子女教育ニュース

      担当: 国際教育相談員 小山 和智  facebook
海外人事や教育関係の実務担当者の皆様に配信しているニュースの一部を、
一般の皆様にも公開します。 教育相談などについては 「教育相談から」を。
2023年 3月2月1月、2022年 9月〜12月5月〜8月1月〜4月、2021年 9月〜12月5月〜8月1月〜4月

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【2023-4】

校名変更が相次ぐ
  ここ数年、“世界標準教育”やSTEAM教育を掲げて校名変更をした中学・高校が 相次いでいます。 少子化とグローバル化が進み、“変化の激しい時代を生き抜ける力”を求める親の需要に応えたいという趣旨でしょう。 開智日本橋(←日本橋女学館)、三田国際(←戸板女子)、法政大学国際(←法政大学女子)、広尾学園小石川(←村田女子)、サレジアン国際(←星美)、サレジアン国際世田谷(←目黒星美)、芝国際(←東京女子)… 他方で、大学による “係属化”も進んでいます。 中央大附属横浜(←横浜山手女子)、東洋大京北(←京北)、目黒日本大(←日出)、明治大付属世田谷(←日本学園)… そして、上智大学や青山学院大学などキリスト教系大学の “係属強化”も露骨で、名門女子校の共学化の噂は絶えません。
◆ 日本におけるキリスト教系の伝統校の特徴は “ウィリアム・ヴォーリズの校舎”と 欧米型の “リベラル・アーツ教育”です。 昨今の “世界標準教育”のブームのなかで 巻き返し/対抗策が図られています。 ほとんどの授業を英語でやる学校も増えました。

『スパゲッティの収穫』のデマ
  昨年の4月、遠山 顕さんのブログに 『Spaghetti-Harvest in Ticino(英BBC 1957年)の動画が紹介されていました。 スイス南部ティチーノ州の家族が スパゲッティを収穫し、収穫祭を催している模様を伝える “時事ニュース”です。 実は 「April Fool Day」のジョークで作成されたデマ…… 英国のパスタ工場とスイスのホテルで 撮影されたものです。 当時の英国では テレビ受像機は約7百万世帯にあり(普及率 44%)、約8百万人が視聴したと推定されています。 当時、小麦粉と水で作るパスタは 英国では日常の食べ物ではなく、わずか缶詰スパゲッティが知られていただけでした。 しかし、翌日には 数百人がBBCに電話をかけて、その信憑性や栽培法などを問い合わせる騒ぎになったそうです。 デマや見た目に騙されないための知恵は大事です (笑)。
◆ 「Fake News」は “いつものように(as usual)”が後ろにつくほど、インターネット上に氾濫しています。 CNNが 『スパゲッティの収穫』を <名門の報道機関が引きずってきた最大のデマ> と敬意を評するのは、もう古き良き時代のことなのでしょうね。

第84回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催
  4月19日(水)、日本マレーシア協会の新井 卓治専務理事をお迎えします。 新井さんは、発展途上国との民間交流コーディネータとして 外務省からも信頼されている方です。 最近、“世界標準の教育”を掲げる学校の多くが 生徒を途上国に宿泊体験させることを課す例が目立って増えています。 しかし、その実施に当たり、治安面・安全面など様々な課題のほか 適正な多文化理解ができるように配慮も必要です。 その点、新井さんは長年、熱帯雨林再生プロジェクトや 村落滞在を含む多文化及び環境保全研修プログラムを実施されてます。 せっかくの “学び”の機会を無駄にしたり 逆効果になったりしないためには、どんな秘訣があるのでしょうか? SDGsに どう取り組んだら好いかで悩んでいる方は、是非 マレーシアでの教育研修の実際を参考にしてみましょう。 各地の現況や準備上の留意点など 具体的なお話しを伺い、それを素に話し合いたいと思います。
◆ 途上国での教育研修というと、ともすると参加者が “上から目線”になってしまう危険があります。 しかし、謙虚な姿勢で臨めば、現地での堅実な営みに驚いたり 私たちが見失ってしまった人間性や倫理観に気づいたりできます…… 要は 指導者次第です。
◆ 海外での教育研修の原点を見直し、デジタル未来を生き抜く元気な若者の育み方を考えます。 「熱帯雨林の再生など遠い他人事」と考えがちな子どもたちに “身近で切実な問題”と解ってもらうには、どうします?

「自転車安全利用の五原則」を教えましょう
  新年度で生徒に教えておきたいことの一つです(2008年の道路交通法改正)
  1) 自転車は、車道走行が原則。歩道は例外的に可能。  2) 車道では、左側を通行。  3) 歩道では、歩行者優先で、車道寄りを徐行する。  4) 安全ルールを守る。= 「飲酒運転・二人乗り・並進の禁止」 「夜間はライト点灯」 「交差点での信号遵守と一時停止・安全確認」  5) ヘルメットを着用
  今月からの改正道路交通法では 「ヘルメット着用努力義務」の対象が、全ての自転車運転者に広げられました。 つまり、自転車による通勤・通学・作業等を認めている事業所/学校でも、ヘルメットの着用を促す責任があるのです。
◆ 「自転車安全利用の五原則」に罰則はないものの、それの周知を放置しておくことは、学校や雇用者に責任が生じかねません。 また、子どもであっても、自転車に乗るのであれば 個人賠償責任保険に加入しておかないと、家庭が崩壊しかねません。

帰国教師の実態調査の結果が発表される
  中京大学の芝野 淳一准教授の 『帰国した在外教育施設派遣教員の実態調査』の結果が、このたび発表されました。 派遣教師たちが過去の経験と現在の経験を目一杯活用し、試行錯誤を繰り返しながら教育実践を捻り出している様子…… この異なる教育現場で培った経験を応用/融合しながら新しい実践を創出する力を、芝野さんは 「越境性」と呼びます。 現場に生じる複雑な教育問題を解決するために 各教師が 「越境性」を駆使する様子を、浮き彫りにする調査結果です。
  例えば、日本の僻地で実践してきた「村の学校づくり」をアフリカで応用し、現地の人々と日本人学校コミュニティを…。 逆に、欧州で取り組んだグローバル教育を応用し、離島で学ぶ子どもを島外の世界とつなげる…… こんなダイナミックな教育実践が展開されている様子も報告されていて、励まされます。
◆ 「越境性」をもつ帰国教師には、学校現場をより良い方向に変える潜在力があります。 そうした先生方を教育課題の解決に積極的に役立てる…… 「越境性」を発揮できる環境を整え 他の教師との協働を促していくことが求められています。

東京五輪の汚職事件で “電通隠し”が露骨
  “主犯” の高橋 治之氏は (株)電通の専務取締役だったことを、最近 マスコミは触れなくなっています。 安倍首相(当時)も 「絶対に高橋さんは捕まらないようにします」と約束していた(高橋氏談)そうですけど…。 高橋氏の贈賄攻勢に対し、IOCのトーマス・バッハ会長が露骨に批判していたことは、日本では知られていません。 汚職の本部は (株)電通だったのに、各メディアはそれを伏せることで広告収入を確保しようとしているわけです。
  入試採点の “下請受注”で暗躍する 「ベネッセ」も、儲け続けています。 今年から東京都立高校入試で義務付けられた “英会話試験”は、フィリピンで採点する “荒業”で実施されました。 こちらも広告収入が絡むので、各メディアは知らん振りを決め込んでいます。
◆ 「大学入学共通テスト」の記述式問題導入は、受注予定の 「ベネッセ」に批判が殺到し延期されました(2020年9月)。 批判の一つは、試験実施前に 同社に試験問題と正答例が予め知らされる仕組みでした。 代替案がそろそろ出てくるのでしょうね。

