子女教育ニュース |
担当: 国際教育相談員 小山 和智 |
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、 一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。 |
2021年 11月、10月、9月、5月〜8月、1月〜4月。 2020年 9月〜12月、5月〜8月、1月〜4月。 2019年 9月〜12月。 |
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ページトップ、 海外支援センター ※ ニュースのオリジナル版は、日本人学校・補習授業校にも お送りしています。【2021-12】 ◎ 早くも師走、12月です 赤い羽根の街頭募金は自粛されるようですが、歳末助け合いの活動は 例年通りです。 OECDの 『Perceived Social Network Support』(認知された社会的ネットワーク支援。2013年)は ご存じでしょうか? 「自分に困ったことが起きた時に、助けを求めることができる人=自分が信頼できる人がいますか?」を聞いたものです。 OECD全体で、89%の人が 必要なときに頼れる人(家族・友・知り合い等)がいると信じています(男女差は ナシ)。 40ヶ国中のトップ3は アイスランド 97.7%、ニュージーランド 95.6%、デンマーク 95.3%で、米国は90.6%(21位)…… 日本も 89.4%(26位)と、かなり高い比率でした。 数値が低いほど就労機会も限られ、他者との接触の欠如/孤立、家族の崩壊、失業、病気、貧困へと続く危険が増します。 ◆ 学校現場や家庭、通学路などで 子ども達が不幸な目に遭う事件が続いています。 「社会が “心”を育ててこなかった」と言うのは簡単ですが、いわば “幸福感や信頼感”を育てる機会に恵まれない人を 黙って放置する風潮こそ危険なのです。 自分は少し我慢すること+困っている人の心情を “分かち合う”ことを大事にしましょう。 ◎ キリスト教徒は 「Advent」に入ってます “待降節/降臨節”は 11月末の 「聖アンデレの日」に近い日曜(今年:11/28)から始まります。 クリスマス イブまでの約4週間、かつては断食/潔斎をして、それで生じた浄財を貧者に施し 神に感謝する習慣でした。 しかし、日本での布教では 断食/潔斎の習慣は隠され、従来からあった大師講を偽装することで 信仰を広めたようです。 「Carnival」(肉断ち祭)は本来 「Lent」(四旬節=復活祭の46日前)の断食/潔斎の直前…… 2月頃のお祭り騒ぎです。 ところが、ドイツ以北の地域には 11月にも 「Carnival」(仮装行列を中心にしたイベント)が行われています。 「Advent」が 断食/潔斎の期間だからこそ、その直前に “謝肉祭”を行う習慣なのです。 ◆ 日本で12月に “肉断ち”をしているクリスチャンを、私は見たことがありません。 あるミッションスクールで この話をしたら、聖職者の奥様から 「キリスト教に断食の習慣なんかありません!」と叱られました(苦笑)。 (師走のバカ騒ぎが お好きなようで…) ◎ 第77回グローバル化社会の教育研究会(EGS)行われる 11月25日(木)、平方 邦行先生に話題提供をお願いしました。 「日本の学校教育は、未来を見据えた学びにシフトできずに 現在に至っているのでは?」という率直なお話しでした。 ゲーム機やスマホで育ってきた 「Z世代」への教育について、十数年前から “未来を見据えた学び”が提議されています。 しかし、その学びへのシフトは 遅々として進まないのが現実です。 そんな中で、心ある私立学校では、「受験知」から「探究知」に転換する挑戦が続いていることを紹介されました。 彫刻の世界を題材にして 「虚飾を取り払って 人間の本質に迫る営み」に至るという人類の潮流についての講話に 感動しました! 今や “教師も生徒も共に学習者”が当然で、「PIL(教え合い学習)/PBL(課題探究型学習)」が不可欠なのです。 ICTにより知識の転用・変容が容易になった世界では、親や教師の世代が経験したことのない課題が山積しています。 そうした課題に 自ら解を見いだしていく能力…… それを自ら育てる 「Growth Mindset」を持つ人材を育てましょう。 ◆ 教員の多くは 「自分の学校/職場は大丈夫」と思っていますが、人口動態調査を見れば それが幻想だと判ります。 平方先生は、R・フロリダの 「クリエイティブ・クラスの登場と勃興」にも触れられました。 そして 今や 「タキソノミー」「思考コード」「SDGs」は 常識とさえいえます。 ◎ 緑色のイメージは? 25年前(1996年)の12月5日、グローバル化社会の教育研究会(EGS)の前身 「海外の生活と教育を考える会」が発足しました。 その時の申し合わせの一つに、案内状の用紙・封筒は緑色にする…… 会のイメージカラーを緑にすることがありました。 緑色には 安心感や安定・調和・自然、そして沈静・リラックスなどの印象を与える効果があり、好感度も抜群です。 ところが、デザイン/印刷の業界では鬼門…… 顔料の配合が極めて難しく、“保守的・ねくら”の印象になり易いのです。 したがって、案内書やパンフレットの地に緑を使うことは 永い間、極力避けられてきたものの、それだけに目立ちます。 帰国生入試関係の用紙に緑色を使えば、大量の書類・資料の中から探し出す時には効果絶大、帰国生の目にも留まります。 順心女子学園の校色は 橙色でしたが、広尾学園に校名変更する際(2006年)、校木の欅<けやき> に因む緑色になりました。 印刷業者が及び腰なのに 押し切れたのは、2003年からの帰国生募集で 緑が既に大きな効果を発揮していたからです。 ◆ 広尾学園の広報部に 美術科主任の土田先生と 元大手印刷会社から転身した鈴木先生がいたのは天祐です。 色彩管理のプロが選んだり生み出したりする小道具・ノベルティ類は 明るい緑色で統一され、「緑=広尾学園」の印象を不動のものにしてくれました。 ◎ 「恩送り」の伝統を考える 12月に是非 観てほしい映画に 『Pay It Forward』(米 2000年)があります。 「PBL」(課題探究型学習)や「SDGs」(持続可能な開発目標)の考え方・やり方に悩んでいる人にも、きっとヒントになると思うのです。 「Think of an idea to change our world − and put it into Action!」 (世界を変える方法を考え、それを実行してみよう!) 担任の先生が出した課題に 主人公の少年が懸命に取り組む様子は、次第に私たちに “何か”の記憶を蘇らせてくれます。 日本語では 「恩送り」(恩返しは 別の人にする)…… 人から人への “善意の連鎖”が社会を明るくするという信念です。 「親から子へ、友から友へ、人から人へ…… と広げていけば、必ず自分も幸せになれる」という理想です。 「人は永遠に変わっていける素晴らしい存在だ」「“善意の連鎖”はきっと繋がる」と信じて、主体的に行動しましょう。 確かに、現実の課題は そう簡単には解決しませんし、「そんなことして 何になる?」という言葉を よく耳にします。 しかし、何もしなければ 状況は悪化するし、見返りや証拠を求めてする“善行”ほど 虚しいものはありません。 今の季節、キリスト教徒が 樅<もみ> の木に託している思いやプレゼント類も、同じです。 仏教・ヒンズー教徒の 「菩提樹(Bringin)の樹の下に」という祈りも、無償の愛と相互信頼あればこそだと思います。 ◆ リーダーシップとは、「恩送り」をすることで “善意や成功の連鎖”が組織に起きるように努力を続けることでもあります。 「俺がリードしてやる!」では 必ず反発が生れ、ついてこれない人や犠牲者、そして無駄が生じています。(早晩……) ◎ 15番目の変異株? 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異株が、今や 「オミクロン」型まで命名されています。 インフルエンザでは A、B、C… と型名が進むのに、こちらは ギリシア文字で α、β、γ… とうとう15番目の "ο <オミクロン>" が出現してしまいました。 