子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2022年 7月、6月、5月、1月〜4月、2021年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月。 2020年 9月〜12月、5月〜8月。 |
2022年9月以降のニュースは こちら。
ページトップ、 海外支援センター ※ ニュースのオリジナル版は、日本人学校・補習授業校にも お送りしています。【2022-8】 暑中お見舞い申し上げます。 ◎ 8月8日は 「笑いの日」です 笑顔…… 意識的に口角を上げれば、鼻孔が開き 楽に空気を吸い込めるし、脳神経が刺激されます。 楽しい夏休みなら、よけいハッピーな気持ち/幸福感を感じられ、傍から見ても魅力的な笑顔が湧いてきます。 さらに 目蓋<まぶた>を上げ、上を見上げて瞬きをすれば、自律神経が刺激されて、脳の覚醒/活発化が促されるそうです。 そうしながら歌を口ずさむと、いっそう脳が活性化…… 辛さや悲しみが薄れていき、不思議と活力が湧いてくるものです。 なお、昨年4月 「日本人は 日常生活の中で笑う頻度が高いほど 全死亡率や心血管疾患の発症率が低い可能性がある」… と山形大学医学部が発表しました。 笑いが心筋梗塞や脳卒中を減らし、早期死亡リスクを低減する “妙薬”だそうです。 ◆ 脳の健全な覚醒/活発化に最も効果的なのは、朝日を浴びながら ラジオ体操やリズミカルな運動をすることだそうです。 毎朝10分間のバランスの取れた運動は、幸せを満喫するのにも最適なんですね。 ◆ 猛暑のせいか 今年はマンションの庭の茗荷が大きくなりません。 太らせてから採りたいのに、花が咲いてしまうと 仕方なく収穫してます。 でも 味は美味しく、元気が湧きます。 ◎ 先人の事業を受け継ぐ 仏教、とくに禅宗で 「継承衣鉢<ji4cheng2 yi1bo1>」(衣鉢<いはつ>を継ぐ)という言葉があります。 “衣”は 僧が着る袈裟<けさ>、“鉢”は 托鉢に用いる器…… 禅宗の祖、達磨大師(6世紀)が 仏法の奥義を伝えた証として 自分の衣鉢を弟子に与えたという逸話が残っています。 このことから 勉学や修行の場で “修得の証”or “前人の事業や行跡を受け継ぐ”の意味で使われるようになりました。 類語に 「伝薪<chuan2xin1>」(=薪伝。火が薪から薪へ燃え移るように 師匠から弟子に“伝承”される)もあります。 先月、多田 孝志さん達が 『見聞のまねび、耳見の学び《いま・未来を創る教育者へおくる伝薪録》』を上梓されました。 “伝薪録”とあるように、グローバル化やICTの波に揉まれ 苦悩している若い世代に向けたメッセージの数々です。 その言葉に触発され、共に燃えてこそ“伝薪”となります。 ◆ 「謦咳<けいがい>に接する」は死語ですが、多田孝志さん(喜寿!)と語り合う機会に恵まれてきた私は幸せです。 教職に関わる人には是非、多田さんの率直な葛藤や 目前に開けている世界を垣間見てほしいです。 きっと活力や希望が湧いてきます。 ◎ 大学入学共通テストの受験案内 大学入試センターが 「大学入学共通テスト」の 『受験案内』を公表、不正行為については 厳しい姿勢で臨むようです。(『受験案内』は 9月から各大学の窓口等で配布されます) 「試験開始前に 監督者の指示でスマホなどの電源が切られているか等の確認を行う」 「試験中に監督者が室内を巡視し、顔を上げるよう指示したり、マスク・眼鏡等を一時外すよう指示したりする」 「(補聴器使用を事前申請していない者が) 試験中にイヤホンを耳に装着していれば、不正使用とみなす」 等々… 今まで やってなかったの? と思われますが、昨今の公務員の気の緩みに倣ったような状況が想像できます。 成人年齢が満18歳に下がったので、“容易に”不正行為として刑事告発できると判断したのでしょうけど……。 ◎ 「小田原評定」と 北條氏敗北 1590年の(後)北條氏敗北は、小田原城の開城(旧暦7月5日)とされています。 今の暦で8月10日頃です。 “小田原征伐”は その5ヶ月も前に始まり、豊臣側は 周りの支城を攻略しながら 小田原城の北條本隊を締め上げます。 5月に 伊達政宗が豊臣側につくと 小田原城は孤軍となり、本格的な籠城が始まりました。 もし両軍が正面からぶつかれば 双方に甚大損害が出るため、“降伏勧告”の使者が入れ替わり立ち替わりやってきます。 北条家では 毎月2回行われる定例の重臣会議を 「小田原評定」と呼んでました(公平な合議制で 90数年間、家臣/国人の裏切りが皆無に近かったそうです)。 和平協議が難航するので、いつの間にか 「一向に結論が出ない会議や議論」という比喩表現にもなります。 結局、隠居の北條氏政(当主の氏直=29歳=の父)と重臣数名が切腹することで、籠城戦は決着(氏直は大名待遇のまま)。 旧暦8月13日に豊臣秀吉が小田原城に入り、全国統一を宣言しますが、もう お盆になってました。 ◆ 開城したばかりの小田原城で、豊臣秀吉は 徳川宗家の江戸移転を発表します。 小田原城を貰えるはずの徳川家康は 腹を立てたわけですけど、江戸の都市開発の可能性に懸ける契機になりました。 現在の東京の礎です。 ◎ 東京五輪の開催から一年… 総括は? 昨年の東京五輪閉幕の翌日(8/9)の各紙の社説のタイトルを 眺めてみました。 「混迷の祭典 再生めざす機に」(朝日)、「古い体質を改める契機に」(毎日)、「運営面での課題を次に生かせ」(読売)、「『コロナ禍の五輪』を改革につなげよ」(日経)、「全ての選手が真の勝者だ/聖火守れたことを誇りたい」(産経)…… 「選手たちは頑張った/感動的だったけど…」と言いつつ、大手3紙は 「やるべきではなかった…」を引きずっています。 確かに、従来のままでの開催の仕方でいいのか? という問いかけは、常になされるべきではあります。 しかし、長野冬季五輪(1998年)の会計帳簿が “焼却”されたのと同様の事態には、ダンマリ……。 五輪招致を企画し 挑戦し続け、やっと選んでもらって開催できたことを、きちんと総括すべきでしょう。 ◆ 安倍元総理の死後、蓋が取れたように “不祥事”が次々と露見していますが、マスコミは臨時国会の中継を忌避して、豪雨とコロナ禍の報道ばかり。 東京五輪での パソナ派遣職員の日当80万円(?)や、電通への “特別な報酬”などについての “報道自粛”にも 呆れます。(竹中平蔵 パソナ会長は 今月解任されましたが…) ◎ 「Downtown」「下町」のイメージ 米語の 「Downtown」は 都市の中心街(ビジネス・商業地区)の意味で、「Uptown」(郊外の閑静な住宅街)の反対語です。 つまり アメリカ文化の根底に、「街の中心は低地に拓け、住宅街は丘の斜面に開ける」という暗黙の了解があるのです。 他方、昔の江戸の街は 海岸や川添いの低地に拓け(河内/下町)、武家・商人の住居は高台に開けていきました(山の手)。 日本文化で 「下町」は、庶民・平民の住む気取らない印象なのですが、毎年のように洪水・高潮に襲われてもきています。 でも、大阪では 武家も町人も高台に住むのが普通で、川沿いの低地には 市場・倉庫・蔵屋敷などが置かれてきました。 だから 「下町」のイメージは、関東と関西とでは異なるのです。 ◆ 河岸段丘の低地は 水害に遭い易くて、住居は構えない(⇒ 地価も安い)のが普通です。 最近は そうした低地にまで住宅開発が進み、タワーマンションが建ち並んだりしますが、洪水のリスクは 常に存在します。 2019年の川崎市「武藏小杉」の惨事も そうでした。 ◆ 『ノストラダムスの大予言』(東宝 1974年)や 『Catastrophe』(米 1977年)などのパニック映画に、松本・浜田コンビは魅かれたのではと思います。「Cata-strophe」(大惨事)の原意は 「Down-turn」(いてまえ!)で、二人は破壊精神を “売り”にしてますから (笑)。 ◎ What's the Buzz? 10年くらい前から 「バズる」(多くの注目を集め 巷を席巻する)という言葉をよく聞くようになりました。 