学校も高校も 同じです。 大学でも 前期試験、あるいは夏休み前までの成績で、卒業成績は概ね決まります。 その点、「総合選抜」で入学した子は 最初から先生方に可愛がられて、ぐんぐん伸びていくのが普通です。 ◎ 2月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ 第78回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(On-Line)--- 2月2日(水)、テーマ 『子どもの 「国際知」を錬磨して 「国際力」を強化する』=湯澤 三郎(国際貿易投資研究所 顧問)。 ※ 日本経済全体が収縮してゆく気配のなか、元気の出るお話しを伺って 話し合います。 ☆ ITmedia セミナー(ON-Line)--- 2月7日(月)・8日(火)、テーマ 『本当に正しい 「改正電帳法」導入とは?』。 ※ 電帳法対応に欠かせないバックオフィス改革、領収書・請求書のペーパーレス化など、今からでも間に合います。 ☆ 教育と探究社 クエストカップ 2022(On-Line)--- 2月19日(土)〜27日(日) 全5日間。 ※ 毎年2月、全国の学校から選ばれた代表チームが 探究活動の学びの成果を社会に向けて発信します。 ☆ 遠山顕の英会話ああSayこうSay「英会話寄せ鍋の夜」(On-Line)--- 2月20日(日) 午後7時〜8時半。 ※ 英会話七転び体験、punの歴史と功罪、idiomは役立つのか、といった話材で 贅沢なひとときを。 ☆ CAPLAN ウェビナー(On-Line)--- 2月22日(火) 午後2時〜3時半、テーマ 「仕事の成果につながる人材育成の始め方…… 個人と組織の学びを引き出す仕掛けと仕組み」。 ※ かつて私も講師を勤めた 「個々の学びの主体性を引き出し、成果につながる “自己学習”を定着させる」プログラムです。 ☆ CFIEC ウェビナー(On-Line)--- 2月28日(月) 午後1時〜2時半、テーマ 『中小企業経営におけるSDGsと人権』=中川 淳司(中央学院大学 教授)、銭谷 美幸(第一生命 運用企画部研究員)ほか。 ※ SDGsと現実の中小企業経営、金融機関における「ESGF(環境・社会・ガバナンス・投資)」の視点など 秘訣を探ります。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 「電子帳簿保存法(電帳法)」の改正が施行され、税務署長の承認なしに会計ソフトでの帳票保存が可能になりました。 デジタル庁の発足(2021年9月)までは、およそ国民を無視した状態でしたが、やっと まともな形になった気がします。 ◆ 『月刊 海外子女教育』2月号特集は、元帰国生の社会人による座談会 「帰国生はへこたれない」…… 先が見えない不安を乗り越える “たくましさ”の秘密に迫ります。 元気な若い人たちの話を聞いているだけで、こちらも元気が湧いてきました。「今月の顔」の初田美紀子さん(臨床心理士)の述懐も迫力満点です。 ◆ 湯澤さんは、 中・高各校から一定割合の教員を海外の学校に派遣(1年)して 実地に現場教育の多様性を体験させ、帰国後は各校の国際化教育推進委員会委員とする、等のご提案もいただきました。今回は 「国際力」に絞ったお話でしたが、「語学力」「文化力」の強化についても 伺える機会があれば幸いです。 いずれにせよ、コロナ禍が早く落ち着くことを祈ります。 ◆ 1月25日(火)、『くまのパディントン』の翻訳者、松岡 享子さんが亡くなりました(86歳)。 うちの次女が 「パッテンドン」と呼ぶ熊ちゃんは、小児喘息に苦しんでいた彼女の幼い頃の姿と重なって、ずっと私たち夫婦の周りにいます。 思い出を残して貰えたことに感謝します。 ◆ 「Carnival」(謝肉祭)は本来、四旬節(復活祭の46日前)直前…… 2月頃のお祭り騒ぎですが、最近は 単なる “仮装行列を中心にしたイベント”の意味で使われます。 「Protestant」(反抗主義)は、ローマ・カトリックのやり方に反抗するのが常ですので、11月のバカ騒ぎでも好いのです。 ◆ “偏差値偏向”の弊害は、いつも他人と自分を比較していて 本来の “学び”の喜びに関心が向かないことです。 合格ラインばかり気にして勉強する子は、合格後に怠惰になったり 人を見下したりする、あるいは不正を働く 反社会的な人間になりかねません。 親だって 平気で見捨てられるような。 ◆ まだ 「探究学習の実践を学校に広めたいが広まらない」「教員同士で対話をしても、続かない or 上すべりする」などと悩んでいる先生には、『探究する学校のためのSEL』(On-Line)を勧めます。 3月26日(土)から約8ヶ月間、探究学習の主要な理論に触れながら、チームで決めた探究プロジェクトを共に開発・実施していくプログラムです(〆切 2/13)。 ◆ 厳しい冷え込みの中、どこからともなく ロウ梅の香りが漂ってきます。 着実に春が近づいてきている証拠ですので、春の到来に備えて やるべきことに着手しておきたいですね。 ================================================================================================== |
【2022-1】 明けまして おめでとうございます。 本年も よろしくお願いいたします。 ◎ 壬寅<みずのえ-とら, ジンイン>の年です。 大昔、弓矢のシャフト(矢柄=棒の部分)が曲がってると 真直ぐ飛ばないので、火で焙っては両手で矯正していました。 それが象形文字となったものが 「寅<yin2>」で、“慎む・つとめる(⇒ 強)”の意味にもなっています。 十二支の3番目、時計の文字盤では2時、方角では 真北から東に60度の向き(北東のやや南)を指します。 漢の時代、十二支を分かり易くするために動物の 「虎<hu3>」が当てられたため、“勇猛で威勢がよい”の意味まで帯びました。 今年は 「五黄の寅(年)」…… この年に生れた子は気が強い、と言われた時代もありました(根拠のない迷信/差別です)。 36年に一回来ます(前回は 1986年、その前は 1950年)が、私の2歳先輩の中に 気弱な方は沢山います (笑)。 ◆ 「寅喫卯糧<yin2chi1 mao3liang2>」(寅年に卯年の米を食べる)は “前借りをして暮らしをつなぐ” ことです。 私たちの蓄えてきた年金基金を注ぎ込んで 株価を買い支え、赤字国債を乱発するのは、将来の食糧を食い潰して行く行為に同じです。 今の政治家は、子や孫の未来など 全然考えていません。 ◎ 偏差値に囚われない教育を 「教育の目的は 人格の完成であって、経済社会の先兵を育てるのではない」というお題目は、永年言われてきました。 しかし、東大を頂点とする偏差値ピラミッドができ、大学の難易度による 「Screening」(篩<フルイ> 分け)が横行しています。 40年前、帰国子女教育が注目されたのは、そのシステムの外に どういうバイパスを造れるだろうか? でした。 海外で身に着けてきた外国語力や広い視野に立った思考力などを 保持伸長しながら、どう学力を涵養するべきか…、そのためにあるべき入試のあり方は……と、帰国生を受け入れる学校は模索を続けました。 そこで見えてきたのは、世界各国が共通に持つ “本当の学力”の観点であり、国際バカロレア(IB)の理念でした。 世界中どこに行っても、どんな相手とも一緒にチームを組んで仕事ができ、成果を出せる力を伸ばそうという理想です。 帰国子女入試には 受験偏差値などないのに、偏差値で学校の難易度を知って選ぼうとする愚行は まだ続いています。 長半博打じゃあるまいし、得体のしれない 「Screening」に子どもの将来を任せる発想は、早く卒業したほうが幸せです。 ◎ 「ねそう」の習俗・習慣 「年三<ねそう>」とは、正月・五月・九月の年3度、月の前半2週間 「属星<ぞくしょう>」を祭る斎戒/精進のことです。 身体を清め、衣服を改め、飲食(とくに肉食)を慎み、思念・言動を正しくし、汚れたものに触れないように心がけます。 「属星」(陰陽道で その人の生涯を支配するとされる星=本命星)は 北斗七星の星で、生まれた年により異なります。 