しかし、12番目 "ν" は英語の 「new」と発音が同じ、13番目 "ξ<クシー>" は英語表記で "Xi"(=中国語の "習")… WHOは この2つを 「(病名は)混同や不快感を避ける」として “欠番”にしたわけです。 確かに、“文化的・社会的・国家的グループなどに不快感を与える”としたら止むを得ません。 しかし、WHOが 何かにつけて中国に配慮することには、やや違和感があります。 もちろん、トランプ前大統領が COVID-19 を 「中国コロナ」と盛んに言っていたのも、非常識だとは思いますけど。 ◎ ビデオ交信の目線に工夫を 2003年に 「Skype」「WeeChat」が登場後、「Messenger」「LINE」等も加わり、ビデオ交信は 私たちの身近な道具です。 しかし、未だに 「オンライン〇〇」や 「リモート〇〇」に馴染めない人も、少なくありません。 とくに 年齢が上るほど…。 ヒトは アイコンタクトで意思疎通をする動物なので、できるだけ相手の表情や頷き具合を確認しながら話したいのです。 オンラインで できるだけ対面に近い状態にする工夫は 「カメラに視線を向けて話す」「意識的に頷く」だといわれます。 コロナ禍の中で就職活動を行った学生からも、「PCのカメラを自分の眼の高さにすると 効果があった」と聞きました。 スマホなども 本を積み上げた上に置くなどして、上から目線にならないようにすると、比較的 自然に話せるのです。 お金をかけずに いろいろ工夫をしている点は、大いに見習いたいものです。 ◆ 国立国語研究所の石黒 圭さんが 『リモートワークの日本語: 最新オンライン仕事術』(小学館新書)で、カメラ目線と身振り手振りを推奨されています。 もちろん、本題は 言葉遣いのコツですが。 「オンライン会議では、提案者・司会者は 誰か横に一緒に居てもらう」も、妙案と納得しました。 ◎ 分け合う(share)ことの意味 歳末助け合い運動が続けられていますが、禅宗に 「本来無一物」(生れた時は何も持っていない)という言葉があります。 持っているものを手放したくないという欲望には際限がないけど、その執着を捨てれば 心安やかになれるというのです。 仏教の 「奪い合うと足りない、分け合うと余る」の発想は、キリスト教の 「施し」、イスラム教の 「喜捨」にも通じます。 例えば 新約聖書には、「5千人に食べ物を与える」(マタイ第14章ほか)の喩えが繰り返し載っています。 10年前、東北大震災の際に略奪/強盗がなく、配給品の列に整然と並ぶ被災者の様子が 世界中から驚嘆されました。 「人は助け合いながら生きていきたい」という欲求は どこの国にもあるのに、実践することは難しいからです。 グローバル化がどれだけ進んでも、私たちの美徳は いつまでも失いたくありません。 ◎ 12月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― [高校生募集] 日本語学習者とのアニメーテッドラーニング(On-Line)--- 12月12日(日)・19日(日)・28日(火)、テーマ 『アニメで考える、アニメで伝える、わたしたちのまちと未来』。 ※ アニメで SDGsを学び、オノマトペを活用して多文化交流をします。 ☆ ITトレンド 「人事総合カンファレンス」(On-Line)--- 12月9日(木)・10日(金)。 「2020年代のデジタルものづくり戦略…… SDGsの全体最適解を考える」などの講演が多数。 ※ 職業観教育のためには、職業現場で何が起こりつつあるかを知っておく必要があります。 ☆ TJF テンダーさん 「その辺のもので生きる」(On-Line)--- 12月26日(日) 午後0時半〜5時、テーマ 『プラごみから必要なものを作る』。 ※ SDGsを地でいくようなスキルとの出会いで、視野がぐっと広がる体験学習です。 ☆ JSAF-IELTS オンラインセミナー--- 12月22日(水) 午後4時半〜5時半=高校教員対象: IELTSの基本情報、JSAF-IELTS最新の動向、高校生向け無料セミナー紹介など。 ※ 事前予約制・参加無料です。 ☆ CFIEC 国際情勢ウェビナー(YouTube Live)--- 12月23日(木) 午後4時〜5時半、テーマ 『大統領選挙で変わること、変わらないこと ― 韓国を待ち受ける試練と解決への方向性』=小針 進(静岡県立大学 教授)・礒崎 敦仁(慶應義塾大学 教授)ほか。 ※ 韓国の次期政権が抱える諸問題と 米中競争時代における南北関係の今後が議論されます。 ☆ ASIA-NET セミナー(On-Line)--- 12月23日(木) 午後7時〜8時半、テーマ 『2021年に実施したセミナーを 「キーワード」で振り返る』。 ※ 全27回(延べ 925名参加)のゲスト講師のコメントも交えて、総集編です! ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 日本で開かれた 大谷翔平選手の記者会見で、日本の大手新聞の記者が ロサンゼルスからオンラインで質問していました。 外国人記者クラブ(有楽町)に招かれた日本人にも、日本の新聞記者が質問したりしますが、自力で取材する力がないのでしょうかね? ◆ 銀座5丁目に移転した(11/8)フレンズ 帰国生 親の会の新オフィスに行ってきました。 前より やや狭いものの、立派なオフィス…… 数寄屋橋交差点に近い好立地です。 うちの長女と同じ年頃の帰国ママたちが 楽しそうに作業をしている様子を見て、世代交代が上手くいっている! と感心しました。 ◆ 『ヤンキー君と白杖ガール』(KADOKAWA 2018年〜)がTVドラマ化されています。 視覚障害をテーマにしながら、健常者にも “生きづらさ”や “疎外感”があることを浮き彫りに…… 帰国生の悩みにも通底する問題です。 「社会からはみ出している」と感じられる人こそ、幸せになれるのではと思わせてくれます。 ◆ 『月刊 海外子女教育』12月号特集は 「『海外子女教育』誌の50年」…… 発行以来50年間の誌面を、古家 淳さんが振り返る記念企画です。 私個人としては、最初の広告掲載だった学生会館の広告出稿を 山水社(長屋杉次 社長)にお願いに行ったことが忘れられません(1978年? 版下が間に合わず、青年商工会議所の機関誌用版下を借用しました)。 同誌ライターとしてのデビューは 2001年6月号です (笑)。 それから20年余り、よくもまあ 書き続けてこれたと思います。 古家さんはじめ (株)ルーツインターナショナルの皆様には 感謝しています。 ◆ 『月刊グローバル経営』12月号特集は 「ASEANとの架け橋---日本語スピーチ発表会」です。 2年振りの開催はオンラインになりましたが、内容は充実したものばかり。 関係者のご苦労とチームワークの素晴らしさにも 胸を打たれます。 ◆ 『週刊BCN』の奥田喜久男さんが 今月で勇退されます。 40年余り 日本のICT界、そして教育界に貢献して来られたことに敬服します。 男72歳、余力を残して花道を去って行かれる背中には 桜吹雪が…(笑)。 少し落ち着かれたら、EGS研究会にもいらしていただきたいものです。 ◆ 関西帰国生親の会かけはしの 『かけはし会報』、フレンズ帰国生 母の会の 『フレンズだより』が 相次いで届きました。 コロナ禍をものともしない 若いお母さんたちの頑張りが誌面から伺えます。 こんな仲間やネットワークを持つお母さんなら、子どもたちも健やかに伸びます。 ◆ 昨年暮れ、ラジオNIKKEI 『おとなのバンド大賞』で『Hello! Hello!』(Edison & Hirsch) がインターナショナル賞を受賞しました。 「"Hello! Hello!" make it happy, loud and clear! Just say, "Hello!", and like magic smiles appear!」…… 内気で繊細な子を励ますには 好い歌です。 ◆ かつて 『世界経済評論』の編集長をされていた 湯澤三郎さん(国際貿易投資研究所(ITI)顧問)が、来年2月2日(水)のEGS研究会で話題提供をしてくださることになりました。 今は小・中学校等に招かれ 子ども達に講話をされていますが、私たちには どんなお話しをしてくださるか楽しみです。 それでは皆様、良いお歳をお迎えください。 Selamat Hari Natal dan Tahun Baru! Joyeux Noel et Bonne Annee! Merry Christmas and A Happy New year! 聖誕節快楽! 新年快楽! ================================================================================================== |