元は 英語の 「Buzz」(ざわめき, 羽音, 風聞・噂 etc.)で、テレビやインターネット上などで “話題になる”ことです。 これをビジネスに活用する 「Buzz Marketing」は “売りたい商品やサービス”を世間に認知してもらう手法です。 しかし、辞書で 「Viral Marketing」(ウィルス性の販促)と説明されるように、急速に拡散することの恐さは拭えません。 ネット上の人気・風評に頼りすぎると、本来の活動の趣旨や目的が損なわれる危険も高いので 慎重さが求められます。 ネット発信で世間に影響力を与える人を「Influencer」と呼びますが、息長く生き残れるのは ごく限られた人だけです。 ◆ 「Buzz」には 好悪・賛否の両方が入り混じっており、ネガティブに盛り上がる場合は 「Flaming」(炎上)と表現されます。 また、インターネット上で嫌がらせをすることは 「Trolling」といいます。 英語が余り得意でない人でも「What's the Buzz?」(何の騒ぎ?) と聞くと 「Tell me what's happening.」と口から出てきたりします。『JESUS CHRIST SUPERSTAR』(米 1971年)は、今でも30ヶ国で上演されているそうです。 ◎ シュリンクフレーション 通信社のブルームバーグが、「Shrink-flation」を今年の “Buzz-word(流行語)” として取り上げています。 メーカーが経費の急上昇から利益を保護するために 包装も値段もそのままで内容を少量にする“創造的方法”…… いわゆる 「ステルス値上げ」といわれるインフレ現象の一つ。 元は 50年前の米経済学者 P・マルムグレンの造語ですが、いま再び “バズってる”と専門家は見ているのです。 日本でも 雪印やQBBのベビーチーズは 一袋5個入り(100g)でしたが、密かに4個入(80g)⇒ 薄い4個入り(60g)と減少…… でも、スーパーのチラシには 「ベビーチーズ特価○○円!」と宣伝文句は変わりません。(先日、コンビニで 3個入り(45g) を発見!) もちろん、消費者物価の統計調査等では、内容量により調整する建前にはなっています。 しかし、テレビ番組では 内容量を無視して話題を進め、ゲストに「うぁー、安い!」等と言わせたりするのが普通です。 ◆ ブルームバーグの今年の “流行語”には 「Friend-Shoring」(友好国とのサプライチェーン構築)と、中国経済に対する 「Uninvestable」(投資不能)も挙がっています。 ◆ 日系メーカーでは、ステルス値上げをするぶんとも 品質を落とすことはしなかったものです。しかし、1990年代以降、日本の “信用”は崩れ始めます。 偏差値教育に染まった管理職が、経費節減だけを現場に押し付ける経営を推し進めた結果です。 更には 「現場を知らない」ことにして 責任は取らないことに……。 ◎ 8月に建国の記念日がある国は多い 9日(火)は シンガポール(57周年)、17日(水)は インドネシア(77周年)、31日(水)は マレーシア(65周年)...etc. インドネシアは今年初め、首都を東カリマンタン州の 「ヌサンタラ」に移転することを 国家議会で可決しています。 ジャカルタ北部の地盤沈下は深刻で “ゼロメートル地帯”が急速に広がっているためです(地下水汲み上げが主要因?)。 新幹線工事と同様、いつ実現するのかは不明ですけど、建国以来 最大の事業です。 マレーシアは、残念ながら先進国入りは実現していませんが、先進国・中東諸国から一目置かれているのは立派です。 国連の平和維持活動(PKO)でも 日本以上の貢献をするなど、イスラム政権の誠実さを体現しています。 ◎ 8月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ CFIEC国際情勢ウェビナー(On-Line)--- 8月1日(月)、テーマ 『ウクライナ危機後の米中関係: その変化と展望』=久保 文明(防衛大学校 校長)・高原 明生(東京大学大学 教授)・香田 洋二(ジャパンマリンユナイテッド(株))。 ☆ 早稲アカ×JOES 対談企画(On-Line)--- 8月3日(水) 午前11時〜、テーマ『帰国生の学校選択と受験対策について』=田畑 康(早稲田アカデミー)・後藤 彰夫(海外子女教育振興財団)。※ タイプ別帰国生受入校の特性や 学校選びのポイント、入試の面接対策などが話題です。 ☆ MHB 母語・継承語・バイリンガル教育学会 研究大会(On-Line)--- 8月4日(木)〜7日(日)、テーマ 『3言語(以上)を育てる教育を考える』。※“バイリンガル”よりも“多言語”の教育を考えるべき時代を踏まえた勉強会です。 ★ TJF 多言語・多文化交流「ひろしま PCAMP」発表会--- 8月7日(日) 午前11時〜、於:安芸高田市甲田文化センター ミューズ(広島県安芸高田市)。※ 3年ぶりとなる対面での多言語・多文化交流合宿。 地方での開催は初めてでした。 ☆ JOES 講演会(On-Line)--- 8月9日(火)、テーマ 『CLILアプローチによる小学校英語授業の実践』=逸見シャンタール(上智大学 言語教育研究センター教授)。 ※ 児童英語教育に興味のある方対象。 創造的で 児童の積極的な学びに繋がる授業の 実践と解説です。 ☆ オトナが描くミライ地図 #4--- 8月12日(金)、ゲスト:木村 泰子(元 大阪市立大空小学校 校長)。 ※ 『「学びのミライ地図」の描き方』の著者、山本崇雄さんが 映画 『みんなの学校』の木村さんと対談します。 ☆ TJF テンダーさんの「その辺のもので生きる」第10回講座(On-Line)--- 8月21日(日)、テーマ 『きみのためのエネルギー。実用パラボラソーラークッカーを作って太陽熱で調理する』。 ※ 中学生以上が対象です(〆切 8/17)。 ☆ co-ed Cafe vol.33 (On-Line)--- 8月29日(月)、テーマ 『デジタルネイティブ世代の 生きる力を育むメディアとのつきあい方』=今度 珠美(日本デジタル・シティズンシップ教育研究会)・香川 雄亮(あきるの市立五日市小学校)。 ※ 適切な物の見方・付き合い方を子ども達に伝える方法を考えます。 ☆ CFIEC国際情勢ウェビナー(On-Line)--- 8月30日(火)、テーマ 『経済安全保障と企業〜経済安保推進法の先へどう進むのか』=玉井 克哉(東京大学 教授)・西山 淳一(未来工学研究所 政策調査分析センター)。 ※ 司会は 兼原 信克さん(元 国家安全保障局次長)です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 『月刊 海外子女教育』8月号の特集は 「在外校勤務と私--- その経験で次のステップへ」 と 「プロカメラマンが伝授する帰国生向け写真術」。 会員校訪問は、工藤公康やイチローなど数々の名選手を生んだ愛知の名電高校--- 国内最先端の工業高校で、教室には 全国大会のトロフィーがたくさん飾られてました。 ◆ 取材で学校を訪問した時、校門近くで 「小山先生!」と声をかけられ 驚くことがあります。 よく見ると、以前勤めていた学校とか 教室を借りていた学校とかの守衛さん(派遣会社)……「○○先生は今、〜です」などの情報も貰えます。(笑) ◆ 「Buzz 100」(過去の実績に並ぶ/何かの指標となる "百" を達成する)という表現もあります。 「前年の売上実績に並んだ」 「大谷翔平選手が 『Five Buzz 100』を達成」など。 就活中の学生が 「バズ・リーチ」(内定ゲット)と喜んだり…。 ◆ 5日(金)、デザイナー 三宅 一生さん逝く!(享年84歳)。 自らの被爆体験を語ることは稀でしたが、オバマ大統領の広島訪問の契機を作られました。 合掌。 命日翌日の広島の 「平和祈念式典」で、子ども代表(小6)が 「本当の強さとは、違いを認め 相手を受け入れること、思いやりの心を持ち 相手を理解しようとすることです」…… その通りです! ◆ 鶴 文乃さんの平和を考える絵本 『つっきれ下駄とズック』(1995年。