オリエンテーションの季節ですね。
  “学び”の本質は、学習習慣の形成といって好いかもしれません。 それが身に着けば、どこかで成果が出るものです。 好い成績/業績は “諦めず続けた結果”であることが大半で、その挑戦の機会が何度もある人が 幸せでいられます。 試験やビジネスの結果には “運”がつき物ですが、本人の継続的な努力なしに “勝ち続ける”ことはできません。 “好い結果”を出せるように “適切なやり方”をしているかどうかを、常に自分で確認できることが大事なのです。
  “Aの方法よりも Bの方法が有効” ではなく、それが今の自分に適しているかを知る座標軸のようなものを培う…… 指導者の務めは、若者や保護者にその助言をすることであって、正解や “託宣”を与えることではないでしょう。 基本は 「本人に自己選択させること」。 “先輩”として 寄り添い、伴走し、励まし、見守り続ける営み(そこに 指導者の “学び”もある)だと 私は思うのです。
◆ “学び”については、多田 孝志先生(金沢学院大学)の論文 『学びの世界の忘れ物--- 対話型授業の探究の視点から』(共創学研究所)の一読をお勧めします。 昨年10月、JR金沢駅で一時間余り歓談した時、「自己決定力の大切さ」で意気投合しました。

「パフォーマンス合宿」のWEBサイトが 全面改訂
  このたび 国際文化フォーラム(TJF)により全面改訂されました。 従来の実施報告に加え、フォトギャラリーと動画ページを新設。 発表会に至るメーキング画像も織り込まれています。 多言語・多文化に繋がりや関心をもつ高校生が、ありのままの自分を表現したり多様な人と関わったりする喜びを体感し 自信を深めていけるように、演劇やダンスを取り入れた様々な表現活動を通じて交流するプログラムです。
  2018年3月から2回、東京都八王子市で合宿を実施したものの、2020年からはオンライン実施に切り替え…… 海外からの参加者も受け入れ、SNS、テレビ会議システム、VR等の技術を活用したプログラム開発に成功しました。 2022年8月からは、広島で合宿による実施を再開しています。 そして 今年の募集も既に始まっており、4月末に締め切られます。 若者は 夢を描ける人であってほしい。 夢は個人にとっても組織にとっても大事なのです。
◆ 長江春子さん(TJF) が 「こんな合宿をやりたいんだけど…」と要町まで相談に見えたのは、6年前の春休みでした。 二人でブレーンストーミングをし戦略を練ったのは、懐かしい思い出です。 1年後、坂本万里先生(神奈川県立高校)と三人でやった “反省会”も楽しかったです。

第84回グローバル化社会の教育研究会(EGS) 開催される
  19日(水)、日本マレーシア協会の新井卓治さんから 海外での教育研修の現状の講話をいただき、それを素に 挑戦心旺盛 かつ謙虚で探究好きの若者を育てていく勘所を話し合いました。 日本の若者を温かく迎えてくれるマレーシアの人々…… 「ここは桃源郷ですね」と感激する先生も少なくありません。 わが国のビル建設のため “安い南洋材”を伐採し続けた責任は、熱帯林再生で少しづつでも返せているなら救いです。 体験を通して学ぶ意義は絶大ですので、学校現場の先生方にも挑戦の心を持って欲しいです。
◆ 21日(金)の日没からムスリムは 「Idul Fitri/Lebaran」(断食明けの祭り)に入り、イスラム圏では 24日(月) までが法定休日です。 若者たちが両手にお土産を持って帰省していく様子は、落語の “藪入り”を思い起こさせます。

4月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ASIA-NET セミナー--- 4月9日(日) 午後5時〜8時半、於:銀座/中華料理店。テーマ 「お酒とマナー」= 斉 月 (幸叶堂 代表取締役)。 ※ 「乾杯・半乾・随意など、実習を交えながら人間関係構築のノウハウを伝授してもらいます。
[文科省] グローバル教師ポータルサイト--- ※ グローバル時代の国際理解教育に関する専門家による講演、日本人学校・国内校などでの実践事例などの動画を一挙に公開。
CFIEC ウェビナー(On-Line)--- 4月11日(火)、テーマ 『デジタル未来における3つの危機…… ネットの危機、プライバシーの危機、データ流通の危機』= 江崎 浩(東京大学大学院 教授)・石井 夏生利(中央大学 教授)・越塚 登(東京大学大学院 教授)ほか。 ※ 社会や生活、文化にまで 「デジタル」が浸透しつつある現状での “生き抜き方”を考えます。
日本医学会総会2023東京 博覧会 --- 4月15日(土)〜23日(日)、於:東京国際フォーラム(有楽町)ほか。 テーマ 『からだの 「知りたい」がここにある!』。 ※ 4年に一度の医学イベント。概要は漫画でどうぞ。
第84回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(Hybrid)--- 4月19日(水) 午後2時〜4時半、テーマ 『海外での教育研修--- マレーシア・サラワク州の事例を中心に』=新井 卓治(日本マレーシア協会 専務理事)※ 挑戦心旺盛 かつ謙虚で探究好きの若者を どう育てていくか、海外での教育研修の現状を素材にして協議します。
LinguaHackers 講演会(On-Line)--- 4月25日(火) 午後7時〜、テーマ 『中高生が英語で議論する力を身につける方法』=嶋津 幸樹(IELTS専門家)。 ※ 「自分の意見を 自信を持って相手に伝えたい」という生徒や保護者への福音です。
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◆ 『月刊 海外子女教育』4月号特集は 「海外駐在をめぐる整理整頓--- ミニマルに暮らす」です。 整理収納アドバイザーの 南さやかさんにお願いして、駐在生活の暮らしと子育てを “楽”にするコツを いろいろ教えてもらいました。

◆ 「もっと早く相談していたら…」と言う人は多いです。 でも、謙虚に相談する気にならなかった自分を反省していないと その人は別な部分で “無駄な努力”を続けます。 「小山先生のお名前は存じていたのですが…」と言う人ほど、私の助言は その人の心に届きません。(苦笑)

◆ 長江春子さんと面談していると、いつも吉田松陰の言葉が頭に浮かびます。 「夢なき者に理想なし。 理想なき者に計画なし。 計画なき者に実行なし。 実行なき者に成功なし。 故に、夢なき者に成功なし」… 彼女の気迫に、年寄りの血も騒ぎ始めるのです。

遠山 顕さんの 『いつでも英会話入門』(NHK出版)が2年目に入りましたが、これで英会話が面白くなった人は幸せです。 逆に 「他に何か好い方法はありませんか?」と聞いてくる人には、何と言って上げましょうか? 「梅の華を見上げなさい」って言っても、やらないんでしょうしね?(笑)

山中 昇さん(英検1級道場)は英国に5年駐在中、スコーンづくりの腕も磨いて天下一品です。 ときどき自家製スコーンに クロテッドクリームを抱えて遊びに来てくれますが、しばし至福の一時を過ごせます。 ジャムもたっぷり載せて 英国南海岸の風景を思い出しながら…。

◆ 日本三景の一つ 「安芸の宮島」の3月の来島者数が約44万人(昨年同月 21万人の2倍以上)と、過去最高になったそうです。 訪日外国人も目立ち、ほぼコロナ前のレベルに回復しているのでしょう。 どれだけ経済効果が出てくれるかですけど、旅行者のマナーだけは乱れませんように。

◆ 14日(土)、ドイツの最後の原子力発電炉3基が停止し、ドイツは “脱原発”を達成しました。 日本では経産省と自民党が 真反対の画策をして、「再生エネルギーは高い」という印象操作を続けているのに…。 マスコミも原発の寿命延長を応援しています。(溜め息)