【2021-11】 ◎ 「四方神」は私たちの守り神 11月ともなると 空気が澄むので、日本でも星座が楽しめるようになりますが、皆さんがお住まいの街は 如何でしょう? マレーシアの日本人学校の運動場で 星空を眺めていると、帰りがけの庭師が近寄り 「何をしてるんです?」と聞きました。 方位を聞く代わりに、気取って 「Lokapala (四方神)を探してる」と言ったら、なんと 「ここに居ます」との返事……(?) 「Lokapala とは…」と話そうとした私を遮るように、「自分が世界の守護者です」と 冗談で返されたわけです。 言われてみれば、彼はヒンズー教徒なので 「Lokapala」を知ってて当然なのですが、「一介の庭師が…」と驚きました。 インドの二大叙事詩に 『Maha-Bharatam』と 『Rama-yana』があることは、私たちは 習って知ってはいます。 しかし、その中にある要素や 仏教の中に入っている常識についてまで、彼ほどの素養はありません。 「学校職員の末端とはいえ、決して侮れない」と気を引締めた瞬間でした。 ◆ 学校職員は 子どもたちや先生方の安全を護ることが職務とはいえ、人は自分を評価してくれる人に尽くすものです。 誠実な努力に対しては、常に感謝の気持ちを現わすことを 忘れないでいたいものです。 ◎ カテキンの殺菌効果 お茶に含まれるカテキンの殺菌効果については 以前から知られていますが、新型コロナウィルスにも効果は認められます。 「宵越しのお茶は飲むな」といわれるものの、夏場でもない限り 朝のうがい水としては 十分に有効なようです。 昨年11月、矢野 寿一教授(奈良県立医大)が、市販ペットボトル茶にウイルスが入った液体を混ぜる実験の結果を発表。 「感染力を30分で不活化(無害化)する効果があるお茶と そうでないお茶があった。 いずれ商品名を公表…」とのこと。 しかし、その後は うやむやにされました。(各飲料会社から 多額の研究費が集まったのでしょうか?) それでも、飲むことで カテキンの抗酸化作用(活性酸素の発生を抑え、ウィルスが体内で広がるのを抑える力)は有効です。 会食時にコロナ対策ができる方策として 国際的に認知されれば、ノーベル賞ものでしょうね。 ◆ インドネシアでは、昔から 妊婦や乳幼児の感冒/下痢止め薬として 「ジャワ茶」が利用されてきました。 抗生物質などを投与することを極力避けたい医師は 「Minum teh, ya.」(お茶を飲んでなさい)と言うことも多く、そのほうが名医だと納得できます。 ◎ 第77回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催 11月25日(木)、日本私学教育研究所の平方邦行所長をお迎えして、Zoom で開催されます。 今年3月まで 工学院中学・高校の校長をされながら 「21世紀型教育機構 (21会)」設立にも関わられ、今は理事長です。 平方先生は 彫刻家であると同時に、理科・技術科教師として ずっとSTEAM教育の先陣を担ってこられました。 永年、日本私立中学高等学校連合会 常任理事をされるなど、全国の私立学校の改革にも取り組んでおられます。 インターネットやスマホで育ってきた 「Z世代/デジタル・ネイティブ」に施すべき教育は何なのか? そのために 具体的にどうすべきなのか…… 待ったなしの課題について率直なお話しを伺い、話し合いたいと思います。 キーワードの一つは「思考コード」(知識量だけではなく、総合的な思考力で子どもの学力を評価する考え方) です。 最近、熟業界で「偏差値に変わる学力基準」として話題にされていますが、平方先生は以前から 主張しておられました。 塾業界が学校を 「偏差値」で序列化し、その階段を如何に高く上らせるかを商売の糧とする現状を批判されてきたのです。 つまり、子どもを競争させるのではなく、個々の子の可能性を延ばすためにどうすべきかを中心に考えようという姿勢…… 子どもの思考力や想像力、応用力等を測るとしたら、その基本にあるべき “座標軸”は どうあるべきか? 正に、未来を生きる子どもたちに必要な、学力の新基準です。 ◆ 平方先生が聖学院中学・高校の校務部長をされている時、EGS研究会に会場をご提供くださるようお願いに行きました。 以後、ずっとホーム会場となっています。 コロナ禍が終息し、対面で開催できる日が待ち遠しいですね。 ◎ 灯火親しむ候…… 読書の季節ですね。 ところが 滋賀県教育委員会が、今年3月に卒業した県内高校生(延べ 2,198人)の就職試験につき調査した結果を公表。 思想・信条、支持政党など憲法で保障されている個人の自由に属する事柄を 採用選考の場で尋ねないよう求めています。 企業など33社(823社中)で 「就職差別につながる恐れがある不適正質問」が37件もあったそうです。 最も多かったのが 「あなたは どんな本を愛読していますか?」などと尋ねるものが20件だったとのこと。 面接者としては、応募者の資質等を推し測る手がかりとして どんな本を読み どう楽しんでいるのか 聞きたいところです。 学校は 宗教法人立でも思想・信条で差別をしないことが当然と考えられているからでしょうか、その批判は受けません。 ここ三十年、日本の企業・団体が活力を欠いている理由の一つが、人事採用現場で 人を見る眼が失われたことです。 成果や実績を上げられる人材が判らず、多くは 見た目(その場での演技力)のよさで採用してしまうのです。 ミスマッチは互いの不幸ですが、責任は経営者にあります。 ◆ そんな事業所が 「愛読書」を質問すると、個人的な好悪で評価する傾向が増します。 だからといって、募集案内などに 「履歴書の趣味欄に《読書》と書いても無意味」と明示すると、これまた騒ぎになるんでしょうね (笑)。 ◎ ポートフォリオの普及 学習の成果物や学習内容など 生徒が何を学んできたのかを蓄積する 「ポートフォリオ」の利用が普及してきました。 元は、イタリアで商人が掛け金を回収して廻る際に携行する 「Portare+Foglio」(書類を運ぶもの)のこと。 それが、やがてデザイナーの世界で、自分の才能・技量を売り込む道具として活用されていきます。 STEAM教育では、自分の学びを振り返り 次に生かす学習プロセスが、生徒に主体的な学習を促すと考えます。 文部科学省でも 大学入試や就職試験で活用を奨励する方針でしたが、政治家の収賄疑惑で吹っ飛びました。 ◆ そもそも、若者が 自らのポートフォリオに 本気で 「愛読書」を書けるものでしょうか? 普通なら その馬鹿さ加減に気づけるはすでけど、好い加減な進路指導では、そして人事採用現場でも、それを要求している愚かさが見えていません。 ◎ 「親鸞」の意味は…? 11月28日は浄土真宗の開祖、親鸞の命日ですが、西暦では1月16日(1263年)。 どちらで法会をするかは 宗派次第です。 親鸞の 「鸞<luan2>」は伝説の霊鳥…… 神霊の精が鳥の形になった、鳳凰が老成して 「鸞」になる、など諸説あります。 「Quetzal」(絹羽鳥の仲間)に似た鳥なのだそうですが、美しく煌びやかすぎて、ひな鳥でも怖がるほどだとのこと。 だから親鳥は、採ってきた餌を 子に口移しで与えるために、わざと羽を泥で汚してから巣に戻るのだそうです。 浄土真宗では この伝説を “仏の慈悲”を説く際の比喩に用います。 「親鸞」の名も、その伝説に因んでいるのです。 ◆ 「鸞鳳和鳴<luan2feng4 he2ming2>」は 夫婦が仲睦ましいことですが、「鸞鳳」だけで夫婦を指します。 “和”を雌だとする説もあるのですが、中国語としては 少し無理があります。 ◎ 「POP」という宣伝媒体 神奈川県湘南地区にある女子校4校の 「過去問」(過去の入試問題集)のPOPが、ちょっとした話題になっています。 この場合の 「POP」は “ポップ広告 (Point of Purchase advertising)”で、書店の店頭や売り場に置かれるものです。 単に書籍の特徴やキャッチコピー、一口感想などを紹介するだけでなく、個性的な店の雰囲気を演出する力まであります。 何よりも 売上を伸ばす効果があるので、今時の書店は 各々POPに知恵を絞るのが当たり前になっています。 出版側の企画ながら、教師と生徒が創意工夫を重ねて 自校のイメージアップに努めている様子は、微笑ましいですね。 自らの状況を見直す 好い機会ですし、4校が一枚のPOPに並ぶのですから、自ずと愛校心も増したことでしょう。 なお、パソコンの書体(Font)で 「HG創英角ポップ体」などを目にします。 こうした 「ポップ(書)体」は 楽しさ・視認性を重視し、少しくだけた 親しみ易い雰囲気を目指しています。 レポート等の提出物には使わないよう、予め指導しておきましょう。 ◆ 美術大学の推薦入試の願書を青色インクで書いて、校長から 「何を考えている!」と叱られた生徒がいました。 公式文書は 「黒または青色のインクで」が常識ですし、美大志願者なら 少しでも個性を出したいのが当たり前です。 実際、その生徒は 青インクのままで提出して合格、4年後には好成績で卒業しました。 ◎ エスカレーターを歩かない! 埼玉県が エスカレーターに立ち止まって乗ることを義務づける条例を10月から施行、2ヶ月近く経ちます。 エスカレーターを歩行することの弊害について、この通信でも3年前から紹介してきましたが、なかなか理解されません。 11月5日(金)の AERAdot.に、エスカレーターの右側にしか乗れない少女の辛さを紹介する記事が出ました。 しかし、歩行することで 事故や故障が増え、メンテナンス経費が莫大なものになることは、知らせたくないようです。 マスコミが その告知に後ろ向きなのは、エスカレーターのメーカーが消極的だからです(日本政府も……)。 通常の製造業であれば 自社製品を大事に使って欲しいはずですが、適当に壊してくれないと儲からないと考えています。 ◆ 欧州では2018年から、エスカレーターに横に並んで立つ実証実験を重ねていて、脱炭素運動やSDGsの面からも推進しようという動きです。 わが国は、この点でも 世界から 「おいてけぼり」にされています。 カリギュラ効果も怖いので、「歩くなら階段を!」と訴えましょうか? ◎ 11月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ ITトレンド EXPO2021Autumn(On-Line)--- 11月9日(火)〜12日(金)。『逆・タイムマシン経営論』=楠木 建(一橋ビジネススクール教授), 『コロナ後の世界とビジネスの未来』=山口 周(著作家)ほか。 ※ 特別講演や各種専門講演など約100セッションが公開されます。 ☆ TJF 日露高校生パフォーマンス交流(On-Line)--- 12月11日(土)〜1月23日(日) 全6回。 ※ 日・露それぞれの言語で出版されている絵本を各自で読み、絵本の文化的背景や発信されているメッセージなどについて対話をします。 ☆ CFIEC国際情勢ウェビナー(On-Line)--- 11月12日(金) 午後4時〜5時半、テーマ『経済の視点から見る台湾海峡のリスクと日本の役割』=小笠原 欣幸(東京外国語大学 教授)・川上 桃子(JETRO・ASIA経済研究所)。 ※ 「ポストコロナ時代の国際秩序と変わる地政・地経学」のシリーズ第2回です。 ★ 東京芸術劇場 「劇場コーディネーター養成講座」≪多文化共生・基礎編≫--- 11月21日(日)〜(全6回)、於:東京芸術劇場。 ※ 劇場を広く社会に開き、芸術文化を通して地域・社会づくりに貢献する人材育成を目指すものです。 ☆ educore 無料セミナー (On-Line)--- 11月23日(祝/火)、テーマ 『大学入試の今とこれから』=小野 賢志(文部科学省 大学入試センター試験・研究統括補佐官)。 ※ 大学入試の最新情報を 担当者から直接入手できます。 大人でも子どもでも 参加可能です。 ☆ 第77回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(On-line)--- 11月25日(木)、テーマ 『 日本の教育は 「何」を目指し 「何処」へ行くのか?』=平方 邦行(日本私学教育研究所 所長/21世紀型教育機構 理事長)。 ※ STEAM教育の最先端のお話を伺い、話し合います。 [中・高生募集] TJF 非暴力コミュニケーション講座 (On-Line)--- 11月28日(日) 午後0時半〜5時。 講師:鈴木重子・安納 献(CNVC認定トレーナ―)。 ※ 自他を理解し、自他の振る舞いの暴力性を見つめ、心からの繋がりを得るための技法の訓練です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 一昨年の秋までは、毎月のように鼻風邪や咳に悩まされていましたが、コロナ禍のせいで マスク着用・手洗い・うがいの励行をするようになって約2年、風邪も花粉症の症状もありません。 人に会う機会が激減しているとはいえ、お茶うがいの効果も感じています。 ◆ 10月23日(土)、米インディアナポリスで自律走行車のレース(IAC)が開催され、独ミュンヘン工科大学チームが優勝しました。 「インディ 500」のコースで “世界最速”と “揉み合い能力”を競うわけで、新時代の幕開け…… 電気自動車(EV)だけの部門ができるのも、時間の問題です。 ◆ 26日(火)には、米大リーグ機構(MLB)が大谷翔平選手に 「Historic Achievement Award」(歴史的偉業賞)を授与しましたが、記者会見で 「Deserve」 がキーワードに。 5月頃 「通訳が必要な者は MLB選手に相応しくない」 と某解説者が発言、関係者は一斉に 「大谷には その価値がある」 と反論していましたから、大谷選手の 「僕で好いのかな?」 の発言に、場内は爆笑でした。 おめでとう! ◆ 17世紀にインゲン豆を日本に伝えた禅僧、隠元の像が、来年の日中国交正常化50年を機会に “里帰り”するようです。 像は1663年に制作、黄檗山 万福寺(京都府宇治市)で保存されています。 韓国と違って 中国は 「一時差押さえ免除法」を制定していますから、戻ってこないことを心配しなくて大丈夫です。 ◆ 『月刊 海外子女教育』11月号の特集は 「第42回海外子女文芸作品コンクール審査結果発表」。 文科大臣奨励賞の俳句は…… 「寄付をして短くなった髪洗う」(萩原杏奈)…… 大事に手入れしてきた黒髪をバッサリ切って、医療機関かどこかに寄付したんでしょうね。 寂しいけれど 誰かの役に立っている… と自らを慰めながら、幸せや爽快感も感じています。 イスラム教の 「喜捨」の神髄は そこにあります。 ◆ われらが石川一郎さんが 『いま知らないと後悔する 2024年の大学入試改革』(青春出版社)を上梓。 PBL基本の教科書で学んだ生徒が 初めて大学受験を迎える 2024年大学入試につき、保護者に解り易いように説明されています。 EGS研究会に参加できない方には お勧めです。 ◆ 11月12日(金)、広島カープの黄金時代(1975〜85年)を築いた名将、古葉竹識元監督が亡くなりました。 4度のリーグ優勝(日本一 3度)、2位3度、3位2度…。 選手時代は 長嶋茂雄と首位打者争いをしていた記憶もあり(1963年?)、広島ファンの誇りでした。 享年 85歳。 合掌。 ================================================================================================== |