絵:はしもとわたん)の英語版(日本語付き)が、このたび自費出版されました。 インドからの留学生が コロナ禍の困難な留学生活の中で翻訳したものだそうです。 外国人の方、海外校で 寄贈をご希望の場合は、ご相談ください。 ◆ 公立中学校の現場では 教員不足が深刻です。 教員免許の更新制度(2009年施行)が 今年5月の法改正により “発展的に解消”されましたが、免許を “放棄”してしまった人も多かったわけです。 コロナ禍もあって、プール指導や三者面談もできない事態は、多くのしこりを遺します。 ◆ NHKは 番組への批判に耐えかねたのか、昨年暮れに 『ステルス値上げ!?---“安いニッポン”の現実』を放送しました。 河北新報 「安倍晋三元首相死亡 東北で何を語ったか…」(7/8) は、安倍元首相が東北地方に残した語録を振り返った記事です。 “嘘/詐術”に満ちた発言の数々に、今更ながら心臓が震えます。 ================================================================================================== |
【2022-7】 ◎ 帰国生の学校訪問シーズン 7月は 帰国生と面談する機会がピークに達しますが、なかには 一時帰国して学校巡りをする親子も少なくありません。 それなのに最近、困るのは、「帰国生なら誰でもいい」という学校が大半になったことです。 今年から高校でも施行が始まった 「新学習指導要領」は、OECDの提唱する “世界共通の学力観” に立っています。 それはまるで、全ての学校に “帰国生受け入れ校”の教育をすることを求めているのも同然なのです。 “主体的・対話的で深い学び”をやりたくても、「そんな生徒はいないよ」と思っている教員は少なくありません。 いきおい、海外育ちの子(帰国生・留学生等)を多く集めて 学校改革の原動力にしたいと、安易に考えるわけです。 帰国生は学習者として 適切な指導を受けたいのに、“教師の持ち駒”として期待されることには 耐えられないでしょう。 帰国生と学校とのミスマッチが起きないことを、心から祈ります。 ◎ 騙される方が悪い? 消費税の 「電子決済(EC)利用者への5%還元」は 昨年6月まででした。 さらに ECの場合、店舗独自のポイント還元をしないのが普通です。 つまり、主に食料品しか購入しない低所得者には、かえって負担増となることは明白でした。 こうした庶民を誤認させる/騙す形で ECを普及させる意図は……「貨幣の印刷経費を削減する」「関連機器の売り上げを伸ばし“EC後進国”の汚名を晴らす」というもの。それに、円安による物価高を誤魔化せる…。 嘘や場当たり的な説明に 簡単に乗せられるのは情けない話ですが、「騙される方が悪い」が口癖の若者にも 呆れます。 ほとんどが騙されてしまう巧妙な仕掛けが、マスコミを挙げてなされているのですから。 ◆ 電子決済(EC)の普及や “円安推奨”などの政府の方針、そして マスコミの論調に騙されないコツは、「このやり方で、この会社は どこで儲けるのだろう?」という眼を持つ賢さ/習慣を忘れないことでしょうね。 ◎ 第80回グローバル化社会の教育研究会(EGS)開催される 6月30日(木)、石川一郎さん(21世紀型教育機構 理事)の話題提供を素に 協議を行いました。 首都圏模試の 「思考コード」でいえば、「A軸(知識)・B軸(論理的思考力)重視」の日本と、「C軸(創造的思考力)重視」の欧米…… 両者の教育観は 「Critical Thinking」が違いのポイントになります。 石川さんは “学力に必要なこと”として、(1) 知識・思考力・想像力(創造力)、(2) 非認知能力、(3) デジタル力、を挙げ、それらが相互に機能し合うことを 説かれています。 これらも 「Critical Thinking」 の大事な要素なのです。 ご参考までに 『Q: Skills for Success--- Think critically. Succeed academically.』(オクスフォード大学出版)を紹介しておきます。 「Critical Thinking」とは、“本当に そうなの?” “十分な証拠はあるの?” “もし〜なら?” と疑っていくことです。 為政者や大企業、あるいはマスコミに騙されない庶民を育てることが、人類の叡智を懸けた闘いともいえるでしょう。 ◎ 報道機関の怠慢が政治の混乱を生む 10年前 「国会議員を減らします」を公約に政権を奪還した安倍晋三元首相が、8日(金) 銃弾に倒れました。 (元)首相の暗殺といえば、原 敬(1921年)、浜口雄幸(1930年)、犬養 毅(1932年)、そして 高橋是清・斎藤 実(1936年)…… を思い出しますが、政党政治の腐敗と報道機関の怠慢/衰退に テロリズムが便乗し、やがて軍国主義の台頭を招きました。 誠に残念な事態です。しかし、安倍 元首相が公私ともに 嘘に嘘を重ねてきたことは、間違いありません。 国の金で世界中を飛び回り 金をばら撒く “八方美人外交”という外遊、“安倍一強”を背景に ジャブジャブの金融緩和と円安によって(額面上の)株価を維持する手法…等々。 こうした国民を騙したり誤認させたりする言説こそ、報道機関がその矛盾や不適切さを批判すべきなのです。 ところが、批判するどころか 「内閣支持率は高い」と持てはやしていたマスコミの怠慢/堕落…… 本当に呆れます。 ◆ ジョンソン英国首相の辞意を表明しました。 EU離脱で世間を驚かせ、コロナ禍では 「大したことはない」と断言した後に ロックダウンを断行するなど、派手好みの割には“お騒がせ屋”…… 対露・対中政策の失敗が明らかになる前に 逃亡ということでしょうか? ◎ ロシアのルーブルが国際基軸通貨に? 中国とロシアは ここ数年来、貿易などの国際決済において「ドル基軸」を脱出する動きを 急速に強めてきました。 外貨準備も ドルや米国債でなく、人民元とルーブルの持ち合い、ユーロや純金金などに替えつつあるといわれます。 もちろん、トランプ政権以降の米国が 中露のドル使用を制限する政策をしばしば取ることも、その一因です。 しかし、露・中・印・伯などを中心に 既にルーブル決済体制が築かれているともいわれ、ロシアは強気です。 また、EU諸国も 石油・天然ガスの代金をルーブル決済し始めたともいわれ、日本までが加わるかもと疑われてます。 こうした海外の視点が 全くといって好いほど報道されないのは 何故でしょう? ◆ 「デジタル通貨」は民間銀行を経由せずに送金可能…… SWIFTなどの送金システムを使わずに 国際決済ができるので、中国の 「デジタル人民元」も国際基軸になります。 しかし、民間銀行が変容することに要注意…… “物”としての貨幣がなくなると 金庫もATMも不要になり、銀行員・警備員等の多くが職を失うわけですから。 ◎ カタカナ禁止で議論してみる意義 スタートアップスタジオ協会の理事(若者です)が カタカナ(外国語)禁止で会議をするという、面白い記事がありました。 「Start-up」(急成長する組織)とは、「Innovation」(革新)を通じて 人々の生活や社会を「Transform」(変革)する組織…… つまり 「Start-up」は、新しい商品/サービス/事業を展開するだけでなく、これらを通じて社会変革を目指すわけです。 また、「Start-up」は、立ち上げたら 短期間で 「Exit」(投資資金の回収)ができるよう 急成長を目指します。 その点が、着実な成長を目的に掲げる 「Venture」とは異なります。 こうした業界には ICTも使いこなす “高感度で即戦力な人財”が集まるのですけど、出資者や顧客の大半は違います。 上記の説明ですら カタカナを使わずに説明するのは至難の業で、部外者や年寄りには “何の話?”と思われるのです(つまりは 商売にならず、93%が失敗してる)。 だから、カタカナ禁止で どこまで会議ができるかを試してみるのは、多文化共生社会には必要な訓練といえるでしょう。 