◆ 24日(月)、ジャズ歌手のロニー=ハーシュさんが還らぬ人に…… わが家の近くの英国パブでは 彼の歌が流され、献杯が続いています。 IB教師も多く訪れるこの店の片隅で、ウィットの効いた話を楽しませてもらう…… F・シナトラに似た美声にも 常連は皆 酔い痴れてました。(合掌)

◆ 遅ればせながら FaceBook も始めています。 お暇な時に覗いてみてください。

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【2023-3】

三日と 「みっか」
  旧暦3月3日は 稲作文化において豊穣の女神を招魂する習俗で 「上巳, 桃の節句, 雛祭り」などと呼ばれてきました。 東南アジアの米作地帯では その習俗の原型を今でも見ることができますが、不思議と 「Mika」という音を耳にします。 日本語では 毎月の初め/慶事から3番目の日、またはその日までを 「三日<みっか>」といいます。 大昔は、神棚やお客に酒を献ずる瓶<びん>を 「ミカ」と呼んでいたそうです。 それが室町時代頃から 液体容器の多くは 「甕<かめ>」と呼ばれる一方、「三日」は <みっか> になったとされます。
◆ タミール語の 「Mikka」は “たくさん, とても”の意味です。 「三ヶ日遺跡」は 本当は “酒瓶がたくさん出る遺跡”の意味だったかもしれません (笑)。 因みに「一献<いっこん> さしあげる」は もう死語……“三は割れない”の縁起担ぎで、3杯目まで飲ませることをいいました。 結婚式の 「三々九度」もその名残りです。

旧約聖書の 「ミカ」
  旧約聖書で 「ミカ (Mikah, Micah)」というと 預言者ミカヤ…… ユダ王朝(BC.8世紀)で活躍しました。 エルサレム西方の出身で、社会で抑圧されている人々に共感し、横暴な為政者たちの不正を厳しく糾弾します。 アッシリアの侵攻の原因も 王や聖職者の宗教的・道徳的堕落にあると警告し、救世主の出現を預言しました。 国防の要諦は 国民と軍人が “守るに値する政治”だと思っていることにあり、それを抜きに有効な軍備はできません。 その意味では、現在のわが国は非常に危うい状況といえます。
◆ 雛祭りを迎え、子どもを安心して生んで育てられる社会、若者が健全な判断力を持てる社会の実現を、切に願います。 「希望(=ニンジン)さえブラ下げとけば 国民は頑張る」と考えている政治家・経営者を 放置してはいけません。 「私に責任がある」と言いながら、一切責任を取らない輩も…。

主婦の職場復帰を考える
  子育て後に職場復帰をしたい女性の前に立ちはだかる3大障壁は、「IT技術」 「外国人」 「元気な老人」だという話を耳にしました。 確かに、数年の間にIT環境は大きく変化して、新しい機器に習熟することにも取り組まなければなりません。 また、外国人や定年後の人の多くは安給料でも何とか働いていますので、“復帰組”が正規職を得る機会は限られます。 使用者側は、保育所や子守りの経費、研修の経費、そして “元キャリア”の自負を持つ女性の扱いに悩んでいるし…… だから、経営効率だけを見れば 外国人や定年退職者を雇用する方がメリットがあるように見えるかもしれません。
  しかし、基礎知識も現場経験もあり、それなりのプロ意識を持つスタッフを確保できないで困ってるのも雇用者側ですそもそも 「所得税の配偶者控除を取り払えば、安給料で働く主婦が増える」という政財界の発想自体が間違っています。 労働そのものへの敬意や配慮まで欠いており、“総活躍社会”を真っ向から否定する政策方針ではないでしょうか? また、非正規雇用者の比率増大やブラック企業横行を放置することは、社会全体を疲弊させてもいます。 他方、外資系企業やベンチャ―企業では 「ジョブベース雇用」が当たり前なので、“職場復帰組”の採用に熱心です。 日系企業が 数年後に 「しまった!」と思っても、後の祭りなのですけど…。

3月17日は 「St. Patrick's Day」
  アイルランドにキリスト教を広めた聖パトリックの命日です。 カトリックの祭日で、アイルランドの祝日…… 米国の 「緑の日」を盛大に祝う習慣は、今では世界中に広がっています。 ニューヨークの警官には アイルランド系が多く、「Paddy」と聞いたら “警官”と思って まず間違いありません。 「Patrick(アイルランド人のあだ名)が訛ったもので、日本語で言う 「イモ」「猿」に近い蔑称です。 だから 「Paddy Wagon」が “護送車”のことだと解っても、私たちは 「Patrol Wagon」と呼ぶほうが無難でしょう。 日本語に訳す時も、私的制裁や証人抹殺等から被疑者などを護り(Patri)ながら移動する意味を込めるわけですから。
◆ 「Patrol」は “足で地面を叩く”が原義ですが、日本語の 「足を棒にして」と同様、あちこち歩き回る様子を言います。 警官・取締官などは 犬に喩えられ、“嗅ぎ回る”と嫌がられたりして、気の毒です。 まして 「Paddy」は……。 東京の I Love Ireland Festival 2023 は3月11・12日(土/日)です(於:代々木公園)。

子どもを聴く姿勢にする?
  親を含む大人に何かを質問する時に、子どもは 「これだけを知りたい」と思っています。 だから、もし “余計なコト”まで言われると、「ああ、スマホのほうがいい」などと考え始め、興味が失せます。 その原因は、親が忙しいものだから、教えておきたいことだけを先回りして教えてしまっている日頃の習慣にあります。 答えだけを(子どもから聞かれる前に)教えてしまうと、子どもが悩んだり試してみたりする機会を奪っているのです。
  その状態が習慣化すると、学校でも塾でも 「だから、答えは何?(早く言えよ)」と思いながら授業を受けています。 校長の講話も1分を超えた段階で、「早く終わらないかなぁ…」と 全てが忘却の “屑かご”に消えていきます。 校長によっては、途中で手品をしたり腕立て伏せをしたりして、子どもの注意力や心を引きつける努力もしています。 その趣旨は、伝えたい内容を将来の糧にしてもらうだけでなく、聴く姿勢と聴き続ける力を少しでも伸ばしたいのです。
◆ 道に迷ったら地元の人に聞けばよいのに、スマホに頼って迷い続ける若者が増えました。「どこに行きたいの?」と聞かれても、「あ、いいです」と応える。 気拙くなって、急いで視界の外に出ようとして ますます迷い続けます。 スマホが悪いのではなくて、周りの大人の育て方/意思疎通の方法が誤っているのです。

自尊の心と “学び”
  「Self-Esteem(自尊の心)と 「Pride(誇り)とは別物。 前者は 「Humanity(人道, 博愛)と表裏の関係です。 「Pride is about my glory; Humanity is about God's glory.(プライドは自分の栄光についてのもの、人道/博愛は神の栄光についてのものである) 人間の “学び”は、自己の肯定/決定をどこまで広げていけるかの主体的な営みで、自らの想像力の所産でもあります。
  「A man's pride shall bring him low; but Honour shall uphold the humble in spirit.(「箴言」29章23節) 驕る者は低くされ、心の低い人は誉れを受けるようになる…… この文の行為者は 「God」です。 ヒトという動物に繰り返しこれを説くのは、ヒトが “謙虚さ”を持たないからでしょう。 批判的な思考は、自分自身の調査法や思考過程の検証にも向けられるべきです。
◆ 通称 『ビリギャル』(坪田信貴・著)の小林さやか さんは、「絶対に私を信じてくれる大人」(母)と 「私にワクワクの種を与えてくれる大人」(T先生)がいたから、強靭な自己肯定感を持てたと言ってます。 “学び”を支える謙虚な大人に恵まれたのですね。