【2021-10】 ◎ 10月です 「十進法(Decimal System)」の起源は、大昔 カスピ海辺りに住んでいた印欧語族(IE)とされます。 「Hieroglyph」(古代エジプトの聖刻文字)や漢数字、そして 「Roman numerals」(ローマ数字)も 十進法に基づいています。 「旬」(10日間)は、古代エジプトでは “週”(1ヶ月=“3週間”)と考えられていたようです。 ユダヤ教の 「七曜制」が伝来・普及する18世紀末までは、欧州では 労働も給与も 10日を基本に計算されました。 なお、中国語の 「十干」は 計算よりも科学的な名称によく使われます。 欧米諸国でのギリシャ数字に似ていますね。 甲(Mono=1)・乙(Di=2)・丙(Tri=3)・丁(Tetra=4)・戊(Penta=5)・己(Hexa=6)・庚(Hepta=7)・辛(Octa=8)・壬(Nona=9)・癸(Deca=10)。 中国の成績評定が 十干で書かれていると、必ず対照表で確認します。 また、十干を使わない用語に 困惑する時もあります。 モノレールは 「独軌鉄路」ですし、「Bi- 」のときは普通 「二〜」。 ただし、「Bicycle」は 「自行車, 単車」…… この “単”は “一対 (pair)”の意味です(例:単線)。 ◆ 日本の焼酎では、伝統的な単式蒸留は「甲類」、20世紀初めに英国から伝来した連続式蒸留は「乙類」です。1949年の酒税法改正の際に、後者を“新しい(二番目の、アルコール濃度も 35%を超える) 方式”と定めたからです。 ◎ 「後来居上」 の喜び 1998年の秋、国際交流基金のアジア講座 「マレーシアを知ろう!」(10月〜12月)を担当させていただきました。 月曜の夜2時間の勉強会ですが、老若男女30余名が熱心に聴いてくださるので、講師としては幸せな一時でした。 翌年から マレー料理店等での 「飲みゼミ」(オフ会の類い)が3年余り続きます。 そして 何より嬉しいのは、この講座から 東南アジアなど途上国の専門家を志す人材が 何人も育ったことです。 また、ロングステイ関連の法整備や 高校生の途上国研修、MDGs(⇒ SDGs)の普及にもつながっていきました。 私を遥かに超えるレベルで活動をされている皆さんの様子を仄聞しては、美酒に酔っています (笑)。 ◆ 「シャヒーン」こと 毛利奈知子さんも 「マレーシアを知ろう!」の受講者でした。 直ぐにマレーシアに飛んで行って タミール語を習得…… 今は 環境コンサルタントとして JICAや環境省、国際協力銀行などの仕事を請け負ってます。 また、一橋大学大学院で イランの水環境について研究中とのことです。 ◎ 「精査」と忖度<そんたく> 安倍首相が政権を放り出したのは 昨年9月でした。 多くの失策と嘘を重ね続けた結果、叶わなくなって逃げ出しました。 安倍首相の決まり文句だった 「精査」は、本来 “詳しく調べる”という意味です。 「調査」が “物事の実態や動向などを明らかにするため 調べること”に対し、「精査」はもっと詳しい所まで調べます。 しかし、これを政治家や役人、管理職が口にする時は、「もう決めているけど 発表のタイミングを模索中」の意味です。 また、実質的な中身の検討をする代わりに、忖度のできる部下に 「利害関係者の関心が 他所に移るよう努力しろ!」 と 言外に命令しています。 やがて、誰がどう見ても 変な結論が、こっそり出てきます。 そこを問い質し 批判するのが、報道機関の存在意義ではないかと思うのですけど、違いますかね? 一方、「精査」を口にする人の多くが “狸”であることを、若者は直ぐに見抜きます。 とくに 学園長や校長が言えば…。 SNS上では、「精査←」(精査って バカじゃね?)などと表現していますから。 ◎ 天才は努力の別名なの? 10月18日は トーマス・エジソンの命日です。 私たちは 「天才は努力の別名なり」が 彼の言葉だと習って育ちました。 ところが最近、探究学習の成果なのか、生徒から 疑義を衝きつけられました。 原文は 「Genius is one percent inspiration, 99 percent perspiration.」だそうですが、これは死後の創作とのこと。 折に触れて 「努力こそが閃きに必要なものであり、努力が最も重要である」という趣旨の発言をしてはいたそうですけど。 「天才」と呼ばれている人は 誰も、「失敗しても諦めない」「必死に努力するうちに、好い結果になる」などと話します。 たまに 「着想は天から降って来る」「反射的にできる」などと言う人はいますが、実際は たゆまぬ努力をしているのです。 高校時代の私の周りには、原稿用紙を前にして、すぐにスラスラと見事な文章を書く同級生が何人かいました。 でも、私が 「天才だね!」と言うと、「そう言われるのが 一番不愉快だよ」と言い返されました。 今でも冷汗が出ます。 ◆ 米大リーグ(MLB)で 今シーズン大活躍の大谷 翔平選手は 「Jack of all trades」(万能/多才)と賞賛されています。 投・打・守・走に加え、礼儀やファンサービスでも 見事なプレーを見せ(魅せ)、ますます人気は高まるばかりです。 なお、 授業は それ自体が、教師の “学び”なのですが、私を 「努力家だね」と褒めて(?) くださる方が たまにあります。 その方には 恐縮してしまいますけど、私の耳には 「凡才のままだね」と聞こえてしまう…… 実に 不届き者です (笑) ◎ 第76回グローバル化社会の教育研究会(EGS) 開催される 10月1日(金)、台風接近の中、Zoom で開催されました。 話題提供は 「Quest」(探究)という用語を わが国教育界に普及させた宮地 勘司さん(教育と探求社 社長)でした。 世間の価値観や学校の役割が急速に変化し 多様化していく中、プロとしての教師は 子どもに何を養わせるべきでしょう? 宮地さんは 実社会でキャリアを積んだ人材を学校現場に送り、教師の伴走者として 探究学習を実現されているわけです。 『教室と世界をつなぐ学び--- 先生こそが真に未来をつくる』 がテーマですから、“矯正ノウハウ”も教えてもらえる…… 「どうやって教師を変容させていくのか?」が 参加者の関心の的でしたが、結論としては 難しいようです (笑)。 ところが、「生徒たち(の学び)が変わった瞬間、先生方は変わられます。 その点は、実に紳士的ですよ」とのこと。 「Quest」の助言を受けることで “大化け”する生徒たち…… それを目の当たりにして、教師の意識が変わるのだそうです。 生徒自身に内在する “学びの心”を引き出し 元気づけていく作業(Educate)は、教師本来の職務だったはずです。 しかし、いつの間にか “教え込む(Teach)”ことに偏し、生徒から見れば 苦行を押し付ける存在となっているのですね。 そうした先生には 是非、宮地さんの 「Quest Education」を試してみて欲しいと思います。 相談すれば、その学校に合った形を考えてもらえますし、“体験版”の出前授業もやってもらえるはずです。quest.eduq.jp/ ◆ 教育と探究社の 「SOCIAL CHANGE ENGLISH」は、生徒が英語を駆使しながら自ら社会課題に取り組む探求型プログラム…… 教科横断型の学び、明確に伝える力、広く社会課題と向き合う姿勢、現実の体験などにより、学びの喜びや自信を得ます。 正に 帰国生向きですね。 現在 “体験版”を無料提供中です。 ◎ 10月27日は「Captain Cook」の誕生日 クック船長は 『ピーター・パン』のフック船長のモデル…… 18世紀当時、海賊同然だった英国海軍の士官ジェームズ・クックは、海洋探検家、優れた海図製作者として有名です。 オーストラリア、ハワイ諸島、タスマニア、ニュージーランドなどの正確な位置関係や海岸線を明示しました。 でも、どこか信用できません。 上流階級出身の高学歴…… 物腰は優雅で気品に満ちているけど 冷酷かつ残忍ですから。 「七年戦争」(1754〜63年)は実質的な “世界大戦”で、インド大陸・北米大陸における英仏間の植民地争奪戦でした。 クック船長の作成した正確な地図により、英国はフランス軍を北米東海岸から駆逐することに成功、彼を勅任官にします。 ◆ 旅行代理店の創業者 トーマス・クックは19世紀の英国ダービー地方の出身で、“近代ツーリズムの祖”として知られます。 