時代の最先端を行く彼らが カタカナを使えないで悪戦苦闘する様子は滑稽です。 でも、自らの独善や社会から乖離することの危険に気づいていく様子(その賢さを備えていること)は、頼もしいです。 ◆ “カタカナ禁止の会議”で固有名詞まで禁止されると、会社名や商品名、コンピュータ用語などは表現が大変です。 しかし、極力 日本語に置き換えて話してみると、内容理解の不十分さや 異文化間の “視点の間隙”などが判ったりします。 ◎ 帰国生の編入試験シーズンです 7月に現地校等から帰国する生徒が多いからですが、入学試験と同様、どういう生徒を選抜すべきかに 学校の命運が懸かっています。 とくに私立学校では、かなり難点のある子の中から 将来性/潜在力のある子を見出せるかどうかが 死活問題です。 では 「将来伸びる可能性のある子」をどう見極めるか…… 私は 初めて面談する時から 次の3点を観るようにしてました。 「多角的な視点を持ったり、許容したりできるか?」 「論理的に段階を追って考えを進めることができるか?」 「自分が感じたり考えたりしていることを、相手に分かり易く、的確に説明できるか?」 もちろん既にできている帰国生は大歓迎ですが、そんな “目から鼻に抜けるような子”は 上位校に行ってしまいます (笑)。 しかし、狭量で周りの迷惑を顧みない生徒は、他の生徒の学びや成長を妨げますから、学校全体の雰囲気を悪くします。 また、怠惰な子やサボり癖がある子を受け入れた場合、指導の効率が ほとんどゼロであるということは明白です。 その意味では、どの程度 「やるべきことを やるべきタイミングでできるか?」が 最終判断の鍵になります。 それができそうな子は、多少 “問題”があっても、常に寄り添い 見守り 励ましていけば、必ず伸びるのですから。 ただし、その間に要する “無駄玉”は 9割以上にもなり得ます (笑)。 ◆ 帰国生担当の事前面談を経ずに 一般入試を受験する帰国生は、要注意です。「やるべきことを やるべきタイミングでやらない」わけですから、何か理由が考えられます。 見逃して、入学後に不祥事が起きる例も少なくありません。 ◎ 7月24日は斎藤喜博の命日 昭和の教員養成に尽力した斎藤 喜博<きはく>(1911−1981)……“教授学”というと古めかしいですが、授業展開に悩むたびに 斎藤の著書に戻っている先生方も多いことと思います。 もちろん 「ちょっと これはねぇ」と思う側面や、現在の “学習者主体の授業”に反している部分があるのも確かです。 しかし、教員養成の大学で、学校現場を知らない教授たちが 理屈に偏り抽象的な切り口で教職を講じるのは ウンザリ。 コロナ禍中の学校現場では、教科内容の構成/指導方法の原則・技術などの基礎素養が 厳しく問われました。 探求型学習やICT活用に消極的な先生こそ、そうした基礎素養や生徒を観察する度量などの欠如が露呈します。 教育技術が単なるノウハウに堕してしまうと、それは教育ではなくて “拷問”に近づきます(教師と生徒の双方にとって)。 今の若者たちは それに敏感で、そのことが通信制高校の人気や、教職を諦める学生の増加にもなっているのでしょう。 <真理とか正しさとかを持っている、また それを追求しようとする教師と、小さいながらも、真理とか正しさとかを持ち、より真実とか正しさとかに近づこうとするねがいを持っている子どもとが、学級という集団のなかで相互にそれぞれの思考や論理を出し合い、はげしく衝突し合っていくものでなければならない。>(『授業』(1963年)) ◆ 斎藤喜博の教育論を論じた著作物は多いのですが、久保田 武先生(元 都立高校校長) の 『斎藤喜博 定年退職後の12年』(2021年)では、斎藤の教育実践の正・負両側面を 実証的に(現場の教師の丹念な取材に基づいて)説明されています。 ◎ 7月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― [海外子女教育振興財団(JOES)の YouTube サービス] 「日本人学校等で学ぶ 全世界の小学生の皆さんへ」・「日本人学校等で学ぶ 全世界の中学生の皆さんへ」( 橋本芳登 先生)。 「現地校・インター校で学ぶ全世界の小学生の皆さんへ」・「現地校・インター校で学ぶ全世界の中学生の皆さんへ」(後藤彰夫 先生)。 「帰国後の学校選択について (関西編)」 (菅原光章 先生)。 「帰国後の子どもの成長に、親はどのように向き合えば良いのか」(小木曽道子 先生)。 「帰国後の学校選択について (2022年度 中部編)」(林 敏博 先生)。 ※ 愛知県立高校は 2023年度から入試/編入学試験の制度が大きく変わります。国公立学校についても 基本は理解しておきましょう。 ★ 海外子女教育振興財団 「帰国生のための学校説明会」(On-Line)--- 6月14日(火)〜8月9日(火)。 ※ 帰国後の学校選びに役立つ動画や資料が常時公開……「帰国後の学校選び・受験のポイント」「学校はこうやって選ぼう!」「学校選びの体験談」など。 また、144の学校・団体が順番に説明をしていきます。 ☆ JACTFL主催特別講演会(On-Line)--- 7月9日(土) 午後1時〜3時、テーマ 『楽しいことばを巡る旅路― 少年時代からの記憶をたどる』= 境 一三(獨協大学 特任教授)。 ※ 慶應義塾大学を退職された境先生から、ドイツ語学習の裏話を聞くのが楽しみです。 [高校生募集] TJF 多言語・多文化交流 「ひろしま PCAMP」--- 8月4日(木)〜7日(日)、於:広島県安芸高田多文化共生センターきらり。 ※ コロナ禍のせいで 見合わせられていた新企画です。参加費 無料。 ☆ JACTFL主催特別講演会(On-Line)--- 7月9日(土)、テーマ 『楽しいことばを巡る旅路― 少年時代からの記憶をたどる』=境 一三(獨協大学 特任教授)。 ※ 慶應義塾大学を退職された境先生から、ドイツ語学習の裏話を聞くのが楽しみです。 ☆ 契約デジタル化総合カンファレンス2022--- 7月13日(水)。 『法務担当は、なぜこんなに忙しい? 事業成長に貢献する “攻めの法務”とは』=越川 慎司((株)クロスリバー 社長)ほか。 ※ 外国人講師の雇用トラブルにも 有益なお話しです。 ★ NPO法人日本余暇会 「極!あそび 好き嫌いをなくそう。食事にも、遊びにも」--- 7月24日(日)〜月1回、於:湯沢福祉センター(東京都日野市)。 ※ 『プレイワーク入門』(著:薗田碩哉)の6つの遊び分類を体験できます。 ☆ SplunkLive! Japan 22 (On-Line)--- 7月26日(火)、テーマ 『DXを成功に導くセキュリティ&オブザーバビリティ最前線』=結城 則尚(内閣官房内閣サイバー セキュリティセンター)ほか。 ※ 日本のサイバーセキュリティ政策の諸課題や運用知見を解説など最前線の話が聞けます。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 「リボ払い」の犯罪性は この通信で25年間 訴えています。 2010年に ようやく大学でも学生に注意喚起を始めました。 成人年齢が満18歳になれば、高校3年生でも餌食になります。 クレジットカードの初期設定は 「リボ払い」なので、必ずこれを外すよう 周りの大人が教えましょう。(もう手遅れ?) ボード・シェーファーの『The Road to Financial Freedom』が世界で1千万部以上売れているそうです。彼は、資産形成と幸福に関する本の売り上げでもトップ。 「分割払い・リボ払いでの買い物に メリットは一つもない」と痛快です。 ◆ 5年前の七夕、「Nuclear Weapons Ban Treaty(核禁条約)」が国連総会で採択されました。 核兵器の非保有国122ヶ国の賛成ですが、日本政府は反対表明。 「唯一の被爆国」として核廃絶の先頭に立っていたはずですけど、どうなっているのでしょう? ◆ 東京都の 「私立高等学校等端末整備費補助」は 都内の私立高校・特別支援校(高等部)の新一年生の学習用端末機器等一式の購入費が対象。 