この 「教育通信」 も四半世紀
  3月末で満25年…… 振り返れば、ずいぶんと長く書き続けてきたものだと思います。 最初は、学校現場が “グローバル化”の荒波に揉まれて、関係者の困惑や悲鳴が湧き起こり始めた時期でした。 もし 「教育通信」が説教じみて感じられたり政治的と感じられたりしているとしたら、私の不徳の致すところ…… 伝えたいのは 私の失敗や後悔・懺悔の気持ちと、“若者が自らの良心で判断する力を持って欲しい”という願いです。  <誰もが 批判的に状況を吟味し、選択肢を列挙し/絞り込み、適正に選べる> という環境を作りたいのです。 “何が正解か”ではなく、“適正な手順を踏む”…… たとえ拙い結果となっても 被害を最小限に抑え再挑戦できるように。
◆ 「教育通信」の出発点である 『隣人』は 啓明学園国際教育センタ―の広報紙のようになってしまったので、『小山デース!』(2001年4月〜)として再出発しました。 ところが数年後、その名称では拙いというご意見をいただくようになり、現在の標題でお送りしてます。

“学び”の環境を整える意味は?
  診療所をいくつか開業されているM先生(医師)から先月、下記の “読後感想”メイルをいただきました。 <若者が、深く考える事を躊躇するとの内容には実感しております。診療所の主旨を伝えると、「どうしたら良いのですか?」と一番に聞かれます。私は、その質問に対し「ここの皆さんが自分で考えてください」と話しますが進展がありません。> 若い人たちの多くは 「“正解”は自分で見つけるしかない」とは 学校で教わってないのでしょうね。
  生命誌研究者の中村桂子さんが、どこかに 『フーテンの寅さん』について書かれていました。 <若い人が自分の昔を思い出させるように、恋に悩み、将来に不安を感じている姿を見せるので、愛しくて助けたくなる。この関係が、寅さんの魅力をつくっているように思います。年をとってからのよい生き方は若い人に優しい目を向けることだと、寅さんは教えてくれます。> わが人生を振り返っても、溜め息が出たり赤面したりすることばかり…… 偉そうに話せることなどありません。 永年、子ども達に関わり続けてきたわけですが、私にできることは “学び”の環境を整えることで精一杯でした。
◆ 人生では、転ぶのも立ち上がるのも本人です。 もちろん私たちは若者に、早めに励ましたり口を挟んだり 「Nudge」したりしますけど…。 たとえ転んでも、自力で立ち上がり、元気に前を向いて進んでいってくれることを祈るのみです。

落語の『お見立て』から考える
  古典の演目ですが、花魁<オイラン>の喜瀬川が 妓夫<ギユウ> を使って田舎者の旦那を追い払う筋書…… 妓夫が 喜瀬川は死んだと旦那に嘘をつくと 「墓参りをしたい」と言われ、手当たり次第に 好い加減な墓を教えます。 妓夫は遊郭の客引きで、通行人に遊女を品定めさせるのが仕事…… 「よろしいのをお見立て願います」が決まり文句です。 案内する先が 大昔に死んだ男の墓、子どもの墓、陸軍兵士の墓…… と “墓違い”が続くので、旦那は妓夫を叱ります。
  春風亭柳橋(6代目)、古今亭志ん朝(3代目)、桂 歌丸などの噺は、没後もCD等で人気を博しています。 関西では 『手向け<たむけ>茶屋』……「手向け」は “神仏/死者の霊に供物や花・線香を奉げることです。 “好きなのを選んでください”という好い加減さが、心をくすぐられます。

3月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
安田教育研究所 2023年度中学入試報告会(On-Line)--- 3月3日(金) 午後5時〜、テーマ 『不確実な時代が到来! 入試、私学の在り方は どう変わるのか?』=井沢 秀(大学通信)・池田 亨(エデュケーショナルネットワーク)ほか。
JACTFL 第11回シンポジウム(Hybrid)--- 3月12日(日) 午前10時〜、於:上智大学四谷キャンパス 6号館。テーマ『外国語教育の未来を拓く:複言語教育の時代を創るためのヒント』。 ※ 3年ぶりに上智大学で開催されます。
森美術館 「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」--- 3月17日(金)〜、於:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)。 ※ 世界が注目のデザイン集団 「ヘザウィック・スタジオ」の主要プロジェクト28件を一挙展示します。
第2回みらい育成シンポジウム(On-Line)--- 3月18日(土) 午後2時〜、テーマ 「学びを変え、社会を変える教育の可能性」=平野 信行(三菱みらい育成財団 理事長)ほか。 ※ 「未来を切り開く次世代の人材育成」をテーマにした教育プログラムの助成は3年間で約220… 「教育を通してより良い社会をつくるために何ができるか」について話し合います。
mapmap.tokyo「地図開発者・小島豊美と歩く浅草吉原」--- 3月26日(日)、於:浅草吉原周辺(東京都台東区)。 ※ 「おかあさんといっしょ」「ひらけ!ポンキッキ」などのプロデュサーで 『今昔散歩重ね地図』の作者でもある小島さんと、贅沢な散歩をします。
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◆ 主婦の職場復帰の難しさは、先月のEGS研究会でも話題になりました。 鳥居さんは、「是非、外資系企業も選択肢に (笑)」と仰いましたが、新卒の一斉採用にこだわっている企業に将来はありません。 新卒一斉採用の半分以上は3年以内に辞めますし、残った者の大半は 偏差値にこだわる “成長しないスタッフ”ですから。

◆ 『月刊 海外子女教育』3月号の特集は 「Davos Next 2022 とは何だったのか?」--- 準備段階からプロジェクトに伴走してきた只木良枝さんが、一年半を振り返ったルポです。 ダボス会議(世界経済フォーラム)の “次世代会議”は、もう第二段の準備に入っています。
   「顔」は、「antenna*」や 「craft.」の仕掛人 山口 翔さん(元 (株)マクロミル)。 埋もれているモノやコトから価値を見つけ出し、それらを消費者に届け、収益を生み出すビジネスモデルの構築…… フードロスや食料不足を解決する “先駆者”でした。

◆ 『月刊グローバル経営』3月号特集は 「アフリカの今」…… 昔の 「暗黒の大陸」の印象に囚われているうちに、その多様性と変化の大きさに驚かされます。 欧米諸国と中国の思惑や戦略がぶつかり合うなかで、多くの人命も失われていますが、日本は指をくわえて見てていいのでしょうか?