子⇒ 貪狼星(α, Dubhe)、丑・亥⇒ 巨門星(β, Merak)、寅・戌⇒ 祿存星(γ, Phecda)、卯・酉⇒ 文曲星(δ, Megrez)、辰・申⇒ 廉貞星(ε, Alioth)、巳・未⇒ 武曲星(ζ, Mizar)、午⇒ 破軍星(η, Alkaid)。 つまり、自分の生まれた年の干支を北斗七星に当てはめ、その星(本命星)を祭ると幸運が開けるとされているのです。 元々は、原始の農耕儀礼=精霊信仰の習俗だったようですが、陰陽道の 「年星<ねそう>」と習合されました。 「世をいと憂きものにおぼして、年三などし給ふ」(『源氏物語』玉鬘) ◆ 「属星」(本命星)は 北斗七星の柄杓の先=α星(子)から始まって、7番目のη星(午)で折り返していますね。 中国では、器の部分(α〜δ)を 「魁<kui2>」(頭)、柄の部分(ε〜η)を 「杓<biao1>」(目印)とも呼びます。 日本に伝わると 「杓」の字が “しゃく”(ヒサゴ=器の部分)の意味になりました。 「三」という字には、“たくさん, 安定”の意味もあります。 人名に使われる 「三」を <そう> と読むのは 「年星」からきている縁起担ぎで、生れた子の幸せを願っているわけです。(この話題は いつの時期に書こうかと悩みながら、20年が過ぎました (笑)) ◎ 春は「青龍」、緑の危険 正月の庭に 「水仙」が咲いていますが、仙人のように寿命が長く清らかな様子を現わすのは 葉や茎の緑です。 「韮<ニラ>」とよく似ていても、水仙は有毒植物なので 間違えて食べると大変なことになります。 中国では、空や海の色は 「藍<lan2>」(blue)で現わし、「青<qing1>」は植物の “緑色”や寒色全体を意味します。 「青山」を英語に訳すと 「Green Mountains」。「青龍」は春の象徴で、「青春」も “新緑”の若々しさをいうのです。(注:現代中国では、青信号・草木・水の色に 「緑<lu4>」も用います) 以前、緑色は顔料の調合が極めて難しいと書きましたが、英語では green, blue, black, verdant...etc. と様々に…… 素人が調合すると、甚だしい時には “黒”に見えてしまうこともあるわけで、まさに “危険が一杯”といえます。 ◆ 今年の箱根駅伝は 「Fresh-Green」の青山学院大学が優勝。“新緑”を前面に出し 「新緑の団結」「深緑の襷」と訴えるのは、“弛まない挑戦心”を忘れないためです。 テレビ局が悪乗りして 「進歩を止めない緑、“進緑”だァ!」と絶叫したのは、喝ッ! ◎ 第78回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催 2月2日(水)、国際貿易投資研究所(ITI)顧問の湯澤 三郎さんに話題提供をお願いしています。 湯澤さんは、日本貿易振興会(JETRO)職員として20年に亘る海外勤務経験のほか、特命全権大使の経験もおありです。 最近,「日本の存在感の希薄化」といったことをよく耳にしますし、日本経済全体が収縮してゆく気配を感じます。 しかし、湯澤さんは 「少子高齢化が進む今こそ、国を挙げて『根こそぎ国際化』を図り 成長発展を目指そう」が持論。 また,「NPO法人 国際人をめざす会」の活動で 小・中学校等で講話もされており、学校現場の様子もよくご存じです。 世界的な視野に立った人材育成、日本の学校で今 何が課題なのか等についてお話しを伺い、それを素に話し合いたいと思います。 ◎ 入試シーズンで学力が伸びる 首都圏では 入学試験シーズンに入っていますが、この時期に 信じられないほど学力を伸ばす子が多いのも事実です。 「思考コード」でいえば、「A 知識・理解思考」に留まっていた子が 「B 論理的思考」に一気に展開を始めます。 その中には、A・Bの手順抜きに 「C 創造的思考」に散漫な関心を持ち続けていた子も かなりいます。 ずいぶんと遠回りをしてきたわけですが、その子にとっては必要な体験学習だったのではないでしょうか。 学校側としては、そんな潜在力のある子をできるだけ集めていくことが、教育活動の原動力になります。 さらにいえば、既に開花した子よりも “化ける寸前の子”を如何に見出すかに 学校の命運がかかっているともいえます。 