学校または保護者が負担する3万円を除いた額について最高6万円まで助成されます。(申請は9月) ◆ 7月下旬は、政府派遣教員の選考面接が文科省で行われます。 定年退職後に派遣を希望される先生方の “シルバー派遣”の選考には、懐かしいお名前も挙がっています。 既に派遣されている先生からは、「近くに来ないかなぁ」という声も…。 ◆ 『月刊 海外子女教育』7月号の特集は 「帰国生受験体験記」と 「平和を考えるミュージアム--- いま、私たちができること」。 「今月の顔」は e-Janネットワークス(株)の坂本史郎さんの “前人未踏の王道”…… 元気が出ます。 会員校訪問は 品川エトワール女子高校…… 生徒たちの笑顔が素敵だなぁと思いながら取材しました。 ◆ 『月刊グローバル経営』7/8月号の特集は 「海外派遣者の健康・医療」です。 昨年、海外邦人医療基金(JOMF)が解散し、日本在外企業協会がその業務の一部を引き継いでいます。 日外協出版物の電子書籍化も進んでおり、便利になってます。 ◆ 『海外赴任2022 リロケーションガイド』も頒布が進んでいます。 WEBでも読めるのですが、やはり印刷物のほうが手軽です。 でも、20年前に 目次から巻末索引まで 全部を独りで取材・執筆した馬力は、もうありません (笑)。 ◆ 7月29日は 「Global Tiger Day」です。 WWF(世界自然保護基金)の働きかけで開催された 「Global Tiger Forum 2010」で決定。 国連総会で決めてないので、「World Tiger Day」は僭称(小文字にすればOK?)。 ◆ 先日、白金高輪駅に行ったので “二校目の都立国際高校”(2026年開校?)の予定地を見て来ましたが、鉄板に囲まれ 草が生い茂っていて、着工までは時間がかかりそうです。 すぐ脇の交番で聴くと、「そんな話があるんですか?」の返事。(ご冗談を!) ================================================================================================== |
【2022-6】 ◎ 食中毒に注意を要する季節 かつて 「AF2」という食品添加物がありました。 抗ボツリヌス菌剤として 厚生省が認可(1965年)したものです。 例えば 豆腐は 「冷奴は作った日の内、鍋物なら翌日まで」が常識でしたが、冷蔵庫保存で数日 生食が可能になりました。 ところが 1969年、テレビ番組で金魚が泳ぐ水槽に AF2をアルコールに溶いて投入し 金魚が死ぬ様子が放送され、「AF2が人体に有害である」というキャンペーンが始まりました(実際の死因はアルコールだったのですが…)。 「食品添加物の規制」を訴える消費者運動が高まり、AF2は 発癌性や皮膚炎・神経障害の危険もあると報道されます。 食品製造各社は使用を自粛し始め、豆腐の値段は高騰。 ついに AF2は食品添加物の認可が取り消されました(1974年)。 当時の検証では 杜撰な実験が多かったこともあり、現在は 別の防腐剤が添加された食品が 店頭に溢れています。 冷蔵庫に入れなくていい牛乳や、いつまでも分離しないマヨネーズなどを見ると、内心 穏やかではありませんけど。 ◆ AF2の認可取り消しは、私の22歳の誕生日(8/27)だったので、覚えています。 既に豆腐の価格は急騰し、貧乏学生の口には入らなくなっていましたが、翌年、伊勢正三さんの 『22才の別れ』が大ヒットしました。(笑) ◎ 金融機関のチェック能力が低下? 4月8日(金)に山口県で起きた 「新型コロナ対策の給付金 4,630万円を誤って一世帯に送金」の異常事態に驚きました。 金融機関のチェック機能が働かなかったこと(or 銀行員が異常に気付かない体質)への批判は 一切出てこないのです。 “業務IT化”の過程では 何重ものエラーチェックが設定されるものの、マイナス金利政策以降は 怪しくなってます。 余分な手順・書類を省く、余剰人員の削減など “骨身を削るような改善”の名の下に 業務手順の簡略化が進みました。 2012年頃までは、多額の資金移動には警告が出たり 管理職の再確認を要するような機能も設定されていたのですが…。(クレジット会社の協力で9割以上を回収できたのは、せめてもの救いです) ◆ 誤送金は、すぐに受け手側の銀行に連絡を取って 当該口座を取引停止にすべきでした。 もし 銀行のチェック機能やゼロ金利政策の側面から追及していくと、累は財務省にまで及びます。 クレジット会社も震え上ったのでしょうね。 ◎ 日本人の “NATO”と探究型学習 政府が “起業家精神”教育の推進を打ち出しましたが、新興企業を育成するための 「5か年計画」の策定は年末になります。 文部科学省は、小中高生向けの起業家精神教育の推進関連経費を、来年度予算に組み込むべく 鋭意努力中とのこと。 しかし、経済産業省委託の 『起業家精神に関する調査』(2021年3月。みずほ情報総研)の報告から、余りにも遅すぎませんか? 専門家や当事者の説明・意見を聞くことは大事ですが、基本が “NATO(No Action, Talk Only)”では困ります。 探求型学習は、日本人の “NATO” を打開するためにも必要なのです。 ◎ 声を上げ 汗をかくこと 日本財団の 「18歳意識調査」の第46回(2022年3月)は、国や社会に対する意識を6ヶ国で比較(各国 千名ずつ)したものです。 「自分の行動で、国や社会を変えられると思う」に 「はい」と答えた日本の若者(満17〜19歳)は わずか27%でした。 アメリカ59%、中国71%、韓国62%、インド79%に比して、半分以下です(cf.英国は 51%)。 余りの低さに愕然としますが、日本の偏差値偏重教育の当然の結果です。 あれこれ論評や愚痴を言う人は多いものの、“手を動かす人”や “声を上げ 汗をかく人”は ごく少数しか見当たりません。(例外的に、海外で育ったり教育を受けたりした人たちくらい…) 日本に “NATO(No Action, Talk Only)”が蔓延するなか、探求型学習の導入は 待ったなしの課題なのです。 『月刊 海外子女教育』の6月号特集が無料公開されています。 「社会に対して声を上げる若者たち」は 是非ご一読を! 「女性参政権も 脱炭素化の動きも、すべて “声を上げてきた人”がいたから実現している」というのが 現実なのです。 ◎ 第80回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催 開催は6月30日(木)、話題提供は 石川 一郎さんにお願いしました。 EGS設立時(2003年)の事務局ですが、登場は 7年振り。 テーマは 『未来を担う子どもたちに 何が求められているのか?』です。 石川さんは元 帰国生で、かえつ有明中学・高校の前校長……“学校改革のプロ”として注目されています。 「21世紀型教育機構」の設立メンバー(理事)ですし、経済産業省 「未来の教室」教育コーチなども務めておられ、近著 『いま知らないと後悔する 2024年の大学入試改革』のヒットで、全国を講演して回られる ご多忙な毎日です。 また、全国各地のミッションスクールの “再生”にも尽力され、多くの私立学校の改革も支援されています。 今や、「言われたことを守る」よりも 「自分で考え 周りの人と連携して何かを創り出す」ことが大事とされる時代です。 そうした社会の変化や保護者の考え方の変化等に、学校現場は どう対処すべきなのでしょうか? 昨年11月には 「21世紀型教育機構」理事長の平方 邦行先生(日本私学教育研究所 所長)にお話しを伺いましたが、今回は 石川さんに別の観点からお話しを伺い、それを素に話し合いたいと思います。 ◎ 未来は若い世代のためにある ウクライナ紛争のニュースを見聞きするたびに、私は 高校時代(1960年代後半)を思い出します。 ベトナム戦争が泥沼化し、日本では学生運動やテロ事件の類いが続き 重苦しい空気が漂ってました。 休みの日は 米軍基地のラジオ放送(FEN岩国)を聴きながら過ごし、その “明るさ”に癒されていたように思います。 