◆ 17日(金)、岸田文雄首相の 「少子化(無)対策」の記者会見に、溜め息が出ました。 「理念は…」というばかりで何の具体策もなし。 昔から 「増税による財政再建」が口癖だったので、先に円安でインフレ(物価高)を起こしてから給与水準を上げる⇒ 累進課税が狙いなのです。

◆ 20日(月)未明、経営破綻が危惧されたスイス信用銀行(Credit Suisse)が ライバル銀行のUBSに買収されることが決まり、世界規模の金融危機は一時的に回避されました。 異常に水膨れした金融経済を “軟着陸”させていく粘り強い努力が引き続き必要です。

◆ グラミー賞授賞式が2月5日(日) ロサンゼルスで行われ、日本のバンド 「スナーキー・パピー」の 『Empire Central』が 「現代器楽アルバム最優秀賞」、宅見将典の 『Sakura』も 「グローバル音楽アルバム最優秀賞」と、アベック受賞しました。 「Snark(y)」は “嫌味, 皮肉な”の意味ですが、日本の和楽器の素直さ/自然さが いま世界で人気のようです。

キーエンス財団の学部生対象 給付奨学金(年120万円×4年間。600名分)の募集中です。 他の奨学金との併用可能性も高く、大学卒業後の進路等に何の制限もありません。 今春入学の人、今からでも 間に合いますよ。

◆ 3月で帰国された先生方、お疲れ様でした。 コロナ禍に翻弄される辛い任務だったでしょうけど、子ども達には頼りになる存在でした。 こんどは国内の子ども達を よろしくお願いします。

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【2023-2】

18歳人口の減少は大学を淘汰
  入試シーズンの真っ只中ですが、若年人口の減少も深刻ですね。 文部科学省の予測では、2040年の18歳人口(2022年生れ)は約88万人まで減少するそうです。 また、このうち約51万人が大学進学すると予測されています。 今年の大学進学者数は約63万人といわれますので、同じ進学率なら 18年後には12万人も減ってしまう計算です。 ところが、コロナ禍の影響で 昨年の出生児は80万人を割り込むと予測する専門家も出てきました。 もしそうであれば、18年後の大学進学者数は20万人前後減るかもしれません。
  30年前、18歳人口のピークが205万人となった時(1992年)、その年に生れた子は122万人でした。 慌てて 海外から学生を集めればいいと 「留学生30万人計画」も打ち出されましたが、未だに上手くいってません。 高等教育を “輸出品”と考える先進国では、留学生獲得を商務省など産業振興担当官庁に担当させています。 日本では 文部科学省のみに任せているので、とても太刀打ちなどできません。 社会全体に 「嫌なことは見たくない」「その頃には 自分は定年後」という “老人病”が蔓延していますし。
◆ 岸田政権は、実質的に子育て支援策を減らしていってます。 「喫緊の課題」は口先だけ…… 発想は “金を出せばいい”のままで、“何時までをやるか” “財源をどうするか”を言わないズルさ…… そもそも “なぜ子どもを生めないか?”に対する理解が全くできてないのですけど。

フルポテンシャルの欠如
  『月刊グローバル経営』1/2月号の新春対談では、フルポテンシャル(人財の能力を最大限に活かすこと)が話題に…… 日本の職場でそれがないのは、多様な価値観や専門性の許容ができない状況になっているからだと指摘されています。 いわば “老人化現象”で、「戦略策定と事業推進」には熱心でも 社員の働き甲斐を軽視する守旧主義がはびこる…… 上司が 直接言葉で評価したり 感謝したりせず、フィードバックもしないで 「上手くやれ」としか言わない。 若い社員の自由な発想や懸命な努力を評価もせず “(部下に)責任を問う/取らせるのみ”の体質が、最大の難点です。 自らは責任を取らず 会社にしがみついている “心の老醜”の集団が、企業の活力を殺いでいるといえるでしょう。
◆ 大学進学者が40万人前後となって、定員を確保できる大学は 100校あるでしょうか? 厳しい状況を知りつつも、抜本的な学内改革に着手し 執行する事例は極めて限られます。 そこでも 老人たちが職にしがみついていますから。

冷静で論理的な話し合いを
  ここ10年間(=安倍政権以降)、“中国はけしからん”という空気が 報道もSNSも巻き込んで醸成されています。 国防予算を拡大する意図なのでしょうが、政治家もマスコミも “異常事態”を訴えたり報道したりを続けているのです。 困るのは、そうした政策の根本的な方向転換を 国会での議論や説明を抜きに “閣議決定”で推し進めてしまうことです。 他方で 「中国と対立していては、日本経済が立ち行かない」と主張する人には “売国奴”等の批判が浴びせられてます。 冷静で論理的な話し合いができない状況になっているのは 困ったものです。 少子化対策も同様ですけど。
◆ 安倍政権は 毎日言うことを変えるものの、嘘をついている後ろめたさがあったようですが、岸田政権は嘘の認識がなく 平気で言いっ放しです。 <これまで誰も成し得なかったGDP2%の軍事費を実現した> と副総理が褒めてます。(呆然)

「昇天」の意味は?
  今年の 「Isra(ムハマッド昇天祭=イスラム暦 7月27日)の祭日は2月18日(土)です。 しかし、ムハマッド昇天の奇跡(Mikraj)は 「Eve.(前夜)。 イスラム圏で祝日となっているのは、徹夜している人が多くて、朝から働いてもらうことは 無理だからでしょうね。 アラビア語の古語の 「Mikraj」は “梯子<はしご>”の意味でしたが、“天に昇る/駆ける”の意味になったそうです。 “死”の印象は かけらもなくて、ムハマッド自身も天空を旅して 無事戻ってきているのです。
  なお、ラテン語の 「mirari(何だ? あれ)の影響を受けたためか、「Miraj」と書くことも多くなっているようです。 他方、英語・仏語の 「Mirage(「何だ?あれ」⇒ 蜃気楼)は、大気条件によって引き起こされる目の錯覚です。 マレー語の “蜃気楼”は 「Fata morgana」…… 日の出前に 朝日の上辺だけ浮いたように見えてしまうような光景…… 英語の 「Mirage」と同様、“幻影, 幻覚” の意味にまで使われます。 しかし、中東や東南アジアで私たちの耳に 「ミラージ(ュ)」と聞こえたら、軽々しく絵空事だと思ってはいけません。

中国とサウジの急接近
  昨年11月のCOP27で、中国とサウジアラビアは 石油・ガスの利用制限などの地球温暖化対策に消極的でした。 しかし、翌月の 「中国=サウジ首脳会議」(中東諸国など30ヶ国首脳も参集)では 真反対の方針が発表されました。 習近平主席は 6年ぶりに 親米国サウジを訪問、ロシアや石油産出諸国と石油等を確保する体制を確立しました。 つまり「米=サウジ協定」(1974年の原油をドル建てのみで売る約束)を無視し、人民元建て取引も可能になったのです。
  中サ両国が 温暖化対策を進めるふりをしつつ、世界のエネルギー資源を寡占化し、欧米寄りの国々を牽制する戦略…… 「これは “温暖化対策の協定”に名を借りた 実質的な軍事同盟だ」という見方もされるようになってきました。 サウジの軍隊は 日本と同じく米軍と機材・情報共有の体制をとっていますから、即 軍事行動に結びつきはしません。 しかし、アラブの盟主としてBRICSの一角に加わりたいという “色気”が、今回 初めて露骨に現われたようです。
◆ 50年続いた 「Petro-Dollars」(石油ドル基軸)を サウジアラビアが 「Petro-Yuan(元)」の体制に換えていきます。 米・加・ノルウェー・英国が “ドル基軸” を維持しても 4ヶ国の産出量は世界の20数%…… 大半の国は人民元で石油等を買うしかなくなりつつあります。

第83回グローバル化社会の教育研究会(EGS)開催される
  2月9日(木)、上智大学同窓会長の鳥居正男さんを囲んで行われました。 「経済が成長していない・競争力低下」 「少子高齢化で人口減少」 「研究開発での遅れ」 「AI・デジタルでの遅れ」、そして 「グローバルで活躍できる人材が不足」と 日本の課題を指摘する声はあっても、一般に危機意識は欠如してます。 「居心地が良すぎる」 「正解主義」 「画一化・単線化」 「詰め込み重視の教育」などが、世界的な視野を殺ぐようです。 就職、結婚、出産、教育投資などは 社会の維持/活力に不可欠ですが、その決断すら疎外している現状は深刻です。
  鳥居さんは 現実を見据えた上で、“処方箋”のようなものも示され、救われた気がしました。 さすが トップリーダーはこうじゃなくては、と敬服します。 それを呼び水にして 様々な意見が飛び交いましたが、協議の中身は おいおい紹介してまいります。
◆ 日本では グローバル世界における状況の変化などの報道がほとんどされないので、中高年は知らないままです。 だから 「新自由主義」やアベノミクスで 日本が破壊されていることにも気づけません。 他国のマスコミを嗤う人は多いですが、わが国のマスコミも五十歩百歩だと思います。