そして、合格させた子には 4月の入学まで いっそうの成長を促す方策が、知恵の絞りどころです。 ◆ 海外育ちの生徒の場合、「B 論理的思考」や「C 創造的思考」に長けていても 「基礎知識や“常識”がない」ことを理由に評価を下げられることは、有名進学校では当たり前のようにありました。 最近になって 「帰国生を受け入れてますよ」と猫なで声で言われても、信用できませんよねぇ。 ◎ 歴史が改ざんされる現実 『一九八四年 [新訳版]』(ハヤカワepi文庫 2009年)が刊行されて、10年後に突如売れ出したのは 何故でしょうか? 昨年の大学入学共通テストにも出題され、この “全体主義的な近未来”の小説は ベストセラーと認知されたようです。 歴史が改ざんされる現実…… 73年前に書かれた内容は、今も私たちに考えることを突き付けてきます。 報道の公平性を疑わざるを得ない トピックの取り上げ方の偏り…… 政府に都合の悪いことはなかったことにされてます。 “民主的に”運営されているとされる “ネット事典”も、結局は 誰かに都合の悪いことは “修正”されるわけです。 名もなき庶民のネットワークに委ねられるSNSや “数秒間動画”の弊害も、73年前に予測されていたように感じます。 しかし、だからこそ、私たち庶民が自ら考えること、変革の意志を持ち、夢を見失わないことが大事なのです。 ◆ 「素晴らしい日本」の宣伝/教化により アイヌや沖縄、朝鮮、台湾の “融合”を図る、敗戦を 「終戦」に言い換える、“日独伊を打倒する連合国”を 「国際連合」と誤魔化す、等々の歴史改竄には、いささか嫌気がさします。 コロナ禍で誰が儲けているのか、注視しましょう。 ◎ 虚無主義からは 何も生まれない 4年前の 「ガジェット通信」(1/19付) に、次の書き込みがありました。 「暗記中心教育で考える事はしない。 偏差値だけが目標で すぐに結果でる事にしか興味なし。 意見を持つと しんどい。 議論は避ける。 多数に合わせ 空気をよみ従う。 自律も自立もなく、まるで奴隷根性だ…」 これは生徒の視点での発言ですが、深刻なのは 中堅教員の多くが これを自世代認識としていることです。 そう思うなら 若い世代に それを再生産しない努力をすべきなのに、活路を見出そうとしないのは残念です。 教職を志した時は、そうではなかったはずです。 「虚無主義(Nihilism)」からは 何も生まれません。 ◎ 1月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ 獲得研新春セミナー2022 (On-Line)--- 1月10日(月)。 A:午前10時〜12時 「木村敬一さんの話を聞く」、B:午後1時〜4時 「絹川友梨さんインプロ(即興)ワークショップ」。 ※ Bは 役者が即興力を高めるために行うトレーニング法を教育に応用したゲーム形式の活動です。 ☆ ITmedia SaaS EXPO 2022 冬(On-Line)--- 1月17日(月)〜。基調講演:『アバターと仮想化実世界』『デジタルイノベーション推進の鍵』など。 ※ 新しい形のオンライン展示会ですが、職業観育成に役立つ講演も多彩です。 ☆ ASIA-NET セミナー(On-Line)--- 1月20日(木) 午後7時〜7時40分、テーマ『海外でのプロモーションの仕方を考える』=吉野 貴宣(Pangoo Company Limited 代表)。 ※ コロナ禍のなか 着実に海外へのプロモーションを行う「リモート出展」を考えます。 ☆ イノベーション・マーケティング・セミナー(On-Line)--- 1月20日(木) 午前11時〜12時、テーマ 『すぐ取り組むべき営業の3つの 「見える化」施策』。 ※ リモート化が進み、社内/校内の意思疎通や情報共有に課題を感じている人対象の内容です。 ☆ TJF 日露高校生パフォーマンス交流 成果発表会(On-Line)--- 1月23日(日) 午後3時〜5時 (日本時間)。 ※ 12月から 「絵本から飛び出せ! 物語と躍ろう!」の交流を続けてきた最終日です。 ☆ TJF 日露高校生パフォーマンス交流成果発表会(On-Line)--- 1月23日(日) 午後3時〜5時 (日本時間)。 ※ 12月から「絵本から飛び出せ! 物語と躍ろう!」の交流を続けてきた最終日です。 ☆ JOES 「サバイバル中国語コース」--- 1月31日、2月2・4日(3日間 5コマ)、講師:黒田 恵美子。 ※ 初めて中国語に接する方対象で、挨拶や買い物、タクシーやレストランなど絶対に覚えておきたい中国語会話を学習します。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 矢のお尻は 「筈<はず>」と呼びます。 弓を引く時、筈が弦に “はまるのは当然”なので、当然のことを 「筈」というわけです。 「寅」を人名に使う時は “慎む・つとめる”の意味が普通で、隣国の 文在寅大統領(1953年生れ)の名も その筈です (笑)。 ◆ 香港や広東省辺りには 「水仙」という銘柄の烏龍茶がありますが、毒は入っていません (笑)。 ギリシャ神話の美少年ナルキソス(Narcissos)は “自己陶酔”のまま水仙にされたのですけど、“自己推薦”とは無関係です (笑)。 ◆ ある若者が 「エキドナの誕生日は1月4日」と言うので ビックリ! 音楽ゲームの 『pop'n music』に登場するロボットだとか。 ギリシア神話で最強の怪物 「テュポン (Typhon)」の妻「エキドナ(Echidna)」は、夫と同じく下半身は蛇…… 映画 『The Golden Child』(米 1986年)で、“知恵の書庫の番人”も同じ姿でした。 ◆ 『月刊 海外子女教育』新春特集は 恒例の 「私の仕事」…… 4人の元 帰国生が 自身の職場と そこに注ぐ思いを語ります。 特集2は 「日本のパッケージ物語」……“ものづくり日本”の多面性や奥深さを実感できます。 会員校訪問は “藩校型ボーディングスクール”の弘学館…… 予想外の台詞が飛び出し、目から鱗が落ちるような取材となりました (笑)。 ◆ 海外校シリーズは グアム日本人学校……「アガナ補習校」時代(1982年)、私は新婚旅行で訪れたことがあります。 校長夫妻が 「いらっしゃるなら連絡してくださいよぉ」と仰いましたが、あくまで私的な旅行です。 でも、毎朝 ビーチに送っては 放課後に迎えに来てもらう、贅沢な数日にしてくださいました。 お陰様で 結婚40周年を迎えます。 ◆ 『月刊グローバル経営』1/2月号の特集は 「2022 海外安全対策のヒント」。 コロナ禍に加え フェイクニュースも飛び交う中、各自がどう対処すべきかを考えなくてはなりません。 加瀬みきさんの 「グローバル随想」は、アメリカ文化に占めるオランダの存在の大きさです。 ◆ 法律上の成人年齢が満18歳になると、成人の日を何歳で祝うべきか悩みますね。 一年に3年度分を済ませてしまい、それ以降は満18歳で祝う形も検討されています(三重県伊賀市など)。 コロナ禍で集まることも難しいのですが、若者には それすら変革のチャンスと捉える青龍の心、初々しい挑戦心などを忘れないでほしいと願います。 それこそ “青春”ですから。 ◆ 「ドカベン」「あぶさん」の作者、水島新司さんが亡くなりました(満82歳)。 作品に取り上げられるエピソードの数々は、1970年代から今日まで 幅広い層から人気を博しています。 かつて 東京都新宿の花園神社脇にあった居酒屋 「あぶさん」は、JOES職員の溜まり場(毎晩 誰かが来てる)でした。 その後、「ダンさん」と名前を変えて ゴールデン街の中を転々と移動しています。 ◆ 19日(水)、英国下院でジョンソン首相が 「As Covid becomes endemic...」(新型コロナは(Pandemic から)Endemic になったので…)と発言しました。 主要国首脳では 初めて言及したわけですが、トンネルの向こうに光が見えた気がします。 もう少しの辛抱です。 ================================================================================================== |