20世紀の若者にとって オレンジ色の表紙 『クック時刻表・旅行者手帳』は 世界旅行の必携書でした。 ◎ 「ジョージ・ロドニー」というと? クック船長と同時期の英国海軍大将ジョージ・ロドニーは、スペイン艦隊を破り、フランス艦隊に大勝するなどの戦功を挙げます。 大西洋の制海権を確立した功績で 男爵(Baron)を授けられ、軍艦名や地名・建物名などにされる例も 少なくありません。 一方、アメリカ独立戦争の英雄シーザー・ロドニーは、彼とは まったくの他人……というか “敵同士”でした。 また、「Los Angeles Riots」(ロス暴動)の引き金となったロドニー・キング事件(1991年)のロドニーは 黒人男性。 ジョージ・フロイド事件(2020年)のジョージと並んで 「Black Lives Matter運動」では よく引用されます。(歴史の偶然なのですけど… 威勢がいい?) ◎ 10月は ムベの実の季節 10月には 紫色に熟した「ムベ(郁子)」の実が観られます。 アケビの仲間で「トキワアケビ」等の別名も多いです。 原産地は日本から朝鮮半島ですが、今は台湾・中国にも分布。 ネムノキなどに絡まって、蔓<ツル> が長く伸びています。 ムベの実は 直径5cmほどの卵型です。 秋に塾すと 半透明の白い果肉と無数の黒い種子が詰まっています。 アケビの実は1週間程度で熟して裂ける(開け実)のに対し、ムベの実は “裂けない”(塾したまま2ヶ月も そのまま…)。 また、小さな葉の数が 蔓が伸びていくに従い 3枚→5枚→7枚と増えていくので、昔から縁起の好い樹とされます。 野生の実はアケビよりも小さく 種子が邪魔で食べ難いのですが、近江国で育てられたものは別格。 朝廷に献上されます。 天智天皇が食べて「宜<むべ>なるかな」(なるほど美味しい)と言った…… など 名前の起源には諸説あります。 なお、ムベの茎や根は「野木瓜<やもっか>」という生薬…… 利尿剤・むくみの薬ですが、アケビ(木通)の方が有名です。 また、乾燥した実や茎・葉を煎じて服用すると、虫下し効果もあるそうです。 ◆ 琵琶湖を 『古事記』では 「近淡海 <ちかつあはうみ>」といいますが、“畿内から近い淡水湖”の意味。ムベを献上する「大贄 <おおにえ>」も、元は“淡水湖畔から貢ぐ”の意味だったかもしれません。そういえば「中大兄皇子」に 音は似ています (笑)。 ムベの学名の 「Stauntonia」は、19世紀に中国から英国にムベを持ち帰った旅行家 G・ストーントンに因みます。 しかし、アイルランド人のストーントン医師が 18世紀に生薬として持ち帰ったともいわれます (一族かもしれません)。 ◎ 10月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ 第76回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(On-Line)--- 10月1日(金) 午後2時〜、テーマ 『教室と世界をつなぐ学び--- 先生こそが真に未来をつくる』=宮地 勘司((株)教育と探求社 社長)。 ※ 実社会でキャリアを積んだ人が 現場の教師として協力してくれるシステムについて考えます。 ☆ TJF テンダーさん「その辺のもので生きる」(On-Line)--- 10月3日(日) 午後0時半〜5時、テーマ『その辺の草からロープを作ろう。ロープができれば暮らしが始まる』。 ※ SDGsを地でいくようなスキルとの出会いで、視野がぐっと広がる体験学習です。 ☆ 大阪大学の市民講座2021 複言語学習のススメ(On-line)--- 10月10日(日) 午後1時〜、テーマ『たくさんの言語に出会う』。 ※ 独語、インドネシア語、ヒンディー語など。どなたでも参加可能(無料)です。 ☆ シャヒーンの会 第3回セミナー(On-Line)--- 10月17日(日) 午後3時〜、テーマ『オランウータンに会いたい!---マレーシアの森でのフィールドワーク』=久世 濃子(国立科学博物館 協力研究員)。 ※ 群れないオランウータンの生活と文化、オス・メス・母子の生き方など、魅力的な実態を伺います。 ★ 武蔵野美術大学ギャラリー展示 「運ぶ--- 文化とかたち」--- 10月25日(月)〜、於:民俗資料室。 ※ 一見 素朴な道具も、素材や身体に合わせた加工から 現在と異なる自然との向き合い方、美意識も読み取ることができます。 ★ 第1回 XR総合展--- 10月27日(水)〜29日(金)、於:幕張メッセ。 ※ 5Gが本格化する中、XR機器の低価格化が進んでいます。 遠隔地での機器操作、技術伝承や安全教育、バーチャル空間でのプレゼン…。 ☆ educore保護者向けセミナー「コアな保護者会(On-Line)」--- 10月31日(日)、テーマ 『教育の今とこれから』=合田 哲雄(内閣府 審議官)。 ※ 子どもの進路のために知っておきたい 「3つの最新情報」を、現行の学習指導要領をまとめた人物が PTA会長6年間の経験も素に優しく解説。 3回シリーズの初回です。 [作品募集] 第5回アート&デザイン新世代賞--- 募集期間 〜11月7日(土)必着。 テーマ 『駅の詩<うた>』。 ※ 心の中にある “駅”という空間が内包する物語を、なんらかの形で表現してください。 表現方法は自由。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 「狸」の像は “他を抜く”の語呂合わせから、学業や商売で他より秀でる(抜き出る)縁起物として好まれてきました。 しかし、“誤魔化す/騙す+責任逃れ”の要領のよさで出世してきたお偉いさんも 「狸」と呼ばれます。 ◆ 日経新聞の未来面で 「多様性が当たり前の世界はどのような風景ですか?」という投稿募集があり、その結果か発表されました。 400字に込められた それぞれの “情景”……「多様性は他容性」など 私も使いたくなる言葉も多かったです。 ◆ ヨーロッパ人として初めてニュージーランドを “発見”したのは、オランダ人探検家のA・タスマンです(1643年)。1633年からオランダ東インド会社社員としてバタヴィア(現:ジャカルタ)に赴任、1649年まで辣腕を揮いました。 ◆ 『月刊グローバル経営』9月号の特集は 「大きな隣人---中国との付き合い方」でした。 「アメリカに従属せず 中国の言いなりにもならない」という日本独自の価値観を世界に訴えていくしか、説得力も信頼も得られません。 多様性の中を主体的に生き抜く力が求められています。 また、 福永佳津子さんが 『9.11 あの日あの時---日本人として思ったこと』を寄稿されていました。 あれから20年…… 事件直後、ニューヨークに駆けつけて目に映った光景、様々な人間模様…… 私たちは何を学んだのでしょうか? 10月号の特集は「海外安全対策の両輪」です。 ◆ 韓国の総合雑誌 『月刊 中央』に 外務省の道上尚史さんのインタビューが載りました (9/17)。 日中韓三国協力事務局(TCS)の代表を辞められるに当たっての直言に 胸を打たれます。news.livedoor.com/article/detail/20911051/ ◆ 『月刊 海外子女教育』10月号の特集は 「コロナ禍、私立在外教育施設の寮では」…… 学校現場だけでも大変なのに、24時間子どもを預かる寮は 更に多くの対応を迫られました。 そして 「顔」欄は、“世界一明るい視覚障がい者”の成澤俊輔さん…… どうやってインタビューしたかは、秘密です (笑)。 ◆ 海外子女教育振興財団の『学校便覧2022』と 関西かけはしの会の『帰国生への学校案内《関西》』が出来上がりました。 特に後者は 相変わらずの圧巻…… インターネットやPDF全盛の時代になっても、やはり紙媒体の持つ 説得力・安定感は格別です。 巻頭に 小木曽 道子さんのアドバイスも載っています。 ◆ 9月24日(金)、さいとう・プロの斎藤 隆夫さんが亡くなりました。 『ゴルゴ13』『無用ノ介』『鬼平犯科帳』 などの “劇画”は、世代・時代を超えて 私たちを楽しませてくれます。 中学時代の恩師、東郷先生の逸話は いささか出来過ぎですが、“やんちゃ”な子ほど将来が楽しみなものです。 享年84歳。合掌。 わが国の経済成長の象徴の一つだった「日新製鋼 呉工場の高炉」(1962年6月稼働) の “鉄の灯”も、29日(水) に消えました。 約60年、私たちの心も支えてくれたわけです。寂しいですけど 感謝したいと思います。 ================================================================================================== |