面接をしない帰国生選抜の実際
  帰国生の特別入試や編入試験で面接試験を行わない学校もあります。 では、受験生をどうやって選別してるのでしょう? たいていは、事前相談や体験授業で来校の際に、入学後 本人も周りも幸せにやっていけるかどうかを判断しています。 生徒本人については 「こちらの目を見て話せるか?」 「楽しく課題に取り組めそうな子か?(前向き思考か?)」は当然。 「他の子が周りに集まりやすい子か?」は、リーダー的な素質や 周りを明るくさせる性格をいい得ています。 逆に、アイ・コンタクトができない子、“横着/怠け者”の片鱗が見える子は、いくら成績が良くてもNGとします。 確かに そんな子の周りに ほかの子は集まりませんし、成績も伸びませんから。
  保護者も観察されてます。 「こちらの話を聴き取ろうとする謙虚さがあるか?」 「家庭内が落ち着いているか?」…… 親子関係が安定していることは大事ですが、入学したい理由(学校への期待の内容)が学校の方針と異なると 悲劇です。 「この子の学力なら合格しますよね?」(何を根拠に?)、「うちの子に何をしてくれます?」(何をして欲しいの?)、「○○大学に入れますか?」(勉強するのは本人です)、「うちの子は 集中力がなくて…」(親が邪魔してません?)……
  学校と受験生とのミスマッチを避けるために、本人や保護者を傷つけないように気をつけながら観察しているわけです。 たとえ第一志望でなくても、「入学したからには 自分/わが子にとって最適の学校だ」と思って頑張れるかどうかを
◆ 学校を選ぶ責任は、第一義的には保護者に課されています。 もし 子どもに選ばせるのなら、選べる力を十分に養わせる責任が 保護者にあります。 学習塾は あくまで “仲人”ですから、塾に全て頼るのは 責任放棄/教育放棄と同じです。

グローバルな人材だって?
  今年の 「初午<はつうま>」は5日でしたが、昔は 求人や契約更改・昇進内示(⇒ 引継ぎ/見習い開始)をしてました。 約1か月後の 「出替りの日(旧暦3月4日。年季奉公の就職日)を控え、まずは稲荷神社にお参りします。 9日(木)の第83回EGS研究会は、奇しくも “鳥居”正男さんを囲んで 「グローバルな人材?」が話題になりました。
  グローバル企業を経営する人材がない… といって、日産自動車のゴーン社長をはじめ 経営トップに外国人が増えてます。 ソニーのH・ストリンガー、日本板硝子のS・チェンバース、オリンパスのM・ウッドフォード…etc. 日本の医薬業界で断トツ一位の武田薬品工業ですら、C・ウェバーさんを招きました。 しかし、どこも上手くいってない…… いくら社長が変わっても 社員の大半は日本人なので、価値観や職業倫理、習慣等を変えるのは至難の業なのでしょう。 しかし、かつて 「日本の職業倫理や商習慣は理想的」といわれていたものを、どう変えるべきかは見えてきません。 そもそも 「グローバル人材」という用語自体、日本語にしかありませんし…。
◆ 「初午」は 企業の一斉採用の根源ともいわれますけど、かつて日本人が 稲荷神社にお参りしていた心情は そもそも何だったのかを真摯に見直すことのほうが、グローバル人材を考える近道だと思うこの頃です。 それを徹底的に嫌っている年寄りには、早く身を退いていただいて…。

2月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ITトレンドEXPO 2023 Winter(On-Line)--- 2月7日(火)〜10日(金)。 『自分軸を持った生き方』=ダレノガレ明美(モデル・タレント)、『メタバースのすすめ!』=キャシー・ハックル(Futures Intelligence Group 代表)など。 ※ ビジネスシーンに “新たな出会い”を!
第83回グローバル化社会の教育研究会(EGS)(Hybrid)--- 2月9日(木)、テーマ 『グローバル環境で生き抜ける人財とは?』=鳥居 正男(元 ノバルティスファーマ(株)会長)。 ※ 競争の熾烈な国際薬品業界で仕事をしてこられたご経験を伺い、話し合います。
CFIEC ウェビナー(On-Line)--- 2月17日(金)、テーマ 『日本の外交・安全保障---ウクライナ侵攻後の世界をどう進むのか』=北岡 伸一(東京大学 名誉教授)ほか。 ※ ウクライナ紛争による世界秩序の変容が 各国の外交・安全保障に どのような転換を迫っているのかを読み解きます。
リセマム国際教育フェスタ--- 2月18日(土)、於:iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ(東京都世田谷区)。 ※ 未就学児の保護者向けに 先進的な国際教育に取り組む小学校 幼稚園などを紹介。 21日(土)には オンライン開催。
EDGE 読み書き困難の集団アセスメント発表会(On-Line)--- 2月19日(日)。 登壇者=藤堂 栄子(星槎国際大学 客員教授)・河野 俊寛(北陸大学 教授)ほか。 ※ 私立高校と東京都港区で実施された “Dyslexia”に関する集団アセスメントの報告です。
☆[高校生募集] TJF オンラインパフォーマンス合宿(On-Line)--- 2月25日(土)・26(日) 午前9時〜午後3時、指導:森永 明日夏(舞台俳優・ティーチングアーティスト)。 ※ 中3〜高3が対象。 レクチャーは 英・韓・中の同時通訳があります。
[動画公開] カンコーTeacher with セミナ―--- 2月〜3月3日(金)、テーマ 『探究学習の課題を解決するアントレプレナーシップ教育』=吉川 佳佑(ガイアック)・木之下 瞬(ドルトン東京学園)。 ※ 実践的な取り組み内容、授業を進める上での課題と対策・工夫の紹介です。
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◆ 『月刊グローバル経営』の新春特集は 「2023年の展望」…… 日外協スタッフの“初席”(揃い踏み/顔見世興行)ともいうべき圧巻で、個性豊かな陣容に敬服します。 「希望はあるかないかではない。 自分でつくるものなのだ」(須藤 真 編集長)…… 本当にそうですね。

◆ 「全国都道府県対抗駅伝」(ひろしま男子駅伝。1/22)には、前日から名物監督が集合していました。 大八木弘明総監督・藤田敦史監督(駒澤大)原 晋 監督(青山学院大)花田勝彦監督(早稲田大)両角 速監督(東海大)酒井俊幸監督(東洋大)…… もちろん 上野裕一郎監督(立教大)の雄姿には感涙。

◆ 『月刊 海外子女教育』2月号特集は 「地方への帰国」…… 学校の選択が限られるなど大都市圏にはない悩みなどに焦点が当てられています。 また、行政・学校・企業が連携して帰国子女教育に取り組んでいる 富山県黒部市の事例も紹介。
  もう一つの特集は 「日本発祥の点字ブロック」で、その歴史と共生社会の未来を目指すインフラ…… 実際の利用者にも耳を傾け、紹介されています。 「今月の顔」は、アメリカ現地校の教諭で活躍している 熊谷 夏さんにインタビューしました。 十数年ぶりに生徒と再会する喜びに浸りながら…(幸せです)