ある日、ルイ・アームストロングの名曲 『What A Wonderful World』が流れ…… 戦争も人種差別も まだ甚だしいのに 「なんて素晴らしい世界だ」と黒人が歌っていて、衝撃を受けました。 しかし、最後の部分で 救われた気がします。 <赤ちゃんたちの泣き声が聞こえる、彼らの成長を見守ろう。彼らはより多くを学ぶだろう、私が知るだろうことよりも> 目の前の現実への、一種の 「Irony」(反語, 皮肉, 風刺)でもあるのでしょうね。 ともかく、未来は若い世代のためにあり、未来は若者に託されているんだと思いました。 あれから半世紀、年をとった今でも そう思っています。 ◆ 世界の紛争や環境破壊等を解決できなかった年寄りが、傲慢になったり 世を憚る言動をしたりして、若い世代を邪魔することは慎みたいものです。 また、教育は学ぶ者のためにあるべきで、教師の自己満足であってはいけません。 ◎ ICT担当の先生は恐竜? WEBサイトの 「URL(Universal Resource Locator)」の末尾には、普通 「hml」か「html」が付いています。 いわゆる 「ホームページ」は 「HyperText Markup Language (HML)」というプログラム言語で書かれているのです。 私が初めて HML(HTML)ファイルに接したのは 1996年、クアラルンプール日本人学校の職員研修でした。 文部省(当時)のパソコン教育研究協力指定校に選ばれたため、全教員がパソコン教室で研修を受けたのです。 担当の 松本直道先生(長崎県派遣)の説明を、最初は呆れるように眺めていましたが、やがて 身体が戦慄するのを覚えます。 まるで遠くの大津波を目にしたように、「急いで対処していかないと…」という焦りで HMLとの格闘が始まりました。 ところが、帰国して国内の学校現場を巡ると、せいぜい一人 熱心な先生がいるかいないかという状態に驚きます。 まるで映画 『The Lost World』(邦題:ジュラシック・パーク2=米 1997年)を観ているような感覚に襲われました。 パソコン指導を “週1コマ”の中に留めておきたい先生方には、ICT担当の先生は 恐竜のように警戒されていました。 ICT教育の何たるかが、全くの手探り状態だったわけです。 だから 富田倫生さん(青空文庫)の 『本の未来』(1997年) は、当時の私たちに希望の光を与え 励ますものでした。 志ある教師にとっては、荒海の向うの灯台のような存在だったのです。 ◆ たまたま次女の通う小学校は、東京都のパソコン教育推進校でしたので、熱心な先生方に恵まれていましたが、いま振り返ると “先史時代”みたいな感じでした。 私が 自分のWEBサイトを立ち上げたのは2003年からです。「ノーコード」の時代になった今でも HMLファイルを打っていると、若い人たちから呆れられるのですけど…。(絶滅危惧種です) ◎ 6月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ SRJ×モノグサ共催セミナー(On-Line)--- 6月2日(木) 午後8時〜9時、テーマ 『AI時代に必要な国語力を考える―小学生編』。 ※ あらゆる科目で求められる “国語力”! ☆ ITmedia Security Week 2022 夏(On-Line)--- 6月6日(月)〜13日(月)、テーマ 『長引くコロナ禍でサイバー攻撃も加速、「新常態」のサイバーセキュリティ対策』。 ★ 教育総合展(EDIX関西)--- 6月15日(水)〜17日(金)、於:インテックス大阪。 ※「リカレント教育」「人材育成とDX」「AI×教育」などの特別講演、ICT各社の最先端の教育事例紹介など盛り沢山です。 ☆ ゆいグローバルネットのウェビナー--- 6月19日(日)、テーマ 『海外での子育て― コロナ禍に子どもの発達を支える』=広瀬 宏之(横須賀市療育相談センター所長)。 ※ 海外で子育て中の家庭を長年支援してきた臨床経験をもとに、質問にも応えてもらえます。 ★ 学校支援協議会シンポジウム(Hybrid)--- 6月19日(日)、テーマ 『教育はなにを目指すのか……令和の日本型教育の展望と課題』。 ※ 教育を巡る状況が大きく変化するなか、具体的な実践例を取り上げながら、いま学校で何が始まっているのか、中教審答申にある「令和の日本型教育」の課題と展望について議論します。 ☆ 第80回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(On-Line)--- 6月30日(木)、 テーマ 『未来を担う子どもたちに 何が求められているのか?』=石川 一郎(21世紀型教育機構 理事)。 ※ 社会や保護者の変化に、学校現場は どう対処すべきかを話し合います。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 今年、日本への核兵器配備が公然と議論されるようになりました。 “材料確保”のための原発も 再稼働が進みます。 だからこそ、「どうせ人類が滅亡する時は 皆一緒でしょう?」 と思考停止する若者は、育てたくないのです。 ◆ 電気自動車の普及を見込んで、太陽光発電プラントが 全国の山谷や休耕田に どんどん設置されています。 しかし、熱海市の土砂崩れの例を引くまでもなく、環境破壊や土壌汚染、そして 将来の膨大な産業廃棄物をどうするかの問題は無視されています。(大半が外国の資本だから?) ◆ 『月刊 海外子女教育』6月号の特集は 「社会に対して声を上げる若者たち」と 「海外で読む漫画」です。 今月の 「顔」は 順心広尾学園OGの齋藤美紅さん(毎日新聞 校閲記者)。 会員校訪問は 「MYP・DP一貫教育認定校」である朝日塾中等教育学校(岡山)。 朝日塾の中学生たちが 「この地区が衰退した原因は?」というテーマで 地元の村に飛び込んでいった逸話には 驚きました。 探究型学習だから当たり前の姿なのでしょうけど…(苦笑)。 村の人たちも 「自分たちも学びたい」という気持ちになり、生徒たちと一緒に “地域大学”の活動を始めます。(感激!) ◆ 18日(土)、学校支援協議会シンポジウムが ハイブリッド(会場+On-Line)で開かれましたが、圧巻でした。 パネラー・司会は 『月刊 海外子女教育』やEGS研究会に登場された先生方ですが、ようやく社会に認知されてきた手応えを感じておられるようでした。 ◆ 「EGSのサイトは iPhone だと 『安全ではありません』と表示されます」 「メイルの標題に “SPAM”と付いて届きます」といった “相談”が 時々あるのですが、受信側アプリの判断なので 手が出せません。 何か好い助言がありましたら 教えてください。 ◆ 木野雄介さんが、久しぶりに高校の日本史を担当するに当たり 「日本史は、過去を知ることではなく、歴史上の人物と対話して、その時代の未来を探究する科目である」と最初に格好つけて言いたいと Facebook に書いてました (4/6)。 照れないで言えたとしたら 立派ですが…(笑)。 ◆ 俳句で 「曽我の雨」は、6月下旬に降る雨です(夏の季語)。 曽我兄弟の仇討ち事件(1993年旧暦 5月28日)に因んでいて、遊女の虎<とら>が 恋人の曾我祐成の死を悲しんで流した涙が雨になったとして 「虎が雨/涙」とも…… 要は 梅雨の雨ですね。 早くも 猛暑がやってきます。 皆様 お身体をご自愛ください。 ◆ 駿台学園の瀬尾秀彰先生が5年前(2月23日)に亡くなってました。 目白のお宅のすぐ脇に 「INKHORN」というビール醸造所ができ、お宅の前を通るたびに 「お元気かなぁ」と話していたのですが、先日 表札が外されて驚きました。 遅ればせながら、ご冥福をお祈りします。 ================================================================================================== |