【2021-9】 ◎ 9月の “五月病” 国内では 第二学期が始まり、欧米の現地校や国際学校では、新年度を迎えています。 長い休暇が終わって4週間経つ頃から 子ども達が心身の変調を訴えるようになりますので、今から 心構えが必要です。 いわゆる 「不適応症状」は 海外転勤や引越しなどでも起こりますし、保護者も子どもに少し遅れて症状が出ます。 教員から見れば “モンスターorクレーマー”と感じる言動をすることも少なくありません。 メカニズムを予め理解し、お互いに声をかけ合って 心構えを持っておくことが、最大の予防法になります。 ◎ 「出産ツアー」の真の目的は? 生れた時に日本の国籍が認められるのは、原則として 親が日本国民である場合に限られます。 ところが、アメリカ、カナダ、中南米諸国など30ヶ国では、そこで生まれた子に無条件で国籍(市民権)が付与されます。 しかし、この制度を利用して アジアから大量の 「出産ツアー」がやって来ることに、先進国では頭を悩ませています。 渡航目的は移民ではなく、子どもの国籍を取得することが目的…… 国籍があれば 将来は留学生よりも安く高等教育が受けられるし、就労機会も格段に多い…… という “権益確保”なのです。 妊婦たちは 決して生活が苦しいわけではなく、2万米ドル以上の滞在費が払える富裕層です。 また、出産後に帰国しますから、渡航先の所得税等を負担しません(子どもが “帰国後”に所得を得るまでは)。 英国とオーストリアは つい昨年、国籍取得要件を 「少なくとも片親が 国籍or永住権を所有していること」に変更しました。 ◆ 「出産ツアー」について アメリカは、トランプ政権から 「入国目的を偽る行為は不法入国」として取締を強化しましたが、効果は薄いようです。 コロナ禍を逆手にとって 「帰国できない」と主張されては、いっそう難しいのです。 ◆ わが国の中学・高校にも、米国籍やカナダ国籍を持つアジア系生徒が増えてきました。 学力もやる気もけっこうあって、指導しがいも感じます。 大学進学先は 親の本国ではなく、国籍を持つ国なので、学校にとっては 「海外進学実績」になります。 ◎ トヨタが 「ル・マン」で4連覇 8月22日(日)、世界三大レースの一つ 「ル・マン24時間レース」で トヨタ自動車が4連覇を達成しました。 13.6km前後の公道コースを 24時間で何周できるかの耐久競争…… 車の安全性を含む技術革新の最先端を争っています。 丸30年前(1991年)、ロータリーエンジン搭載車で マツダ(東洋工業)が日本車として初めて総合優勝しました。 1980年代は ポルシェの独壇場でしたが、マツダの “ぶっち切り1位+6位・8位入賞”に 世界は驚きます。 この事態に メジャー各社は戦慄し、翌92年から ロータリーエンジンでの参加はできないことになりました。 今世紀に入ると、耐久レースそのもののコストが莫大になったため、欧州のメーカーが辞退するようになります。 トヨタの “優勝”が予想される2018年、「Le Mans Hypercar:LMH」なる新基準(経費を約1/4 に削減)が決定されました。 マツダの優勝から満30年の今年は LMH基準によるレースの初年度でしたが、トヨタは見事に克服して見せたわけです。 ◆ 来季から プジョー、ポルシェ、アウディなど欧州の名車が戻ってきて 激戦が再開されるといわれます。“耐久性”は日本車の誇りでもありますから、トヨタ・チームには頑張ってほしいです。 そうそう、小林可夢偉さんの“ル・マン初制覇”もおめでとうございます! ◎ 「9.11」から満20年 2001年の米中枢同時テロから満20年が経ちますが、関連する捜査資料は機密指定となっています。 サウジアラビア政府が関与した証拠もあるそうで、機密解除を公約に掲げていたバイデン大統領も 慎重になっています。 ニューヨークの世界貿易センタービル跡には 追悼の記念碑や博物館、対岸にも慰霊碑(曽野正之さん設計)ができています。 犠牲となられた方々の冥福を祈ると共に、当時の混乱から私たちは何を学んだのかを 改めて考えたいものです。 ◆ アフガニスタンの紛争で印象深いのは、1979年末のソ連軍のアフガニスタン侵攻です。 翌年のモスクワ五輪を 約50か国(米・独・伊・中・日などとイスラム諸国)がボイコットしました。 そして 「9・11」直後に 米軍がアフガニスタンに侵攻、20年に亘る “米国史上最長の戦争”が始まりました。 ◆ アフガニスタンの政情は混迷を極めています。タリバン広報部は 日本とは仲良くしたい意向を表明していますので、逃げ出さずに頑張る人材も必要でしょう。 それだけ骨のある公務員・駐在員が 多くいてくれることを願います。 ◎ カリギュラ効果に注意を 「Reactance」(カリギュラ効果)は、「〜しては駄目」と言われると 反発して ついついやりたくなる心理作用です。 誰か/何かが 自分の自由や選択・裁量幅を制限していると感じると、本心や趣旨とは逆の態度をとってしまうのです。 教育心理学では、「〜しては駄目」という指示に対する励行率は 「〜しましょう」と言った場合の半分以下だと習います。 しかし、ついつい子ども達に 「走らない!」「喋らない!」と言ってしまい、素直な子にまで反発されてしまいます (笑)。 昨今の公務員や教職員の不祥事の多発も、上司からの無数の 「〜するな!」の圧力が 原因なのではないでしょうか?(それでいて、何の指示もせず「上手くやれ」と言う=責任逃れの常套句) 本人は 頭の中で 「拙い!」と百も承知ながら、堪らなくなって起こしている例が多いようです。 同様に、後期高齢者の多くは、仕事を辞め 次の生き甲斐が見つけられない寂しさに耐えているかもしれません。 その心理状態で 「〜するな」と言われると、つい怒鳴りだしたり “反社会的なアクセル”を踏んだりしてしまいます。 たとえ 本人にとって利益になることであっても、制裁や不安をちらつかせたり して導こうとすると 逆効果。 困難or深刻な状況になればなるほど、誠実で温和な態度で 「〜しましょう」と促すようにすることが必要なのです。 ◆ 高齢者による暴走運転や高速道路の逆走なども、家族から 「もう運転しないで」と言われたことが けっこう原因になっています。 本人の心に寄り添いながら 粘り強く説得するしかないようです。 「皆さん、マスクをしましょう!」もそうですけど。 ◎ 第76回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催 10月1日(金)、Zoomで開催されます。 話題提供は 教育と探求社の宮地 勘司さんで、テーマは 『教室と世界をつなぐ学び--- 先生こそが真に未来をつくる』です。 世間の価値観や学校の役割が急速に変化し 多様化していくなか、専門職としての教師には 多大な期待が寄せられています。 文科省の教員免許更新制小委員会でも、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿が議論されたようです。 現場で格闘する教師にとって、実社会でキャリアを積んだ人に 現場の教師として協力してもらえると “目から鱗”なこともあります。 多彩な展開をしてこられた宮地さんの経験談は貴重です。 伺ったお話を素に、本音で話し合いたいと思います。 ◆ 「探究学習は、生徒・先生・学校に何をもたらすのか?」「クエストエデュケーションで変わっていく学校」など、具体例を引きながらお話しいただき、それを素に話し合います。 ◎ 日本製品ボイコットの現実 韓国の「日本製品ボイコット運動」は2年以上になりますが、私たちが心配したほど 日本製品が忌避されてはいません。 