◆ 今年1月の給与から 「年少扶養親族(満15歳以下)の扶養控除38万円」と 「満16〜18歳の特定扶養親族の扶養控除加算25万円」が廃止、さらに住民税でも 「年少扶養親族33万円、満16〜18歳は12万円」の扶養控除が廃止され、計算されています。 子ども手当と高校の無償化は “絵に描いた餅”なので…(溜め息)

◆ 国会でも 教員が足らない問題が取り上げられました。 野党側が数字を挙げて学校現場の窮状を訴えているのに、政府は数字も示さず 「足りています!」の一点張り。 免許外の教科を教えることを禁止していることが最大のネックなのですが、それを隠して押し切ろうとするから 問題が解決できないのです。

◆ 24日(金)で ロシアのウクライナ侵攻から1年…… 悲惨な状況が続いています。 トルコ・シリアの大地震も 2週間が過ぎ、死傷者の多さに心が塞がる思いです。 なのに日本政府は 軍備を増強し、原発を再稼働させていっており、情けなくなります。 希望は持っていたいのですけど。

◆ EGS研究会の参加費は 郵便振替で送金してもらうのですが、最近、関係ない人からの入金が相次ぎます。 「郵便振替の方法」と検索したら EGS研究会のサイトが出るらしく、その画面の通りに 口座番号まで入力してしまうそうです。 送金者に連絡する手間や電話代等もかかり、困ってます。

◆ 皇居の梅林坂の梅が見ごろで、外国人も多く訪れてます。 幼い子が梅を見上げているので 「君は英語が上手になるよ」と言ったら、横にいた母親が 「本当ですか?」と嬉しそうに聞いてきました。(「梅林ギャル」の駄洒落です。すみません)

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【2023-1】

明けましておめでとうございます。
  本年も よろしくお願いいたします。

  日本の正月は 高校スポーツの全国大会が目白押しですね。 サッカー、ラグビー、バレーボールなどが行われますが、高校生活の全てを懸けて “夢の舞台”に立つ生徒たち…… 惚れ惚れするほど成長した姿を見せてくれて、思わず目頭が熱くなります。 “高3の部活引退戦”というと叱られますが、彼らは “セミプロ”…… 大学や企業等で競技を続ける人生を決めてます。 競技生活に長いブランクが生じないよう 冬に “最高潮”を設ける一方、学業に支障がないよう配慮した 正月開催です。
  ただし、全国高校駅伝は年末…… 正月に 「箱根」という “駅伝最高峰”が控え、生徒たちも 「箱根」を夢見て走ります。 なかでも広島の世羅高校は多くの名選手の母校…… 内海 冨貴郎 初代監督が 合理的で効率的なトレーニング法を確立したとされます。 青山学院大学の原 晋 監督も、世羅高校出身の “名伯楽”。 第84回箱根駅伝(2008年)で 「学連選抜連合」の監督としてチームを4位に導いた手腕は 伝説になっています。 そして、その後の胴上げシーンは 何回も目にしました。
◆ マレー語の 「Sera」は “走り回る”の意味です。 マレーシア青年スポーツ省の依頼で 第1回マレーシア駅伝(1994年)を手伝っていた時、世羅高校の話をしたところ、同校の “果敢に挑戦する姿勢”という校是よりも 校名で 「なるほどねぇ」と感心されました。(苦笑)

温泉文化をユネスコ無形文化遺産に
  昨年11月、日本の温泉文化をユネスコ無形文化遺産に登録することを目指す知事の会(17道県)が結成されました。 会長に熊本県知事、副会長に13の道県知事、幹事長に鳥取県知事、事務局長は群馬県知事、次長は石川県知事が就任。 設立趣意書に 「自然の恵みを生かした温泉は 持続可能なエコシステムで健康を増進する。 世界に誇るべき文化」と宣言! 地方創生の牽引役としての温泉地の再生と 価値の見つめ直しが必要だと強調されています。 聞けば、その10日前に 自民・公明両党の国会議員でつくる議員連盟の設立総会が 既に開催されていたそうです。 2024年2月までに登録候補地を決定すべく、関係省庁への要望や企業も参加する協議会の設立などが進められます。
  一方、国際高専校内にある 「比<ひめ>の湯」は 「石川県で高評価のスーパー銭湯・温泉施設」の一位に選ばれてます。 将来、ユネスコ無形文化遺産に登録されてしまうと、授業を邪魔するのは 野生動物に加えて観光客になりかねません。

日本の「小正月」は旧暦1月15日
  中国の「元宵節(上元節), 灯節」、日本の「小正月」は 旧暦1月15日、つまり一年の最初の望月を愛でるものでした。 したがって、今日の感覚では 14日の日没〜15日の日没に、正月を締めくくる一連の行事が行われます。 元々は そこまでが正月行事だったのに、近代化を急ぐ明治政府は 強引に 「7日までが松の内」と決めてしまいます。 「左義長, どんど焼き」などの火祭りも、松飾りなどを早めに片づけさせるために奨励されました。 そうして次第に、「小正月」は 正月気分を一掃する作業の “打ち上げ, 慰労”の性格が強まっていったようです。
◆ 稲作文化の豊穣の祈祷は 元々、「上巳, 雛祭り」(旧暦3月3日)に行われていたのですが、その仕来りを 明治政府は 「小正月」に前倒しさせます。 新暦導入もあって、庶民は次第に 本来の 「節句」の感覚を喪失していきました。 一方、寄席<よせ>正月興行は「初席<はつせき>」(1日〜10日)・「二之席<にのせき>」(11日〜20日)が行われ、20日まで 「おめでとうございます」の挨拶が交わされてます。 町民や芸人たちの反抗心のようなものを感じますね。

「日の出」は何時?
  新春のご来光を仰ぎ 一年の平安や幸せを祈る人に 「初日の出は何時?」と聞いても、即答できる人は まずありません。 冬至(12月22日頃)の頃、北半球では昼間が最も短い(9時間45分)と習っても、日の出は1月6日頃が最も遅いのです。 東京では 午前6時52分なので、朝のラジオ体操は薄暗がりの中でします。 体操が終わって帰宅した頃、やっと日が差すのです。(逆に、日没が最も早いのは 12月6日頃の数日。東京は 16:28)
  イスラムの 「Sabah, Subuh(夜明け前の祈り)は “髪の毛1本を見分けられる明るさになった時にする”などといわれます。 当然、地域によって差が出てしまうわけですが、最近は 新聞やインターネットなどで予告されています。 東京ジャーミイ(渋谷区)では 1月10日前後の数日、午前5時21分に行われており、九州では その30数分後です。 もっとも、イスラム圏では モスク(Masjid)から聞こえてくる 「Adhan, Azan(礼拝の呼びかけ)に人々は従います。

第83回グローバル化社会の教育研究会(EGS)の開催
  2月9日(木)、鳥居 正男さんを話題提供者にお招きして行われます。 コロナ禍で わが国のワクチンや治療薬の開発の遅れを認識させられましたが、政府の怠慢であったことも露呈しました。 政治家も官僚も “内向き思考”が強く、国際社会における製薬業界の熾烈な競争の実態を知らないままだったようです。
  その点、鳥居さんは長年 その渦中で活躍され、外資系大手医薬品企業の日本法人4社のトップを歴任されています。 海外本社との強固な信頼関係を構築・維持し、日本の顧客に最大限の価値を提供するという 難しい舵取りを実践され、また 「米国研究製薬工業協会(PhRMA Japan)」「欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)」の副会長も勤められています。 現在は、上智大学ソフィア会(同窓会)会長、国際人をめざす会 理事などもこなされています。 豊かなご経験から “日本の為体<ていたらく>” と育てるべき人間像についてお話しいただき、それを素に話し合います。