【2022-5】 ◎ 5月4日は「スター・ウォーズの日」 映画 『STAR WARS』(米1977年)の名台詞<せりふ> 「May the Force be with you.」…… 「May」(〜でありますように)を “5月”、「the Force」(戦闘部隊)を “4日(the fourth)” に掛けています。 “部隊が汝と共にあらんことを”…… 世界各地で この映画に因んだ行事が行われます。 敵を 「Axis of Evil/Powers」(悪の枢軸/枢軸国)と呼び、味方は 「Union of Republic」(共和国連合)と呼ぶ習慣です。 ただし、日本人は外務省の情報操作に洗脳され、「国連軍」と呼びたがります。 ◆ 昨年の 「復活祭」は 欧米では4月4日でしたが、東欧・中東の東方教会/正教会では5月2日でした。 今年は4月の17日(日)と24日(日)と1週間違い。 ウクライナ紛争にも微妙な影を落としていますが、一日も早く 戦火が止まることを祈ります。 ◎ 21世紀の戦争は 情報合戦 情報合戦なので、何が本当で何が嘘か 判らなくなってしまいます。 “ブチャ” “クラマトルスク”の悲劇では、ウクライナ政府が 中立な第三者組織の現地調査を認めないのも不可解です。 4月初めから ロシアは国連安保理で 「国連が第三者組織を作り ブチャを現地調査すべきだ」と繰り返し提案してますが、その都度 却下…… 中立的な現地調査を却下したまま、一方的な 「ロシア軍犯行説」が独り歩きしているのです。 国連総会が ロシアを人権委員会から除名する決議(4/7。賛成 93ヶ国)をしたのは、手続き的には国際法違反でしょう。 ロシアは当然、各国に反対するよう圧力をかけていて、中国、イラン、シリア、キューバなど 24ヶ国が反対してます。 「東京裁判」を想起させるほどの異常さで、将来に禍根を残すと思います。(注:棄権はインドほか 58ヶ国) ◆ 「Treaty of Peace with Japan」(対日平和条約)、つまり サンフランシスコ講和条約(連合国48か国と日本との“終戦処理”)は、70年前の4月28日に発効しました。 裏返せば “日本の独立と日米安保の開始”…… 日本の歴史教育の歪みが、若者たちの学びを殺いできました。 ◎ 第79回グローバル化社会の教育研究会(EGS)開催される 4月27日(水)、前パリ日本人学校校長の小野江 隆先生の話題提供で行われました。 冒頭、3つの日本人学校で いずれも感染症・テロ・紛争等に遭遇したこと…… 一瞬にして仕事や国際交流が停止する恐さや 危機管理の難しさを話されました。 学校教育の基盤の下で国際交流を行うことを通して、「何をしたかではなく、何のためにそれをしたか」に至る過程、あるいは 現地の学校や国際学校、日系企業から学ぶ貴重な体験から、「選ばれる学校づくり」に向けた提案もありました。 とりわけ、パリ日本人学校で 小学1年から “探究のプロセス”を螺旋(Spiral)状に繰り返している様子に感動しました。 学びの成果として 子どもたちから出された 「提言」も 実に現実的で、説得力がありました。 日本人学校の子どもと教員の全員が 日仏の親善大使に任命され、2024年のオリパラまで活動を継続するそうです。 「わけ(理由)を添えて話す」は 欧米の学校教育の基本ですが、それは 探究的な学習の基本であることが判ります。 それは 「地域おこし」にも関われるし、ICTを駆使してグローバルに繋がってもいけることを、実証されたわけです。 願わくば、こうした実践面の話しが 国内校のイノベーションに役立てられますよう、心より祈ります。 ◆ フランス語で “何故?”は 「Pour qua?」(何のために?) と訊きます。 40年前に 私たちが帰国生に攻め立てられたのも「何故?」でしたけど、学びの入口にいる子を “中に入らせる” には どうすべきか、悩まされました。 小野江先生は 「社会に開かれた教育課程」の継続性・持続性についても話されましたが、日本人学校の教員は3年で交代していきます。 だからこそ 工夫も必要で、その鍵は 「Act locally.」にあります。 現地理解教育の授業案を きちんと蓄積していくことが大事です。 ◎ 「五月病」の一対策 「五月病」の季節ですが、コロナ禍における在宅の勤務・学習が続くなか 心身の健康を維持する秘訣について…… 米国ジョンズ・ホプキンス医大附属病院の統合医学主任H・グジュラル博士の 『15分の儀式 (Ritual)』の提案です。 ストレス解消のための呼吸 『4-7-8』:4拍で息を吸い込み、7拍 保持し、8拍かけて 吐く……を4呼吸。 「これを毎日4回以上やることで、不安を和らげ 自律神経系をリセットできます」と博士は説明しています。 ほかに、「運動とストレッチ・屋外活動」 「十分な食事」 「執務室に備えたいもの」 「よく食べる」 「集中力を高める」 なども、易しく解説されています。 ◎ 名刀の里「御津<みつ>」 剣道部が体育館で練習している音を聞くと 初夏を感じます。 竹刀<しない>・防具の当たる音、気声や踏込み足…(暑い!)。 剣道の稽古/演舞、公式戦に用いる 「竹刀」は、縦に8分割した竹片4本を合わせ、鹿皮などでまとめて作ります。 他方、「竹光 <たけみつ>」は 時代劇などに用いる模擬刀で、本当の剣に見せるために 銀箔や錫箔を貼ったりもします。 では 何故 “竹の光”というのでしょう? 子どもの頃から ずっと疑問でした。 ある時、12世紀に 「備前の雲類(鵜飼派)」という名刀が 岡山県の 「御津<みつ>」で造られ始めたことを知りました。 「みつ=名刀」だったのですね。 「銀紙竹光 <ぎんしたけみつ>」など 刀工の名前を模した呼び方まで生まれています。 ◆ 「竹刀」の材質は普通、竹ではなく 樫<カシ> です。 また、金属で模造刀を造ることは 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)の規制対象となりますが、竹刀は 規制対象外です。 ◎ レーダー照射問題は うやむやに? 「韓国海軍のレーダー照射問題」(2018年12月) は、韓国では 「日本の自衛隊機が威嚇的な低空飛行した」とされています。 威嚇的な低空飛行は 国際法上は “敵国への挑発行為”ですので、韓国政府は 日本に謝罪を請求し続けているのです。 あれ以来 日韓関係がぎくしゃくしたままですが、最初は確か 「Ship-to-Ship Cargo Transfer」(瀬取り)の問題…… 韓国が 日本から輸入した軍事転用物資を “第三国”に瀬取りさせていることは 国連安保理でも話題になっていました。 その現場に 自衛隊機が現れたから…… と、たいていの人は考えていました。 また、司令官の指示なしに 勝手にレーダーを照射すること(=攻撃の意思表示)は、現場の兵士には絶対に許されません。 しかし、韓国のマスコミは 今も 「日本が謝罪も説明も拒否して 誤魔化そうとしている」と発信し続けています。 放置すれば、どんどん 「日本が悪かった」という印象が世界に拡散する一方、“韓国は無視”という日本人が増えます。 ◆ 日本近海で “瀬取り”が難しいためか、インドネシア近海などに場所を移した模様です。 昨年10月9日、今年1月11日、2月8日と、インドネシア海軍は 韓国の貨物船等を拿捕しています。 。国連安保理に敬意を払うのなら 戦略物資の密輸は止めるべきで、ユン・ソンニョル新大統領の英断を期待します。 ◎「DX」って何でしょう? 「教育DX」などと用いられる「DX(Digital Transformation)」(デジタルによる変容)は、流行語になっています。 年寄りの頭には辛いものの、デジタルなデータや技術を活用することにより、生活や業務、組織等が変容していくことです。 スウェーデンのE・ストルターマン(ウメオ大学)が “科学技術の発達が人々の生活を改善すること”と定義(2004年)。 その変化を より学問的に/科学的に分析する方法論や検討/議論の “土俵”の整備を訴えました。(現在は 米国インディアナ大学 教授。今年2月、「DX」 を再定義しています) 社会のあらゆる所に ICT(情報通信技術)機器やSNSなどが入り込むと、ビジネス用語としても使われ始めます。 