韓国では高級品である 「ユニクロ」「デサント」 そして 「LEXUS」等は “金持ちの象徴”として 安定して売れ続けてます。 また、東京五輪に参加した韓国選手のユニホームやシューズ等は、大半が デサント、ミズノ、アシックスなどの日本製です。 野球の日韓対戦(韓国でも注目!)では、ブランドの部分にガムテープなどを貼っている選手も見られたのは ご愛嬌。 五輪参加そのものも 大統領から直前までボイコットをちらつかされて、選手たちは可哀そうだなぁと思いました。 ◆ 日本製のタバコにも、韓国での不買運動の影響はありません。 JTインターナショナル製品は フィリピン工場で生産されるため、日本製だと判らないのでしょうね (笑)。 国家が絡むと 敵愾心剥き出しを演じさせる “同調圧力”には、困ったものです。 ◎ 「海外子女文芸作品コンクール」の思い出 今年は 42回目です。 初年度2千点もなかった応募点数は、最近は約4万点も集まります。 今でも忘れられないのは 第四回コンクール(1983年)で、作品の質も量も 一気に向上したことです。 とくに 上海補習授業校(当時)と ベロオリゾンテ日本人学校(ブラジル)から、小規模校なのに “名作”が多数届きました。 コンクールの入選作品集を持って 紀伊國屋、丸善など有名書店の仕入課を巡っていくと、“平積み”を約束してくれたほどです。 残念ながら 再版できるほどは売れなかったものの、『帰国生のための編入学便覧』と並ぶ人気刊行物になりました。 そして 海外子女文芸作品コンクール自体も、翌年の第五回コンクールには 応募点数が1万点を超えるほどに成長しました。 ◆ 海外子女文芸作品コンクールを開催する話は最初、飲み会の場で 課長から聞きました (笑)。 誰もノウハウなどなく、唖然として聞いてました。 何もかも手探りで (もちろん通常業務の片手間)、他のコンクールを見よう見まねでやっていた感じです。 ◎ ポジティブ思考の落とし穴に注意 「Positive Thinking」(積極思考)にも 注意が必要です。 かつて 私たちは、「病は気から」「笑う門には福が来る」と励まし合って、苦しい環境や状況を乗り越えてきました。 「何でも前向きに考えれば 結局は旨く行く」と考えることで現実を変えようとする思考法は、日本の庶民の知恵でした。 しかし、それは時として 私たちの認知を歪めることもあります。 「楽観(主義)バイアス」(物事を楽観的に捉える傾向)…… 自分の思い込みや妄想、周囲の環境や誤った情報等により、非合理的な判断/自己催眠をしてしまうこともあるのです。 昨年5月、F医師がテレビで 「若い人は軽症」「戸外でマスクは不要」と話した途端、マスクなしの外出者が増えました。 ずっと続く “自粛ストレス”を軽減させたいという 無意識の衝動に襲われ、「もう感染対策なんか…」の思考に陥ってます。 マスコミが 「怖いですよね」「困りますよね」と不安を煽り続けていることは、“自粛ストレス”を高めてもいます。 そこに 「自粛しない人/店もある」「もう我慢できない」という発言を取り上げれば、楽観主義のスイッチが入るのです。 ◆ 「百年に一度の豪雨」という言葉は、私の記憶では1993年8月が最初だったと思います。 ところが今、そんな豪雨が 月に何度も降っているのです。 「地球温暖化理論は嘘」という論説も、楽観主義のスイッチを入れてませんでしょうか? ◎ 9月の諸行事――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ☆ 国際人をめざす会・国際人教養講座(On-Line)--- 9月6日(月) 午後7時半〜、テーマ 『米国同時多発テロ 「9.11から20年」 あの日あの時のこと、日本人として思ったこと』=福永 佳津子(海外邦人安全協会 理事)。 ※ 海外で邦人が犠牲になることの重さ、日本人であることを強く意識したことなど 残しておきたいお話です。 ☆ 大阪大学 市民講座「複言語学習のススメ」(On-Line)--- 9月11日(土)・10月10日(日)。※ どなたでも参加可能です(先着 100名、各講座の一週間前〆切)。 ☆ 第4回 JACTFLオンラインシンポジウム(On-Line)--- 9月12日(日) 午後2時〜、テーマ『コロナ禍で推進する高校・大学の国際化--- これからの国際交流のあり方を考える』=近藤 祐一(立命館アジア太平洋大学 教授)、宮澤 文玄(学習院大学 学長室部長)ほか。※ 立命館慶祥高校・関東国際高校の報告も 注目です。 ☆ CFIEC 国際情勢ウェビナー--- 9月15日(水) 10時15分〜、テーマ『アフガン問題……激動する国際地政学と日本の対応』=北岡 伸一(国際協力機構(JICA) 理事長)、宮家 邦彦(キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹) ほか。※ 日本の対外政策の最前線の識者を招いて話し合います。 ☆ TJF 日露教師交流会(On-Line)--- 9月19日(日) 午後3時〜5時。※ 日露間学校交流を行っている教師の実践を報告し合うもので、新たに交流を希望する教師の参考にもなります。 ☆ ASIA-NETセミナー(On-Line)--- 9月22日(水) 午後7時〜、テーマ 『デジタル社会の営業力/コロナで変わった営業の成功条件』=藤原 敬行(ナレッジフォース・パートナーズ代表)。 ※ デジタル社会での働き方対応力を どう養うかの勉強会です。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆ 「日韓交流おまつり 2021」 がソウルで 開かれ(9/5)、東京では11日(土) に開かれます。 コロナ禍のせいで、昨年に続いて今年も YouTubeにて開催。 個人としては魅力的な韓国の人たち を理解する貴重な機会です。 ◆ 『月刊 海外子女教育』9月号の特集は 「文芸作品コンクールをふり返る」…… 第一回から現在までの優秀作品を紹介しながら、海外子女教育を取り巻く環境を振り返ります。 ◆ 「休業補償」などの資金は、既に今年度(東京都を除く)46道府県に交付されていますが、一般財源に入っているため各知事は だんまりを決め込んでいます(住民が請求しないから執行しない)。 野党が 「〇〇兆円の真水を…」と次の選挙公約に掲げているのは虚しいです。 ◆ 米大リーグ(MLB)のデータ分析会社 「Codify Baseball」は、エンジェルス 大谷翔平選手が打者の時の “疑惑のストライク判定22連発”を公表(8/22)、「どの選手よりも判定に苦しんでる」としています。 (含む ジョー・ウェスト球審=8/2) NYヤンキーズ戦(6/30)の先発投手の際は、ジョン・リブカ球審が 際どいストライクをボールと判定し続けたため(⇒ 自責点7)、大谷投手は41球で降板(注:球審判定は チャレンジ不可)。 本人には “いい勉強”になったと思います。 ◆ 台風や豪雨の最中に、田畑や水路、あるいは漁船などの様子を 「ちょっと見てくる」と出掛けてしまう人が多い(Scouting=偵察行動)のも、カリギュラ効果でしょうね。 「最も被害に遭う危険が大きい」といくら言っても……。 御身大切に。 ◆ 学校行事では、最後に必ず校歌を斉唱して終わります。 私は 母校5校、勤務校5校、それに3人の子の通った学校の4校(その他は 私の勤務校です)… の14曲に親しんできました。 メロディを聴けば 校舎等が目に浮かびます。 コロナ禍が 子ども達の原風景を霞ませないことを願います。 ◆ 学校関係者に愛されてきた 松村眼鏡店(豊島区要町)のご主人に 先日会いました。 「閉店の挨拶状を出したら 大ブーイングでね。 『私が死んでからにしろ!』って…(笑)」 土曜日だけ 店を開けているそうです。 まずは 一安心。 ◆ 積極思考を悪用し 楽観バイアスを引き起こそうとする輩を、警戒しましょう。 そして、辛いと思ったら まずスマイルを! 微笑んでいれば 楽になるし、楽しくなってくる、力が湧いてくる、仲間が寄ってくる……。 ================================================================================================== |