落語の『初天神』
  菅原道真を祀る天満宮の縁日は毎月25日(旧暦)で、1月にのみ "初" がつきます。 親子が亀戸天神にお参りに行く この噺は、小正月が終わっても どことなくめでたい気分が残っている時期の定番です。 噺の魅力の中心は ダメ親父と賢い童子の “駆け引き+やり取り”ですが、大人も かつては子どもだったわけで…… 「手本を見せてやる」と言いながら子どもを放ったらかして凧揚げに熱中してしまうなど、観客も共感して笑います。 学校見学でも 似たようなことが起こり得ます。 かつて自分が熱中していたことを授業でやっていると、思わず…… 生徒が探究学習やアクティブラーニングに熱中していると、わが子を放ったらかして見入る親御さんが結構あるのです。
◆ 学校見学で、親御さんが体験授業などに のめり込み、お子さんも それを見て苦笑いしながら喜んでいたら、“一丁上がり”(笑)。 授業後に お父さんが先生に質問に来たりする場合など、特にそうです。 めでたし めでたし。

「ジャイキリ」は流行語にならず?
  昨年の流行語大賞に 「ジャイキリ」が入るかと思いきや、サッカー世界盃の盛り上がりが 審査に間に合いませんでした。 「Giant Killing(大番狂わせ, 大物食い)は 英国のお伽話・伝説 『Jack the Giant Killer』が起源の慣用句です。 同名の冒険ファンタジー映画(米1962年)により普及したのですが、日本人の感覚からは 遠い世界に感じます。 欧州の童話や お伽話には残酷な場面が多く、日本で絵本にする時には 柔らかい内容に改変するのが普通です。 しかし、漫画 『GIANT KILLING(講談社 2007年〜)の連載、テレビアニメの放送(2010年)により、日本語に定着。 カタールでの日本サッカーチームの 「ジャイキリ」は、刺激的な “一難去ってまた一難”の興奮を与えてくれました。
◆ 昨年の新語・流行語大賞は、仙台育英の須江 航さんの 「青春は密」だろうと思ってましたけど…… 高校の現場にいると 「生徒は超過密スケジュールだなぁ」と感じます。 教師のほうも忙しいわけで、もっと自由にさせたほうが好いですよね。

先生の願書出し忘れを考える
  昨年の1月末、「先生が願書出し忘れ! 受験できなかったら、生徒は補償を求められる?」のニュースが注目されました。 実際、表には出ませんけど、担任が願書を出し忘れて 生徒が受験できなくなる事例は よくあるのです。 高校受験や大学の推薦入試では、担任が生徒の出願書類を志望先の学校に提出することが多いのは確かです。 願書を出身学校経由で提出させる慣例は、「推薦合格した後の入学辞退」などの不祥事を回避する要素を含んでいます。 つまり、学校間の信頼関係を揺るがす事態があれば、次年度以降の出願者に不利益ががあるという“牽制装置”なのです。 しかし、グローバルな観点から見ても、入学願書を学校が管理するという仕組み自体が異常ですし、改めるべきでしょう。 昨今のわがままな保護者のことを考えても、そのほうがトラブルを未然に防ぐ方法だと思います。

1月の諸行事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
JOES Webinar:パネルディスカッション(On-Line)--- 1月14日(土) 午後2時〜3時半、テーマ 「今後の日本の教育とグローバル教師の役割」。 ※ 世界各地の日本人学校等でグローバルな経験を積んだ4名の帰国教師と一緒に考えます。
JACTFL 特別講演会(On-Line)--- 1月21日(土) 午後1時〜2時半、テーマ 『英語教育と複言語教育をめぐって』=鳥飼 玖美子(立教大学名誉教授)。 ※ 既に多くの人々が暮らす多言語多文化社会となった日本で 「日本人は英語以外の外国語を愛せるか?」の根源的な問いが発せられます。
CFIEC ウェビナー(On-Line)--- 1月27日(金) 午前10時〜、テーマ 『2023年展望〜グローバルな潮流の行方』=田中 明彦(JICA理事長)ほか。 ※ “リスク”という観点からグローバルな潮流を読み取り、国際秩序の変容の中で日本が担う役割と進むべき道を考えます。
未来の先生フォーラム(On-Line)--- 1月28日(土)、テーマ 『文章が 「書けない」大学生に高校・大学は何ができるのか?』=塚越 久美子(北海道科学大学)・高木 展郎(横浜国立大学)。 ※ 教科に囚われず文章力を高める高大連携教育の提案です。
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◆ 世羅高校と (株)大創産業(DAISO)とで 駅伝分野における連携協力協定が成立してます(2020年)。 そのうち アジア各地に 「大走<da4zou3>」(遠出の散歩)という偽ブランドも…(笑)。 なお、世羅町・府中町・坂町は 広島県 「街の幸福度ランキング」の5指に入ります。 ここ数年、若者の間で人気の 「出世の神」=大成龍<だいじょうりゅう>神社や、日本有数のパワースポット 「今高野山」も世羅町にあります。

◆ 久保田 武 先生の論文 『生涯現役という生き方:斎藤喜博定年退職後の12年』は 昨年4月に完成しましたが、このたび訂正版が 国立国会図書館で一般公開されることになったそうです。 斎藤先生は 世羅町にも教えに行ってます。

◆ 茨城県立の中高一貫校 13校の入学志願者数が発表されました(12/6)。 水海道一(定員40人)が 4.33倍、竜ケ崎一(同40人)3.63倍、水戸一(同80人)3.61倍、並木(同160人)3.28倍… と軒並みの高倍率。 入学できた子も 高校から国際高専に行っていいんですよ!(笑)

◆ 『月刊 海外子女教育』新春号の特集は 「みんなに紹介! 教育アドバイザーの先生」…… 教育相談担当の先生の素顔や “秘密”を探るべく突撃取材しました。 読者、とくに子ども達が 身近に感じてもらえれば幸いです。 実はもう一人、芝田 進先生がおられます。 12月からだったので 取材が間に合いませんでした。 広島県の公立校の先生ですが、台北日本人学校、チェンナイ補習校(インド)、ケレタロ補習校(メキシコ)で勤務されたことがあります。

◆ もう一つの特集は、恒例の 「私の仕事」…… 元帰国生が 職場の苦労や喜びなどを紹介してくれます。 また、会員校訪問は 神戸野田高校です。 神戸市で最も受験者数が多いといわれる理由を探ってみました。 今年も いろんな学校を訪れ、いろんな皆さんとお話しできることを 楽しみにしています。 よろしくお願いします。

◆ 何故か最近 「朝日新聞に載った元旦の記事を読ませて」という照会を受けます。 もう16年も前の拙文で、今さら何が面白いのでしょうか? ご批判は 甘んじてお受けしますけど。

◆ 20日(金)からは 「大寒<da4han2>」…… 一年で最も寒い時季です。 この時期の湧き水・井戸水には雑菌が少なく、「寒仕込み」の酒・味噌・醤油などは腐らないといわれます。 そういえば あの子はいつも明るくて…(失礼しました)

◆ 今年は22日(日)が 中国の 「春節<chun1jie2>」(旧正月)です。前日21日(土)から27日(金)までが公休期間ですが、東南アジアでは23日(月)までが普通(日本時間の22日 06:00am が “月齢0.0”なので、24日を休みにしない国・地域もあります)。 なお、イスラム暦7月(Rajab)も 22日の日没から始まり、断食月(Ramadan)まで2ヶ月です。

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2022年12月以前のニュースは こちら

小山和智の執筆記事・コラム等の一覧

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