デジタルなデータや技術で、製品やサービス、ビジネス形態、組織や業務過程、企業文化などが 劇的に変容するのです。 経済産業省の 「DX推進ガイドライン」(2018年12月)でも、企業が競争上の優位性を確立するために必要だと訴えます。 そして それは、幼い時からの教育に支えられることは間違いなく、学校現場こそ 対応を求められているのです。 なお「Digit(al)ization」(IT化)は、既存の業務プロセスを効率化・強化するためにデジタル技術を導入すること…… 新しい手段が価値観や社会のあり方まで変容させる現実を、どれだけ人間の理性の管理化においておけるのかが課題です。 ◆ 「DX」は、データやデジタル技術を駆使して「CX(Customer Experience)」(顧客が製品・サービスや企業に接する際の体験の価値)を向上させる挑戦ともいえます。 因みに 「UX(User Experience)」(使用者体験)は、製品・サービスやWEBサイトなどの “使い易さ”のみに限って用います。 ◎ 日本人学校の高等部開設は? 先日の第79回EGS研究会(4/27)で日本人学校の 《選ばれる学校づくり》が話題になり、その一つに “高等部”の課題も…… 深くは触れられないものの、ダブルスクール、高校連携校、継続校、通信制活用などが、レジュメに挙げられていました。 現地校やインター校と比較して、高卒資格の付与ができないことは 日本人学校の特徴、あるいは限界ともいえます。 例外的に上海日本人学校に唯一、高等部があるものの、ニューヨークやロンドン、シンガポール等では 私立校に丸投げです。 日本人学校の魅力は、日本式教育を日本語で受けられることで、最近になって やっと国内の大学も意識し始めました。 高校から現地校等に入る場合、いくら国内の大学に帰国生枠があっても、理数系の大学・学部への路は極めて狭い…… 親の任期が数年残っていると、「文転(進路を文科系の学部に変える)するか、帰国するか」 に迷う中学生は多いのです。 上海の高等部開校(2011年)は、こうした理数系の学部を目指す生徒に夢や希望を与える側面も持っていました。 とりわけ、上海・蘇州・杭州は 圧倒的に製造業がメインの街ですので、保護者の約8割が理数系という背景もあります。 「高等部があれば、家族が一緒に暮せるのに」「所帯を分けると、金銭的にも精神的にも大変」という悩みも深刻でした。 ◆ 上海日本人学校高等部の一期生の卒業式(2014年)では、保護者から 「お蔭様で 娘と3年間、一緒に暮らせました」などと感謝されて、苦労が報われる思いでした。 また 先日、上海の河村 奈緒美さんから 「高等部は今年度 150名」との便り…… コロナ禍によるロックダウンのなか オンライン授業が続いているそうですが、生徒数は安定。 高等部があることで 中学生の帰国も抑制できています。 ◎ 5月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ★ 在外教育施設に関するシンポジウム--- 5月14日(土) 午後1時半〜4時、於:中之島図書館(大阪市北区)。 テーマ 『海外駐在時の子どもの教育最新事情』。 ※ 最近 日本人学校・補習校から帰国された先生方が、現地事情を話してくださいます。 ★ 教育総合展(EDIX東京)--- 5月11日(水)〜13日(金)、於:東京ビッグサイト。 ※ 「リカレント教育」「人材育成とDX」「AI×教育」などの特別講演、ICT各社の最先端の教育事例紹介など 盛り沢山です。 ☆ 未来の先生フォーラム 「すごい大学展」(On-Line)--- 5月14日(土) 午後1時〜5時半。 『大学入試の不易流行― 高校で新しい学びを実践する意義』=石川 一郎、『未来の大学・高校教育を考察する―大学入試改革を見据えて』=鈴木 寛。 ※ これからの社会を捉え、未来の大学進学を考えるフェアです。 ☆ COMPUTEX 現場速報セミナー(On-Line)--- 5月26日(木)・27日(金)<二夜連続>、テーマ 『COMPUTEX & InnoVEX2022 見どころ』。 ※ 業界トレンドと注目製品、業界の動きやソリューションが 具体的に紹介されます。 ☆ CFIEC 国際情勢ウェビナー(On-Line)--- 5月31日(火) 午後2時〜4時、テーマ 「インド太平洋戦略とQuad…… 日米豪印の構想と展望」=森 聡(慶應義塾大学教授)・伊藤 融(防衛大学校教授)ほか。 ※ 各国の 「インド太平洋戦略」の位置づけ/意図と現状を概観し、大きく揺れ動く国際情勢の中での戦略の進め方などについて考察します。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ BuzzFeed で 戸木亜沙美さんが 『休校になった子どもたちが利用できるオンライン学習・娯楽サービスまとめ』を公開…… 「まなび with」(小学館),「休校中の子供たちにぜひ見て欲しい科学技術映像」(NIMSほか),「eboard」(eboard),「スマホ学園」など 小学生〜高校生対象のサイトを紹介されています。 ◆ 久保田 武 先生の論文 『生涯現役という生き方:斎藤喜博定年退職後の12年』が完成。 斎藤先生が 教育伝道師として日本全国を駆け巡った記録が、整理されています。 その恩恵に浴する私たちは、「飲水思源」の敬意を払いたいものです。 ◆ 「BYOD(Bring Your Own Device)」も 「GIGAスクール」も “一人一端末”を教育現場に導入することでした。 最後まで抵抗していた各地の教育委員会や校長も、「つべこべ言わずやってみろ」(平井聡一郎さん)と 押し切られた感じです。 コロナ禍は、正に“駄目押し”でした。 ◆ 文科省 「新時代に対応した高等学校改革推進事業(普通科改革支援事業)」の採択校が公表されました (4/15)。 生徒の多様な能力・適性、興味・関心等に応じた学びを実現することが目標。 公立16校、私立2校ですが、審査に漏れた高校は 何が拙かったのでしょう? (-_-!) ◆ 『月刊 海外子女教育』5月号の特集は 「海外での幼児教育とコロナ禍」「和楽器」です。 今月の 「顔」は 日本画家の濱田 樹里さん(名古屋造形大学 教授)…… 東南アジアで培った感性を 花開かせておられます。 会員校訪問は 奈良の女子校、育英西中学・高校…… 校長の北谷 成人先生(西大和学園カリフォルニア校の元校長)は、西日本の帰国生受け入れ校のリーダー的な存在です。 MYPの導入について 卓見が聞けました。 海外校シリーズは クアラルンプール日本人学校…… 私が派遣されていた頃は 1,400余名の在籍者数でしたが、今は 524名とか…… 学校の魅力が薄れていないことを祈ります。 ◆ 『月刊グローバル経営』5月号特集は 「だからこそSDGs―再生の羅針盤に」…… 2015〜30年の国連の重点目標ですので、今年が折り返し点です。 「日外協SDGsフォーラム 2022」(3/25)はノーマークでした (苦笑)。 DXだけでなく、SDGsにも ついていきましょう。 ◆ イスラム教徒は2日(月)から 「Idul Fitri」(断食明けの祭り)に入りました。インドネシアのウィドド大統領は、前後の有給休暇一斉消化日を 4月29日(金)と5月4日(水)〜6日(金) の4日間も設定したため、土・日を合わせれば10連休となりました。 コロナ禍のストレスが爆発しなければ好いのですが…。 ◆ 毎年 この時期には 「五月病」について書いています。 “頑張り過ぎ”は症状を重くするし、“鬱症”にまで進行しかねません。 入学・入職、転校・転勤・昇進、引越し...etc. 環境が変わると 誰にでも現われる不適応症状ですから、本人も周りも 互いに声を掛け合って “心構え” をすることが、軽症で済ませる秘訣です。 お大事に。 ================================================================================================== |